CurrentThings回はなぜ出すのを迷ったのか
Off Topicの草野さんと宮武さんは、テックやビジネスの重めのトピックが続いた後の休憩として、今回は緩めの雑談回を届けます。まず話題になったのは、最近の回が今までと違う内容でありながら好評だったことです。
宮武さんは裏話として、CurrentThingsの回を公開するかどうかをかなり迷っていたと明かします。収録が終わった瞬間に、草野さんへ「これ出すのやめましょうか」と伝えていたそうです。
あれ(CurrentThingsの回を)出すの僕すごい躊躇してましたよね。
言ってましたっけ?忘れちゃいました。
宮武さんが迷った理由は、それまでの回と違い、ニュースそのものより「考え方」について話す内容だったからです。複雑なトピックだったぶん、きちんと説明できたのかという不安もあったといいます。
その点、後半のシンキングラダーの回は説明しやすかったと宮武さんは振り返ります。ブログの著者であるティム・アーバン ── ブログ「Wait But Why」の書き手として知られるアメリカの作家。複雑なテーマを棒人間のイラストや比喩で説明するスタイルで人気がありますさんが、思考を「赤ちゃん」や「おもちゃ」に例えるなど、わかりやすい比喩を用意していたからです。
草野さんは、最近のアメリカのテック業界では考え方や抽象的な事柄、哲学寄りの話をする人が昔より増えたと感じています。実際にTwitterでも、比喩が秀逸だった、自分にも子どもとして物事を見る部分があると共感する声が寄せられ、それまでとは違う種類のコメントが届きました。
宮武さんは、こうした反響から、Off Topicでも今後は考え方の話や違う視点の話をしていけるかもしれないと感じたそうです。
資金調達ニュースの「早さ」をどう掴むか
別のフィードバックとして宮武さんが嬉しかったのは、アメリカのテックニュースや資金調達情報をどこで仕入れているかという話題で、Off Topicや「bytes」を勧めてくれた人がいたことです。
宮武さんによれば、Off Topicもbytesも資金調達のニュースはそこまで扱っていません。それでも、TechCrunch Japanがなくなった今、調達ニュースの領域にはまだ穴があると感じたといいます。
草野さんは、単に調達を伝えるより、その裏にあるインサイトを伝えたいと話します。どのVCがイケているか、DtoCブランドが伸びる裏でどのソフトウェアが伸び始めているかがわかれば、次に来るスタートアップも見えてくるからです。
単に調達っていうよりは、なんかそれ(調達ニュース)に隠されたインサイトみたいなのってあるじゃないですか。
一方で宮武さんは、調達ニュースそのものの遅さを指摘します。アメリカのTechCrunchなどで調達が発表されても、実際に調達したタイミングから3ヶ月、場合によっては半年遅れていることがあるといいます。
実際の調達
スタートアップが資金を調達する
3ヶ月〜半年後
TechCrunch USなどで調達が発表される
記事を読む
その時点でトレンドはすでに動いている
だからこそ難しいのは、発表より前の早い動きをどうピックアップするかです。宮武さんは、TechCrunch USを見ているだけでは足りないと話し、それを教える回をやってもいいかもしれないと提案します。
草野さんは、情報収集の仕方というより、何にピンと来て探しているのかを言語化したいと応じます。宮武さんも、キーワードやVCの名前、UI・UXにピンと来て点をつなぎ合わせる過程を、リアルタイムで説明する回は面白いかもしれないと話しています。
スタークラフトとはどんなゲームなのか
雑談のメインテーマとして草野さんが取り上げたのは、宮武さんが最近見ているというゲーム実況の話です。宮武さんは昔からeスポーツ系の動画を見ており、定期的にハマる時期が来るといいます。
宮武さんとゲームの出会いは小学生の頃です。アメリカのサマーキャンプで、eスポーツのほぼ元祖と言われるスタークラフト ── アメリカのBlizzard Entertainmentが1998年に発売したリアルタイムストラテジーゲーム。韓国でプロリーグが生まれ、eスポーツの先駆けとして知られていますを知り、遊び始めたものの「超下手」だったそうです。
その後、高校や大学の頃にYouTubeやTwitchで観戦するようになり、最近また見始めています。現在はスタークラフト2があり、宮武さんはプレイするのではなく、うまい人のプレイを見たいのだといいます。
しかもそれ(スタークラフト)プレイしたいんじゃなくて見たくなるんですね。
プレイは下手なんで。
スタークラフトはSF世界を舞台にした戦争ゲームで、多くは1対1で戦います。プレイヤーは人間やエイリアンのような3つの種族から1つを選び、マップの反対側にいる相手と、それぞれ基地を1つ持った状態から始めます。
マップ上には金のような資源があり、それを掘ってビルを建てたり、戦士を作ったりします。最終的に相手を倒すのがルールで、経済を伸ばすのか、戦士を強化するのか、大きな武器を獲得するのかを選んでいく必要があります。
重要なのは、自分の部隊がいない場所の状況は見えないことです。宮武さんは、相手が何をしているかわからない中で動かなければならない点が、ビジネスに似ていると話します。
だからこそ、ShopifyのCEOであるトビーさんもこのゲームが大好きなのだと宮武さんは紹介しています。
マクロ・マイクロ・メタの3つのレイヤーとは
宮武さんによると、スタークラフトにはマクロ、マイクロ、メタという3つのレイヤーがあり、プレイヤーは常にこの3つを考えながら動く必要があります。
マイクロは、ユニット1体1体の動かし方です。各ユニットには強みと弱みがあり、ポケモンの炎と水のような相性(カウンター)があるため、軍隊の構成や、個別・グループでの操作が問われます。
マクロは、マクロ経済と同じように、自分の経済の生産性をどこまで上げるかという視点です。早めに相手を倒したい場合は、あえてマクロを無視する選択もあります。
メタは、チェスや将棋、囲碁のオープニングのように、スタンダードな手順やプレイブックを踏まえた全体の戦略フォーマットを考える部分です。
| レイヤー | 考えること | 例え |
|---|---|---|
| マイクロ | ユニットの動かし方と相性、軍隊の構成 | ポケモンの炎と水の関係 |
| マクロ | 自分の経済の生産性をどこまで上げるか | マクロ経済 |
| メタ | 全体の戦略フォーマットや定跡 | チェスや将棋のオープニング |
宮武さんは、このゲームには性格が出ると話し、Shopifyのトビーさんを例に挙げます。トビーさんが使うザーグは、大所帯で攻めるタイプのエイリアンの種族です。
宮武さんは、小さなブランドがたくさん集まってAmazonに挑むShopifyの戦略と、ザーグの戦い方が意外と似ていると指摘します。
あのいわゆるShopifyって、そのグループでいろんな小さいブランドが集まって、そのAmazonを倒すっていう。
会社の戦略がなんか若干似てる部分があるなっていう。
観戦から何を学べるのか
宮武さんが観戦するプレイヤーの多くはビジネスをしていない人たちです。それでも、全体の戦略を考えながら経済を見て、細かい操作もこなすスタークラフトは、マルチタスクの力がつくゲームとしてよく知られているといいます。
宮武さんにとっての面白さは、すべてを計算した上で動いている姿のすごさと、経済圏を考えながら戦争をして相手を倒そうとする構造そのものです。プレイしたくなった時期もあったものの、今は見ているだけで学びがあると話します。
スタークラフトの観戦から宮武さんが受け取っている学びは、ビジネスにもそのまま重なるものです。
失敗を恐れずに、いわゆる小さいアクションをいっぱい起こしてるんですよ。
宮武さんは、スタークラフトを戦略ゲームでありながら、相手を見てリアクションしなければならないゲームだと表現します。だからこそ情報収集と改善が欠かせず、その意味でeスポーツはスポーツとよく似ているといいます。
草野さんも、スポーツ観戦にもそういう楽しみ方があると応じます。宮武さんも、バスケットボールはそうした見方で観ているそうです。
ゲームの楽しさを知らなくても大丈夫?
スポーツもあまり見ず、ゲームもそれほどしない草野さんは、ゲームの楽しみを知っている宮武さんが羨ましいと話します。どうしたらハマれるのかという問いに、宮武さんは競争心がどこまであるかが重要だと答えます。
宮武さん自身の競争心は、兄がいる弟という立場から来ているといいます。昔から常にスポーツをしていて、勝ちたいという気持ちがとても強かったそうです。
なんかゲームの楽しみを知らない自分、これでいいのかなって思う時ありますね。
全然いいと思いますよ。
草野さんは、ポケモンをDSで遊んで楽しかった経験はあるものの、家族が誰もゲームをしなかったため、一緒にプレイする相手がいなかったと振り返ります。社会人になってからは、友達とカタンなどのボードゲームを楽しむようになりました。
ただ、スタークラフトやフォートナイトのような対戦型のゲームには全く触れてこなかったといいます。宮武さんは、フォートナイトのような作品だけでなくカジュアルゲームも流行っていると述べ、全部に共感しなくても、そのメカニクスや生まれる感情を理解すればいいのではないかと話します。宮武さん自身もフォートナイトは全然やらないそうです。
没頭することの価値とは
草野さんの本音は、ゲームをしている時間を無駄に感じてしまう自分がよくないのでは、という点にありました。一方で、YouTubeを見ている時間だって同じで、楽しければいいという考えもあると話します。
結局YouTube見てる時間だって無駄じゃん。でも楽しければいいじゃんっていう。
宮武さんは、ゲームでもYouTubeでも、何かに没頭すること自体が素晴らしいと話します。例に挙げたのは、YouTube動画を見まくっていたというミスタービーストです。
宮武さんは、キャリアにつながるかどうかは置いておき、好きなものがあって、それに対して自分もどんどん改善していこうとすることが大事だと考えています。宮武さんにとって、その対象は昔はスポーツやボードゲームで、今はOff Topicだといいます。
将棋教室とオセロ、無知がバレる?
草野さんは、宮武さんが将棋やチェスなど多くのことに挑戦してきたことに驚きます。宮武さんによれば、家族が好きなことをどんどんやれと後押しし、教室に通ってみようという話になったそうです。
チェスは習ったわけではなく、インターナショナルスクールの小学校で、同じクラスの中で行う程度の大会に出たくらいだといいます。将棋はもう少ししっかり、教室に通っていました。
一方の草野さんは、オセロや神経衰弱しかやったことがないと告白します。囲碁も五目並べも知らないと答え、宮武さんに驚かれます。
無知が。無知がどんどんバレる。
ちょっとググります。
ただ草野さんは、やったことがないからこそやってみたいという気持ちもあると話しています。
兄弟姉妹はどう好みを変えるのか
宮武さんは、兄と男同士だったこともあり、昔はスポーツで常に競い合っていたと振り返ります。一方の草野さんは、姉とは音楽などのエンタメの話をすることが多かったそうです。
草野さんの姉はアメリカのカルチャーが好きで、草野さんも影響を受けたかもしれないといいます。宮武さんも、もともとサッカーの方が好きだったのに、兄がバスケットボールを好きだったため、徐々にバスケが好きになったと話します。
抜きたかったんですよね、兄を。
宮武さんの場合、バスケの話をしていたというより、ただプレイしながら兄よりいい選手になりたかったのだといいます。2歳差で中学校も1年重なり、同じ先生に当たると比較されるのが嫌だったことも、超えたい気持ちにつながったと考えています。
草野さんは、4歳上の姉がいつも先を行っていたため、悔しさはあっても追い抜きたい気持ちはなかったといいます。性格も全く違い、むしろ憧れに近かったそうです。
2歳差。スポーツで競い合い、同じ先生に比較され「超えたい」気持ちがあった
4歳差。音楽やエンタメの話をし、対抗心より憧れが強かった
宮武さんと兄も、子どもの頃は宮武さんの方が圧倒的にやんちゃで、性格は違っていたといいます。今は2人とも落ち着き、少し似てきたものの、エンジニアである兄とは思考も若干違うと話しています。
草野さんに合うゲームはどれ?
脱線の多かった今回について、宮武さんは「ようやくオフトピックというタイトルにふさわしい回かもしれない」と笑います。草野さんは、話しているうちにゲームを少しやってみたくなったといいます。
草野さんが苦手なのは、競い合って急かされるタイプのゲームです。自分のペースでクリアできるマリオや、部屋を作ってほっこりする森のゲームのようなものが好きで、RPGにも興味があると話します。
急がされるのが苦手なので、自分のペースでクリアしていくみたいな方が好きです。
宮武さんは、シムシティやマイクラ ── ブロックを置いて自由に建物や世界を作れるゲーム「マインクラフト」の略称。明確なゴールがなく、遊び方をプレイヤーが決められるのが特徴ですを挙げます。ただしマイクラには明確な目的がないため、それをどう感じるかがポイントになるといいます。チェスやスタークラフトには相手を倒すという明確な目標があるのと対照的です。
草野さんは以前、ニンテンドースイッチを買ってスプラトゥーンを遊んだものの、ハマらなかったそうです。シューティング系が苦手そうな草野さんに、宮武さんは自分と相手のターンが明確に分かれた、シヴィライゼーションのようなターン制のゲームを勧めています。
最後に2人は、リスナーにも草野さんへのおすすめゲームを教えてほしいと呼びかけ、緩めの回を締めくくりました。
まとめ
今回の雑談回では、スタークラフトの観戦を通じてビジネスにも通じる戦略の奥深さが語られる一方、ゲームの楽しさを知らない草野さんの素朴な悩みから、何かに没頭することの価値へと話が広がりました。
- スタークラフトは情報が不完全な中で動く点がビジネスに似ており、Shopifyのトビーさんも愛好している
- ゲームにはマクロ・マイクロ・メタの3つのレイヤーがあり、行動・情報収集・改善の学びがある
- ゲームやYouTubeでも、好きなことに没頭し改善し続けることが大切だと宮武さんは話す
- 兄弟姉妹の好みや関係性は、競争心や趣味の形成に影響している
- 自分のペースで遊びたい草野さんには、マイクラやシヴィライゼーションなどが候補に挙がった





