子牛の離乳後、育成期の飼料設計はどこから始まる?
今回のテーマは、育成牛の飼料設計です。川上牧場の川上さんが、飼料メーカー(イノウさんの営業マン)からもらった育成期のマニュアルを見ながら、そこに自分のやり方を重ねて話していく形で進みます。
前回の子牛の哺乳の回では、離乳まではミルク飲み放題でスターターをたくさん食べさせ、出生体重の2倍ぐらいまで大きくする、という話でした。今回はその続きで、離乳して育成配合を食べられるようになる3ヶ月齢ごろから話が始まります。
育成期の重要性について、マニュアルには離乳後の体重、受胎時の体重、分娩時の体重が、その後の乳量に大きく影響すると書かれています。ここを外すと、あとで取り返しがつきにくい時期です。
初回分娩を迎える24ヶ月ぐらい、全国平均がそれぐらいなので、24ヶ月から26ヶ月ぐらいが初回分娩なので、それぐらいの間の育成の餌をちょっと勉強していきます。
乳腺が育つ「危険期間」とは何か
マニュアルには、3ヶ月齢ごろの育成の考え方が細かく書かれています。この時期にエネルギーを与えすぎると乳腺の発達を阻害し、将来的に乳生産量が減ってしまう、というのがポイントです。
ルーメンに対するルーメンの相対成長は、おおむね3〜4ヶ月程度で終わり、これ以降は粗飼料からの栄養摂取の割合が増えていく、とされています。乳牛は3〜6ヶ月齢で乳腺細胞の発達が活発になり、乳管は体重の増加速度の3.5倍もの速さで伸びていくそうです。
ただしこの時期に脂肪をつけすぎると乳腺が十分に発達できず、その後の泌乳成績が悪くなります。だから3〜9ヶ月齢は「危険期間」と呼ばれています。
この時期に脂肪組織が多く乳腺を十分に発達できないと、その後の泌乳成績が悪くなるから危険期間と呼ばれています。
川上さんはこの流れを、自分なりのイメージで整理して話します。3ヶ月齢までにルーメンができて、6ヶ月齢ぐらいまでにそのルーメンが確立し、そこから初回分娩ぐらいまでは粗飼料をいっぱい食べてルーメンの容積を広げていく、という捉え方です。
結論としては、大きくはするけれど、無駄な脂肪はつけさせないというのが、この時期の育成の基本方針になります。
育成の飼料設計は「どんな経産牛を作りたいか」から逆算する
育成期で何より大事なのは、初回分娩したあとにどういう経産牛を作りたいか、という明確な目標を持つことだと川上さんは話します。
初産分娩のその時に体重が何キロで、体重が何キロだったら、それを21ヶ月齢で初回分娩をするのか、24ヶ月齢で初回分娩をするのかで分かれる。
目標を決めるときの物差しになるのが、1日にどれだけ大きくなるかを表す「デイリーゲイン(DG)」です。1日1kg大きくなれば、365日で365kg大きくなる、というシンプルな計算になります。
初回分娩をどれくらいに設定するかが決まれば、必要な1日増体量が決まり、そこから1日ごとに与えるべき飼料の量も決まってきます。あとは寒さや暑さのストレスを減らして、それをきちんと食べさせられれば、目標どおりの初産牛が仕上がる、という理屈です。
初産乳量を狙うか、生涯乳量を狙うか
育成の飼い方は、大きく2つの方向に分かれる、という話に進みます。1回目の乳期の乳量を高く求める飼い方と、生涯を通じた乳量を求める飼い方です。
ここ10〜20年ほど流行っている「強化保育」は、初産分娩から高い乳量を出させることを狙った飼い方です。育成の時からタンパクを高めて脂肪を落とし、初産からドカッと乳を出させます。
育成からタンパクを高めて脂肪を落とし、初産からドカッと乳を出させる。良質な粗飼料がそろう環境に向く。
初産では無理に出させず、細く長く搾り続ける。二産、三産と長く生産させることを狙う。
生涯1位を初めから1位1位というかをとるみたいな飼い方というか。
一方で川上さんの牧場は、初産もつなぎ飼いで、しかも21ヶ月で初産分娩させます。まだ体の成長分も残っているうえに乳も出し、そのうえで妊娠もさせなければなりません。
いろんな障害がいっぱいあると、初産で潰れてしまって、なかなか二産、三産、五産目に行かないよっていうのが、まあ今まで僕も悩みだったので。
つまり、どちらの飼い方が正しいという話ではなく、ゴール地点が違うから飼い方も変わる、というのがこの回の軸になっています。
CPの設定は「給与メニュー全体」で見る
川上さんが今使っている農産のマニュアルは、生涯乳量をイメージした設計です。育成体重100kgから200kgでは、CP14程度が望ましいと書かれています。
農産のやつは強化保育じゃなくて、生涯生産乳量をイメージした感じ。だからあんまりCPの設定が高くないですね、今までの強化保育に比べては。
ここで研修生が「CPをもっと上げ気味でやるところもあるのでは」と質問します。従来の強化保育では、配合のCPが18ぐらいでルーサンを食べさせて大豆かすをやる、というやり方が多かったからです。
大事なのは、このCP14という数字が「給与メニュー全体」の話だという点です。粗飼料も濃厚飼料も全部食べたうえでの合計を見る、という考え方です。
本当にうちみたいに粗飼料の質が悪かったら、ちょっと配合飼料の質を高めてあげないと、ここの設定には合わないようになっちゃう。
川上さんは、実際の飼料設計の例も挙げます。CP20%の配合2kg、クレイン2kg、アルファ2kgでやるとCP16.4になり、これは過剰。CP2kgでクレイン4kgだと全体のCPが13.9で、ちょうどよい、という具合です。
マニュアルの「13ヶ月」に隠された意味
育成200〜350kgの次の段階では、CPは12程度が望ましく、少し下げてもよいとされています。マニュアルには「13ヶ月」という表記が出てきますが、これはちょうど種付け時期を指しています。
その13ヶ月って書いてる時点でもう、その意味合いとして種付け。
川上さんの牧場では12ヶ月で種付けしていくので、13ヶ月の段階ではもう妊娠している牛もいるかもしれません。研修生は、こうした「隠語」のような数字が、マニュアルを読むだけでは読み取れない、と指摘します。
これをね、見るだけじゃ読み取れへんというか、書いてくれてない。でもそこはここやみたいな。
同じように「6ヶ月」は182日を指し、この時期は配合飼料メインから粗飼料メインへと切り替わっていく、いわば大人と同じ餌給に近づく時期です。牛の一生は、日割りに近い形でやることがほぼ決まっている、という話でもあります。
種付けの前後で、育成の方向性は変わる
育成前期(3ヶ月から種付けまで)のポイントは、目標デイリーゲインが0.8〜0.9、種付け時の目標体重が350kgです。受胎時の体重が1kg増えると、乳量が8kg増えるとされています。
この期間は体格が大きく成長ホルモン(GH)の分泌が盛ん。体高もぐんと大きくなり、この時適正なCP、TDNを提供することで体格をしっかり作ることができる。
3〜12ヶ月の間に体高は30cmも伸び、成長ホルモンがドバドバ出てくる、というのが前期の特徴です。増体を高めること自体は悪くなく、悪いのはエネルギーの過剰だ、とマニュアルには書かれています。
一方、育成後期は種がついたあとの時期です。種がつくとみんな安心してしまいますが、ここで気を抜かず、成長のための養分を与えつつ、泌乳に向けて適度な体脂肪を蓄えさせるのが目標になります。
育成前期。成長ホルモンが盛んに出て体格・体高を作る時期。CP・TDNをしっかり与える。
育成後期。適度な体脂肪を蓄え、泌乳に向けて準備する時期。若干こちゃっとさせていく。
前期と後期、種ついた前と種ついた後じゃ、もう方向性というか、求めるものは全然変わっちゃうっていうことなんですよね。
川上さんによれば、体が小さいうちに早く種をつけると、自分の体を成長させるホルモンの働きが止まりやすくなります。赤ちゃんへエネルギーを送る働きと、自分の体を大きくする働きの、両方に養分を割り振ることになるからです。
なかなか体が大きくならないやつに早く種をつけちゃうと、もう自分の体の成長に回そうっていうホルモンが止まるというか。
ただし、良い餌がずっと手に入る環境なら、成長と妊娠の両方を両立させることもできる、とも川上さんは付け加えます。
自家育成の強みは「搾乳牛の餌に早くから慣らせる」こと
川上さんが使っている配合は「ニューグローバルキー」です。粗タンパク16.0、TDN70などの成分で、これで育成前期も後期も、あとは粗飼料を変えるだけで対応できる設計になっています。
ここで川上さんは、自家育成の一番のメリットを語ります。それは、搾乳牛になったときの餌に、育成期のうちから慣らしておけることです。
最後の自分のやるところの搾乳牛の餌をターゲットで見ながら育成期の餌も考えると、順調にルーメンの中の微生物が動くような飼い方ができる。
たとえば嗜好性の悪い添加剤でも、哺乳期の段階から飲ませておけば、牛はずっと慣れているので抵抗なく食べます。搾乳牛になってパラパラかけても、ガツガツ食べてくれるそうです。
これに対して北海道などから牛を導入すると、餌も場所も一気に変わります。研修生は、それを人間のホームシックのようなものだと例えます。
ご飯も場所もちゃうし。ってなると、まあホームシックじゃないけど。
育成の群分けと、マニュアル化しにくい「さじ加減」
乳用雌育成体系のマニュアルには、体重4ヶ月で139kgなら乳育成配合が3kg、粗飼料1.5kgといった目安が示されています。ただし川上さんは、体重や食いを見ながら調整することが大前提だと話します。
粗飼料はチモシーやクレインなどの稲科牧草がおすすめですが、値段が高いため、輸入牧草でもバキバキでなければ使えるとされています。その場合はタンパクが足りているか、全体メニューの成分を確認するよう書かれています。
ここから研修生の問いは、飼料の量そのものより、育成をどう群分けするか、という運用の話へと広がっていきます。育成は全員に同じブースがあるわけではなく、同じ量を食べられているとも限らないからです。
もっとちょっと大きい括りで、これぐらいにしようとか、これぐらいにあげようっていうのが、やってる人らの感覚なのかなと。
これに対して川上さんは、育成をどう考えているかがすべてだと答えます。
ただ飯食いの、将来搾るけど今稼いでないから適当に飼うかって思うのか、これからうちを支えてくれる育成だから大事に飼うのか。
育成に手をかけるか、初妊牛を買うか
日本には、お金を出せば育成、つまり初妊牛を買える市場があります。だからこそ自家育成をするなら、それを超える価値を出し、しかも安くやらなければ意味がない、と川上さんは考えています。
それを超えなきゃ面白くないし、なおかつそれを安くやらなきゃ意味がない。
手間や技術、考えること自体が嫌なら、初妊牛を買ってくるほうが安く済む場合もあります。だから、自分がどこに行きたいのかを明確にしてからスタートしないといけない、というのが川上さんの立場です。
自分がどこに行きたいのかを明確にしてからスタートしないと、やっぱダメだよね。
研修生も、そもそも自分の目指す方向がそこにないのなら、育成をしないほうが経営全体としてうまくいく可能性もある、と応じます。ゲノム検査でいい牛を産ませても、能力を発揮できる育成管理をしなければ意味がない、という前提の話です。
川上牧場の実際のやり方と、育成期の変遷
ここから川上さんが、自分の牧場の実際の飼い方を語ります。育成前期後期に絞ると、育成3ヶ月から6ヶ月までは搾乳用のPMR(TMR)に柔らかい草を合わせ、いい粗飼料と配合を食べれるだけ食べさせる感覚でやっているそうです。
川上さんの育成前期・後期の区切りは、おおむね12ヶ月です。生まれてから種付けまでが前期、種付けしてから分娩までが後期、という分け方になります。
ただ、哺乳と離乳の境目や、育成期の内訳は一定のようで一定ではありません。研修生は、この分かりにくさこそがマニュアル化を難しくしている、と指摘します。
体の成長、ちょっと発育が遅いからちょっと遅めようかとか、体がもう出来上がり過ぎてるから早めにしようかっていうパターンだから、その何日やからでもなかったり。
川上さんの牧場は群を柵で分けられるので調整しやすいのですが、育成が全部一緒の飼養環境だとそうはいきません。その場合は、前期には少し足りず後期には過剰になる、といったさじ加減を理解したうえで飼料設計する必要があります。
育成前期に対してはちょっと足りないけど、育成後期のやつは満たされるか、そのさじ加減を見て、それを理解して初産牛が生まれてっていうのを理解して飼料設計しなきゃダメ。
なぜマニュアルには「無駄なこと」を書くべきなのか
話は飼料設計から、マニュアルのあり方へと深まっていきます。研修生は、決まった量(グラム数)を決めることは大事だとしたうえで、それだけで終わるマニュアルには意味がない、と語ります。
ルールがあるからルールを破ることができるわけで。ルールなかったらルールを破ることができない。
たとえば「体を大きくしてムキムキ系にする」と方針を切り替えたいとき、もともと強化保育でやっていれば、そのルールを破る必要すらありません。つまり、うちはこういう牛を目指しているから、この時期にこうしている、というつながりが見えることが大事なのです。
うちはこれを目指してます。こういう飼い方をしたいから、この時期にこうしてます。というつながりの部分が、あのマニュアル含めて。
研修生は、飼料が手に入らなくなったときの代用や計算も、この「つながり」がわかっていないとできない、と続けます。ある飼料が消えたら、どの栄養素がなくなり、牛にとってどう影響するのか、という判断のためにも、全体の大きさを認識させておくべきだ、という話です。
人間にシンプルに伝えると、人間はバカになる
研修生は、栄養素を炭水化物・タンパク質・脂肪・ミネラルといった要素に分けて、そのバランスを視覚的に見せることの効果を語ります。パーセンテージだけでなく、視覚的に統一されていると記憶に残りやすいからです。
これを受けて川上さんは、育成前期後期のグラフを作り、ニューグローバルキーが全体の中でどれくらいの比重を占めるかを視覚化すれば、「これは外せない」と一発でわかる、と応じます。
育成前期後期のグラフを作って、ニューグローバルキーがこの資料とか全体の中でどれくらいのものがあるかが視覚的に一発で見えると、外せないねってなってくる。
研修生は、従来のマニュアル作りが「無駄なものを全部切る」方向だったことに疑問を投げかけます。ロボットに伝えるならシンプルでいいけれど、人間相手ではそうはいかない、というのです。
だからこそ、その作業には直接関係ないように見える他所のやり方や全国平均も、あえて常に見えるようにしておく。すると「なんでうちはこれをやってるんだ?」という問いが生まれ、考えるきっかけになる、という考え方です。
マニュアルは「分身の術」であり、後継のための道具
川上さんの牧場では、群を柵で分け、離乳後の食いが遅い牛は6ヶ月で移動させず、7〜8ヶ月まで置いてルーメンの確立を確認してから次に移す、といった調整をしています。マニュアルには書いていないけれど、そこを見ている、というやり方です。
一応マニュアルとか作ってないけど、僕はそういうところを見てるよっていう。
研修生は、こうした言葉にしていない行為をどうにか言語化することが、後継者を作るうえで欠かせない、と語ります。それを残さなかったために、自分がいないと成り立たない牧場になり、解散に至るケースがある、というのです。
親父はこう言うけど隠れて別のやり方をしている、という状況では、後継者はうまく育ちません。相手の考え方をリスペクトして話すためにも、自分の方程式を言葉にしておくべきだ、という主張です。
「どこを見ているか」を言葉にする
研修生は、同じ牛を見ても、人によって知り得ている情報が違うと指摘します。よその24ヶ月の牛を見るときと、自分のところの24ヶ月を見るときとでは、見ている場所も持っている情報も違うからです。
どこから見た時でも、その格子の状態でパッと見た時に、知り得る情報と、今まで2年見てきてるからわかる情報。
だからこそ「どこを見ていますか」という項目を書き出していくことに意味がある、と研修生は言います。この要素がわかるときはこう考え、この要素しかわからないときはここで評価する、といった判断の道筋をマニュアルにできるからです。
川上さんは、牛群検定をしなければ一乳期の乳量も生涯乳量もわからない、という具体例を挙げます。検定をしていなければ、初産分娩でバケットに「いっぱい出とるわ」と見るくらいのことしかできません。
正直牛群検定しないと、一乳期の乳量も生涯乳量もわからないからね。
たとえ検定をしていなくても、その人なりの計算式や見方はあるはずです。その方程式をマニュアルとして残せれば、次の人に継承できる、というのが研修生の見立てです。
評価されない強みと、飼い方の「タイプ」
川上さんは、強化保育から今の農産のマニュアルに変えたことで、初産分娩の一乳期乳量はおそらく減っている、と話します。強化保育のほうが乳は出るからです。
しかし、種がバスッとついて病気が少ない、といった価値は、乳量という項目では評価されません。強化保育のメインはあくまで乳量だからです。
だけどバスッと種がついて病気が少ないみたいなのは評価されないわけだよ。
だから項目そのものを増やしたいわけではなく、そうしないと正当な判断ができない、と研修生は言います。あとから来た人が、それぞれの飼い方のメリットを正しく比べられるようにするための話です。
川上さんの牛は、21ヶ月で初産分娩し、育種価が高いと言われても、初産では乳を出さない飼い方をしています。買った人に「乳が出ないじゃないか」と言われることもあるそうです。
じゃあまあそれを5年6年飼ってみてくださいと。
研修生は、これを「即効型」と「スロースターター型」という飼い方のタイプの違いとして整理します。買う側が今どちらを求めているかで選ぶべきなのに、そこが明確でないまま、なんとなくの付き合いでマッチングしてしまっている、というのが問題意識です。
これ後からタイプやん。これはもう即効型やん。全然あなたが求めるのは今どっちかで買わなあかんし。
自分の「属性」を自覚し、環境ごと見直す
研修生は、どの牧場にも必ず癖や属性がある、と強調します。「自分には何もない」と言う人ほど、実は強い癖があるものだ、というのです。
いや、めっちゃ癖あるって。なくて七癖やで。ゼロで七やねん。
自分がバランス型だと言いながら、実際にはランダムに飼っているようなこともあります。だからこそ、それぞれの地域や牧場が持つ特色を改めて自覚し、それに合った戦い方をすべきだ、というのが研修生の主張です。
そして飼料選びも同じで、親のつながりだけで買うのではなく、自分が目指す飼い方に合わせて飼料設計そのものを考えるべきだ、と続きます。
川上さんも、飼料設計は使用環境や飼養環境の要因が大きい、と応じます。子牛から育成に入っていくとき、子牛がしっかりしていなければ育成期でちゃんと食べられない、というつながりも同じです。
子牛から育成に入っていくけど、やっぱり子牛がしっかりしないと育成期でちゃんと食べれない。
研修生は、環境を整えたうえでさらに美味しくしよう、というのが本来の順番だと、ステーキの例えで表現します。最高級の肉でも、嫌いな人がワーワー言う場所で食べたら美味しくない、というわけです。
マニュアルは「うちの強み」を言葉にする道具
最後に研修生は、マニュアルを作ることで「ここは強みと言える」という部分がしっかり見えてくる、とまとめます。
うちの良さはどこですか?なんかみんなの雰囲気がいいとかじゃなくて、ここを考えてこういうことやってるから、こういうところが強みと言える。
雰囲気の良さといった曖昧な言葉ではなく、何を考えてどう飼っているから強いのか、を明確にするためにも、マニュアルのようなものは要る、という結論です。
川上さんは、育成は搾乳に向かう準備段階なので、農場としてはあまり変化がなく、同じような餌をずっとやり続ける部分だと話します。
どこに向かいたいかで決めて飼料設計して、それをやり続けて、なんか問題があればまたそこを戻していくような考え方かな。
そう話して、川上さんはこの日の研修トークを終え、搾乳へと向かいました。
まとめ
育成の飼料設計は、CPやデイリーゲインといった数字の話でありながら、その根っこには「どんな牛を、どんな経営で作りたいか」という目標があります。今回の研修トークは、飼料設計から後継やマニュアルの話まで自然につながる、川上牧場らしい一本でした。
- 育成の飼料設計は、初回分娩の目標から逆算し、1日増体量(デイリーゲイン)で必要な飼料量を決める
- 3〜9ヶ月齢は乳腺が育つ危険期間で、大きくはするが無駄な脂肪はつけさせないのが基本
- CPは配合単体でなく「給与メニュー全体」で見る。強化保育か生涯乳量重視かでゴールが変わる
- 自家育成の強みは、搾乳牛の餌に子牛のうちから慣らし、ルーメン微生物を安定させられること
- 言葉にしていない飼い方を残すマニュアルは、後継者を育て「うちの強み」を明確にする道具になる




