眉毛サロン62店舗、男性美容市場はどこまで伸びている?
カツラで知られるアデランスが、眉毛を整えるサロン「ビューステージアイブロウサロン」を62店舗まで拡大しています。CEOセオさんはこのニュースを、男性の身だしなみの変化を映すものとして取り上げました。
CEOセオさんによれば、昭和の男性の身だしなみはカツラをかぶる程度だったかもしれない一方、今は眉毛や見た目を整えることが話題になっています。経営者の中には、アートメイクやクマ取りなど美容皮膚科・美容外科の施術を受ける人も増えているといいます。
アデランスの眉毛サロンでは男性客が3割を占め、リピート率は7割を超えています。CEOセオさんは、髪を切りに行くような感覚で通っている可能性があると見ています。
美容医療全体の市場は2024年に6300億円で、2034年には1兆円規模、約10年で倍近くになると言われています。美容外科クリニックの数も3年間で1400施設から2016施設へ、46%増えたと紹介されました。
年代別に見ると、20代の美容医療利用では2025年下期に男性22.8%、女性21.7%と初めて男性が女性を上回りました。一方で40代男性の伸びも目立ち、牽引役は20代と中年層の両方だと話されています。
眉毛から美容外科へ、男性はどう階段を上るのか
男性美容の広がりについて、CEOセオさんは「入り口」の低さに注目します。眉毛を整える施術は3000円から7000円ほどで、月1回でも習慣にしやすい価格帯です。
眉毛サロンやヒゲ脱毛は心理的なハードルが低く、そこからメンズフェイシャルやスパ、痩身へと進む流れがあるといいます。さらに美容外科の施術にまで広がっていく、というのがCEOセオさんの整理です。
入り口
眉毛サロン・ヒゲ脱毛(3000〜7000円ほど、月1回で習慣化しやすい)
ケアの拡大
メンズフェイシャル・スパ・痩身(月1万〜3万円ほど)
施術
クマ取り・二重整形・アートメイク・AGA治療
美容医療
ヒアルロン酸・ボトックス・リフト
もう男性だからといって、まあその、そういうことしないとかじゃなく、もうみんながやってるみたいな状況に結構なってますね。
CEOセオさんは、男性の美容の進み方はほぼ女性と同じになっていると見ています。昭和の男性は石鹸で顔を洗う程度だったものが、今では薬局に男性向け美容アイテムがたくさん並んでいることも、変化の一例として挙げられました。
「10代もやります」──CEOセオさんのクマ取り体験
経営者の美容について話す中で、CEOセオさんは自身もクマ取りを受けたと明かします。シワができてからでは遅いので早いうちにやった方がいい、と聞いたのがきっかけでした。
まあノリでね、「ちょっとやってみるか」みたいなノリでやったんですけど、行ってみたらめちゃくちゃオペみたいな感じで。
CEOセオさんは笑気麻酔が合わず、局部麻酔だけで施術を受けることになり、かなり大変だったと振り返ります。そこで医師にどんな人が受けるのかを尋ねたところ、意外な答えが返ってきました。
(クマ取りは)おじさんとかね、まあおばさんたちがやるのかなみたいな気持ちでいたら、で、「10代の子もやります」って言うんですね。
CEOセオさん自身はもともとクマが気になっておらず、何でもやってみる起業家としての「実験」だったため、見た目の変化はあまりなかったそうです。それでも、10代がわざわざクマ取りをするほど美容医療が広がっていることには驚いたといいます。
CEOセオさんは、施術を隠さなくなったことにも価値観の変化を見ています。50歳前後の世代は「取ってこんなに良くなった」と話す人も多く、若い世代も以前のように隠さなくなっているため、美容施術は身だしなみの一部として受け止められつつあると話されています。
採用でも見られる身だしなみ、物から顔へ移った「見え」
身だしなみはビジネスにも関わる、というのがCEOセオさんの主張です。人事責任者への調査では、第一印象が良い人は仕事ができると思うという回答が82.5%、身だしなみを重視するという回答は89%で最も高く、所作などよりも上だったと紹介されました。
CEOセオさんは、清潔感が強く求められている以上、身だしなみを整えること自体がキャリアやビジネスに活きる状況になっていると見ています。経営者が美容に敏感なのも、こうした流れを感じ取っているからではないかと話します。
ただし、CEOセオさんは何でも脱毛すればよいとは考えていません。眉毛の形などには流行があり、一生生えなくなる脱毛には抵抗もあるといいます。ヒゲが濃くて手入れに困っている人が脱毛するのは理解できるとしています。
本当に、常識が非常識、非常識が常識になる時代ですから、まあ何が来るかわかんない
CEOセオさんは、男性が投資する「見え」の対象も時代とともに移ってきたと整理します。
CEOセオさんは、今はお金をかけて自分をメンテナンスしていること自体を表現する時代になった、と話しています。
アデランスはなぜ眉毛に参入するのか?既存店の空きスペースという仕組み
アデランスにとって眉毛サロンは、身だしなみを気にする顧客を集める入り口にもなるとCEOセオさんは見ています。将来的にカツラなどの本業につなげたり、伸びている美容外科の領域に参入したりする可能性もある、と推測しています。
CEOセオさんがIR情報から読み取ったのは、出店の仕組みです。眉毛サロンはレディースアデランスの既存店の空きスペースを使っており、家賃、光熱費、受付、予約基盤、接客ノウハウを既存事業と共有できます。
新しい市場への参入だが、店舗や人員を一から用意する必要がない
レディースアデランスの空きスペースの利活用で、固定費を共有できる
さらに眉毛は伸びてくるため、美容室と同じく3〜6週間ほどで再来店が生まれます。CEOセオさんは、これがLTV ── 顧客生涯価値のこと。1人の顧客が取引期間全体を通じて企業にもたらす利益の合計を指すマーケティングの指標ですを積み上げる仕組みにもなっていると指摘します。
CEOセオさんは、すき家のシェイクや寿司の銚子丸のプリンも例に挙げます。本丸に見えない横のビジネスに伸び率があれば、そこを押さえることで収益性と新規顧客の獲得を両立できる、というのがこの話の核心です。
自分の業界の「横」はどこにある?AIと壁打ちする新規事業づくり
CEOセオさんは、自身がいる音楽業界にも「本丸の横」の考え方が当てはまると話します。ライブなど本業のビジネスはもちろん、その横にある、既存の資産を使えて収益性の高い新しいビジネスを常に探す必要があるといいます。
音楽業界に限らず、どの業界でも自社のアセットを一度棚卸しすべきだ、というのがCEOセオさんの提案です。具体的な方法として、AIとの壁打ちが挙げられました。
CEOセオさんは、こうした新規事業のアイデア出しはAIの有効な使い方の一つだとして、リスナーにも試してみるよう勧めて番組を締めくくりました。
まとめ
アデランスの眉毛サロン拡大は、男性美容市場の急成長と、既存店の空きスペースを活かした低コスト参入という2つの側面から読み解けます。CEOセオさんは、自社の資産を棚卸しし、AIと壁打ちしながら「本丸の横」にある事業を探すことを勧めています。
- 男性の美容医療比率は2018年の13%から2024年には30%超に増え、20代と中年層が市場を牽引している
- 眉毛サロンは低価格で習慣化しやすく、フェイシャルや美容外科へ広がる入り口になっている
- 人事責任者の89%が身だしなみを重視しており、美容はキャリアやビジネスにも関わる
- アデランスは既存店の空きスペースや予約基盤を共有し、低コストで成長市場に参入している
- 自社アセットを棚卸しし、AIと壁打ちして「本丸の横」の高収益事業を探すことが提案された




