サプリを選ぶ前に「エビデンス」を確認する理由
この回は、サプリメントを薬剤師に相談するというシリーズの続きとして届けられています。
前回は、サプリメントを選ぶときにまず目的をはっきりさせること、そして状態が悪いなら治療を受けることが先だと話されていました。
今回のテーマは、その目的が定まり、必要な治療も受けたうえで、いよいよサプリメントを選ぶ段階の話です。
ただし、たいぞーさんはここで一つ注意を促します。目的が決まったからといって、すぐ商品棚から選び始めてはいけないというのです。
商品棚から商品を見比べて選ぶというところに行くかというと、そうではなくて、その前にまだもう一個やらないといけないことがあります。
そのもう一つが、エビデンスがあるのかどうかを調べることです。
サプリメントの中には、効果が定かでないものも商品として販売されている、という事実があると指摘されています。
しかもサプリメントは決して安くないものも多いため、そこにお金をかける価値があるのかを、科学的な根拠を持って確認しておく必要があると話されています。
統計検定は「偶然かどうか」を確かめる作業
エビデンスを確認するときは、さまざまな臨床試験の結果を見ていくことになります。
その際に注意しておくべきこととして、たいぞーさんは統計的な検定の存在を挙げます。
臨床試験で見えた有効性が、たまたま今回起きただけのことなのか、それとも本当に効果があってその結果を導いているのか。これを確かめるために統計的な手法が使われます。
たいぞーさんは、こうした確認作業は医療業界の中では一般的な手法だと説明しています。
統計解析の結果、有意な差が見られると、その結果は偶然ではなく起こるべくして起こったものだと示すことができます。
「有意差なし」を取り違えると起こること
有意な差があるサプリメントは、有効性が確認されたことの分かりやすい証明になります。
ただし、たいぞーさんが特に大事だと強調するのは、逆の場合です。有意な差が「見られなかった」ときの読み方です。
大事なポイントは、有意な差が見られなかったということ。ここを捉え違えてしまうと、患者さんのサプリメントを使うという選択肢を必要以上に狭めてしまうことにもつながる。
有意な差がないことは、そのサプリメントに効果がなかったことの証明になるのか。実はそうではない、というのがこの回の核心です。
有意な差が見られなかったという結果は、あくまで今回の臨床試験において、サプリメントと中身のない錠剤を飲み比べたとき、効果に差があるかどうかはなんとも分からなかったという意味にとどまります。
有意差がないから、このサプリには効果がなかった
今回の試験では、差があるかどうかを断言できなかった
プラセボでも体は反応する
実際に服用すれば、測定した数値や状態に多少の変化は出てくることもあります。個人差もあるためです。
ここでたいぞーさんは、プラセボの存在を挙げます。
薬が入っていないものを服用しても、人の体は思い込む力によってある程度の薬効のようなものを発現してしまうことは十分にあり得ると説明されています。
そうしたとき、サプリメントのほうがより効果的に働いていると断言できるかというと、有意な差が見られない場合はそこまで言えません。
そういった傾向はあるかもしれないね。けどないかもしれないね、というところにとどまるというような感じです。
一方で、病院などで「サプリメントは効果がはっきりしないものだから使ってはいけない」と医師から言われたと話す患者さんもいるといいます。
これに対してたいぞーさんは、全く効果がないと言うのも言い過ぎだと述べます。プラセボでも効果のようなものを示すことがある以上、サプリメントに全く効果がないと証明するのもまた難しいからです。
定かでないからこそ、認識をそろえて使う
結局のところ、効くかどうか分からない、つまり定かではないからこそ、そこにお金をかける価値が本当にあるのかを考える必要がある、というのがたいぞーさんの立場です。
藁をもすがる思いで、効果があるかは分からないけれど賭けてみたい、それで気が少しでも落ち着くのなら、お金に余裕があってできる範囲で、そういう選択も一つだと話されています。
ただし、そこに効果が期待できる可能性はかなり低いものだと、関わる薬剤師も患者さんも認識したうえで使うことが大事だとしています。
まとめ
この回は、サプリメントのエビデンスを読むとき、統計的有意差の「差がない」を「効果がない」と取り違えないことの大切さを、薬剤師の視点から整理した内容でした。
- サプリメントを選ぶ前に、目的の確認に加えてエビデンスの有無を調べることが大切
- 統計検定は、見えた効果が偶然か本当かを確かめるための一般的な手法
- 有意な差がないのは「効果がない証明」ではなく「今回の試験では差を断言できなかった」という意味
- プラセボでも体は反応しうるため、サプリに全く効果がないと証明するのも難しい
- 統計解析の結果を正しく認識することは、データを読み解く薬剤師に必要な能力



