そもそも「糞」と「堆肥」はどう違う?
この回は、リスナーのケンキチさんから届いた質問がスタート地点です。
堆肥とはどの段階の糞のことを言いますか?糞自体でも堆肥と言いますか。完全に発酵したものはもちろん完熟堆肥とか言いますよね。
川上さんはまず、糞と堆肥は明確に意味が違うものだと説明します。
糞は、牛や豚、鶏などの家畜が排泄したそのままの状態のこと。一方の堆肥は、その糞や藁、おがくずといった有機物を発酵・分解させたものです。
未熟・中熟・完熟、堆肥の3段階
堆肥には発酵の進み具合によって段階があります。川上さんは大きく3つに分けて整理していきます。
現場では発酵が始まったものから「堆肥」と呼び始めることが多いそうですが、正式には完熟状態に近いものを堆肥として扱うべきだともされています。
牛舎から出たばかりの糞は「未処理糞」や「生糞」と呼ばれ、発酵途中なら「堆肥化中の糞」、発酵が完了して初めて「完熟堆肥」になります。
完熟堆肥が大事なのはなぜ?
畑に入れるなら完熟堆肥が一番理想だと川上さんは話します。その理由は3つあります。
- 作物の根に優しい
- 土壌病害が減る
- 臭いが少なく地域にも優しい
堆肥の段階によって栄養価や微生物のバランスも変わるので、使うタイミングや作物によって選ぶ必要があるんですね。
「パラパラ=いい堆肥」とは限らない
川上さんは、堆肥に対する誤解についても丁寧に触れていきます。
よく「パラパラしている堆肥がいい」と言われますが、一概にそうとは限らないとのこと。
籾殻やおがくずをたくさん入れてかき混ぜれば水分は飛び、見た目はパラパラになります。でもそれは熟していない、ちゃんと発酵していない堆肥になってしまうそうです。
パラパラにするのは簡単なんです。でも熟してない、ちゃんと発酵してない堆肥になるので、これは皆さんの誤解を解くことにもつながるかなと思います。
ホカホカと熱を持っているだけで「発酵していない」「まだ完熟していない」と思われることもあるそうですが、少し待てばその熱も冷えてくるといいます。
一度自分で堆肥を作ってみてほしい
川上さんが繰り返し伝えていたのが、自分で一回作ってみるのが一番大事ということです。
災害時にトイレが止まってしまうこともあるので、その備えもかねて試してみてはどうかと提案します。
売ってある牛糞堆肥とか鶏糞堆肥を買ってきて、自分の排泄物と混ぜて一回堆肥を作ってみると、完熟度合いやウンチが残っているかどうかを確認することができます。
そうすれば、堆肥を作る大変さが分かってくるはず、と川上さんは言います。
さらに、置いておけばいいわけではなく、作る農作物によって選ぶことも大切です。窒素分をたくさん欲しがる作物なら未熟堆肥も役立ち、土壌改良をしたいなら完熟堆肥が向いています。
酪農家の堆肥を、理解して使ってほしい
川上さんは、酪農家が作る堆肥への理解を呼びかけます。堆肥作りには、それだけ手間と大変さがあるからです。
配信の後半では、聞いている時間帯によっては食事中の方もいたかもしれないと気づかい、話しすぎた点を軽くお詫びする場面もありました。
気分を害された方は、本当に一回自分で堆肥を作ってみていただけたら嬉しいかなと。大変なんです。それを伝えたかっただけなんです。
使ってほしいという気持ちの裏には、堆肥作りの手間を知ってほしいという思いがあるんですね。
まとめ
糞と堆肥は別のもので、発酵の進み方によって未熟・中熟・完熟と呼び分けられます。パラパラした見た目だけでは完熟かどうかは判断できず、作物や目的によって使い分けることが大切だという回でした。
- 糞はそのままの排泄物、堆肥は発酵・分解させたもので、糞イコール堆肥ではない
- 堆肥は発酵の進み具合で未熟・中熟・完熟の3段階に分けられる
- 完熟堆肥は根に優しく、土壌病害が減り、臭いも少ないため畑に理想的
- 見た目がパラパラでも、水分を飛ばしただけで発酵していない堆肥もある
- 一度自分で堆肥を作ってみると、その大変さと完熟度合いの確認方法が分かる




