夕方の搾乳後にかかってきた、1本の営業電話
この回は、AIがまとめたニュースでも決まったテーマでもなく、川上さんが「ちょっと気になること」があって話し始めた雑談のような配信です。
きっかけは、夕方の搾乳が終わったころにかかってきた、知らない番号からの電話でした。飛び込みの営業の電話だったそうです。
内容は、酪農業界の情勢が悪化するなかで離職している人が増えていて、その人たちと、従業員を募集している牧場をマッチングするサービスをやっている、というものでした。
酪農業界がこう情勢が悪化している状況で、離職している方が多くなってきていると。そういう方と、従業員を募集しているような牧場をマッチングするようなサービスをやっている会社だということです。
この電話に、川上さんは「いや、とうとうそんなことになったか」と感じたと話します。
研修は受け入れても、長期の従業員募集は断った理由
川上牧場では研修生を募集していますが、それは短期、長くても1年ほどのもの。酪農未経験の人が牧場で研修して、その経験と知識を生かして別の牧場の従業員になっていく、という形をとってきました。
だから「短期だったら大丈夫ですよ」とは答えたものの、今回問い合わせのあった人たちは、長期で従業員として働きたいという希望が多かったようです。
結局、川上さんはこの電話を断りました。ただ、切ったあともモヤモヤした気持ちが残ったと振り返ります。
せっかく特殊な酪農業界に入って、牧場で働いていた人たちなのに。そして雇っていた牧場側も、クビにしようと思って雇ったわけではないはずだ、と考えたからです。
餌代・資材高が生む「機械より人の手」という現実
川上さんは、離職の背景に業界全体の厳しさがあると見ています。
餌が高い、資材が高い、それなのに乳価がなかなか上がらない。そんな状況で、従業員の数を減らすというのは、経営者として好んで選ぶことではないだろう、と話します。
さらに川上さんは、労働環境の過酷さにもつながる構造を指摘します。資材や飼料代が上がると、これまで機械でやっていた作業を、コストのかかる機械をやめて人の手でなんとかしよう、という方向に傾きやすくなるのです。
たとえば1日8時間の労働時間のなかで、機械を使って牛の観察をしていた時間や手が空いた時間があったところを、「その時間があるなら体を使って働け」というふうになってしまう。そういう面もあるんじゃないか、と川上さんは語ります。
酪農の経験は、業界の「まわり」でも生きる
一方で川上さんは、せっかく酪農を目指してくれた人たちが続けられる環境をなんとかしたい、という思いも口にします。
そのうえで、酪農の経験は別の職業にも生きるのではないか、と提案します。酪農を支える産業はたくさんあるからです。
たとえば、餌の販売の営業や、乳業メーカーの製造ライン、食肉処理場などです。
酪農の現場を知った方が、餌の販売の営業をしたりだとか、乳業メーカーの製造ラインとか、そういうところで働いたりとか。
実際、川上牧場に以前いた研修生のなかにも、食肉処理場で働いていた人がいたそうです。現場を知っていることは、それだけで強みになると川上さんは考えています。
餌の販売営業
現場を知っているからこそ、牧場の事情に寄り添った提案ができる
乳業メーカーの製造ライン
原料の牛乳がどう作られるかを理解している
食肉処理場・精肉の現場
牛や食肉の扱いを知っている強みが生きる
それがそのまま給料に直結するかどうかは会社次第かもしれない、と断りつつも、こうした働き方もあるんじゃないか、と川上さんは話します。
「牛が好き」から一歩進んだ、質が問われる時代
もう一つ、川上さんが感じているのが、従業員の「質」にこだわる牧場が増えてきたという変化です。
少数精鋭という言い方ではないものの、ちゃんと働けて技術がある人を受け入れよう、という空気が出てきているといいます。
人を1人雇うにはお金がかかる。人件費がかかるからこそ、そこがシビアになってきているのではないか、というのが川上さんの見立てです。
だからこそ、「牛が好き」という熱量だけでなく、その熱量にもう少し牛の知識や技術を重ねられる人が求められている、と話します。「牛が好き」な熱量に、知識と技術を重ねられる人が、これからの現場では意識されているのかもしれません。
そうした知識や技術は、いまはSNSやネットでも出てきています。それを自分で意識して学べる人が求められているのでは、と川上さんは考えています。
研修の記録や新プランで、学びたい人を後押し
川上牧場では、こうした学びを後押しする発信も続けています。
noteには、過去の研修生とのやりとりや研修の記録がまとめられていて、酪農家を目指す人の参考になるとのこと。
音声配信でも、川上さん自身が「酪農家を目指すときに、こういう知識や技術を教えてもらえたら嬉しかった」と感じた内容をまとめて発信しています。
さらに、メンバーシップの新プラン「ファームエコ」も紹介されました。AIが牧場を分析し、未経験の人にもわかりやすく解説してくれるサービスで、いまは無料モニターを募集しています。
牧場の従業員さんで悩んでるみたいな方も、無料モニターしてもらうと嬉しいですね。
川上さんは、悩んでいる人がいたら質問やコメントを寄せてほしい、と呼びかけます。アドバイスというほどではなくても、「こういうことがあるよ」「こういうことできるよ」と話せる、と語ってこの回を締めくくりました。
まとめ
1本の営業電話から始まったこの回は、酪農業界の離職やコスト高という重い現実に触れつつ、それでも経験を生かせる道や、これから求められる人材について前を向いて語る内容でした。
- 離職者と牧場をマッチングするサービスからの営業電話が、この回のきっかけになった
- 餌代や資材高、乳価の伸び悩みが、従業員の削減や「機械より人の手」という負担につながっている
- 酪農の現場経験は、餌の営業や乳業メーカー、食肉処理場など周辺の仕事でも生きると川上さんは考えている
- これからは「牛が好き」に知識や技術を重ねられる、質の高い人材が求められつつある
- 川上牧場はnoteの研修記録や新プラン「ファームエコ」で、学びたい人を後押ししている




