そもそもなぜ苗を育ててから植えるの?
今回の配信は、YouTubeコミュニティに届いた質問に答える回です。田植えは苗を田んぼに植えていくのが一般的ですよね。
質問をくれたのは、YouTubeネームのレイニーさん。稲を直接まかずに、わざわざ別の場所で育ててから植えるのはなぜか、という内容でした。
なぜ稲は直接田んぼにではなく、別のところで育ててから田植えをするんですか?一見すると2度手間に感じます。ぜひ酪農家目線でお答えください。
川上さんも、苗を別の場所で大きくしてから植えるのは、一見すると二度手間に見える作業だと共感します。
ただ、そこには収穫量を増やしたり、美味しさを高めたりする農業の努力があると言います。川上さん自身、農業高校・農大出身でお米を作ったことはあるものの、なぜこの育て方をするのかは深掘りしたことがなかったそうで、今回はAIに調べてもらったと明かしています。
育苗を選ぶ3つの理由とは?
まず前提として、稲を直接田んぼにまく方法もあります。これを直播直播 ── 稲の種もみを田んぼに直接まいて育てる方法。苗を育てる工程を省けると言います。
それでも日本では、育苗してから田植えする方法が主流だそうです。川上さんは、その理由を3つに整理して紹介しました。
1つ目は、雑草に勝てるスタートダッシュができること。田んぼに直接種をまくと、稲の芽が出るまでに雑草も一緒に育ってきてしまいます。
雑草に負けると収穫量が激減しますが、苗をハウスなどでしっかり育ててから植えれば、稲が雑草より早く育つので雑草対策になります。
2つ目は、苗の管理がしやすいこと。田んぼでいきなり育てるより、育苗で育てるほうが温度・水・病害虫の管理が楽になります。
育苗ハウスのような環境で健康な苗を育てることが、最終的な収穫の安定にもつながるそうです。
3つ目は、水の確保や気候への対応。春はまだ田んぼに水がたまらない地域も多いため、先に苗を育てておいて、田んぼが準備できたタイミングで植えるのが合理的です。
雑草に勝つ
苗を先に大きく育てることで、稲が雑草より早く育ち収穫量の減少を防ぐ
管理しやすい
温度・水・病害虫の管理が楽になり、健康な苗を育てられる
気候に対応
田んぼに水がたまらない時期でも先に苗を育て、準備できたら植えられる
直播は昔の主流だった?田植えの歴史
少しマニアックな話として、田植えの歴史にも触れています。実は昔は直播が主流だったそうです。
ただ、直播は雑草や病害虫のリスクが高く、江戸時代から苗を育ててから植える方法が広まっていったといいます。
現代でも直播は、ドローンやGPSを活用した技術で少しずつ増えてきています。それでも収量の安定性では、田植え方式がまだまだ主流だと話されています。
最近はYouTubeなどでも乾田直播乾田直播 ── 乾いた田んぼに種もみを直接まく方法。水を張ってから育てる従来の方式に比べ、大型農業で効率がよいとされるがよく取り上げられていて、コーティングした種もみを植えていくやり方が増えているそうです。大型化するとそちらのほうが効率がいい、という流れがあるようです。
酪農にも通じる“二度手間”とは?
後半、川上さんはこの疑問を酪農家目線でも読み解いていきます。酪農にも似た「二度手間」があると言うんです。
川上さんの牧場はつなぎ牛舎つなぎ牛舎 ── 牛を1頭ずつつないで飼う方式の牛舎。放牧と違い、飼料を人が与えて管理するです。畑の牧草を刈って収穫機で巻き、長期保存できるようにして、牛舎の中でほぐして1頭1頭に与える。これも二度手間、三度手間だと話します。
一種、放牧の人からしてみれば、牛放してその放牧場で管理すればええやんってなっちゃうじゃないですか。
でも、地域の環境によって放牧のしやすさや草の生えやすさは違いますし、つなぎ牛舎に向いている牛・向いていない牛もいる、と川上さんは言います。
だからこそ、それぞれの地域性に合わせて、作りやすく安定した農作物や飼育スタイルを選ぶことが大事だと話します。いろんな農家さんがいることで、地域に根ざした作り方が生まれ、いろんな農作物を食べられるという機能があるという見方です。
田んぼの直播も同じで、YouTubeで見て「やろう」と思っても、田んぼの条件や広さ、持っている機械の性能によってはやりにくいところもあります。そこは農家それぞれが自分の判断でやればいい、というのが川上さんの考えです。
消費者に向けては、いろんな農家がいろいろなやり方をしているんだと知ってもらえたら嬉しい、と締めくくっていました。
まとめ
田植えが二度手間に見えるのは、育苗という一手間に、雑草対策・管理のしやすさ・気候への対応という農家の知恵が詰まっているからでした。川上さんは、これを酪農のつなぎ牛舎にも重ね、地域や条件に合わせてやり方を選ぶ大切さを語っています。
- 稲を直接まく直播もあるが、日本では育苗してから田植えするのが主流
- 育苗の理由は「雑草に勝つ」「管理がしやすい」「気候に対応できる」の3つ
- 昔は直播が主流だったが、江戸時代から育苗して植える方法が広まった
- 酪農のつなぎ牛舎にも同じような「二度手間」があり、地域性で選ばれている
- いろんな農家がいることで、地域に根ざした多様な農作物が生まれる





