お小遣い1万円、中学生ならどう使う?
島根県出雲市の川上牧場の配信では、水曜と金曜に中学生が職場体験に来ています。この日は、前日のライフプランシミュレーションに続いて、職場体験恒例の「お金の勉強」がテーマです。
前日のライフプランシミュレーションでは、人生にどれだけお金がかかるかを計算しました。川上さんが「人生楽しめそうですか?大変そうですか?」と聞くと、中学生の答えは「大変そう」でした。
大変そう。楽しんでほしいんだけどね。せっかくなんでね。人生1回きりなんで。
お金の勉強は、川上さんが「1万円もらったら何に使う?」と問いかけるところから始まります。中学生はまず服に3000円、遊びに行くのに5000円を使い、残りの2000円は貯金すると答えました。
ゲーム買っちゃうぜ。なんか映画見ちゃうぜとか、推し活しちゃうぜみたいなのない?今の中学生だったら。
川上さんは、使わずに残す選択肢として、貯金のほかに募金や寄付も挙げていました。最初の配分はシンプルに「服・遊び・貯金」の3つです。
スマホ代や部活の道具は消費か、投資か
1万円の配分が決まったところで、川上さんはお金の使い道を5つに分類します。今日扱うのは、消費・浪費・借金・貯金・投資の5つです。
服・遊び・貯金のうち、消費にあたるものを聞かれた中学生は「服と遊び」と答えました。消費とは何かという問いには、ひと言で「なくなる」と返しています。
そうそうそうそう、本当にそうそうそうそう。使ったらなくなるけど、自分の生活に必要な価値を受け取っている。
次の問いはスマホ代です。中学生は「消費」と答え、川上さんも、なくてはならないものだと認めます。ただし同じスマホ代でも、何もないことにダラダラ使えば浪費になり、配信などでお金を稼ぐなら投資になる、と話しています。
服も同じで、ファッションリーダーやインフルエンサーを目指して服を買うなら、消費ではなく投資になります。使い方次第で、同じ出費でも分類が変わるというのが、この章のポイントです。
| 対象 | 消費になる使い方 | 投資になる使い方 |
|---|---|---|
| スマホ代 | 生活に欠かせない連絡などに使う | 配信などをしてお金を稼ぐ |
| 服 | 着るために買う | ファッションリーダーやインフルエンサーを目指す |
部活の道具について中学生は最初「消費」と考えましたが、部活が役に立っていると確認すると、川上さんは「じゃあもう投資にしときましょうよ」と返していました。
浪費は「必要のないもの」を買うことではない
続いて川上さんは、コンビニで毎日500円のお菓子を買うのは浪費か消費か、推しのライブに1万円使うのはどちらか、と問いかけます。中学生は推し活もゲームもあまりしないと答え、川上さんは「いいですね」と受け止めていました。
推し活について川上さんは、元気をもらえるなら人によっては投資にもなり、浪費か消費かも人それぞれだと話します。そのうえで、浪費の考え方を次のように整理しました。
浪費というものはですね、単純に必要のないものを買うことではないということですね。
本人が楽しかったりとかですね、人生が豊かになるためなら価値があると思ってください。
川上さんによると、浪費に近いのは「なんとなく使って後で後悔するお金」です。中学生の例として、買ったのに使わなかった靴が出てきました。
使わなかった靴は浪費ですが、友達にあげるなど有効活用すれば浪費ではなくなるかもしれない、と川上さんは話しています。お金の価値は金額だけでは決まらない、という考え方です。
貯金は「未来の自分に渡すお金」
貯金について川上さんは、使わないことではなく、今のお金を未来の自分に渡す行為だと説明します。最初の配分で貯金した2000円も、1年後に欲しいものを買ったり、急な出費に備えたりできるお金です。
何のために貯金したいかを聞かれた中学生は、前日のライフプランシミュレーションで出てきた大きな出費である「大学」と答えました。川上さんは「聞いてますか?お父さんお母さん」と、配信の向こうの保護者に呼びかけています。
高価なブランド服やアクセサリーなど、欲しいものはあるかと聞くと、中学生は物欲はあまりないと答えます。川上さんは、それは「めっちゃいい才能」だと話していました。
他の人なにあれが欲しい、これが欲しいと思ってる中に、自分は別にそうかなって思いながらお金が貯まっていくから、めっちゃいい才能です、それ。
貯金で大切なのは、目的のない貯金より目的のある貯金だと川上さんは強調します。お金は使わないと意味がないので、貯金も目的を持ってしたほうがいい、という考え方です。
借金は悪いもの?「時間を買う」という見方
借金はいいものか悪いものかと聞かれ、中学生は「悪いもの」と答えます。川上さんは「その答えを待っていました」と受け、借金を別の角度から説明しました。
今のお金を未来の自分に送る
未来のお金を今に持ってくる
欲しい服が今手に入るか、何年か待つかで何が変わるかという問いに、中学生は「長く着れる」と答えます。川上さんは、時間は買えないものであり、それができるのが借金だと話しています。
具体例として挙がったのは、住宅ローン、奨学金、車です。車が今手に入れば移動距離が広がり、行きたい場所にも行けるようになります。
住宅ローンについては、前日の計算で数千万円かかることがわかっていました。理想の家に今すぐ住むのと、何年も貯めてから建てるのとどちらが楽しく過ごせるかという問いに、中学生は「今」と答えています。それでも中学生はまだ借金を警戒していて、川上さんも「まだわかんないよね」と受け止めていました。
借金で気をつけたい「返せるか」と利息
借金の注意点として川上さんが挙げたのは、返せるかどうかと、利息 ── お金を借りた人が、借りた期間に応じて元のお金に上乗せして払うお金。その割合を金利と呼びますの2つです。お金を借りると、借りている間の分だけ割増しして返すことになります。
川上さんの例では、1000万円を10年で返す場合、金利が2%ほどなら返す総額は1200万円ぐらいになるかもしれない、とのことです。銀行から借りるとこうした利息がつき、その借金で何が残るのかを考える必要がある、と話しています。
借金は悪者ではなく、でも未来の自分に約束をさせる行為になります。はい、絶対返せますかってところですね。
投資は株だけ?勉強も部活も自分への投資
投資について、中学生は「聞いたことはあります」と答えたものの、具体例はなかなか出てきませんでした。川上さんは、会社の株を買う株式投資 ── 企業が発行する株を買い、株価の値上がりや配当で利益を得ることをめざす投資のことを挙げたうえで、投資の意味を広げていきます。
- 英検のテキストや本を買う
- 勉強をする、資格を取る
- パソコンを買って新しいことを始める
- 部活を頑張り、部活用品を買う
これらはすべて自分への投資だと川上さんは説明します。また、来年から子どもNISAが始まり、親の名義を使って子どもも株式などを買えるようになるとして、少し勉強してみるといいと勧めていました。
学んだあと、1万円の使い道はどう変わった?
お金の分類を学んだあと、川上さんはもう一度「1万円を渡されたら何に使うか」と聞きました。中学生の答えは、最初と比べてはっきり変わっています。
服3000円、遊び5000円、貯金2000円
服2000円、遊び4000円、貯金2000円、勉強道具2000円
お父さんお母さん泣いちゃうよ、これ。
川上さんは、この配分で消費・浪費・貯金・投資がそろい、バランスとしてとてもいいと評価します。服や遊びでテンションが上がれば勉強やスポーツも頑張れるので、自分に投資するのは大事だと話していました。
インフレでは、おにぎりが買える数が減っていく
貯金した2000円を銀行に預けると答えた中学生に、川上さんはインフレとデフレを知っているかと尋ねます。中学生は「わかんない」と答え、おにぎりを例に説明が始まりました。
今日おにぎりを買うと200円ぐらいで、来年は300円ぐらいになっているかもしれない、と中学生は答えます。2000円なら今日は10個買えますが、300円になると6〜7個しか買えません。
今日
おにぎり200円、2000円で10個買える
来年
おにぎりが300円ぐらいに値上がり
手元の2000円
貯金なので金額は変わらない
結果
6〜7個しか買えず、お金の価値が落ちている
川上さんの子どもの頃はデフレで、物の値段が下がり、スマホや車も中古になると安くなっていったといいます。今は逆に物の値段が上がり、中古でもあまり値段が落ちない状況になっている、と話しています。
そのため、未来のために貯金し続けると、貯金すればするほどお金の価値が落ちていく可能性が高いと川上さんは言います。2000円ではなく200万円、300万円になれば、その分さらに目減りします。ただし、物によって値段の変わり方は違うので、わからない部分もあるとも付け加えていました。
勉強の価値は来年、下がる?増える?
一方で、勉強や資格取得といった自分への投資は、来年どんな価値になっているかと川上さんは問いかけます。中学生の答えは「下がる」、理由は「忘れる」でした。
面白い発想だそれ。そういうのあるね。確かに忘れるよね。
川上さんは、勉強が仕事に生きたり、新しい興味が生まれてまた勉強したりすると、価値が2倍、3倍に膨らんでいくと説明します。これを複利 ── 得た利益を元手に加えて、さらに利益を生み出していく仕組み。期間が長いほど増え方が大きくなりますと呼び、投資にはそれがあると話しています。
1年間勉強した自分と、しなかった自分のどちらが生きやすいかと聞かれ、中学生は「勉強してる」と答えました。若いうちに早く投資し、長い期間で考えるほどリターンは大きくなる、というのが川上さんのまとめです。
お金持ちになるには、使わない?うまく使う?
最後の問いは、お金持ちになるにはお金を使わないことが大事か、うまく使うことが大事か、というものでした。答えは「うまく使う」で、川上さんは「それを覚えてもらえるといいですね」と応じています。
80歳になっても1億円持ってます。老後は安泰でしょう。だけど、明日死ぬかもしれないじゃないですか。
川上さんは、80歳でディズニーランドに行こうと思っても、膝が痛かったり、一緒に楽しめる友達がいなかったりするかもしれない、と例を挙げます。そうしたことも考えて、貯金したり使ったりしていくといい、と話していました。
さらに、1万円だけでなく100万円、1000万円、1億円あったら何ができるかを考えると、人生設計が楽になるといいます。「あれが欲しいけどどうしよう」ではなく、「これとこれをやればいけそう」と見えてくる、という考え方です。
牛の購入にもある、投資のリスク
ほかに聞きたいことを尋ねても、中学生は特にないと答えました。そこで川上さんは「ちなみに川上さんめちゃめちゃ借金あります」と明かし、牧場の仕事で投資のリスクを説明します。
牛を買えば、子牛が生まれたり牛乳を出したりしてお金になります。ただ、夏の暑さで病気になって死んでしまえば、投資した分が返ってこないこともある、と川上さんは話しています。
勉強という投資にもリスクがあります。将来のために勉強して友達の誘いを断ると、10代で友達と遊ぶ経験は20歳、30歳になってからでは取り返せません。
これがめちゃめちゃ難しいです。
投資にもリスクがあると知っておけば、いい人生が送れると思う、と川上さんは締めくくりました。こうして3日間の職場体験配信が終わり、番組はお便りや感想の募集の案内で閉じられています。
まとめ
職場体験の中学生とのお金の勉強は、1万円の使い道を考え直すことから始まり、5つの分類、インフレ、複利、投資のリスクへと広がりました。お金は貯めるだけでなく、目的を持ってうまく使うことが大事、というのがこの回の着地点です。
- 同じ出費でも使い方次第で消費・浪費・投資に分かれ、浪費は「なんとなく使って後悔するお金」に近い
- 貯金は今のお金を未来へ、借金は未来のお金を今へ。借金は時間を買う手段だが、返せるかと利息に注意
- インフレの時代は、貯金しているだけでお金の価値が落ちていく可能性がある
- 勉強や部活など自分への投資は、早く始めるほど複利のように膨らむ一方、取り返せない時間というリスクもある






