学生の日報・週報から感じたAI活用の気配
この回は、薬剤師たいぞーさんが薬局で受け入れている実務実習の学生指導から始まります。学生実習の第3期が始まり、指導に当たってからおおむね3週間が経とうとしていた時期の話です。
実務実習を行う学生には、毎日の日報 ── その日に学んだことや気づいたことをまとめて提出するレポート。日々の振り返りを目的とする課題と、週の最後に提出する週報 ── 1週間の学びをまとめて提出するレポート。日報とあわせて実習の振り返りに使われるという課題があります。学生は日々、実習で学んだことや気づいたことをレポートにまとめて提出しています。
指導薬剤師であるたいぞーさんは、そのレポートを見てコメントを返すことを日々行っています。その中で、最近の学生ならではだと感じた点があったといいます。
日報や週報を見ていると、学生がAIを使って文章をまとめているのだろうと感じる、AIを使ったような雰囲気の文章が出てくることがあるそうです。実際に本人へ確認したわけではないという前提も添えられています。
AIを使うこと自体は否定しない、という立場
たいぞーさんは、日報や週報をまとめるにあたってAIを使うことを否定するつもりはないと明言しています。むしろ、上手に使いこなすことはこれからのことも考えると大事だと話されています。
むしろ、上手に使いこなすっていうのは、これからのことも考えるととても大事なことなのかなというふうに思うので、まあ積極的に使ったらいいなということは思います。
ただし、AIを使う上で大事なポイントがあると続けます。それが「AIを使う目的は何なのか」という問いだと整理されています。
上手に使うためには、そもそも週報や日報が何のためのものかという目的を押さえた上で、ツールとしてAIを使うことが大事だと話されています。今関わっている学生のレポートを見て、たいぞーさんが最近感じたことでした。
そもそもレポートは何のためにあるのか
たいぞーさんは、まず実習の毎日のレポートが何のためのものかを整理します。日々の実習の中で自分が学んだことや気づいたことを、レポートをまとめることを通して振り返る場だと位置づけています。
その振り返りを通して、応用が利く概念的な学びを自分の中で見いだし、学習を深めていく。それがこのレポートの大切な意義だと話されています。
だからこそ、AIを使ってでも書いていく中できちんと振り返りができ、今日学べたことのどのポイントが大切だったのかを深める時間を充実させられるなら、AI活用は大賛成だとたいぞーさんは話します。
その使い方であれば、学びが深まって学習効果が上がるので、とてもいいことだという立場です。AIを使うか使わないかではなく、振り返りが深まるかどうかが判断の軸になっています。
書くためだけにAIを使うと何が起きるか
一方で、ただレポートを書くことを目的にAIを使ってしまうと、何の振り返りもできず、整った文章だけが生まれてくるとたいぞーさんは指摘します。
さらに問題は指導する側にもおよびます。指導薬剤師はレポートにコメントを返す作業がありますが、書くためだけに使われたAIのレポートに対してコメントを返すことになると、それは学生ではなく機械に向けてコメントしているのと同じだと話されています。
それは学生に向けたメッセージではなくて、機械に対して、僕がコメントを返しているのと同義だなということを思ってしまいます。
そうなると指導薬剤師の労力も無駄になり、学生の側も、書くためだけにレポートを書けば何の意味もないものになってしまうと整理されています。
実務実習をやっていること自体に意味がないとは言わないものの、学びが浅いところで留まり、せっかくの実習の機会を十分に活かしきれない残念なことになってしまうと話されています。
学びを深める時間が充実し、学習効果が上がる。指導へのコメントも学生本人に届く
振り返りがなく整った文章だけが残る。実習の機会を活かしきれず学びが浅くなる
目的を見極めてツールとして使う学びへ
たいぞーさんは、だからこそ学生には「そもそもこれは何のためにやっているのか」を見極めた上でAIを活用してほしいと話します。使ってみないとわからない部分を通して学べることがあるという見方です。
実習における専門的な内容はもちろん、学習者としてテクノロジーを上手に使うことも、あわせて実習期間の中で学んでほしいと話されています。指導薬剤師としても、その視点を持ちながら学生と関わり、より良い学びを一緒に生み出したいという姿勢です。
この回の核として、レポートの目的をきちんと捉えて、ツールとしてAIを使うという考え方の大切さを、改めて考えてほしいと結ばれています。
9月26日のオンラインイベント「トライコン」の告知
最後に告知があります。9月26日の土曜日15時から17時の2時間、学生向けのオンラインイベント「トライコン」を開催するという内容です。
このイベントは、学生が現場で働く薬剤師と一緒に症例検討を行うものです。大学で学んでいる専門知識を、どのように患者さんに使っていけるのか、それによって患者さんにどんなメリットを共有できるのかを、体験を通して理解する機会として開催されます。
今回は合同で参加する4社の現場の薬剤師と一緒に検討を行うため、働き始めたときの将来像やロールモデルを見つける機会にもなるといいます。イベントは無料で開催されます。
たいぞーさんは、学びたい学生の参加申し込みを待つとともに、現場で働く薬剤師にも、周りに学生がいればイベントの紹介をしてほしいと呼びかけています。
まとめ
日報や週報にAIを使う学生の姿を入り口に、AIを目的ではなく手段として使うことの意味を考えた回でした。判断の軸は「使うかどうか」ではなく「何のために使うか」に置かれています。
- たいぞーさんはレポートへのAI活用を否定せず、上手に使いこなすことは大事だと考えている
- レポートの目的は、書くことそのものではなく、学びや気づきを振り返って学習を深めること
- 振り返りが深まるならAI活用は大賛成だが、書くためだけに使うと文章だけが残り学びが浅くなる
- 書くためだけのAIレポートには、指導薬剤師のコメントも機械に返すのと同義になってしまう
- 9月26日には、学生と現場薬剤師が症例検討を行う無料オンラインイベント「トライコン」を開催





