仕事の8万4000時間を、どう過ごすか
たいぞーさんはこの回で、「好きな仕事はやってみた後にわかる」という話をしています。その前提として、仕事が人生の大部分を占める貴重な時間だという点を挙げます。
薬剤師が新卒から定年まで会社員として働き続けると、仕事に費やす時間は約8万4000時間になるといいます。薬剤師には自己研鑽の時間もあるため、実際にはそれ以上の時間を仕事に使うことになりそうだと話しています。
たいぞーさんは、プライベートな時間も大切だとしたうえで、その時間を楽しく過ごすためにも仕事への取り組みは重要だと考えています。割り切って嫌々働くこともできますが、同じ時間を過ごすなら面白いと思いながら働けるほうが、人生の充実度は大きく変わるのではないかといいます。
せっかく人生の同じ時間を過ごすのであれば、この仕事が非常に面白い、楽しいなと思いながら仕事の時間を過ごすことができたら、人生の充実度っていうのは大きく変わるんじゃないかな。
いまのたいぞーさんは、薬剤師の仕事を天職だと思うほど楽しんでいます。ただ、学生時代から薬剤師の仕事が好きでたまらなかったわけではないそうです。
たいぞーさんは、薬剤師にどうしても就きたくて薬学部へ進んだわけではありませんでした。大学に進み資格も取ったので、薬剤師の仕事をするのも悪くないかな、くらいの気持ちで目指していたのが正直なところだと振り返っています。
薬剤師の仕事が「めちゃめちゃ面白い」に変わったきっかけ
たいぞーさんが薬剤師の仕事を面白いと思うようになった大きなきっかけは、薬学で患者を診るという部分でした。薬学の専門知識で患者の状態を読み解く関わり方に、「ちょっと面白いかもしれない」と感じたといいます。
たいぞーさんは、世の中のどんな仕事でも、見方や捉え方を変えれば、自分が面白いと思う取り組みと重なる部分が大なり小なりあるのではないかと話します。たいぞーさんにとって、その重なりが「薬学で患者を語る」ことでした。
ただし、その時点で薬剤師の仕事が素晴らしいと思えたわけではありません。たいぞーさんは「ちょっと面白いかも」と感じた部分を、まず全力でやることを徹底しました。
全力で取り組むうちに、成果が出始めます。患者さんの薬物治療がより良くなったり、薬の働きから患者さんの状態の変化を読み解けたりする経験が生まれました。
この薬ってこうやって体に働いて、この時間帯でこう効いてくるはずやから、だからこのタイミングで患者さんの状態良くなったんや。ってことはこの先どうなるんやろう。
たいぞーさんは、こうした考えが患者さんの体で「バチッとハマって」起こり、「患者さんのことが見えたぞ」と感じる経験を重ねました。臨床現場での成功体験が積み重なるなかで、この仕事は面白いと思うようになったといいます。
その面白さを糧にまた全力で取り組み、新たな成功体験を得る。たいぞーさんは約10年仕事を続けるなかでこの繰り返しを何度も経験し、いまでは「この仕事めちゃくちゃ面白くてたまらん」と思えるところにたどり着いたと話しています。
好きなことを仕事にしなくても、仕事は好きになれる
たいぞーさんは自身の経験から、好きなことを仕事にしている人は、最初から好きなことを職業にできているわけではないと考えています。これが1つ目の大きな気づきだといいます。
では、どうやって仕事を好きになっていくのか。たいぞーさんが挙げる第一歩は、自分が面白いと思うことは何かを考え、仕事のなかでそれを実践できる場面がないかを照らし合わせて探すことです。
たいぞーさんが特に大事だと強調するのは、面白さを見つけた後に全力でやることです。ここを中途半端にしたりおろそかにしたりすると、仕事をめちゃくちゃ面白いと思えるところには、なかなかたどり着けないのではないかといいます。
たいぞーさんによると、全力で取り組むほど仕事の成果を得られる可能性が高くなります。そのため、早い段階で成果のなかから面白さに気づけるのだと説明しています。
その先は、面白さを突き詰めて全力でやり、成果が出て、さらに面白くなるという循環が回り始めます。たいぞーさんは、この循環によって仕事が天職だと思えるものに変わっていくと考えています。
面白さを見つける
自分が面白いと思うことと、仕事のなかで実践できる場面を照らし合わせる
全力でやる
中途半端にせず、見つけた面白さに本気で取り組む
成果が出る
全力だからこそ成果に当たる確率が上がる
さらに面白くなる
成果から面白さに気づき、それを糧にまた全力で取り組む
たいぞーさんは、面白さを見出し、何より全力で取り組むことが、人生の大きな時間を占める仕事を面白くやりがいのあるものに変えると話しています。薬剤師の場合、その面白さは「薬学で患者を語る」ところにあるというのがたいぞーさんの考えです。
番組は、仕事の面白さを見つけるヒントになれば、という思いで続けられています。たいぞーさんは、自分の仕事を面白くやれているかを振り返るきっかけにしてほしいと呼びかけています。
姫路の講演会で語る、専門性を活かす薬剤師のキャリア
回の最後に、たいぞーさんは2月14日に兵庫県姫路市で共同主催する講演会を告知しています。収録時点では具体的な時間や場所は調整中で、内容も精査しているところだといいます。
講演会でたいぞーさんが話したいと考えているのは、薬学で患者を語る実践を通じてどんな体験をし、患者さんや社会にどんな価値を届けられたかという実体験です。そこから考える薬剤師のキャリアについても話す予定だそうです。
たいぞーさんによると、薬剤師に限らず、キャリアアップといえばマネジメント職に就き、人や組織を束ねる立場に進むのが一般的です。その道でより良い医療を社会に届けることも、もちろんできると認めています。
一方でたいぞーさんは、薬剤師個人の専門的な力が一人の患者を救うことにも大きな価値があると考えています。そうした力を持つ人がマネジメントに注力し、現場で患者さんに関わる機会を失うのは、社会資源の損失ではないかと話します。
ただし、専門性を活かして患者さんに関わる働き方には課題もあります。たいぞーさんは、やりがいや面白さという内的な報酬は得られても、賃金などの外的な報酬と結びついたキャリアアップはしにくい、ビジネスの構造があるのではないかと指摘しています。
やりがいや面白さは得られる
賃金と結びついたキャリアアップは、ビジネスの構造上しにくい
たいぞーさんは、一人の患者を全力で救う力を積み重ねることが、内的な報酬だけでなく外的な報酬も含めて評価されるキャリアの道をどう作るかを、現場で感じる課題感と解決策とともに講演会で話したいと考えています。
まとめ
たいぞーさんの経験からわかるのは、好きな仕事は最初から与えられるものではなく、面白さを見つけて全力で取り組むなかで育っていくということです。その実践は、薬剤師のキャリアのあり方を考える問いにもつながっています。
- 仕事は人生の大部分を占めるため、面白いと思いながら働けるかで人生の充実度が変わる
- 仕事のなかで、自分が面白いと思うことを実践できる場面を探すのが第一歩
- 面白さを見つけたら全力で取り組むことで成果が出て、さらに面白くなる循環が生まれる
- 専門性で一人の患者を救う働き方が、外的な報酬も含めて評価されるキャリアの道が求められている


