26歳の加藤嵩都はオフに何をしていた?
収録は、愛知セントラルカップで名古屋ダイヤモンドドルフィンズが優勝してから数日後、開幕の1週間ほど前に行われました。加藤嵩都選手の出演は3月以来で、およそ半年ぶりです。
大西さんは、加藤選手が去年のオフにアメリカへ渡り、挑戦の大切さを語っていたことに触れます。今年のオフについて、加藤選手は国内でトレーニングを続けながら、ゆっくりリフレッシュしたと答えました。
なかなかシーズン中では家族との時間だったり友達の時間は取れないので、そこをしっかりとまず取って。
トレーニングは欠かさなかったという加藤選手に、大西さんは「バスケ選手ではない、普通の26歳として過ごした日」を尋ねます。加藤選手は、友達と遊ぶか家族と会うかで、予定のない日は掃除や散歩、自然の中に出かけることが多かったと話しました。
山派か海派かと聞かれると、加藤選手は「どっちかっていうと山」と答え、上高地にも足を運んだそうです。涼しい山で過ごすオフは、シーズン中とは違う時間になっていたようです。
ベテランと臨んだオフのイベントで感じたストリートの懐かしさ
話題は、加藤選手がオフに参加したイベント「ファイブエース」に移ります。オフに入ってコンディションが整わない時期だったため、加藤選手はパフォーマンスは良くなかったとしつつも、機会をもらえてとても楽しかったと振り返りました。
このイベントは、ベテラン選手や引退した選手も多く参加するものでした。大西さんは知人の平木賢治さんの名前を見つけて、どんなプレーをするのかと見ていたら、ずっとサイドラインで叫んでいたと話し、加藤選手は「コーチとして一緒にやらせてもらいました」と応じています。
日頃Bリーグでやってるので、ちょっと違ったバスケットっていうか、ちょっとストリートの色が強いようなバスケットだったので、個人的にはすごく楽しかったです。
加藤選手はもともとストリートバスケ出身です。大西さんの「ちょっと懐かしい感じ」という言葉に、加藤選手も「懐かしい感じが漂ってました」と笑って答えました。
スピードの武器を「止める力」で磨く難しさ
このオフに体やスキルで変わったことを聞かれ、加藤選手が挙げたのはブレーキ動作 ── 走っている状態から減速・停止するための体の使い方。急な方向転換やストップの質に関わり、スピードのある選手ほど重要になるとされますのためのトレーニングでした。
どっちかというとパワーでこうやってきたんですけど、耐えるとかゆっくり下ろすとか、そういった方にシフトチェンジしましたね、今シーズン。
トレーニングの重点が、出力から減速へと切り替わったことになります。
パワーを出す方向のトレーニングが中心
耐える、ゆっくり下ろすなど、ブレーキ動作のトレーニングにシフト
大西さんは、スピードで勝負する加藤選手だからこそ、止まる力が大切になるのではと考えていたそうです。ただ加藤選手は、減速の練習には難しさがあると語ります。
コインの表裏じゃないですけど、スピードを殺す作業なので、自分の強みが出なくなるっていうのも一つの側面として出ちゃうので。
なんかそのバランスを見つけていく作業をずっとしてるっていう感じですね。
加藤選手は、人の真似をしてもうまくいかず、自分の強みを出してこそ結果がついてくるとも話しています。今取り組んでいる減速は上に行くための過程であり、本当にやりたいのは強みをもっと出すことだという本音ものぞかせました。
「型」を経て、自由を手に入れ始めた?
大西さんは、昨年の出演時に語られた、前ヘッドコーチのションさんから教わった「自由になるためには一度型にはまらないといけない」という話を持ち出します。加藤選手が今も型の中にいるのか、そこから自由を手に入れ始めているのかを尋ねました。
加藤選手は「自由を手に入れ始めてるんじゃないですかね、感覚としては」と答えます。ションさんと過ごした2年間は、今も大きな支えになっているそうです。
ションさんとやった2年間ってすごい僕の中で大きくて、なんか今でも胸の中にションさんがいてくれるような(感覚が)、バスケットやってて、それは感じるので。
現在のロイさん体制については、スペーシングなどの規律はありつつも、選手に自由が与えられているバスケットだと加藤選手は感じています。自分のプレーを幅広く出していける機会になると考えているようです。
愛知セントラルカップでの自身の出来について、加藤選手は良くなかったと認めています。ただ、それは個人的なメンタルの考え方の問題で、バスケットの面ではすごく良くなっていくはずだと手応えを語りました。
同じ過ちを繰り返す自分を、バスケノートで軌道修正する
前回の出演で加藤選手は、ドルフィンズ1年目に情報を入れすぎて混乱したと話していました。大西さんから見ると去年は整理されていたそうで、新シーズンに向けた自身の進化を尋ねます。
やっぱり同じことを繰り返しちゃうんですよね。(考え方やバスケットの見方を)2年間学んだから、じゃあ同じ元の自分に戻らないってわけじゃないので。
加藤選手は、人間だから同じ過ちは繰り返すとしたうえで、軌道修正はだんだんうまくなり、引き出しが増えてきたと話します。その手がかりになっているのが、思考を書き出したバスケノートです。
頭では残してないです。もう全部バスケノートに出してるので。
加藤選手は、「前もこの考えに至ったな」「1年目のあの時に似ているな」と気づくと、当時ノートに書いた対策を読み返し、その考えで立て直すといいます。
気づく
前にも同じ考えに至った、1年目の状況に似ていると感じる
読み返す
当時バスケノートに書いた考えや対策を見直す
立て直す
「この考えでいけばいい」と軌道修正する
加藤選手によると、繰り返し揺れるのはスキルではなくメンタル面です。ポイントガードとして周りに気を使いすぎたり、プレーを作ろうとしすぎたりする理想像と、自分のパフォーマンスがいい時の状態には隔たりがあり、その間を何度も行き来しているそうです。
なんかアスリートとしてすごい面白いところですよね、それも。
ロイさん体制で求められる「オンボールで作る力」とは
ロイさん体制になって最初に変わったと感じたことを聞かれ、加藤選手は「チームの雰囲気」を挙げます。選手が伸び伸びと主体的にプレーできる環境を、ロイさん自身が作ってくれていると感じているそうです。
大西さんは、早い段階から練習の強度が高いと感じていたと話し、加藤選手もそれは選手たちが自然と意識していることではないかと答えました。
新体制でもっと自分を出していいと思った部分について、加藤選手はシンプルに「ボールを持ってプレーすること」だと語ります。背景には、ロイさんからの明確な要求がありました。
ロイさんにもこれはこう言われてるんですけど、特にピックアンドロールをやっぱ上手くならないとトップには行けないって言われてるので。
加藤選手によると、ロイさんからは、ポイントガードは自分がボールを持っている時にどれだけクリエイト ── 自らのドリブルや判断で、シュートやパスの好機を生み出すこと。ポイントガードに求められる中心的な能力の一つですできるかが問われるので、まずそれを練習しようと言われているそうです。
加藤選手は、周りを生かすだけでなく、自らペイントタッチし、ピックアンドロール ── 味方がスクリーンをかけ、ボール保持者がそれを使って攻めるプレー。スクリーン役がゴールに向かって動く連携までを含みますを使ってクリエイトする力を今季つけたいと話します。プレシーズンでは、齋藤拓実選手が代表活動で不在の中、手応えを感じられていたようです。
新たなビッグマンと、まだ「試運転」のチーム
スコット選手に加え、ライアン選手やキウ選手が加わり、ピックアンドロールを組む相手が変わりました。その影響を聞かれた加藤選手は、プレースタイルの違いはあっても、チームとしてやりたいバスケットは変わらないと語ります。
加藤選手が説明したチームのバスケットは、次のような流れです。
ヒットバック
ボールをつなぎ直して攻撃を始める
スペーシング
コート上に適切な間隔を取る
ペイントアタック
ガードが判断してペイントに攻め込む
キックアウト
外の味方にパスを出す
ガードがしっかりとディシジョンメイクしてアドバンテージを作るっていうのは仕事としては変わらないので、あんまりそこに対しては何も思わないです。
愛知セントラルカップ優勝を経たチームの手応えについては、加藤選手は慎重です。まだ試運転の段階で、シーズンが始まってどうなるかが正直な気持ちだと話しました。
まだ結構優勝を狙えるようなチームのうちの1つではあると思ってるので。
加藤選手は、チームが良くなっていくイメージはできていると言います。そのイメージをどれだけ体現できるかが、今季のポイントになりそうです。
拓実さんとのダブルガードで感じた「負けない」自信
大西さんが次に尋ねたのは、昨季中盤から増えた齋藤拓実選手とのダブルガード起用です。それまであまり使われていなかった布陣が、途中から試行錯誤の中で生まれ、大きな結果を残しました。
楽しかったですね。
プロ選手の言葉喋りました。
照れ笑いを交えつつ、加藤選手は「やってて負けないなっていう、根拠のない自信みたいなのは僕の中にはありました」と振り返ります。二人の役割分担は明確でした。
相手ガードを削り、ボールを運び、拓実さんを温存させる
オフェンスにフォーカスし、スコアに絡む
加藤選手は普段ガードですが、ダブルガードではパスを受ける2番の立場にもなりました。拓実さんのガードとしてのプレーを間近で見られたことも、楽しかったといいます。
(決めないとというよりかは)出してくれるんだろうなみたいな。その安心感とかはありましたね。常に見られてるなっていうのは。
大西さんは、日本代表でもダブルガードが増えていることに触れ、日本人選手を並べる戦い方の可能性を語ります。一方で加藤選手は、プレミアに向けて相手のサイズが上がることにも言及しました。
納豆持参の拓実さんに、全員マイペース。チームメイトの素顔
コートを離れ、話題はチーム内の人間関係へ。大西さんが、Xに加藤選手とDJ選手が爆笑している動画が上がっていたと振ると、加藤選手は仲がいいと認めつつ、笑っていた理由は「しょうもないこと」で忘れてしまったと答えました。
前回の出演で、ケニー選手から天然キャラ認定されたことについては、よく言われるのでそうなのかもしれないが、自分ではそう思っていないとのこと。琢磨さんに似ているとも言われるそうです。
チームで一番面白い人、一番のバスケオタクを聞かれ、加藤選手はどちらにもコーチの健二郎さんを挙げます。これまで出会った中でも話していて学ぶことが多い、優秀なコーチだといいます。
一番細かいことを気にする選手には、拓実さんの名前が挙がりました。加藤選手によると、拓実さんは几帳面で独自のリズムを持っており、ホテルの食事にも自分で納豆を持ってくるそうです。
基本マイペースですから。全員。啓太さん、天翔さん、泰斗さんもそうだし、僕もどっちかというとマイペースなので。
一番マイペースな選手を聞かれた答えがこれでした。大西さんは「絶妙なバランスで混ざり合ってるんだな」と、チームの雰囲気の良さを感じ取っていました。
ドルフィンズ3年目、オフェンスで確固たる自信を
最後は真面目な話に戻ります。B1の強豪に加わった当初は学ぶ立場だった加藤選手も、今はチームに与える側の選手です。コートに入ったときに何を変えたいかを聞かれ、加藤選手は「オフェンス」と答えました。
ディフェンスでゲームを変える力はもうあると考えている加藤選手ですが、オフェンスでの自信はまだドルフィンズで手にしていないといいます。数字的な目標もある中で、最も欲しいのは自分のオフェンスのリズムや感覚だそうです。
大西さんは、練習でスリーポイントがよく入っていると指摘します。加藤選手は、上手くなっているはずなのに愛知セントラルカップでは入らなかったと苦笑しつつ、感覚は良かったので「じきに来るんじゃないかな」と前向きです。試合でどれだけアジャストできるかが、1つのチャレンジになると話しました。
ファンのドルファミに見てほしいところを聞かれ、加藤選手は積極性と強気なプレーを挙げます。
ドルフィンズ3年生なので、コートで遺憾なく積極性とか強気なプレーでチームにインパクトを与える、特にオフェンスですね。
それでチームにインパクトを与えられるシーンを僕はやるつもりなので、そこを注目して見てほしいと思います。
まとめ
加藤嵩都選手は、持ち味のスピードを活かすために減速の技術を磨き、ロイさん体制ではボールを持って試合を作る力を求められています。バスケノートで自分の揺れを修正しながら、ドルフィンズ3年目はオフェンスでの確固たる自信をつかもうとしています。
- オフは国内で家族や友人との時間を取りつつ、トレーニングは欠かさず続けた
- パワー重視からブレーキ動作重視へ移り、スピードとのバランスを模索している
- ロイさんからはピックアンドロールなどオンボールで作る力を伸ばすよう求められている
- 拓実さんとのダブルガードでは、守備で相手を削り拓実さんを生かす役割で手応えを得た
- 今季の目標は、オフェンスでチームにインパクトを与える選手になったという自信を得ること




