AIにモヤモヤするのはあなただけではない
「AIを使えないと仕事がなくなるらしい」。連日のニュースを見て、ワクワクよりも先に焦りや疲れ、言葉にできないモヤモヤを感じている人は多いのではないでしょうか。
使ってみなきゃと思いつつ日々が過ぎてしまう。一応使っていても、この使い方で合っているのか自信が持てない。そんな声も少なくありません。
しかしタカハシさんは、そう感じている人はけっして少数派ではないと話します。
世間ではこれだけ生成AIブームとかAI革命とか言われていますけれども、現場の実態は全く違うんですね。
その根拠として、野村総合研究所の「AIと生活に関するアンケート」のデータが紹介されます。
そのアンケートによると、日常的に生成AIを使っているビジネスパーソンはたったの9%。これまでに使ったことがある人まで含めても28%と、3割に満たない結果でした。
2024年のデータのため今はもう少し増えているかもしれませんが、周りを見渡すと意外とそれくらいかもしれない、とタカハシさんは補足しています。
モヤモヤの正体は3つの壁にある
なぜこれほど便利な技術なのに、私たちはモヤモヤしてしまうのか。タカハシさんは、その原因は能力不足でもやる気の問題でもないと話します。
置かれている状況やAIの特性が、3つのモヤモヤを生み出しているというのです。
1つ目は「環境のモヤモヤ」です。AIの進化のスピードが速すぎることが原因とされます。
ChatGPTで新しいモデルが出たと思ったら、翌週にはGeminiやClaudeがすごいものを出す。使い方のTipsもSNSで山ほど拡散されています。
真面目な人ほど最新情報を追わなきゃと頑張ってしまい、情報に溺れて疲弊してしまう、という状況です。
2つ目は「心理のモヤモヤ」で、正解主義の落とし穴です。日本のビジネスパーソンは、間違ってはいけない、正解を出さなきゃという教育を受けてきました。
しかしAIは嘘をつくことがあります。これは技術的にハルシネーションと呼ばれます。
さらに、AIが出したものが本当に正しいのか、十分に良質なのかをAI自身は教えてくれません。それを良しとするかどうかは人間側が決める必要があります。
そのため「嘘をつくなら仕事に使えない」「合っているかわからないから怖い」という心理的なブレーキがかかってしまうといいます。
3つ目は「行動のモヤモヤ」で、どういう使い道があるのかわからないというものです。
「AIって何に使えるんですか」と聞かれると、メールや資料作成、リサーチなど「日本語で頼めることなら色々」という回答になります。
しかし何でもできると言われると、逆に何をさせていいかわからず止まってしまう。相手が人間なら「いい感じでやっといて」と頼めますが、AIのチャット欄はただ空白で待っているだけです。
何をどう頼んでいいかわからないので、そのまま使わない。こういったことも起きているわけです。
環境の壁
進化が速すぎ、情報が多すぎてついていけない
心理の壁
正解主義に縛られ、AIの嘘や不確かさが怖い
行動の壁
何でもできると言われ、逆に使い道がわからない
霧を晴らせばAIは最強のパートナーになる
情報が早すぎる・多すぎる、正解かどうかわからない、使い道がわからない。この3つの霧が、私たちとAIの周りを覆っているとタカハシさんは整理します。
逆に言えば、この霧さえ晴らせばAIは最強のパートナーになる、と続けます。
シリーズ「隣のAI戦略」では、この3つのモヤモヤを解消する戦略を渡していく方針です。
たとえばAIのニュースは全部追わなくて大丈夫で、どれを追えばいいのか選ぶポイントがあるといいます。
また、AIの仕組みや原理を知ることが大事だとされます。そうすればAIは怖くなくなり、自分との役割分担や共同の仕方がはっきりしてくるからです。
その上で自分の意思をしっかり伝えられれば、AIは驚くほど役立つ相棒に変わると話されています。
孫子の兵法をベースにした大人のAI戦略
シリーズの基本戦略として、タカハシさんは孫子の兵法の一節を紹介します。
つまり敵を知り、己を知るということです。この戦略論をベースに、明日からAIを使いこなす大人の知恵を共有していく、と語られます。
AIのすごいニュースに振り回されるのは今日で終わりにしていい、という言葉でこの回はまとめられます。
次回はシリーズの導入編2回目として、全体像を伝えていく予定です。おそらく20回ほどのシリーズになりそうだとされています。
まとめ
この回は、AIに感じる焦りやモヤモヤの正体を「環境」「心理」「行動」の3つの壁に分けて解説する、新シリーズの導入編でした。焦る必要はなく、霧を晴らしていけばAIは頼れるパートナーになる、というのが基本のメッセージです。
- 日常的に生成AIを使うビジネスパーソンは9%で、モヤモヤを感じても少数派ではない
- モヤモヤの正体は「環境」「心理」「行動」の3つの壁に因数分解できる
- 環境の壁は進化の速さと情報過多、心理の壁は正解主義とAIの嘘への恐れが原因
- 行動の壁は「何でもできる」ゆえに使い道が見えず止まってしまうこと
- 「彼を知り己を知れば百戦危うからず」を土台に、3つの霧を晴らす戦略を学んでいく


