渋谷の事務所が物置に?テイクアウト資材のロットとコスト
今回の収録は、いつもの藤川さんの自宅ではなく、渋谷にあるチーズスタンド1号店の上の事務所で行われました。藤川さんによると、そこは事務所というより「物置兼」の場所です。
山川さんの説明では、事務所は10畳ほどのワンルームで、経理担当者のパソコンが置かれたテーブルの横に段ボールが積み重なっています。藤川さんは「地震が起きたら出られなくなってしまうような場所」と笑います。
飲食店出身の藤川さんにとって驚きだったのは、テイクアウト商品にこれほど資材が必要になることでした。モッツァレラを入れる袋も、1枚の単価は高くないものの、オリジナルで作ると何万枚単位の発注になります。
(オリジナルの袋を)一回作ると、なんか100万円以上ってなってしまったりして。
山川さんも、ロット ── 製造や発注を行う際の、まとまった単位の数量のこと。大きいロットほど1つあたりの単価は下がりやすい一方、在庫や保管の負担が増えますの大きさには迷うと共感します。安くしたければ大量に発注したいものの、保管する場所もコストになるからです。
のもりでは前年に社名が変わったため、シール対応で済む資材もあれば、印刷からやり直す必要のある資材もありました。山川さんは、資材管理が意外と大きなコストになると振り返ります。
1枚あたりの単価を安くできる。ただし1回で100万円以上になることもある
保管場所もコストになり、社名変更などで印刷から作り直す必要が出る
さらに藤川さんの店は東京にあります。山川さんは、地方と東京の差以上に、1平米あたりのコストとして負担が表れると指摘し、渋谷の真ん中で店を営む苦労に思いを寄せました。
経営者は家庭と仕事を切り離せるのか?
いつもの収録は、藤川さんと妻ののんちゃんが暮らす自宅で行われています。ラジオの裏で子どもの声が聞こえることがあるのは、山川さんの訪問時間が保育園のお迎えの時間と重なるためだと藤川さんは説明します。
山川さんは藤川家を「いい家族」と感じていて、山川さん夫婦の会話でもよく藤川家の話題が出るそうです。藤川さんは、山川さんの妻も明るく、のんちゃんとタイプが似ていると話します。
(妻同士は)1年に1回、2回しか本当に今まで顔を合わせなかったけど、でもすごい多分気が合う感じが。
そこから山川さんは本題を切り出します。経営者は自宅で仕事をすることもあり、家庭と仕事はどうしても切り離せないのではないか、という問いです。
子供ができてから変わった、だいぶ変わったなっていうのは結構あって。
藤川さんは飲食店出身で、以前は土日は休めないものだと考えて働いていました。今はスタッフに任せられるところは任せ、イベント出店などを除いて、日曜日は家族と過ごす時間にするよう心がけているといいます。
飲食店出身で、土日は基本的に休めないものと考えて働いていた
スタッフに任せられることは任せ、休める時は土日を家族の時間にしている
夫婦で働くと、家でも仕事の話ばかりになる?
話の途中で、事務所にのんちゃんが顔を出しました。藤川さんによると、のんちゃんは今、チーズスタンドの副代表として仕事に深く関わっています。
のんちゃんは最初は広報として加わりましたが、藤川さんは「推進力がある人」と評し、任せられるところは任せているといいます。社内のコミュニケーションを担う役割も果たしているそうです。
山川さんが、夫婦で一緒に働くと家での会話も仕事の話になるのではと尋ねると、藤川さんは即答しました。
それ(仕事の話)しかしてないよ。それか、なんか先の旅行の話か。
藤川さんによれば、のんちゃんは責任感が強く、気が抜けないタイプで、背負い込んでしまう面もあります。休みの日や車での移動中も、ずっと仕事の話が続くことがあるそうです。
土日の仕事は「事前に言うこと」が鍵になる
山川さんの会社でも、妻の明日香さんが仕事に加わっています。明日香さんも責任感が強く、自分が担う仕事をずっと考えているため、家で仕事の話がまったく出ないわけではないといいます。
一方で、山川さんが土日にイベントなどの仕事を入れると、明日香さんには「土日なのに」という気持ちもあるだろうと山川さんは感じています。それでも理解はしてくれている、と話します。
イベントも大事だけど、でもやっぱりそれを事前にちゃんと言ってるかどうかが、多分うちの(明日香の)場合はどっちも多分大事で。
山川さんは、その場で決めなければならない仕事は多いと認めつつ、夫婦の中でコミュニケーションができているかが本当に必要だと明日香さんから学んでいるといいます。明日香さんが気になることをきちんと言葉にしてくれる点を、山川さんは「いいな」と感じています。
山川さんは、のんちゃんも同じようにきちんと言ってくれる人だろうと水を向けます。藤川さんは、のんちゃんはケンカの時に言うと答えたうえで、自分が言えない雰囲気を作っているのかもしれない、と冗談まじりに振り返りました。
家事と子育て、2人はどう分担している?
藤川さんが「一緒にご飯を食べているか」と尋ねると、山川さんは基本的にほぼ毎日食べていると答えます。家庭とのバランスについては、自分で言うのもなんだけれど比較的やっている方ではないか、と話します。
山川さんは出張が多く、出張中は家事がゼロになってしまいます。明日香さんは基本的に出張がないため、家にいる時はなるべくやれることをやるようにしているそうです。
藤川さん宅の食事づくりは、藤川さんが3、のんちゃんが7くらいの割合です。子どもは1歳半の双子と6歳の子がいて、食事中はずっとわちゃわちゃしていて、食べ終わって飽きると物を落としたりもするといいます。
子育てと仕事の理想のバランスを聞かれた藤川さんは、今は親がしっかり見ていないといけない時期だと答えます。新しいことをやりたがる性格ではあるものの、今は時間を取って子どもと向き合うため、仕事をセーブしているそうです。
子どもができた後の罪悪感と、会社の制度づくり
山川さんは、子育てがない頃にバリバリ働いていた自分から、子どもができた後の働き方へ移る時期の難しさを尋ねます。藤川さんが口にしたのは、仕事を休むことへの罪悪感でした。
なんか罪悪感みたいなのをすごい感じてるし。(仕事を)1日やらないと溜まっていくじゃん。なんかメール溜まってるし。
そこで藤川さんは、のんちゃんに「今日本当にお願い」と頼んで、仕事をリセットする時間を作ることもあるといいます。山川さんは、仕事のやり方そのものを変えないと対応できなくなる、と応じます。
藤川さんは、国なども子育てしやすい環境づくりを推進していることに触れ、チーズスタンドでも就業規則 ── 会社が定める、労働時間や休日、休暇、賃金などの働き方に関するルール。常時10人以上の労働者がいる事業場では作成と届け出が義務づけられていますを変え、育休や産休を取りやすくする取り組みを進めていると話しました。
子育て中の社員が続けられるポジションとは?
山川さんの会社でも子育て中のメンバーは数人に限られますが、確実にいます。これまでの牧場の働き方では、社員としてバリバリ働きたい人にとっても、子育てとの両立はやりづらいだろうと山川さんは考えています。
チーズスタンドものもりも現場のある仕事が多く、どれだけ現場を見られるかが大事になります。だからこそ山川さんは、企画や商品開発、リモートでできる仕事など、状況に応じて切り替えられる役割を作る必要があると話します。
今日はリモートでできるからこれができるみたいなの、めちゃめちゃやっぱあって。
山川さん自身も、子どもの用事がある時や明日香さんが対応できない時に、リモートで仕事ができることで家庭と仕事を両立できた経験があります。
山川さんは現場へのリスペクトを前提にしつつ、子育てや家庭を持っても正社員として続けられるポジションを意識しなければ、人が続いていかないと語ります。人のライフステージに合わせてポジションを用意することに、藤川さんも「すごい大事」と強く同意しました。
課題
現場中心の働き方では、子育て中の社員がバリバリ続けにくい
役割づくり
企画、商品開発、リモート仕事など、切り替えられる役割を作る
効果
家庭を持っても正社員として続けられ、人が続いていく
山川さんの会社では今、この半年から1年ほどをかけて人事体制づくりに力を入れているところです。次回は、こうした話を受けて、良い会社づくりについて語られる予定です。
まとめ
この回では、2人の経営者が、自分たちの家庭での実感から、社員が家庭と仕事を両立できる会社のあり方まで話を広げました。家庭と仕事は切り離せないからこそ、夫婦の対話と、ライフステージに合わせた働き方の設計が大切だと語られています。
- 藤川さんは子どもができてから、スタッフに任せ、休める時は土日を家族の時間にするようになった
- 夫婦で働くと家でも仕事の話が増えるが、山川さんは休日の仕事を事前に伝えることを大事にしている
- 子育て期は仕事を休む罪悪感もあり、チーズスタンドでは就業規則の見直しや育休・産休の取りやすさを進めている
- 山川さんは、現場以外の役割やリモート仕事を用意し、人のフェーズに合わせたポジションづくりが必要だと語った





