前職から仕事はもらわなかった、というか絶対にやらないと決めていた
私が独立するとき、前職からのツテは本当に何もありませんでした。
前の会社での名刺も全部置いてきましたし、仕事を持っていくこともなかったんですね。
しかも前の会社では役員をやっていたので、独立するって言っておいて「仕事ありません、回してください」って言うのは、なんか恥ずかしいなと思っていて。
自分で独立すると宣言しているのにそれはどうなのか、っていう勝手な強がりですね。
だから前職から仕事をもらう、という手段があること自体、当時は知らなかったし、考えてもいませんでした。
もちろん、起業した直後に仕事があって収入があるって、めちゃめちゃ助かると思うんです。それはもう本当に理解します。
でも今になって思うのは、前職の仕事で埋めてしまうと、独立直後にしかない大事な期間を捨てかねないということなんですよね。
独立した人だけがもらえる「ご祝儀」がある
起業した人には、実は1つ特典があるんです。
「起業したの?じゃあ頑張って」って応援してくれる人が出てくるんですよね。
これはいきなりでっかい話じゃないんです。私もやりましたけど、ウェブと全く関係ない仕事もありました。
「PhotoshopとIllustrator使えるなら名刺作ってくれない?」みたいな話で、金額も本当に何万円とかだったと思います。
でもそれって、独立したことに対するご祝儀なんですよ。
そして、このご祝儀の期間ってそんなに長く続かないんです。だいたい1年くらいじゃないかなと思っています。
2年目になったら、独立して1年以上経ってるのに「独立したんです」と言っても、もう「頑張ってるんだね」で終わってしまう。
独立して1年で3割が潰れて、5年で半分以上、10年を超えられるのは1割を切る、なんてよく言われますよね。本当かどうかはわかりませんけど。
だからこそ、1年の壁を超えたかどうかは大事で、ご祝儀期間は独立直後の一度きりなんだと思います。
この大事な期間を前職の仕事で埋めてしまうと、全部ドブに捨てかねないな、という気がしているんですよね。
正直これは後から気づいたことで、当時は「前職から仕事があった方が良かったかな」「辞めなきゃよかったかな」って思うことがすごくいっぱいありました。
でも結果的に、新規の顧客開拓をやらざるを得なかったのは、私にとっては良かったんじゃないかと思っています。
新規開拓で、恥ずかしい失敗もいっぱいしました
じゃあ新規の顧客開拓をどうやっていたかというと、今考えたら恥ずかしいなと思うようなこともいっぱいやりました。
参加費が安い異業種交流会にも行きましたけど、結論から言うと、営業されることばかりで、こっちの話を聞いてくれる人にはほぼ出会えませんでした。
金融関係の個人営業の方に「もう一度お話を」と言われてカフェで1〜2時間ずっと話を聞かされて、無下に断ることもできなくて。
「なるほど、そうなんですか」ってずっと相槌を打って、帰り道に「この2時間、俺は何だったんだっけ」って思うことも結構ありました。
東京商工会議所にも加盟して、ビジネスマッチングを期待したりもしましたが、結果的に1年くらいで辞めてしまいました。
私の場合は「不動産×ウェブ」にターゲットを絞っていたので、広くいろんな人と会っても、仕事につながる間口がすごく狭かったんですよね。
結局、ウェブの仕事って飛び込み営業で新規開拓するのは難しいんじゃないかと思っています。
実績もない中でサイトを作っても掲載できるわけじゃないし、ページ数も稼げないから、SEO的にも強くできない。八方塞がりなんです。
だからこそ、小さな案件でもいただいたものを真摯に対応して、納品や打ち合わせの場で「こんなこともできます」を押し売りにならないように伝えていく。
相手のニーズを拾いながら、「この人こういうこともできるんだ」とうっすらインプットしていくしかないんじゃないかなと思います。
「安定した」と思ったことは、実は今もありません
3つ目の質問は「どれくらいで安定してきたと思いましたか」でしたが、正直に言うと、思ってないです。今もそんなことは思いません。
うちの会社は受託事業なので、受注して作って納品して、を繰り返しているんですね。
納品したらそこで終わりになる可能性は常にあるので、新しい案件を取り続けないといけないんです。
一人でやっていた時も、今30人ちょっとになった今も、仕事がなくなるかもしれない不安はずっとあります。
だから「安定=安心」という意味なら、それはないですね。
ただ、別の意味で言えば、少し変わってきたかもしれません。
不動産とIT、今だとAIやARといった自分の強みを、誰に対しても気負うことなく言えるようになってきたんです。
昔は「あれもやって、これもやって」とサービスをいろいろ作っていましたが、最近はやりたいことやUSPがはっきりしてきた。
その意味でなら、安定してきたかなと言えるかもしれませんね。
まとめ
結局、これをやったからうまくいきました、と言えることはなくて、運と縁だと言われたらそうだなという気がします。だから再現性のある方法論をお伝えできるわけではないんですけど、独立直後の「ご祝儀期間」だけは一度きりだということ、それだけは覚えておいてもらえたらと思っています。
- 前職から仕事を回してもらうのは助かるが、独立直後にしかない期間を埋めてしまう恐れもある
- 起業した人には「頑張って」と応援してくれるご祝儀期間があり、それは1年くらいで終わる
- ウェブの新規開拓は飛び込みでは難しく、小さな案件を真摯にこなして強みを伝えていくしかない
- 受託である以上「安定=安心」はずっと来ないが、自分のUSPがはっきりしてきた実感はある







