状態が変わる患者を前に、ふと気づいた思考の癖
番組冒頭、たいぞーさんは今まさに関わっている患者さんの話から切り出します。状態が少しずつ変わってきていて、治療をどうしていくかを医師とともに検討している最中だといいます。
薬剤師なりの視点でその患者さんの治療を考えているとき、自分の中にある一つの傾向にふと気づいたと話されています。
この人の病気って何なんだろうかな、この人の病気ってこういう病気だったよなっていうような感じで、この人の疾患名というところに自分の思考や視点が向いていることに気がつきました。
疾患名から治療や薬を考えること自体は、決して悪いことではありません。ただ、そこで「そもそもの目的は何だったのか」という問いが自分の中に浮かんできたといいます。
病名は「名札」にすぎない
たいぞーさんは、病名の役割をこう整理します。病名とは、その人の状態をカテゴライズし、認識しやすくするための一種の名札のようなものだ、という捉え方です。
だからこそ、病名を通して患者さんを捉えることは大切でありながら、それだけで終わってはいけない、という見方が示されます。
病名は入り口であって、ゴールではないという視点が、この回の中心にあります。
心不全を例に「体の中で起こる変化」を追う
抽象的な話にとどめず、たいぞーさんは心不全を例に、病名の先で起こっている体の変化を具体的にたどっていきます。
心臓の動きが悪くなると、全身の血液の巡りが悪くなります。すると体に水が循環しにくくなり、むくみが出たり、体に水がたまったりといった変化が起こります。
さらに、腎臓に十分な血液が流れなければ腎臓の機能が落ち、その結果として薬の排泄が遅れるといった問題も出てきます。
こうした体の変化まで捉えることで、薬が体の中でどうなっていくのかがイメージでき、薬がプラスに働いているのか、逆にマイナスになっている要素がないのかにも気づけると話されています。
病名でカテゴライズ
患者の状態を認識しやすくする入り口として病名を置く
体の変化を捉える
心臓の動き・血液の巡り・むくみ・腎機能など、体の中で起きていることを追う
薬の働きを評価
薬が体でどう作用し、プラスかマイナスかをイメージして判断する
病名だけで薬を選ぶなら、プロの視点はいらない
ここでたいぞーさんは、少し踏み込んだ問題提起をします。病名をもとに機械的に薬を選ぶだけなら、専門職でなくても治療方針を決められてしまうのではないか、という指摘です。
もちろん実際はそれほど単純ではなく、複雑さがあることは前提としたうえでの話だと断りを入れています。
だからこそ、薬剤師や医師、看護師といった専門職が患者を診て、状態を正しく捉え、薬が体に起こす変化を正しく認識して治療方針を決めていく意味がある、と語られます。
その積み重ねが、患者さんの状態を良い方向へ向かわせる一手につながります。逆に、今の治療が悪く働いているかもしれないという視点から、治療方針を見直す発想も生まれてきます。
ラベルにとらわれず、患者自身の体に向き合う
最後にたいぞーさんは、この回を通して伝えたかったことを改めてまとめます。
病名というカテゴライズされたものにとらわれすぎずに、きちんと患者さん自身の体で起こっていることに向き合う、その大切さについて考えていくきっかけになれば嬉しいです。
病名を否定するのではなく、病名を入り口として、その先にある一人ひとりの体の変化に目を向ける。そこにこそ専門職としての視点があるという話で、放送は締めくくられます。
まとめ
病名は患者の状態を認識するための名札であり、それ自体は大切な入り口です。ただし本質は、その先で目の前の患者の体に何が起きているのかを変化として捉えることにある、というのがこの回の核心でした。
- 病名は患者の状態をカテゴライズする「名札」であり、目的そのものではない
- 大切なのは、病名を通して見える体の中の変化を具体的に捉えること
- 心不全なら、血液の巡り・むくみ・腎機能低下・薬の排泄遅延まで追う
- 病名だけで薬を選ぶ発想では、専門職の視点は活きにくい
- ラベルにとらわれず患者自身の体に向き合うことで、治療の見直しの視点も生まれる



