豊洲のミルクフェス明け、ホテルの一室から
今回の収録は10月18日の日曜日。川上さんは、豊洲で開かれた「ミルクフェア ミルクフェス2026」に参加した翌朝で、いつもの牛舎ではなくホテルの一室から話しています。
フェス後の飲み会で喉がガラガラだそうで、冒頭で「今日は声が悪い」とお詫びしています。このあと羽田空港から島根へ帰る予定とのこと。
この日の配信は、1週間に各SNSへ届いた質問やコメントをすべて読み上げる「日曜日のまったりゆったりコメント返し」です。
恒例の乾杯は、牛舎にいないためペットボトルのカフェラテで。フェス会場では「川上牧場のSNSの川上さんですか」と声をかけてくれた人も多く、酪農家や業界の人の話も聞けて励みになったと振り返っています。
牛乳の消費が伸びてませんのでね。引き続き頑張って消費活動をね、やっていこうかなと思います。
あわせて、配信を記事にしたnoteとメンバーシップ、#未来の牛乳のデジタルアート、週1回まとめが届く公式LINEの案内もありました。デジタルアートの売上は、子ども食堂への牛乳支援や食育活動の費用に充てるそうです。
ミルクフェスでは毎年、ご当地牛乳の飲み比べやヨーグルトの食べ比べで余った分を参加者で分けていたものの、今年は余りがなかったという小さな残念話も。川上さんは「本当に味が違う」と、いろいろな牛乳を楽しんでほしいと話しています。
立てない牛にかける言葉と、15頭の牧場
最初のコメントはYouTubeから。メイプルさんが、先週のコメント返しを受けて送ってくれたものです。
コメントの返信ありがとうございました。(牛が)立ってくれないと廃用にしないといけませんから、「お肉になっちゃうよ。頑張って起きようね」みたいに私も声をかけることはありますね。インスタプチバズりですか?15頭でもご本人が満足していればそれでいいんだし、他人がとやかく言う筋合いはないと思います。
立てない牛への声かけについて、川上さんは、消費者には理解されにくいかもしれないけれど、まさに現場の声だと受け止めています。
「15頭でもいい」という部分にも、川上さんは強く同意。飼養頭数についてあれこれ意見をもらうこともあるそうですが、牧場にはそれぞれの立場や規模、歴史的な背景があると話しています。
牛の「モー」は全部同じ?鳴き声と感覚の話
続いてはYouTubeのマユさんから。牛の鳴き声に隠された意味を話した配信への感想です。
面白かったです。同じに聞こえて違いがある。牛だけじゃなくて動物って面白いですね。
川上さんによると、牛の鳴き声にはいろいろな特徴があるそうです。フェスでも子どもたちが「モー」とまねしていたとか。
鳥のすごい研究してる人いて、鳥と本当に会話ができるっていう人いるんですよね。あれめっちゃ面白いです。
マユさんからは、レバ刺しの配信にも感想が届いています。いつかまたレバ刺しの感動を味わいたい、という声です。
川上さんは配信の中で、未来には培養肉 ── 動物から採取した細胞を培養して育てる肉。家畜を育てて解体する方法とは別の作り方として研究が進んでいますなどの技術の進展でレバ刺しが食べられるかもしれない、と話していました。ただし、そこまでたどり着くには畜産や酪農が残っていることが前提だとして、今もお肉をしっかり食べてほしいと呼びかけています。
さらに、牛の環境変化への適応力を話した配信へも、マユさんのコメントがありました。
面白かったです。動物は使える感覚全て使って生きていて(生きるために使っている)、すごいですね。見習います。
ボーっとしてて何考えてるかよくわかんないですけど、意外といろんなね、感覚使って生きてるなっていうのがありますね。牛さんね。
双子の子牛と大きなF1、職場体験の学生と迎えた出産
ここからはXに届いたコメントです。双子の子牛が生まれたという投稿に、メイプルさんから。
男の子の双子ちゃん、無事に生まれて良かったです。職場体験の学生さんも子牛の誕生を見守って貴重な経験ができて良かったですね。
ところが、川上さんによると、双子のうち1頭は弱く、翌日には亡くなってしまったそうです。高校生の目の前の分娩で死ななかったことには安堵しつつ、やはりリスクがあると話しています。
もう一頭の方もですね、ちょっと頑張って育てますけどね。ちょっと飲みが悪いですね。ミルクのね。
続いて、先週F1 ── 乳用種のホルスタインと肉用種の和牛などを掛け合わせた交雑種の牛。酪農家で生まれ、主に肉牛として育てられますが生まれたときの投稿にも、メイプルさんのコメントです。
ビッグボーイ。川上さんが豊洲のミルクフェスに出かける前に生まれて、なんとえらい子。職場体験の学生さん、双子ちゃんに続いて介助のお手伝いもやったんですね。いろんな経験ができて本当に良かったですね。
大きな子牛は、出張中もヘルパーさんから連絡がないので順調にミルクを飲んでいるはず、とのこと。出産のときは中学生と一緒にロープで牽引したそうです。
陣痛に合わせて引っ張るんだよとかね、羊水吐き出すのを確認してから引っ張るんだよみたいなね、お話をして。
なぜ農業の現場では機械事故が多いのか?
この回でいちばん重いコメントは、農業機械の作業についてのnote記事に届いた、ヨシダマさんからの指摘です。
失礼ながら、なぜ農業関係の方はエンジンをかけたまま機械を離れたり、回転体に近づいたり、バケットやフォーク、クランプを下ろさずにエンジンを切ったりされる方々が多いのかなと思っています。
ヘルメットもされず、良くて帽子のみというのがほとんどなのも、機械の作業半径をうろうろする人が多いことも、土建業や建設業と異なる労災の多さでは?と、いろいろな職場を見て感じます。(川上牧場さんではないですが)牧場や圃場でKY事例を見ることが非常に多く、ヒヤッとした経験が何度かありますので。
ヨシダマさんの書いたKY ── 危険予知の略。作業前に起こりうる危険を洗い出して対策する、建設業などで定着した安全活動の考え方ですは、建設業ではおなじみの言葉です。川上さんは、酪農業界はこのコメントを真摯に受け止めるべきだと答えています。
法人化した牧場では、労災対策として作業機に乗るときのヘルメット着用がすでに決まりになっているそうです。まだ着けていない牧場には、本当に気をつけてほしいと呼びかけています。
では、なぜ事故につながる行動が多いのか。川上さんは理由を2つ挙げています。
1つ目は、昔からそうだったという習慣の根強さです。何代目という農家が多く、子どものころから親やおじいさんの仕事を見て、同じ作業を当たり前に繰り返してきました。機械は大型化して怖さが増し、安全機能も増えているものの、意識の切り替えはまだ難しいというのが現場の実感だそうです。
2つ目は、天気に左右される仕事だということです。天気がいいうちに作業を終わらせたい、雨や台風の前に収穫を済ませたいという焦りが事故を生みます。規模が大きいほど損失も大きく、焦りの影響も大きくなると話しています。
天気に左右される
雨や台風が来ると収穫や作業ができず、損失が出る
焦りが生まれる
天気のいいうちに急いで終わらせようとする
習慣が重なる
昔からのやり方を当たり前に繰り返している
事故につながる
大型化した機械の危険を見落としやすくなる
川上さんは消費者側にも小さなお願いをしています。農産物が適正な価格で買われること、傷や形の悪さに寛容になってもらえることです。流通や品質の安定を考えると難しいとしつつも、天気が悪かったから仕方ないよねと思ってくれる人が少しでもいれば、と個人的な思いを語っています。
でも本当に事故は少なくした方がいいなと思います。
牛のゲップと宇宙からの牛の世話
海藻を食べさせると牛のゲップが減る、という配信には、Substackからソアノさんの「めっちゃ興味ある」というコメントが届きました。
この配信は再生数も伸びていて、川上さんは牛のメタンガス ── 温室効果ガスの一種。牛は胃での消化の過程でメタンを発生させ、主にゲップとして排出しますへの関心の高さに驚いたそうです。ミルクフェスでも、年配の来場者からメタンガスの話をされたといいます。
牛がいることによってメタンガス排出が下げれたりとか、地球温暖化を下げるのに牛が必要だってなるかもしれませんよみたいな話したらすごい喜んでました。
TikTokのスライド投稿「牛の世話、宇宙からやってるって本当?」には、ハチさんから「明るいゆとりある未来につながりますように」というコメント。
このスライドは、GPSで圃場の状況や放牧中の牛を管理できるようになったこと、ゆくゆくは宇宙で牛が飼えたらいいね、という内容です。川上さんは宇宙開発のロマンを感じつつ、目の前の不安も口にしています。
牛を知ろうとする気持ちと、AIで作る学びの発信
「牛が突然ピタッと動かなくなる理由」というTikTokのスライド投稿にも、ハチさんからコメントが届きました。
人が牛を知ろうとする気持ちが大事なことだと思う。
川上さんは、牛を100%理解するのは多分無理だと考えているそうです。だからこそ、生態や行動学、遺伝学から学ぶと牛の面白さや、牛をもっと大事にする方法が見えてくると話しています。
同じ投稿には、TikTokのきみよさんから「よく学んでますね。素晴らしいです」というコメントも。川上さんは、スライドは調べたうえでAIに作ってもらっていると明かしています。
酪農データバンクを作ったのも、学術的な研究やソースに基づく考え方を知ってもらうため。SNSでは牛について感情だけで語られる話が多く、それが少し変わってくれたらと個人的に思っているそうです。
最後はお笑いコンビの誘い
最後のコメントは、中高生の職場体験受け入れを話したYouTube配信に、「100万人に1人しか笑わないネタ」さんから届きました。
僕とお笑いコンビ組みませんか?
丁重にね、お断りしたいなと思います。
川上さんは「お笑いは本当に大変なんだから」と笑いつつ、自分にお笑いはできないとはっきり辞退。ちなみにその投稿者の投稿を見たら、本当に100万人に1人しか笑わないと思ったそうで、ぜひ見てみてほしいと話しています。
締めくくりに川上さんは、寝起きとお酒でふわふわした配信になったことをお詫びしつつ、牧場に戻ってまた1週間頑張ると話しました。公式LINEからも質問を送れるので、これからもコメントを寄せてほしいと呼びかけています。
まとめ
ミルクフェス明けのホテルから届けた今回のコメント返しは、牛の鳴き声や子牛の誕生といった温かい話題から、農作業の安全という重いテーマまで幅広い回でした。どのコメントにも、川上さんは現場の実感を交えて丁寧に答えています。
- 立てない牛への声かけや15頭の牧場の話から、規模や背景の違いを認める現場の感覚が見えます
- 双子の子牛は1頭が翌日に亡くなり、出産のリスクを改めて感じさせる出来事になりました
- 農作業の事故が多い理由として、昔からの習慣と、天気に左右される焦りが挙げられています
- 牛を100%理解できないからこそ、生態や研究から学ぶ姿勢が大事だと川上さんは話しています
- 年末に向けて牛乳が余る不安があり、引き続き牛乳を飲んでほしいと呼びかけています

