今日の勉強テーマは「牛乳の種類」
今日の収録は10月6日の月曜日。いつものように研修生さんが牧場に来て、休憩をはさみながら勉強していく回です。
今日のテーマは、研修生さんが前から気になっていた「牛乳の種類」。スーパーに並ぶ牛乳を見ても、みんななんとなくしか分かっていないよね、というところからスタートです。
今日のお勉強したいことは、ノンホモとか、牛乳の種類というか。売ってるので、多分みんななんとなくわかってないと思う。
研修生さんは、いわゆるノンホモの牛乳が大好きなんだそう。パッケージの色までしっかり覚えているくらいのファンです。
水色のあのキス系のパスチャライズの。めっちゃ生クリームみたい。私は濃厚なの好き。割引したら絶対買います。
そもそもノンホモってなに?
まず川上さんが説明してくれたのは、ノンホモの「ホモ」の正体。じつは牛の種類の名前ではなく、加工のしかたを表す言葉なんです。
ジャージー牛乳はジャージーっていう牛の牛乳だってわかるんですけど、ノンホモ牛乳って言われると、ノンホモっていう種類がいるのかなって。
ノンホモの「ホモ」は、ホモゲナイザーという機械に由来します。牛乳の脂肪分を細かく均一にする「均質化」をする機械です。
搾りたての牛乳をそのままコップに注いで置いておくと、上のほうに脂肪分が浮いてきます。脂肪球には大きいものも小さいものもあるからです。
これをそのままパックに詰めると、パックの中で分離してしまいます。すると同じ商品でも、濃い牛乳を飲む人と薄い牛乳を飲む人が出てしまうんですね。
それをなくして品質を安定させるためにホモゲナイザーっていう機械にかけてホモゲナイズします。なので市販で売られている牛乳は全部ホモゲナイズされてます。
つまりノンホモとは、この均質化をしていない、昔ながらのままの牛乳のこと。「牛本来の牛乳」として売られていることが多いそうです。
日本で飼われている牛の品種
話は牛の品種にも広がります。ジャージー牛乳のように、牛の種類そのものがブランドになっているケースもあります。
川上さんによると、日本で乳用種として飼われている主な品種は、ホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイス、ガンジー、エアシャーの4大品種。
そのうち98%がホルスタインで、残りの2%がそういった珍しい牛たち。この品種の違いを独自ブランドとして販売しているところもあります。
乳用種として飼われてて、98%がホルスタインだけど、残りの2%がそういう変わった牛が飼われてますね。
なかにはユニークな売り方も。東京・八王子には、7種類の牛の牛乳を混ぜて「虹の7色の牛乳」として販売しているところもあるそうです。
殺菌方法で変わる味とコスト
ここで研修生さんが鋭い質問。ノンホモは均質化の手間がかからないのに、なぜ高いのか、という疑問です。
ノンホモの方が手間がかからないのに、なんで高いんですか?
じつは値段の差を生んでいるのは均質化ではなく「殺菌の温度と時間」です。ノンホモ牛乳は低温でじっくり殺菌する方式とセットで売られていることが多く、その分コストがかかっています。
一般的な牛乳は、120度で3秒だけ加熱する「高温殺菌」。短時間で大量の牛乳を殺菌できるのがメリットで、日本で売られている牛乳のほとんどがこの方式です。
一方、パスチャライズ(低温殺菌)は80度で30分かけて殺菌します。時間はかかりますが、高温殺菌のときに出やすい焦げ臭さや牛乳臭さを抑えられるのが特徴です。
この殺菌の違いを整理すると、次のようになります。
| 殺菌方法 | 温度・時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| 高温殺菌 | 120度で3秒 | 短時間で大量処理でき日本の主流 |
| 低温殺菌(パスチャライズ) | 80度で30分 | 風味が良いが手間とコスト大 |
| 超高温殺菌 | さらに高温 | 常温で長期保存できるロングライフ牛乳に使用 |
もうひとつが超高温殺菌。ロングライフ牛乳や、赤ちゃん用の常温保存できる災害用ミルクなどに使われる方式です。
光を通さないアルミパックなどに詰めることで、常温でも半年ほど日持ちします。海外、とくにアメリカのように輸送距離が長い地域では主流なんだそう。
味については、川上さんいわく昔の超高温殺菌牛乳は独特だったとか。
昔のやつはマジでプラスチック飲んでるみたい。工業製品みたいな匂いがして、嫌でしたけど。
今は改良が進んで、日本のロングライフ牛乳はかなり美味しくなっているそうです。
結局、低温殺菌は手間もコストもかかり、賞味期限も短いので生産ロスも出やすい。それでも売られているのは、市場での差別化や希少価値という側面が大きいと川上さんは話します。
美味しかったらいいじゃないか。でもその歴史的背景だとやっぱり差別化なんで。市場の中でその希少価値が生まれるっていうのが商品価値じゃないですか。
日本の牛乳流通のすごさ
ここで川上さんが力を込めて語ったのが、日本の流通網のすごさです。
120度3秒殺菌の牛乳を、北海道から沖縄まで冷たいまま届けきる。この仕組みは「コールドチェーン」と呼ばれます。
面白いのは、牛乳を運ぶタンクローリーには冷却機能がないという点。運んでいる間に温度は少しずつ上がってしまいます。
そこで、次の牧場で冷たい牛乳を吸うことでタンク内を冷やし直しながら運ぶのだそう。この工夫を繰り返して、工場まで低温を保ちます。
この日本の流通システムを、東南アジアなどこれから発展していく地域に導入しようというプロジェクトもあるそうです。
瓶からパックへ、そして牛乳配達のいま
研修生さんが思い出したのは、昔ながらの牛乳瓶。銭湯で飲む瓶牛乳のイメージです。
瓶からパックへ主流が変わった理由は、まず流通の重さ。そしてどんなに気をつけてもガラスは割れてしまい、その費用がかさむことでした。
ただ、瓶牛乳のほうが美味しいという研究もあるそうです。口に入るときの空気の入り具合などで風味が変わるのだとか。
瓶牛乳で飲んだ方が牛乳がおいしいって言われてる。もう科学的に。口に入る時の空気の入り具合とかで風味が違うっていう。
都内には今も瓶牛乳が多いというコメントも。ただ瓶はコストが見合わず撤退が早い地域も多く、小学校では割れて怪我やこぼれのトラブルもあったそうです。
話は牛乳配達の今にも広がります。ヤクルトレディーなどは、配達だけでなく高齢者への声かけや、電球の交換・掃除といった生活サポートも始めているとのこと。
さらにメルカリと提携して、訪問時に不用品を買い取るサービスも登場。地方こそ需要があると川上さんは見ています。
なぜ日本には地域ごとの牛乳が多いのか
最後の話題は、日本で地域ごとの牛乳が多い理由。研修生さんは、日本人が産地にこだわるからかと思っていたそうです。
じつは背景にあるのは歴史。昔は各地域に牛乳を搾る人がいて、自転車で運び、お豆腐屋さんのように笛を吹いて回っていたのだそう。
そこから「あの人の牛乳は飲むけど、あの人のはいらない」という空気が生まれ、地域ごとにJA(協同組合)へまとまっていった流れがあると言います。
海外は、大きな乳業メーカーに対して牧場が一軒ずつ価格交渉する形が多いとのこと。国土の広さや歴史の違いが、こうした差につながっているんですね。
あの人の牛乳は飲むけど、あの人の牛乳はいらないみたいな感じになったエリアがあって、JAっていう協同組合という形になった歴史の流れがある。
まとめ
何気なく買っている牛乳も、種類や殺菌方法、流通のしくみを知ると見え方が変わってきますよね。次にスーパーで牛乳を選ぶとき、ラベルの表示をちょっと見比べてみると楽しいかもしれません。
- ノンホモは牛の種類ではなく、脂肪分を均一にする「均質化」をしていない牛乳のこと
- 値段の差は均質化より殺菌方法の違いが大きく、低温殺菌は手間もコストもかかる
- 殺菌方法は主に高温殺菌・低温殺菌・超高温殺菌の3種類
- 日本は北海道から沖縄まで低温を保つコールドチェーンが張り巡らされている
- 地域ごとに牛乳が多いのは、牛乳屋から協同組合へと発展した日本独特の歴史が背景にある

