世界一の牛乳生産国はどこ?
この日は5月11日の日曜日。風が強くて牧場もバタバタしていたようですが、川上さんはいつものように牛乳配信をスタートします。
今回のテーマは、リスナーからの質問への回答。その導入として、川上さんはあるクイズを投げかけます。
「世界で一番牛乳の生産が多い国はどこか」というものです。
今世界で一番牛乳の生産が多い国って、皆さんご存知ですか?
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド。乳製品や有名なチーズといえばヨーロッパ、というイメージを持つ人が多いかもしれません。
でも、答えはインドなんです。中国を抜いて、世界一位になったといいます。
なぜ川上さんは「インドに行け」と言うのか
今回の質問は、SpoonというアプリのENDさんから届いたものです。川上さんが過去の配信で話していた発言についての問いでした。
なぜ川上さんはインドに行けというのですか?(若い酪農志望の人に向けて)
川上さんいわく、そんなに頻繁に言っているわけではないとのこと。過去の配信をよく聞いてくれているリスナーからの、うれしい質問だったようです。
そんなにしょっちゅうインドに行け、インドに行けって言ってるわけではないんですけども、この質問にお答えしていこうかなと思います。
「白い革命」が生んだ世界一の酪農大国
インドが世界一になった背景には、大きな国家プロジェクトがありました。「オペレーションフラッド」、インドでは「白い革命」とも呼ばれる取り組みです。
国家ぐるみで酪農協同組合を育て、農家の自立を支え、牛乳の安定供給と価格保証を実現した。その結果、かつて牛乳不足だった国が、わずか数十年で世界トップに立ちました。
ここで川上さんは、日本とインドの酪農の違いに目を向けます。
技術指導や個別経営が中心。一軒一軒の酪農家がバラバラで個性的なのが、いいところでもある
地域全体・組合主導で農家を支え、社会全体で牛乳を守る仕組みをつくった
さらに面白いのが、インドでは牛が神聖な存在として扱われていること。
この文化の前提が、酪農を単なる生産活動ではなく「社会的な営み」にしている。そこがインド酪農の面白さだと川上さんは話します。
日本で作るより、インドから輸入したほうがいい?
川上さんが「インドに行け」と話していたのは、2年ほど前の配信でのこと。当時の国際情勢が背景にあったといいます。
当時、安倍首相とインドのモディ首相が連携を深め、貿易を進めていこうという流れがありました。乳製品が伸びているのもわかっていたタイミングです。
そこで川上さんが立てたのが、日本で牛乳を作るより、インドで生産して輸入するほうが、日本の消費者にとって安定するという予測でした。
日本で牛乳を作るよりインドで牛乳を生産して、貿易の中でインドの乳製品を日本に輸入する方が、日本の国民にとっては牛乳、乳製品が安定するんじゃないかなっていう予測をお話ししていました。
インドではギーというバターのようなものを料理に大量に使います。このギーや粉乳が、すでに世界市場に出始めているそうです。
今はチーズの多くをヨーロッパから輸入していますが、将来は飲用向けの牛乳・乳製品もインドから入ってくるタイミングがあるのでは、というのが川上さんの見立てです。
担い手不足の日本酪農と、消費者にとってのメリット
では、この状況をどう考えればいいのか。川上さんは「消費者の立場」から話を進めます。
今の日本の酪農は、少子高齢化と担い手不足に直面しています。しかも、飼料や資材の多くを海外に依存しているのが実情です。
自給率100パーセントと言われてはいるものの、中身は輸入品に頼っている。酪農家は減り続け、一方で牛乳は余っていて「飲んでください」と呼びかけている状況です。
こうした不安定さを考えると、海外から多様な牛乳・乳製品が入ってくるほうが、消費者にとってはメリットが大きいのではないか、と川上さんは言います。
たとえば戦争などで原油が止まったり、牧草の種や牛の種が入ってこなくなったら、日本の酪農はすぐに国内自給が難しくなってしまう。だからこそ、直接いろんな国から手に入るほうが安心だという考えです。
すでに始まっている、日本からインドへの進出
この話は予測だけではありません。実際に動いている事例もあると川上さんは紹介します。
千葉県の成田ゆめ牧場が、2年ほど前に商社と組んでインドへの進出を発表。その後、成功しているというニュースが国内でも出ていたそうです。
日本の技術や技術者、商社がインドに投資し、酪農の基盤をつくりつつある。そんな流れがあるからこそ、川上さんは若い世代に向けてこう考えているのです。
日本で今厳しい状況で若い子が頑張るよりも、インドに行ってそういう体験をしてみてもらった方が、どんどん経済発展して伸びていくところで酪農に触れた方が面白いんじゃないかな。
日本で酪農をするにしても、インドで日本人技術者としてやっていくにしても、その経験は面白いはず。それが「インドに行け」という言葉の真意でした。
多様すぎるインド酪農と、川上さん自身の夢
川上さん自身も、あるつながりでインドで酪農をしている人とLINEでつながっているそうです。日本語がとても上手な方だといいます。
インドはとても広く、酪農の姿もさまざま。都市部にはハイテクな大規模牧場がある一方、田舎には昔ながらの牧場もあると話します。
- 1万頭規模でロボット搾乳を行う大規模牧場
- 牛にデバイスをつけ、行動量や発情を察知するハイテク牧場
- 庭先を牛が歩き、生ゴミを食べて帰り、乳搾りされてまた野原へ戻る昔ながらの牧場
YouTubeでも見たという川上さんは、この多様さに刺激を受けたようです。若い人が行けば、きっと刺激になって、それを日本に持ち帰れたら面白いだろうと語ります。
僕も行ってみたいってめちゃめちゃ思ってます。けど、なかなか牛飼いしながら行けないので、誰か後継者とかできたら行ってみたいなと思いますね。
自分も本当は行ってみたい。でも牛の世話があるから難しい。そんな本音も添えながら、川上さんは質問への回答を締めくくりました。
まとめ
今回は「なぜ若い酪農家はインドへ?」という質問から、世界一の牛乳大国インドと、これからの日本酪農の姿が見えてくる回でした。消費者目線で食料の安定を考える川上さんの視点が印象的です。
- 世界一の牛乳生産国はインドで、中国を抜いて一位になった
- インドは「白い革命」と呼ばれる組合主導の政策で、数十年で世界トップに立った
- 川上さんは「日本で作るよりインドから輸入するほうが消費者に安定的」と考えている
- 成田ゆめ牧場など、日本からインドへ進出する動きはすでに始まっている
- 若い世代が経済発展するインドで酪農に触れる経験は面白い、というのが「インドに行け」の真意




