漢方セミナーで再認識した「患者を正確に捉える」大切さ
たいぞーさんは、日本在宅薬学会で開催されている漢方師範セミナーに毎月参加しています。
これは8か月間、毎月1回の連続講座で、先日の日曜日も勉強会に足を運んだそうです。
セミナーでは漢方や生薬の知識を学びますが、今回特に大切だと感じたのは知識そのものではなかったといいます。
患者のことをいかに正確に捉えていくか。これがとても大事なことだと感じたと話されています。
これは適切な漢方の方剤を選ぶうえでも、患者の体の中で起こる薬の影響を見ていくうえでも欠かせないといいます。
「お腹が痛い」から状態を読み解く
たいぞーさんは、患者が「お腹が痛い」と訴えた場面を例に挙げます。
そのお腹の痛みが、体のどんな状態から起きているのかを掘り下げていくことが大切だといいます。
最近何を食べたのか、お通じの具合はどうか、といった点を確認していきます。
さらに痛み方にも注目します。ぐるぐる動くような痛みなのか、ズキズキなのか、シクシクなのか、重だるい痛みなのか。聞き取りだけでも多くのことが確認できると話されています。
加えて、聴診器を患者のお腹に当てるだけで音が聞こえ、状態をより正確に見られる場合もあるといいます。
情報が増えるほどぼやける。だから分類する
一方で、漠然と聞き取りだけで情報を整理していくと、見えてくるものも見えにくくなるといいます。
情報が増えれば増えるほど、かえってぼんやりした、捉えどころのない患者像になってしまうこともあると話されています。
これを解消するために、漢方の世界では患者の状態を分解・分類して捉える考え方が使われているといいます。
表裏や陰陽、気血水といった軸で状態を分類することで、患者の状態をより正確に把握しやすくする。それが漢方の世界だと、セミナーで強く感じたそうです。
西洋医学の検査や分類も「正確に捉える」ための手段
たいぞーさんは、患者を分類するのは東洋医学だけではないと指摘します。
西洋医学でも、心臓のNYHA分類や、肝臓のChild-Pugh分類があると挙げています。
さらに血液検査での数値化、MRIやエコーによる体内の状態の撮影なども、状態を把握するための手段だといいます。
そう見ると、医療で行われる様々な行為は、患者を正確に捉えるための確認作業だと整理しています。
陰陽五行、表裏、気血水などの軸で患者の状態を分類し、捉えどころのない訴えを整理する。
NYHA分類やチャイルドプースコア、血液検査の数値、MRIやエコーなどで状態を客観的に把握する。
精度の高い情報が集まるほど、医師は診断を的確につけられ、薬剤師は薬学的な思考と判断ができるようになるといいます。
つまり、薬の影響が体でどうなっているのかをより正確に捉え、薬物治療の最適化を検討できるようになるという流れです。
専門知識を活かすには、まず患者を捉えること
たいぞーさんは、専門知識を学んでおくことはとても大切だとしたうえで、それだけでは足りないと話します。
いかに患者を正確に捉えられるか。ここができないと、専門知識がいくらあっても治療をより良くするのは難しい。漢方セミナーの中で強くそう感じたといいます。
患者を捉える方法としては、聞き取りや検査値など様々な手段があります。
OTC販売の場面では、L99やTSFAといった問診・聞き取りの手段もあると紹介されています。
そのうえで、これらはいずれもツールにすぎないと念を押します。
ツールを使うことに囚われすぎず、きちんと患者を捉えられるように関わっていく。その大切さに気づいてもらえれば、と締めくくっています。
まとめ
薬学の知識を患者のために活かすには、その前提として患者の状態をどれだけ正確に捉えられるかが問われる、というのが今回の中心的な気づきです。漢方でも西洋医学でも、様々な手段はすべて患者を正しく捉えるためのツールだと整理されています。
- 薬学で患者を語るには、まず患者の状態を正確に捉えることが前提になる。
- 聞き取りだけでなく、痛み方の違いや聴診など、複数の情報で状態を読み解く。
- 情報が増えて像がぼやけるときは、漢方の陰陽五行や西洋医学の分類が状態整理に役立つ。
- 検査や分類は、患者を正確に捉えるための確認作業であり、いずれもツールにすぎない。
- ツールに囚われすぎず、きちんと患者を捉えることを目的に関わることが大切。


