「薬学で患者を語る」を組織全体で実践したかった理由
たいぞーさんは薬局で在宅医療や外来対応に取り組みながら、新人育成や社内研修の企画・講師も担っています。
この回のテーマは、前職での組織改革の経験です。自身が実践する「薬学で患者を語る」という関わり方を、組織全体に広げようとした取り組みが語られます。
たいぞーさんにとって、薬剤師としての専門性を患者さんに使い、治療がより良くなる姿を見ることは、大きな面白さでありやりがいでもあります。
だからこそ、それを自分だけでなくみんなで実践したいと考えたと話されています。
専門性を活かした関わりは、薬剤師個人の満足にとどまらず、患者さんに健康という価値を届けることにつながります。だからこそ組織で取り組む意味があると考えられています。
専門性を発揮するには、なぜ業務の仕組みから見直す必要があったのか
専門性を持って患者さんに関わるには、まず患者さんとしっかり向き合い、情報を確認し合う必要があります。
確認した情報を専門的な視点で読み解き、原因を特定し、解決策を探る。こうした作業には時間と労力が欠かせません。
ところが、慌ただしい日々の業務の中では、なかなかその方向へ向かいづらいという現実があります。だから業務の仕組みそのものを見直す必要があったと話されています。
ただし、たいぞーさんは環境を整えれば済むほど単純な話ではなかったと振り返ります。実際にやってみて感じた壁がありました。
人は「性弱」であるという前提
改革の中でたいぞーさんが常に意識していたのは、人は生まれながらにして弱い存在だという視点です。この前提に立って組織のあり方を考えることが大切だったと語られています。
たいぞーさんはこれを、2つの道のたとえで説明します。目の前に、しんどいけれど先に価値がある道と、楽だけれど何もつながっていない道が並んでいる状況です。
先に価値があると分かっていても、しんどい道を選ぶのはストレスがかかり、勇気がいります。
だからこそ、その先にある薬剤師としてのやりがいや、健康を届ける仕事を目指して、茨の道を進む覚悟を腹をくくって持てるかが、組織を変える上で重要な視点になります。
その先に価値がある。専門性を活かした関わりや、やりがいにつながる
何もつながっていない。それでも人は目の前の楽な道を選んでしまう
腹をくくれと言っても人は動かない。ではどう組織を動かしたか
では、みんなに「腹をくくって進め」と言えば動いてくれたのか。実際には、そう言っても正直なところ進んではくれなかったとたいぞーさんは打ち明けます。
その先に価値があるから一緒に取りに行こうと勇気づけても、それでも人は動きませんでした。
そこで見つけた方法が、簡単な道に進むという選択肢そのものを断つことでした。
楽な道が目の前にちらつくと、価値を得たいという思いや小さな勇気があっても、途中で立ち止まったり別の道を選んだりしてしまいます。
ならば、その誘惑してくる道を断ち、進まざるを得ない状況を作る。そうするとみんなが進み始めると話されています。
進んでみると案外進める。茨の道に散らばっていたもの
険しく見えていた茨の道も、実際に進んでみると案外進めるものだったとたいぞーさんは振り返ります。
そして進んだ先には、価値あるものが転がっていました。やりがいや面白さといった、さらに先へ進むためのエネルギー源です。
これらが道のあちこちに散らばっているからこそ、どんどん先へ進んでいけるようになったと考えられています。
専門性を活かす仕事には、やりがいや面白さとともに責任も伴います。その責任を背負って患者さんに向き合う覚悟のもと、組織のみんなで一緒に道を進めたと話されています。
退路を断つ具体的な手段としてのテクノロジーと業務移管
退路を断つ方法はさまざまあります。その一つとして挙げられたのが、機械などのテクノロジーの導入です。
専門性をたっぷり活かす仕事ではない部分を機械に任せることで、薬剤師が本来注力すべき仕事へ向かう状況を作れます。
もう一つの手段が、薬剤師以外のスタッフへの業務移管です。これもたいぞーさんが退路を断つために使った方法だと語られています。
どの手段を使うかは、組織の状況や環境によって変わります。大切なのは、価値ある道に進むために退路を断つという目的を念頭に置いて業務改革を行うことだと話されています。
まとめ
この回は、人は弱く楽な道を選ぶという前提に立ち、退路を断つことで組織を茨の道へ導いた実践が語られました。専門性を活かす環境を整えるだけでなく、進まざるを得ない状況をどう作るかが鍵として示されています。
- 薬剤師の専門性を活かす関わりは、個人の面白さと患者さんへの価値の両方につながる
- 人は先に価値があると分かっていても、目の前の楽な道を選んでしまう(性弱説)
- 腹をくくれと促すだけでは組織は動かず、簡単な道の選択肢を断つことで進み始めた
- テクノロジー導入や業務移管は、退路を断つための具体的な手段になる
- 茨の道も進んでみると案外進め、その先のやりがいが次へのエネルギーになる



