まず前提として「できないものはできない」と言うしかない
いただいたお悩みは、なかなか切実でした。
前日に「社内都合で止まってたから全部止めて」と平気で言われたり、社内で決まった内容が降りてこないまま「決まったから丸日までによろしく」と言われたり。
それがもう2年続いていて、退職する人まで出ているという話です。
正直に先に言ってしまうと、これは「できないものはできない」と言うしかないんです。
マラソンを5分で走れとか、キーボードを1秒で10万文字打てと言われても、どんなに言われたって無理じゃないですか。それと同じで、できないものはできないんですよね。
ただ、これを言うのって、ものすごく勇気がいります。
言えないからみんな悩むし、見限って辞めてしまう人も出てくる。私だってそこはよくわかるんです。
なぜ2年も続いてしまうのか
ここで一つ、私が引っかかったことがあります。
2年も続いているということは、たぶんそのさらに上の経営陣は、現場がこれだけ疲弊していることを知らないんですよ。
なんでかというと、その上司の無茶を、部下のみなさんが何とかしてしまっているからなんですよね。
必死に頑張って尻拭いをしていれば、いつか上の人が気づいてくれるはず、と思いたくなる気持ちはわかります。
でも残念ですけど、たぶん気づかないんです。
任せているんだから見ない、という人もいますからね。逆に言えば、いちいち見ていたらその上司を置いている意味がなくなってしまう。
だから頑張れば頑張るほど、その上司はなんとかなってしまって、追い込まれることもない。そうやって回ってしまうんです。
「人の気持ち」ではなく「段取り」の問題かもしれない
ここからが、私が一番お伝えしたかったところです。
この上司の方、もしかしたら人の気持ちがわからないんじゃなくて、純粋に段取りが組めないだけかもしれないんですよ。
乱暴な言い方になりますが、実務ができる人がマネジメントもできるとは限らないんです。
会社って、実務で成果を出した人が昇進して上司になっていきますよね。だからつい「上司なんだから僕らの仕事は全部できて当たり前でしょ」と思ってしまう。
でも実務の延長線上にマネジメントはないんです。全く違う能力なんですよね。
本来の上司の仕事って、ゴールと期日を設定して、その進捗を管理して終わらせることです。途中の中身は依頼した人に任せるのが基本のはずなんですよ。
だから「これぐらいの時間でできるだろう」と、本人は本気で思っている可能性がある。そこに悪意はないんですよね。
だとすると、こちらが「できない」と言ってあげないと、「ほら、できてるじゃん」で終わってしまうんです。
いきなり突っぱねず、少しずつ気づかせる
とはいえ、いきなりゼロか100かで「いや、それ無理っす」とやると、軋轢が生まれてしまいます。
だから私がおすすめしたいのは、少しずつ譲歩点を下げていくやり方です。
最初は「頑張れば95まではいけます」と言って、次は90、その次は80、70とだんだん下げていく。
そのたびに「もっと早く言ってくれてたら終わったのに」とチクチク伝えていくんです。
私の中でのゴールは、真正面から撃ち合うことじゃありません。
「このままだと俺の立場が悪くなるな」と気づかせることなんですよね。
「何かあるなら先に言っといてくださいね、本当に次はできないって言いますよ」と、問題が起きる前に伝えておく。
要は、私たちをどう使えば便利かをその上司に教え込んで、気づいたら自分たちの手のひらの上でコロコロさせている、そんな状態に持っていくのが一番いいんじゃないかなと思います。
もちろん、やりすぎると「積極性がない」と報復人事につながる危険もあるので、そこは淡々と、というのが大事なんですけどね。
まとめ
「人の気持ちがわからない上司」と聞くと冷たい人を想像しますが、案外そうじゃなくて、段取りやタスクの中身がわかっていないだけ、ということもあるんじゃないかと私は思っています。だからこそ、頑張って尻拭いを続けるより、少しずつ「できない」を伝えていくことが、結局は自分たちを守ることになるのかなと。あなたの職場ではどうでしょうか。
- どんなに言われても、できないものはできないと伝えるしかない
- 現場が尻拭いで回してしまうと、上の人はいつまでも気づかない
- 実務ができることとマネジメントができることは、別の能力
- いきなり突っぱねず、少しずつ譲歩点を下げて気づかせていく






