餃子と豆は関係ある?豆の日と2つの豆のタイプ
10月13日は、全国豆類振興会が定めた豆の日です。昔は十三夜のお月見に豆を供えて「豆名月」と呼んだことにちなんでいると、小野寺さんは紹介します。
小野寺さんによると、餃子に豆は関係なさそうに見えて、実は意外といろいろな豆が使われています。その前提として、豆には「脂質リッチな豆」と「糖質リッチな豆」の2タイプがあるという豆知識から話が始まります。
脂質リッチな豆は、脂質とタンパク質が多い豆で、代表は大豆と落花生です。大豆は良質なタンパク質や必須アミノ酸をバランスよく含むことから「畑のお肉」とも呼ばれます。
落花生は脂質リッチのエースクラスで、油の量が50パーセントほどあるそうです。この油を活かしたピーナッツオイルは、餃子に使われることもあります。
糖質リッチな豆は、炭水化物が多い豆です。小豆、インゲン、エンドウ豆、そら豆、緑豆などがこれにあたり、乾燥状態では半分以上が炭水化物で甘みがあるため、和菓子によく使われます。
脂質とタンパク質が多い。大豆・落花生が代表で、大豆は「畑のお肉」、落花生はピーナッツオイルの原料になる
炭水化物が多く甘みがある。小豆・インゲン・エンドウ豆・そら豆・緑豆など。和菓子によく使われる
小野寺さんは、この油の豆と糖質の豆のどちらもが、餃子のいろいろなところに顔を出すと話します。
大豆はどんな姿で餃子に入る?豆腐・納豆・枝豆・油揚げ
大豆は、そのままの粒で餃子に入るより、別の食べ物に姿を変えてから餃子に取り込まれることが多いと小野寺さんは説明します。
1つ目は豆腐です。韓国の餃子マンドゥ ── 韓国の餃子の総称。蒸す・焼く・茹でるなど調理法はさまざまで、具に豆腐や春雨を入れるものがよく知られていますには、キャベツやニラなどの野菜のほかに豆腐や春雨が入り、ふんわり優しい口当たりでヘルシーに仕上がります。日本でもスーパーに並ぶようになり、女性に人気だそうです。
2つ目は納豆です。納豆餃子は作るのが大変なためあまりメジャーではありませんが、茨城の納豆屋さんである舟納豆さんが「舟納豆 納豆餃子」を発表しました。プレスリリースの商品企画書を見ると、納豆の割合が肉より多く、シソも入って納豆の風味を引き立てているそうです。
製造者は茨城県のカワイコーポレーションさんで、茨城で人気の中華チェーン珍来さんのグループ会社です。飲食店向けに機械包みと手包みの両方の餃子を作っている会社だといいます。
納豆っていうのはネバネバするんで、餡に入れちゃうとですね、機械(で)ガシャンガシャンって包む時に出てこないっていうね、そんな現象がありまして。
小野寺さんは、ネバネバしたものは機械で包みにくいため、この納豆餃子も手包みしているのではないかと推測しています。
3つ目は枝豆です。JAPAN餃子大賞2026で通販餃子部門審査員特別賞を受賞した金星食品さんが、千葉県柏市の道の駅しょうなんとのコラボで「沼る!枝豆餃子」を販売しています。ホームページでは、枝豆の優しい甘みと食感に、国産野菜と豚肉の旨味を合わせた一品と紹介されています。
小野寺さんはこの商品をまだ食べておらず、頒布会で一緒に送ってもらう予定だといいます。ただ、別の店で枝豆餃子を食べた経験から、枝豆の甘さが良い食感のアクセントになって美味しいと話しています。
大豆が姿を変えたもう1つの例が油揚げです。岐阜県海津市の千代保稲荷、地元で「おちょぼさん」と呼ばれる稲荷神社の参道にある餃子工房いろどりさんは、焼き餃子協会の法人賛助会員です。
餃子工房いろどりさんの看板商品「稲荷餃子」は、小麦粉の皮を使わず油揚げで餡を包んで焼く餃子です。稲荷神社の参道で餃子をやるなら油揚げを使えないか、という発想から生まれました。
稲荷餃子は、最初は刻んだ油揚げを皮に練り込んでみたものの、思った食感にならず、油揚げそのもので包む形に変えたそうです。お稲荷さんには油揚げを奉納する文化もあり、参道だからこそ生まれた餃子だといえます。
(稲荷餃子は)油揚げのジューシーさが餡の方にも移ってですね、もう全体的に噛んだ瞬間ジュワーっとくるですね、ジューシーな餃子なんですね。
小野寺さんは、これを餃子と呼ぶかどうかは賛否があるかもしれないとしつつ、油揚げ好きの人にはぜひ勧めたいと話しています。
あんこ餃子は「半製品の和菓子」?糖質リッチな豆の可能性
ここからは糖質リッチな豆の話です。代表例は、小豆を炊いて砂糖を加えたあんこで、豆の甘みを生かした使い方になります。
大分県杵築市の小春ぎょうざさんは、焼き餃子協会の法人賛助会員で、あんこ餃子を作っています。店主の松垣さんは聴く餃子の♯68にも出演しており、大分県産にこだわる店ですが、あんこ餃子の小豆は北海道産です。
小春ぎょうざさんのあんこ餃子は、北海道産の小豆をじっくり炊いた自家製つぶあんを、薄皮にパンパンに詰め込んだものです。焼いても揚げても美味しいといいます。
小野寺さんは、焼いたり揚げたりという仕上げだけが必要な和菓子だとたとえ、餃子の皮とあんこはめちゃくちゃ相性が良いと話します。
一方で、小豆以外の糖質の多い豆でも甘さを生かした餃子は作れそうなのに、あんこを超えるものはまだ見たことがないとも語っています。
小野寺さんは、もしかしたらこれから豆ブームが来るかもしれないと見ています。えんどう豆、ひよこ豆、インゲン豆、ひよこ豆のペーストであるフムス ── ひよこ豆を茹でて潰し、練りごまやオリーブオイル、レモン汁などと合わせた中東のペースト料理ですを入れた餃子はあり得るのではないか、という見立てです。
潰さずに豆の状態で煮炊いてですね、その豆の食感も残るような餃子っていうのはね、いいんじゃない?と思うんですけどね。
作るのは大変だろうとしながらも、糖質リッチな豆を使った餃子が新商品として現れるかもしれないと、今後に注目していると話しています。
今週のお取り寄せ餃子:土竜の納豆餃子
今週のお取り寄せ餃子は、静岡県御殿場市の餃子製作所土竜さんの納豆餃子です。土竜さんも焼き餃子協会の法人賛助会員で、代表の日舟さんは「のっぽでダンディーな方」だと紹介されます。
餃子製作所土竜さんは御殿場市で居酒屋を開業した直後にコロナ禍に入り、通販の冷凍餃子に力を入れ始めました。一時期は月に4万個を売ったそうです。
土竜さんの餃子は、大きめで薄皮なのに餡がパンパンに詰まっていて食べ応えがあり、独特の具材を使ったものが多いのが特徴です。納豆餃子はひきわり納豆にたっぷりのニラとひき肉を合わせたもので、ひきわりのぶん納豆の風味が口の中に広がるといいます。
納豆好きな方にはたまんない餃子です。納豆嫌いな人の話は聞いてないです。
これね、ご飯と一緒に食べてもね。納豆ご飯なんだけど、餃子食べてるしね。どっち?両方。
土竜さんには、しそとたかなを使ったしそたかな餃子や、レモンの皮をみじん切りにして入れたレモン餃子といった変わり種、ノーマルの餃子もあります。どれも味がしっかりついていて、タレなしで美味しく食べられるそうです。
豆は肉の代わりになる?おから・大豆ミートとその課題
次はヘルシーな餃子に豆が欠かせない、という話です。大豆はタンパク質が多いため、肉の一部を豆に置き換えれば、タンパク質を保ったまま脂質を減らせると小野寺さんは説明します。
例えばおからは、豆腐を作るときに豆乳を絞った残りで、食物繊維が多い食材です。おからを使った「寺田さんちの健やか餃子」は、ポッドキャスト番組「アラサー同期の皆までいうと」の3人に1年ほど前に食べてもらったことがあるそうです。
寺田さんちの健やか餃子は豚肉を使わず、キャベツ、白菜、アボカド、おから、鶏肉で作られています。低カロリーで食物繊維が豊富なうえ、タンパク質もしっかり取れて、うま味も詰まっているといいます。
肉の代わりとしてストレートに使うために開発されたのが大豆ミートです。タンパク質の多さをうたう餃子では大豆ミートがよく使われ、代表例が長野の信栄食品さんの「マッスルギョーザ ベジ」です。大豆ミートに豆腐なども加えた、大豆たっぷりのビーガン餃子だと紹介されます。
ただし、小野寺さんは大豆ミートにはいいことばかりではないと続けます。肉と置き換えたときに、肉と違う部分も出てしまうからです。
大豆ミートの課題の1つ目は臭みです。大豆臭と呼ばれる青臭さは、草や青い葉、未熟な果実にも含まれるヘキサナール ── 青臭さのもとになる香り成分の一つ。大豆などに含まれる脂質が酸化することで生じるとされますが主な原因物質だといいます。
大豆ミートの臭いを抑えることをマスキングと呼び、化学的にヘキサナールを除く方法や、ハーブやスパイスで臭いを感じにくくする方法があるそうです。小野寺さんは、この青臭さをどう抑えるかが大豆ミートの一番大きな課題だと話します。
2つ目の課題は食感です。かつての大豆ミートはスポンジのような柔らかさが課題とされていましたが、最近は肉の繊維や弾力を再現する加工技術が研究されています。
大豆の青臭さが残り、食感はスポンジのように柔らかいことが課題とされていた
臭いを抑えるマスキングや、肉の繊維・弾力を再現する加工技術の研究が進み、臭いも食感もだいぶ変わってきている
小野寺さんは、昔の大豆ミートと最近の大豆ミートでは、臭いも食感もだいぶ変わってきていると話しています。
普通の肉餃子にも大豆?粒状大豆たん白とアレルギー
小野寺さんによると、大豆はビーガン餃子やタンパク質の多い餃子だけでなく、スーパーで売られている冷凍餃子の多くにすでに入っています。その原料が粒状大豆たん白 ── 大豆から油分などを除き、加熱・加圧して粒状に成形した食品原料。ひき肉のような食感を出すために使われますです。
原材料表示に「植物性たん白」と書かれていることもあり、植物性たん白は大体が小麦か大豆なので、ほとんどの場合は大豆だと小野寺さんは考えています。
粒状大豆たん白は、ヘルシーさのためだけでなく、保水性でジューシーさを出したり、肉の粒感を出したりする目的で、肉入りの餃子や肉まんにも使われています。気にしないまま大豆を食べているかもしれない、というのが小野寺さんの指摘です。
一方で、大豆はアレルゲンにもなる原材料です。小野寺さんは、食品表示では落花生が表示義務の品目である一方、大豆は推奨にとどまるため書かれていないこともあると説明し、気になる人は調べてほしいと呼びかけます。
大豆たん白を使った餃子は、大豆アレルギーの人、特に子どもには食べられない場合があります。そのため、大豆の代わりにエンドウ豆やそら豆を使った代替肉も作られ始めているそうです。
エンドウ豆やそら豆の代替肉はまだメジャーではありません。ただ、これが増えれば大豆アレルギーの人も植物性たん白を使った餃子を食べられるかもしれないと、小野寺さんは期待を込めて話しています。
餃子の外側にも豆。タレと焼き油・揚げ油の原料
ここからは餃子の中身ではなく、外側で豆が使われている話です。まずタレで、醤油は大豆から作る発酵調味料です。神戸や川崎でよく見る味噌ダレの味噌も大豆の発酵調味料で、豆板醤 ── そら豆と唐辛子を発酵させて作る中国発祥の辛味調味料。四川料理によく使われますはそら豆と唐辛子を発酵させた調味料です。
油にも豆が使われています。最初に触れたピーナッツオイルに加え、多く使われているのが大豆油で、業務用では一斗缶入りの白絞油 ── 大豆や菜種などから作られる精製度の高い食用油。クセが少なく、天ぷらや炒め物など業務用で広く使われますとして売られることがあります。
小野寺さんは、大豆の白絞油はスーパーではあまり見かけず、ほとんど一斗缶でしか見たことがないと話します。餃子を焼くときにもおすすめですが、家庭用には売っていないので業務用だという感覚です。
白絞油を使う有名店として挙がるのが、幡ヶ谷のニーハオさんです。揚げ餃子を大豆の白絞油で揚げていて、熱に強く油臭さやクセがないため、美味しい揚げ餃子になるそうです。白絞油には菜種などの原料もありますが、基本的には大豆が多いのではないかと小野寺さんは見ています。
ピーナッツオイルを使う店として有名なのは、神戸の元祖餃子苑さんです。ホームページにも書かれているとおり、ピーナッツオイルで餃子を焼くことにこだわりを持っているといいます。
| 用途 | 名前 | 原料の豆 |
|---|---|---|
| タレ | 醤油 | 大豆 |
| タレ | 味噌ダレ | 大豆 |
| タレ | 豆板醤 | そら豆 |
| 焼き油・揚げ油 | 白絞油 | 大豆が多い(菜種などもある) |
| 焼き油 | ピーナッツオイル | 落花生 |
小野寺さんは、店で一斗缶を見てみると「大豆白絞油」と書かれていることがあり、ラー油も白絞油で作られることがあると話します。餃子を食べるときに、どこで豆が使われているかに注目してほしいと呼びかけています。
ずんだ・黒豆・甘納豆の豆好きと、高鍋町の義務餃育
エンディングで小野寺さんは、餃子と豆は密接な関係にあるとまとめ、もっといろいろな豆が餃子に使われてもいいと話します。この話をきっかけに豆を使った餃子のアイデアが広がってほしく、特に水餃子はやりやすいのではないかと考えています。
小野寺さん自身も豆好きです。仙台育ちで、枝豆を潰したずんだを餅に乗せたずんだ餅が大好物だといい、セブンイレブンで見かけるとすぐ買うそうです。おせちの黒豆や甘納豆も好きで、台本を書きながら改めて自分の豆好きに気づいたと話しています。
最後の「一言本音」は、宮崎県高鍋町で行った義務餃育 ── 焼き餃子協会が取り組む、餃子を題材にした子ども向けの授業。番組では「餃子をつくろうゲーム」などの探求型授業が紹介されていますの話です。子どもたちからはルールが難しいと言われたものの、やっているうちにだんだん分かってきた様子だったといいます。
私の方にミスがありましてですね、地方っていう概念、まだ小学3年生で習ってないんですって。これ小学4年生になるやつだったんですって。
高知県は九州かと聞かれ、四国だと答えるような場面もあったそうです。それでも子どもたちは最後には楽しんでくれたといいます。
小野寺さんは、授業の難易度調整はやってみないと分からないと振り返ります。今回はAIに頼りきりだったので、次は実際に試してから持っていきたいと話しています。
小学2年生ぐらいで理解できるものをなんか3、4年生に持ってくるのがちょうどいいのかもしれない。
ただし、学びのポイントは対象学年に合わせて作ることが大事だとも付け加えています。義務餃育はこれからも続け、ほかの地域でもやっていきたいそうです。
高鍋町の義務餃育を支えるふるさと納税型クラウドファンディングは、現時点で160万円が集まっていて、10月21日水曜日まで受け付けています。返礼品の「餃子のまち高鍋町 冷凍餃子食べ比べセット」は、高鍋町の餃子がまとめて届くもので、小野寺さんのおすすめです。
まとめ
この回では、豆の日をきっかけに、餃子の餡・皮・肉の代わり・タレ・油まで、さまざまな場所で豆が使われていることが紹介されました。小野寺さんは、これからは糖質リッチな豆を使った新しい餃子にも注目したいと話しています。
- 豆には大豆・落花生などの脂質リッチな豆と、小豆・ひよこ豆などの糖質リッチな豆がある
- 大豆は豆腐・納豆・枝豆・油揚げに姿を変えて餃子に入り、あんこ餃子は「半製品の和菓子」と表現された
- おからや大豆ミートは肉の代わりになり、大豆ミートは臭みと食感の課題が改善されつつある
- 市販の冷凍餃子の多くには粒状大豆たん白が入っており、大豆アレルギーへの配慮からエンドウ豆やそら豆の代替肉も出てきている
- 醤油・味噌・豆板醤のタレや、白絞油・ピーナッツオイルの焼き油など、餃子の外側でも豆が活躍している


