ネタバレなしで語る、本家が本気を出した「大好物」の1本
この回でひげもとさんが取り上げるのは、映画『バックルームズ』です。まずはネタバレなしで感想を話していきます。
作品への評価はかなり高く、大好物だと繰り返し話されています。ホラーというよりも不思議な雰囲気の作品だという受け止め方です。
ひげもとさんは、元ネタの動画がネットで大きくバズっていたことにも触れます。避けては通れないほど広まり、他の作り手や関連ゲームにも影響を与えた作品だと振り返ります。
(元ネタのネットミームを)もう凌駕する本家本元が本気を出すと、こんなにもオリジナリティが高くてすごいんだぞという底力。
ネットで広がったイメージを、大元のオリジナルが映画として本気で作るとここまでの完成度になる、という点にひげもとさんは感心しています。監督が若いことにも触れ、映画としての出来を高く評価しています。
デートや子連れには向かない? 誰と観るかで変わる作品
ひげもとさんは、この作品を誰と観に行くかについても具体的に語ります。まず、デートで観に行くのは向いていないと話します。
不思議な作品なので、こういうジャンルを好まない相手と観ると、二人そろって「どういうこと?」となる可能性があるからです。
子どもと一緒に観るのも向かないという見方です。子どもが混乱してしまい、大人もそれにうまく答えられずに困る場面がありそうだと話しています。
同じ「駅・空間もの」でも、『8番出口』は事情が違うと整理しています。
(『8番出口』は)ただゲームの要素がすごいあったから、それでも楽しめて、大人は大人で楽しめたと思う。
一方で『バックルームズ』は意味のわからない不思議系なので、観に行く人は限られるかもしれない、というのがひげもとさんの見立てです。
観た後に「これはこういう意味だよね」と語り合える相手と観たい
ひげもとさんが特におすすめするのは、観た後に考察を語り合える相手と一緒に観ることです。
「あれはこういう意味だよね」と延々と話せる人同士なら、この作品はとても楽しめると話しています。
あれはこういう意味だよね、こうだと思うんだけどどう思う?みたいなんが、もう延々喋れる人同士やったらめちゃめちゃ楽しい。
作品の受け止め方として、観て終わりではなく、観た後の語り合いまで含めて楽しむタイプだと位置づけているのが印象的です。
音響・BGM・セット。「これぞバックルームズ」を実感した作り込み
ネタバレなしの締めとして、ひげもとさんは技術面の良さを挙げます。特に音響、絵作り、BGMの演出を高く評価しています。
BGMと音響が混ざり合い、どちらの音なのか判別しづらいような演出が、映画として効いていたと話します。
セットについては、これぞバックルームズだと感じられる作り込みだったと語ります。
セットがもう抜群に良かったですね。これぞバックルームズと、こういうことがやりたかったんだっていうことが存分にやられてて、めちゃめちゃ良かった。
【ネタバレあり】トラウマや悲しい記憶が合体した「異空間」という解釈
ここからはネタバレありの感想です。まだ観ていない人や、ネタバレを避けたい人は注意してほしい、とひげもとさんは前置きしています。
ひげもとさんの解釈では、あの空間はたくさんの人のトラウマや、昔の悲しい出来事、嫌な記憶が、異空間で合体して生まれたものだと捉えています。
その発生原因は作中でもわかっておらず、研究中だと語られていたと振り返ります。ひげもとさんは、この設定にした点が良かったと評価しています。
室内の中に家があったり、壊れた家があったりと、誰かの嫌な思い出が空間として出来上がり、無限に増殖している。そんな別次元のような世界だと解釈しています。
室内の中に家があったりとか、壊れた家があったりとか、みんなのちょっとトラウマとか悲しい出来事が空間として出来上がっていって、無限増殖している。
『8番出口』と同時期に生まれた意味。現代の生きづらさと作品
ひげもとさんは、『8番出口』にも似たこの作品が同時期に登場したことを、面白い現象だと感じています。
その連想として、示し合わせたわけでもないのに、同時期に似た哲学や答えにたどり着く哲学者たちの例を挙げます。
昔、哲学者とかで、同時期に同じ考えとか答えにたどり着く人が、示し合わせたわけでもないのに同時多発的にいろんな国で生まれてくるみたいなのと、近いものを感じますよね。
ひげもとさんは、現代の多くの人が抱える生きづらさや悲しい出来事を、うまく映画の設定に持ち込んでいると見ています。その設定の上でさらに見せたいものを見せる作りだと語っています。
カウンセラーとクラーク。それぞれのトラウマが空間になる
ひげもとさんが解釈の根拠に挙げるのは、カウンセラーの嫌だった思い出のシーンから、どんどん深く潜ってバックルームズになっていく流れです。
脳の深層心理に段数があるという実際の説を引用しているかどうかまでは調べていないと断りつつ、深く潜るほど記憶やトラウマが漂白され、抽象化されたように見える演出だったと話します。
カウンセラー自身も過去のトラウマがあり、だからこそカウンセラーになったのだろうと、ひげもとさんは読み解いています。
主人公クラークとカウンセラーの対比が描かれ、それぞれのトラウマがあの空間に存在していた、という理解です。
さらに、あの場所にいた人や成れ果てのような存在も、誰かのトラウマであり、そこにとらわれた人の成れの果てではないか、とひげもとさんは推測しています。
妻と喧嘩して家を飛び出し、人気のない家具屋の商売の下手さも他責にしていた主人公。
母が病んだ原体験から、そういう人を救いたいとカウンセラーになったと示唆される人物。
個人的ハイライト。本音をぶつけ合う言い合いのシーン
ひげもとさんの個人的なハイライトは、クラークとカウンセラーの言い合いのシーンです。
ロールプレイとして先に演じたやり取りの中で、クラークが「変わりたくない」と言うのに対し、カウンセラーが強く言い返す場面が爆笑だったと話します。
もう変わらなくてもいいわよ。ずっとここにあんたいとけ。私は外に出たいっていう、このクソボケみたいなね。
ひげもとさんは、この言い合いを、カウンセリングよりも本音をぶつけ合うしかない、というメッセージとも受け取れる場面として評価しています。
もうカウンセリングとかクソ食らえだと。本音をぶつけ合うしかないだろうみたいなメッセージとも受け取れて良かった。
エンドロールの曲と、本家イメージを突きつけるセット
ひげもとさんは音響やセットの良さを、ネタバレありの視点でも改めて語ります。
エンドロールにはBoards of Canadaの曲が使われ、世界観にマッチしていたと話します。読み上げるようなエンディング曲が、途中でロボットボイスに変わったり、バグっていくような表現になっていた点を面白がっています。原曲なのか、この映画向けに作られたのかは調べていないと断りつつ、本当にぴったりの曲でかっこよかったと話しています。
セットについては、本家本元はこんなイメージだったんだと突きつけてくれた点を良かったと語ります。映画に合わせて変えた部分はあるだろうと補いつつ、その完成度を評価しています。
リミナルスペースとは違う「バグった五次元」空間
ひげもとさんは、近年流行しているリミナルスペースという概念にも触れます。『8番出口』もその一つだと捉えています。
そのうえで『バックルームズ』は、リミナルスペースとは違うものとして描かれていたと話します。バグった空間、不思議な五次元のような世界観だった、という受け止めです。
バックルームズは、それとは違うものとして描かれてましたね。こうバグった空間、なんか不思議な五次元みたいなね。
不安を煽る空間と、人間の探求心という問いかけ
ひげもとさんは、撮り方や見せ方の巧みさも挙げます。不安を煽るセットや、思わず引き込まれる感じ、そして空間ごとの音響のこだわりを評価しています。
そのうえで、変な空間を見つけると探索したくなる人間の好奇心について語ります。これを、自分の心を深く追求してしまう感覚とも重ねています。
どこまで広がってるのか知りたいみたいな。やめときゃいいのにみたいな。それしたって無駄なのにっていうかね。
カウンセラーが脱出できたのは、コンクリートの手の跡を怪物にぶつけたからだと解釈しています。これを、自分のトラウマや悲しみを一度ぶち壊したから出てこられた表現だと読み解いています。
たっぷりのポストクレジットと、突きつけられる問題提起
ひげもとさんは、家具屋の地下にたまたま入口ができてしまったという設定も面白いと話します。人気のない家具屋で、商売の下手さを他責にする主人公という設定の上手さにも触れています。
作中には研究所も登場し、原因はわからないけれどとりあえず調べている、という状況が描かれます。
エンドロール後のポストクレジット映像は、MCUの短いものに慣れていたぶん長く感じられ、おまけが充実していて良かったと話します。
ひげもとさんは、わからないものへの探求心や、それを調べていいのかどうかという問いを突きつけてくる感じにしびれたと語ります。
閉所の恐怖まで作り込む。「若いのに」と心底感心した監督
最後にひげもとさんは、まだ観ていない人にも作品を勧めます。特にバックルームズに入ってからのセットと、その音の演出に注目してほしいと話します。
狭いところをあえて通らせたり、下りた先に嫌な空間があったりと、閉所恐怖症の人ならしんどくなりそうな作りを、人の心理をよくわかっていると評価しています。
よく人の心理をわかってるなぁ、お若いのに、監督さんと思って。もう心底感心しましたね。
ひげもとさんは、観た人と感想をやり取りしたいとも呼びかけます。好きだった、あまり好みではなかったなど、人それぞれの感想があってよいと話し、マシュマロなどでの感想を歓迎しています。
まとめ
この回でひげもとさんは、ネットミーム発の『バックルームズ』を本家が映画として本気で作り上げた点を高く評価し、ネタバレなし・ありの両面から感想と自分なりの解釈を語りました。
- 作品への評価は高く、本家が本気を出した「大好物」の1本だと繰り返し語られている
- 不思議系の作品ゆえ、デートや子連れよりも考察を語り合える相手と観るのが向いていると話す
- ひげもとさんの解釈では、あの空間は人々のトラウマや悲しい記憶が合体・増殖した異空間
- 個人的ハイライトは、本音をぶつけ合うクラークとカウンセラーの言い合いのシーン
- 音響・BGM・セットの作り込みと、探求心をめぐる問いかけに心底感心したと締めくくっている




