今日の牧場と、今日答える「深い質問」
配信は川上牧場のある島根県出雲市の朝の様子から始まります。6月5日木曜日、天気は晴れで最高気温は27度、湿度も高めです。
川上さんによると、朝の段階からすでに暑く、牛たちもハアハアと息をしているとのこと。この日はJAとの話し合いや堆肥の片付けなど、いつもの牧場仕事が予定されています。
そして今日のテーマとして紹介されたのが、リスナーから届いた「牛って何で生きているんですか?」という質問です。
簡単なんですけど、なかなか複雑、哲学的でもある、そんな質問にお答えしていこうと思います。
川上さんは、この一見シンプルだけど奥が深い問いに、酪農家目線とAIと一緒に答えていくと話します。
「人はなぜ生きる?」より、まず牛の話から
質問はスプーンというアプリから届いたもの。スプーンネーム湯崖さんからの「人間はなぜ生きるのですか?そして牛はなぜ生きるのですか?」という2つの問いです。
人間はなぜ生きるのですか?そして牛はなぜ生きるのですか?
川上さんはまず、人間がなぜ生きるのかについては、たくさんの哲学者や書籍が考えてくれているので、そちらに任せると話します。
そのうえで、「牛はなぜ生きるのか」という部分を、酪農家目線とAIを交えて考えていくのがこの回の中心です。
牛と人の1万年、家畜としての歴史
川上さんは、牛が家畜として生きてきた歴史から話を始めます。牛が人間と共に生きるようになったのは、今から約1万年前だそうです。
それはメソポタミア文明やインダス文明など、農耕が始まった時代までさかのぼります。
もともとは野生の牛「オーロックス」という原種がいて、それを家畜化して飼うようになったのが始まりです。当時の牛は、牛乳や肉を得るだけでなく、畑を耕したり荷物を運んだりする労働力でもありました。
つまり牛は、1万年前からずっと人間と共に生きてきた存在だということです。
昔は「トラクター」、今は「食を支える必需品」
川上さんは、牛の生きる意味は人の生活と共に変化してきたと話します。
たとえば昔の人に「牛って何ですか?」と聞いたら、今でいうトラクターや車のような答えが返ってくるのでは、と川上さんは例えます。畑を耕し、荷物を運ぶ道具のような存在だったからです。
乳製品はやがて化粧品や薬にも使われるようになり、令和の今では食を支える必需品になっています。さらに最近は、牛乳から衣類やプラスチックを作れるようにもなってきているそうです。
こうした変化に合わせて、牛がなぜ生きるのかという価値観も変わってきているのではないか、というのが川上さんの見立てです。
牛の気持ちから見た「なぜ生きるのか」
ここまでは人間から見た視点でしたが、川上さんは牛の気持ちからも考えてみます。
ビーガンや動物愛護の立場からは、ずっと同じ場所にいてかわいそう、と言われることがあるといいます。でも川上さんの実感は少し違うようです。
鎖を外しても牛は逃げず、別の牛舎に移動させると「帰りたい」と言うように鳴くのだそうです。分娩を控える牛舎と搾乳する牛舎は分かれているため、こうした様子を見る機会があるといいます。
この場所にいたいんだろうなって思ったりしますけど。牛の気持ちはわからないです、僕には。
牛の本当の気持ちはわからないとしつつ、健康で満足そうにゆっくり寝ている姿を見ると、楽しそうだと感じると話します。
穏やかな顔の裏で、牛はアスリート並みに働いている
一見のんびり見える牛ですが、体の中ではものすごい仕事をしている、と川上さんは続けます。
牛が1日に30リットルの牛乳を作るには、その400倍以上、およそ1万2000リットルもの血液を乳腺に送る必要があるそうです。
目の前でのんびり反芻している牛も、実は心臓をフル稼働させて牛乳を作ってくれている。その姿から川上さんは、牛への感謝をにじませます。
そして今回の問いへの答えとして、牛の生きる意味は人それぞれ、そして時代に合わせて違ってくるのではないか、とまとめます。
私はこう思うよみたいなのをコメント欄に入れてもらうと、キャッチボールができると思うので。
川上さんは、リスナーそれぞれの考えもコメント欄で聞かせてほしいと呼びかけて、この日の配信を締めくくりました。
まとめ
「牛はなぜ生きるのか」という問いに、川上さんは1万年の歴史と牧場の現場の両方から答えました。答えは一つではなく、時代と人によって変わっていくもの。だからこそ、リスナー自身の考えも一緒に持ち寄りたい、という開かれた回でした。
- 牛が家畜として人と生きてきたのは約1万年前、オーロックスの家畜化から
- 昔の牛はトラクターや車のような労働力で、今は食を支える必需品へと役割が変化
- 鎖を外しても逃げず、移動させると鳴く姿から、川上さんは牛の「ここにいたい気持ち」を感じている
- 穏やかに見えて、牛は1日に大量の血液を送り牛乳を作るアスリート並みの働き者
- 牛の生きる意味は人それぞれ・時代それぞれ。リスナーの考えもコメントで募集中




