今日の牧場と、久しぶりのTikTokライブ
配信は5月28日水曜日。天気は晴れのち曇りで最高気温は24度、半袖で外仕事をすると汗ばむような一日だったそうです。
この日の川上さんのお仕事は、生乳販売委員会酪農協議会という島根県の大事な会議への参加。10時半ぐらいからお昼過ぎまで、ほぼ1日ずっと会議だと話されています。
6月から加工乳の乳価、8月から飲用向けの乳価が上がるとのことで、会議で聞いた内容はまた配信で共有していきたいとのことでした。
今回の配信は、久しぶりに短時間だけやってみたTikTokライブに、たくさんの方が来てくれて質問が届いたのがきっかけ。その疑問に答えていく回になっています。
牛の胃に磁石を入れるって本当?
最初の質問は「牛さんの胃に磁石を入れて、釘とかがひっつくようにしてるって本当ですか?」というもの。インターネットで検索するとすぐ出てくる話ですが、あらためて丁寧に答えていきます。
牛の胃袋っていうのは4つあるのを皆さんご存知ですかね。なんでここに磁石なんて入れるの?って思ったりするかもしれないですけど。
牛は4つの胃袋を使って反芻をします。食べた草を一度胃袋に入れ、また口に戻して噛み、次の胃袋へ運ぶ。これを1日に10時間以上も続けているそうです。
問題は、草に小さな金属片が混じっているとき。釘やワイヤー、針金などが牧草地や河川敷に捨てられたゴミから混入したり、風で飛んできたりすることがあります。
牛はそれに気づかず飲み込んでしまい、金属片は第一胃を通って第二胃で詰まってしまうそうです。第二胃は入り口と出口が小さいのだと説明されています。
そこに釘とかがあったりすると、胃袋が収縮する時に胃袋を貫通させて、第二胃の隣にある心臓とかを傷つけたりとかして、最悪死亡事故が起こってしまったりするんですよね。
長いロープやプラスチックでも詰まることがあり、急に餌を食べなくなって死んでしまい、解剖してみたら詰まっていた、というケースもあるそうです。
これを防ぐために飲ませるのがルーメンのマグネット。有名な商品名にパーネットがあり、直径10センチほどの棒状の磁石です。
草に金属が混入
釘やワイヤー、針金などが牧草に混じることがある
牛が飲み込む
気づかずに食べてしまい、第一胃を通って第二胃へ
第二胃で詰まる
入り口と出口が小さく、金属片がたまりやすい
磁石が金属を捕まえる
あらかじめ飲ませた磁石に鉄くずがくっついて動かなくなる
事故を予防
胃を貫通して心臓を傷つける事故を防げる
飲ませ方は牧場によってさまざまですが、川上牧場では塩ビパイプを牛の口から喉まで押し込み、その中に磁石を入れてスコンと喉へ落とすやり方だそうです。
磁石は第一胃を通って第二胃にとどまり、そこで鉄くずをくっつけて動かなくします。川上牧場でもこの方法で牛に磁石を飲ませているとのことでした。
牛の毛も生え変わる?換毛期のはなし
次の質問は「牛さんって毛が生え変わりますか?」というもの。こちらも酪農家目線で答えていきます。
牛にも毛の生え変わりがあり、多いのは春と秋。冬毛と夏毛が入れ替わる換毛期があるそうです。
冬の間は毛がモコモコと空気を含んで寒さを防ぎ、夏は逆にさっぱりとした短い毛になる。季節に合わせて毛のあり方が変わっていきます。
そして川上さんが「面白い」と何度も語るのが、生まれたばかりの子牛の毛。
牛さんが生まれた瞬間に、子牛の毛がちゃんと夏毛と冬毛になるんですよ。赤ちゃんでも。すごいこれ面白いんですけど。
冬の寒い時期に生まれた子牛はふわふわの冬毛で、夏に生まれた子牛はサッとした毛になる。生き物の神秘を感じる部分だと話されています。
毛のボサボサは牛からのサイン
一方で、夏でも毛がボサボサな牛が牛舎に1頭か2頭いることがあるそうです。それはいじめられていたり、餌が食べられていなかったり、足が痛かったりと、調子が悪いサインだと言います。
やっぱ人間と一緒で、栄養がちゃんと食べれてないと、あと寝不足だとか、髪の毛ボサボサな方おられたりするじゃないですか。
毛がうまく生え変わらない牛は、ビタミンやミネラル、タンパク質が足りていない状況になっていることもあるので、特別にケアしてあげる必要があるとのことです。
新しい牧場だと、牛が自分でブラッシングできる回転ブラシがついていることもあるそう。川上さんも暇なときは牛をブラッシングして、毛の生え変わりを手伝ってあげるそうです。
ちなみに「牛はハゲないの?」という質問には、極度のストレスでハゲることもあると回答。さらに、手の届きにくい頭頂部を柱に擦ってハゲてしまう牛もいるそうで、そんな牛を「ザビエルってる牛」と表現していました。
継続的に応援するという新しい農業のかたち
配信の後半では、酪農への支援についての思いが語られました。きっかけは、いただいたギフトへのお礼から。
川上さんが一番うれしいのは、noteのメンバーシップに入って継続的に応援してもらうこと。配信も、その応援を増やすためにやっている部分があると話されています。
背景にあるのは、農業が「困ったときだけ盛り上がる」現状への実感です。
今お米高い高い言うてるじゃないですか。この時、農家を助けてやれみたいなことでワーってやるんですけど、値段が下がった時に、お米安いからいつでも食べれるわって食べなくなるじゃないですか。そういうのをされるとね、農家やりきれないんですよ。
牛乳も同じで、コロナ禍では消費が伸びず「飲んでください」と呼びかけ、余ってしまった時期がありました。一方で夏場には足りなくなり、緊急輸入のニュースが出ることもあります。
だからこそ、牛乳を飲む日も飲まない日も安定して応援する形が広まれば、そうした振れ幅を防げるのではないか、と考えています。
川上さんは、地域の人が農業を支えていくCSAのような仕組みを、ネット上でやってみたいという気持ちを語っていました。
最後は、6月1日の世界牛乳の日まであと数日というお知らせで締めくくり。今年も「#牛乳で歌う」企画をやると告知し、リスナーを送り出しました。
まとめ
今回はTikTokライブに届いた素朴な質問から、牛の胃に磁石を飲ませる理由や、季節で変わる牛の毛の話まで、酪農家ならではの視点で語られた回でした。最後には、継続的に農業を応援するという新しいかたちへの思いも聞くことができます。
- 牛は金属片を飲み込む事故を防ぐため、第二胃にとどまる棒状の磁石を飲まされている
- 牛にも換毛期があり、生まれた瞬間の子牛でも季節に合った夏毛・冬毛になる
- 毛のボサボサは栄養不足や体調不良のサインで、特別なケアが必要になることもある
- 困ったときだけでなく、飲む日も飲まない日も安定して応援する支援のかたちが求められている
- 6月1日は世界牛乳の日。今年も「#牛乳で歌う」企画が予定されている




