昔の私も「毎日通勤する人の人生って何?」と思っていた
私は就職活動をして内定はもらったのですが、「役者になるんだ」と言って東京に出てきた人間です。
その頃、これはちょっと失礼を承知で言うんですけど、電車のつり革につかまってすごく疲れた顔をしている人を見て、「毎日通勤する人の人生って何なんだろう」と思ったことがあったんですよね。
でも当時、役者の師匠に「サラリーマンがどれだけ大変かわからないのに、そんな舐めたこと言うな」とすごく怒られたんですよ。
今ならその意味がよくわかります。
学生時代って、生きてる意味なんてあまり考えないと思うんです。
生まれてから経験することは大体初めてのことばかりで、ある意味それだけで楽しいですし、社会貢献とか誰かの役に立つとか、そういうことは社会に出るまでほとんど考えたことがなかったんですよね。
マツコさんとイチローさんの言葉を借りて考える
この問いを考えていて、思い出した話が2つあります。
1つはマツコ・デラックスさんが「仕事以外に生きてる価値がどこにあるんだろう」と話していた回です。
マツコさんは、生きてる実感は自分が仕事をしているからこそ感じられる、人や社会の役に立ってるという満足度は何にも代え難くて、一人でわいわいしてるだけじゃ得られない、というような話をされていました。
そこで「じゃあマツコさんは何の役に立ってるんですか」と聞いた方がいたんですよ。
それに対してマツコさんは、「今、自分が何かの役に立ってるという実感はない」と答えたうえで、こう続けたんですよね。
もう1つは、プロフェッショナル仕事の流儀のイチローさんの回です。
ファンは自分の人生や生活の一部を捧げて球場に試合を見に来てくれている、その人たちに背くことなんてできない、だから自分の生活の何かを犠牲にするのは当然だ、というような話をされていたんです。
これもすごいセリフだなと思っていて、この「犠牲」というのは、盲目的に滅私奉公するみたいな意味ではなくて、人に何かをお返しをしたいということなんじゃないかと思うんですよね。
私は今も「役に立ってる実感」なんてほとんどない
正直に言うと、私も今「人の役に立ってる」「社会貢献してる」と自覚できてるかというと、ほとんどないんです。
こういう話をすると、「名村さん、雇用を生んでるじゃないですか」「税金を納めてるじゃないですか」と言ってくださる方がいます。
でも税金は義務だから納めているだけで、「社会貢献のために納めるのだ」なんて考えていないんですよね。
社員も、ある意味では私がやりたいと思っていることに巻き込んでいるだけで、どこかで申し訳ないなという感覚すらあります。
そのかわり、私が実感できるのは、もっと目の前のことなんです。
うちは不動産屋さんの仕事が多いので、その先にいるエンドユーザーの方が「このサイトでいい部屋が見つかった」と思ってくれる。
そういう人がいたら、やっぱり嬉しいじゃないですか。
これは一人でゲームをやって楽しいというのとは違う、私にとっては仕事でしか得られない喜びなんですよね。
「人と住まいのベストマッチング」という言葉に出会った日
この感覚の原点になっているのが、私が一番最初に勤めていたLIFULLという会社での経験です。
当時の社長の井上さんが「人と住まいのベストマッチング」ということを標榜していて、これを22、23歳ぐらいで聞いたときに、私にとってはかなり大きな言葉だったんですよ。
「あ、仕事の意義って給料を稼ぐためだけじゃないんだ」と思えたんですよね。
今のサービシンクを起業した一つのきっかけにもなっています。
社会の中でお金が循環していて、自分がやったことに対して誰かがお金を払ってくれる。
そのお金も、その人が何か頑張った結果で得られているものなんですよね。
BtoBの仕事でも、担当者さんが何百万、何千万という見積もりにOKしてくれる。
それはその会社の従業員の方々が頑張った結果なわけで、いただくお金をあだやおろそかにはできないなと思うんです。
だからそれに対して自分がちゃんと頑張って何かを提供する。
その結果「人の役に立ってるな」と思える実感は、人生をかけるに値するんじゃないかなと、私は思っています。
まとめ
結局、私はこの問いにマツコさんやイチローさんの言葉を借りてしか答えられませんでした。でも今の時点では、働く意味は「誰かに何かをお返ししたい」という気持ちにあるんじゃないかと思っています。おはがきをくれた学生の方も、社会に出て仕事をし始めてみたら、「ああ、そういうことか」と思えることがきっとあるはずです。
- 昔の私も「毎日通勤する人の人生って何?」と思っていた
- マツコさんもイチローさんも、「役に立ってるかもしれない」という期待や、お返しの気持ちを語っていた
- 雇用や納税より、目の前の人が喜んでくれる実感のほうが私には大きい
- 「人と住まいのベストマッチング」という言葉が、私の仕事観の原点になっている





