ゴールデンウィークの朝、堆肥車が壊れた牧場から
配信は、島根県出雲市の小さな牧場からのおはようございますで始まります。この日は4月29日、昭和の日で、ゴールデンウィークにお休みの方も多いなか、川上さんは変わらずお仕事です。
天気は晴れ、最高気温は18度。飛び飛びの休みで出かけにくい人には、近所で過ごしてみるのはどうですか、と語りかけます。
一方で、牧場には気の重い出来事もありました。堆肥の注文が入って堆肥を運ぶ予定でしたが、その堆肥車が壊れてしまったのです。
マジやばい。マジやばいんですよ。もう本当に牛乳の値段が8月から上がるって言われてるんですけども、採算合わないです。
川上さんが気にしているのは、利益よりも、老朽化でものが壊れていくペースの方が早いという現実です。全国の酪農家に「うちもこうですよ」と共有してほしい、と呼びかけます。
リスナーからの質問「乳量の多い牛と少ない牛、性格に差は?」
今回のメインテーマは、SPOONというアプリから届いた質問です。乳量が多い牛と少ない牛で、牛の性格にも差が出ますか、という内容でした。
乳量が多い牛さんと少ない牛さん、牛の性格にも差が出ますか?という質問が来ました。ありがとうございます。
川上さんの感覚としては、大人しい牛は搾乳や移動がスムーズで、その農場に合っているぶん乳量が多いイメージがあったそうです。
ただ今回は感覚だけで終わらせず、AIのディープリサーチという機能で調べた内容をもとに話していきます。
搾乳ロボットが変えた「牛の性格」への注目
話はまず、牛の性格が近年あらためて注目されている背景から始まります。きっかけは搾乳ロボットの広がりです。
このロボットには、よく入る牛と入りにくい牛がいます。そこで性格をデータとして集め、ロボットに順応しやすい牛を遺伝改良で増やしていこうという考え方が出てきているそうです。
牛は一見どれも同じに見えますが、穏やかな子、神経質な子、好奇心旺盛でペロペロ舐めてくる子、少しのことでビクッと逃げる子など、いろいろな個性があると川上さんは言います。
性格ごとに乳量はどう変わる?4タイプで整理
リサーチの結論は、乳量と性格に単純な比例関係はないものの、互いに影響し合っている可能性が高い、というものでした。
そのうえで、性格のタイプごとに乳量への影響が説明されていきます。まず穏やかな牛です。
搾乳中にストレスを感じにくく、オキシトシンの分泌もスムーズ。乳の出が良くなり乳量が増える傾向。
搾乳中にストレスを感じて足踏みや蹴りが多くなり、オキシトシンの分泌が妨げられて一時的に乳の出が悪くなることも。
さらに、大胆な牛と臆病な牛でも違いがあります。好奇心旺盛な牛は新しい環境への適応が早く、餌を食べる量も多め。群れが変わってもお構いなしに自分のペースで食べていくそうです。
一方で臆病な牛は餌を食べる量が減りがちで、エネルギー不足から乳量が落ちてしまうこともあると言います。
研究で結果が違うのはなぜ?
ここで川上さんは、研究によって結果が食い違う点にも触れます。穏やかな牛のほうが乳量が多いという結果もあれば、反応的な牛のほうが総乳量が多いという結果もあるそうです。
その理由として挙げられたのが、品種、飼育環境、測定タイミングの3つです。
品種の違い
ホルスタインやジャージーなど。ジャージーは好奇心が旺盛な品種だと言われている。
飼育環境の違い
放牧か牛舎か、つなぎ牛舎かロボット搾乳の牛舎かなど、牛舎の構造でも変わる。
測定タイミングの違い
初産牛か経産牛か、泌乳初期か泌乳後期かによっても出方が違う。
だからこそ「絶対にこう」と決めつけず、牛それぞれに合わせた見方が大切だと言われている、とまとめられます。
性格を理解すると、酪農はどう良くなる?
では、牛の性格を理解すると具体的に何が良いのでしょうか。リサーチではいくつかのメリットが挙げられました。
- ストレスを減らして乳量や乳質を安定させられる
- 新しい牛を導入するときに性格に合わせた管理ができる
- 長期的に健康で高泌乳な群れを育てられる
さらに将来的には、性格も考慮した育種や交配も視野に入ってきているそうです。乳量だけでなく、性格も強みにできる時代が近づいているというわけですね。
実は現代の品種改良にも、牛の穏やかさを表す「気質」という項目があるそうです。ただ、この気質は遺伝率が低いのが課題だと川上さんは説明します。
そのため今は参考値としてしか使えていないものの、こうした調査でデータが蓄積されれば、気質の遺伝の信頼度も上がってくるのではないか、と期待を語ります。
24時間365日の仕事だからこそ、牛の個性が生きる
最後に川上さんは、今回の内容を改めて整理します。牛にも個性があり、穏やかさ・神経質さ・大胆さが乳量に影響する可能性はあること。ただし絶対的な相関はなく、環境や管理で変わっていくことです。
牛舎に24時間365日いなければならない職業だからこそ、牛の性格は生産性に直結する、と川上さんは話します。今回の質問がきっかけで、新しい知識を得られたことへの感謝も添えられました。
配信の締めくくりでは、壊れた堆肥車の話に戻り、借金を返したと思ったらまた次の借金、という酪農の厳しさも率直に語られます。それでも「やるしかない」と前を向き、牛乳を飲んでほしい、と呼びかけて終わります。
まとめ
リスナーの素朴な質問から始まった今回は、牛の性格と乳量の関係を、酪農家の実感とAIリサーチの両面から掘り下げる回になりました。牛の個性は、これからの酪農でますます大事になっていきそうです。
- 乳量と性格に単純な比例はないが、互いに影響し合っている可能性が高い
- 穏やかな牛はストレスが少なくオキシトシンの分泌もスムーズで、乳の出が良くなる傾向
- 結果は品種・飼育環境・測定タイミングで変わるため、決めつけず牛ごとに見ることが大切
- 性格を理解すれば乳量や乳質の安定につながり、将来は性格を考えた育種も視野に入る
- 堆肥車の故障など、酪農の経営が厳しい現実も率直に語られた回




