小児科の案件を3つの視点で振り返った
一昨日の夜、新米クリエイターの育成の取り組み『タスケ部』で、実案件の振り返り会をやりました。
今回は1つの案件に集中してみようということで、クリエイターさんの時間を手厚くしたのに加えて、僕自身の振り返りも行いました。
結局、日付を越えてしまったので時間オーバーの反省はあります。ただ、振り返ることで僕も言語化ができるので、やってよかったなと思っています。
振り返ったのは、宮城県大河原町の小児科『さくら小児科医院』さんのホームページ制作です。実績として出してよい案件なので、名前を出させてもらいますね。
ディレクターとして、人材育成をする者として、そして個人事業主のホームページ屋さんとして。この3つの視点で振り返りました。
最初の問い合わせは、院長先生ではなく息子さんからだった
この案件で僕が一番印象に残っているのは、最初にお問い合わせをくださったのが、決裁権のある院長先生ではなく息子さんだったことです。
息子さんはまだ学生さんで、お医者さんを目指す大学に通われています。ご本人曰く、いつかはお父様の医院を継ぐことになりそうだと、なんとなく感じておられたそうです。
そんな中で気になっていたのが、Googleの口コミでした。小児科なので、書いているのはお子さんを連れてくる保護者さんだと思います。
「ホームページがない」「ネット予約ができなくて不便」といった声がたくさん入っていて、見るだけで胸が痛むんですよね。
現場に行くと、院長先生やスタッフの方、地域の雰囲気など、いろんなことが見えてきます。これだけ雰囲気のいい小児科なのに、そういう口コミを書かれてしまうのは、とてももったいないなと改めて思いました。
一方で、院長先生は実はそこまで乗り気ではなかったんです。本当にホームページ制作ができるんだろうか、と心配されていた部分もあったと思います。
見つけてくださった息子さんも初めてのことですから、本当にこの人に頼んで大丈夫なんだろうか、という不安は正直あったと思うんですよね。
そんな不安を抱えながらもご発注いただき、結果としては大変喜んでいただけました。院長先生と息子さんからは「素晴らしいホームページをありがとうございます」という嬉しいメールもいただきました。
「お前が見つけてきたやつ、ダメだったじゃん」を起こさない
この案件を経て僕が一番良かったと思っているのは、親子関係を守ることができたということです。
親子は今回が初めてでしたが、ご夫婦やご家族で事業を営まれているお客さんは、実際にいるんですよね。ご夫婦でやられている工務店や美容室もありました。
そういう場合、まずどちらかが僕を見つけてくださいます。情報をたどって、ここは大丈夫だろうかと調べて、面談で対話をして、この人なら大丈夫かもしれないとご発注いただく流れです。
でも、もし出来上がったものが思ったほど良くなかったら、どうなるでしょうか。
「お前が見つけてきたやつ、結局ダメだったじゃん」みたいなことが起きちゃうんです。見つけてきた人まで責められてしまうことがあるんですよ。
一生懸命探した結果、ハズレくじを引いたみたいになってしまう。僕は絶対そういうのは嫌なんです。
ご家族の関係に、そういうきっかけで亀裂が入ってしまう可能性も、本当にゼロではありません。
ある意味、家族関係の案件は紹介案件に近いと思っています。どちらかが見つけてきて、もう一方に「こういうのどう?」と紹介しているわけですから。
納得してもらうことが必要なので、紹介案件並みに慎重に、大事に取り扱わなきゃいけない。関わる方すべてと仲良くなることが実は大事だというのを、この案件で学びました。
家族の間では、いいことや嬉しかったことを前向きに共有できますよね。仕事が終わったあとの食事のときに「今日こういうことがあって、良かったよね」「すげえわかるわ」と話せるのも家族関係です。
逆に、連絡しても返事がない、イメージどおりのデザインが出てこない、予定の期間を全然超えている。そんな状態だと、その話題もご家庭の中に入っていきます。
団らんに良い話のネタを提供できないどころか、むしろストレスを与えちゃってるじゃないですか。
今回、院長先生が息子さんに「いい業者を見つけてくれてありがとう」と直接伝えたのか、心にとどめているのかはわかりません。でも、何かしらお話はされていると思いますし、そのネタを提供できたことは心強いです。
ホームページ屋さんは、家族の間にも入っていける
ホームページは、事業や商品、サービスを言語化して落とし込むものです。だから僕が関わらせていただくと、クライアント様の事業への理解が深まっていきます。
そういう関係性だからこそ、ご家族や親子の関係性にも入っていけるポジションなのかな、とも思っています。ホームページ屋さんって、やっぱり深いですよ。
制作会社で、家族関係を壊さないためにどう進めようかまで考えている方って、いらっしゃるんですかね。個人がそう思っても、会社として「そこまでやらなくていいよ」となる可能性もあるじゃないですか。
でも僕は、ホームページを作ったことで家族の話のネタになって盛り上がったよ、なんて言われたら本当に嬉しいんです。
事業を育てていくことはもちろん、関わるご家族に円満でい続けてもらうためにも、僕らホームページ屋さんはいいクリエイティブをして、いい伴走者になることが求められているんだと思います。
AIの発達もすごいですけど、僕たちの価値は人間であることが強いんじゃないかなと。だって相手も、ご家族、親子という人間同士の関係性ですから。
ちなみに、ご夫婦で面談に出てこられるケースは多くて、だいたい奥様のほうが強いんです。代表は旦那さんなのに、横で静かに座っていて、奥様がバーッと喋る。これはもう、あるあるだと思います。
思いつきで書いたところもありますが、参考にしていただけたら嬉しいです。
先輩クリエイターの現場を覗き見できる『山家実案件研究所』と、事業や実案件の相談相手・伴走者になる『山塾』もやっています。それではまた次回もお目に掛かりましょう。ではではでは。
まとめ
家族で事業を営むお客様の案件は、見つけてきた方の立場まで背負っている紹介案件のようなものだと僕は考えています。だからこそ、満足を超えて感動してもらえる仕事で、ご家族の関係まで守りたいんです。
- さくら小児科医院さんの案件は、院長先生ではなく跡継ぎ候補の息子さんからの問い合わせで始まった
- 仕上がりが悪いと「お前が見つけてきたやつ」と、見つけてきた家族まで責められてしまう
- 家族経営の案件は紹介案件並みに慎重に扱い、関わる全員と仲良くなることが大事
- 人間同士の関係に寄り添えることが、AI時代のホームページ屋さんの価値だと思う





