処方カスケードとは何か
たいぞーさんは、まず処方カスケードが昨今の医療業界で課題の一つとして挙げられていると紹介します。
たとえば血圧の薬を飲んでいる患者さんがいたとします。血圧に直接関係する不調なら、薬が効きすぎているのではと検討されやすいと言います。
一方で、血圧とは全く見当違いに見える症状で不調を訴えた場合、それが薬によるものだという視点になかなか気づけないことがあると指摘します。
その結果、副作用への対処として別の薬が足されてしまうことがあると話されています。
薬が薬を呼ぶ連鎖の危うさ
最初の対処で追加した薬から、また別の副作用が出てくることがあります。それにも気づけずに新しい薬が処方されると、対処のための薬がさらに重なっていきます。
これを繰り返すうちに、服用する薬がだんだん増えて多剤併用の状態になってしまうと、たいぞーさんは説明します。
こうして薬同士が相互に影響し合う形で組み上がった処方の構成を、処方カスケードと呼ぶと整理します。
この状態はとても危ういと言います。薬を一つ飲み忘れたり、中止しようとやめてみたりするだけで、抑えられていた不調が新たに表に出て、一気に体調を崩してしまうこともあるためです。
ある薬を服用
血圧の薬などを飲み始める
見当違いの不調
薬が原因と気づかれにくい症状が出る
別の薬を追加
副作用と気づかず対処の薬を足す
さらに副作用
追加した薬から新たな症状が出る
多剤併用へ
薬が重なり続け服用薬が増える
薬剤師が果たせる役割
薬を薬効としてだけ捉えると、症状が副作用によるものかもしれないという選択肢を持ちにくく、薬がどんどん重なっていくとたいぞーさんは言います。
しかし、薬剤師がここに介入すれば、大きく改善する手立てを講じられるのではないかと考えを示します。
薬剤師は薬を薬効で捉えるだけでなく、体を変化させるメカニズムをどのように引き起こすのかを理解し学んでいるからです。
たとえば血圧の薬は、体の中の筋肉の収縮や弛緩を調整し、血管の筋肉が緩むことで血圧を下げていると説明します。
筋肉は体のいろいろな場所にあるため、血管以外の筋肉に作用してしまうと、別の不調を引き起こすことも考えられると話します。
こうしたメカニズムから患者さんの体を捉える視点を持つ薬剤師だからこそ、処方カスケードにいち早く気づき、対処していけるとまとめます。
薬学で患者を語ることの価値
たいぞーさんは、どういったメカニズムの変化を引き起こすのか、症状がいつ頃から出たのか、波があるのかないのかといった情報を聞いていくことが大切だと言います。
そうした情報から、その薬が影響しているかどうかが見えてきて、薬物治療の最適化への一助になると話します。
薬学を生かして患者さんを見る「薬学で患者を語る」ことが、処方カスケードという問題を引き起こさないための介入につながると考えを述べます。
それは薬物治療の設計や、患者さんの薬物治療を個別最適化することにもつながっていくのではないかと締めくくります。
まとめ
処方カスケードは、副作用を新たな症状と誤認して薬を足し続けることで起こる薬の連鎖です。薬をメカニズムから捉える薬剤師の視点が、その連鎖に気づき、より少ない薬での最適な治療につながると語られました。
- 処方カスケードは、副作用への対処で薬が重なっていく連鎖を指す
- 見当違いに見える不調こそ、薬が原因と気づかれにくい
- 薬が積み重なると多剤併用になり、一つやめるだけで体調を崩す危うさがある
- 薬剤師は薬効だけでなく体を変化させるメカニズムを理解している
- 症状の出始めや波を聞き取ることが、処方の最適化と個別最適化につながる

