バズった松浦さんのnoteは「99%自動化」だった
中村さんはまず、少し前にエーベックスの松浦勝人さんが書いていたnoteを話題にします。数千いいねがつくほどバズった投稿でした。
ところが3〜4記事アップしたあたりで、松浦さんはその制作の裏側を明かしたといいます。
もうこれは全部AIに書かせていますと。自分はパスワードぐらいしか打っていなくて、あとはもう本当に全部99%ほぼ自動化してますみたいな
つまり編集も推敲もなく、noteへポン出しするような運用だったということです。
その原料になっているのは、過去に松浦さんが発信してきたテキストや音声のデータだと中村さんは推測します。膨大な発信内容を読み込ませ、プロンプトを組んで、自動でnoteにアップするようAIに命じているのではないか、という見立てです。
理解はできる、でも思ったより多い嫌悪感
「全部AIでやっています」という明かし方に対して、嫌悪感を示す人が多かったと中村さんは振り返ります。
まあ理解はできるなと思いながら、でもやっぱり結構嫌悪感を示す人多いな
中村さん自身、そうした反応は理解できるとしつつ、自分が予想していたよりも嫌悪する人が多いという印象を持ったといいます。
技術的に「全部AIでやれる」こと自体は、中村さんにとって新しい情報ではありませんでした。できるだろうな、という範囲の話です。それでも人々の反応の強さが、この回の出発点になります。
美容師との会話でわかった「人の手」の境界線
中村さんは、この件を担当の美容師(記事内ではKさん)と話したエピソードを紹介します。KさんはかつてYouTubeやWordPressのブログをやっていた、ウェブに詳しい人物です。
Kさんも松浦さんのnoteを読んでいて、久々にnoteでフォローするほど面白かったといいます。しかしAIに書かせたという投稿を見て、気持ちが萎えたと話していました。
そこで中村さんは、条件を変えながら質問してみます。すると境界線がはっきり見えてきました。
AIが原稿を書いて、松浦さんが最後にちらっと推敲して少し編集するのはどうか
中村 さんからの質問
Kさんは「それなら嫌悪感はあまり抱かない」と答えたといいます。100%AIが書いて人の目が一切触れていないのか、少しでも人の手が入っているのかで、感じ方がまるで違うということです。
中村さん自身も、この感覚は理解できたといいます。少しでも人の手が入っているかどうかが、受け手の抵抗感を分ける分岐点になっている、という発見です。
AIへの嫌悪感は「人類初の体験」なのか
なぜ全自動に嫌悪感が生まれるのか。中村さんは、単に「楽をしている」という理由よりも、もっと根源的なものがあるのではないかと考えます。
これまで人間は、AIが台頭する前は基本的に人間が作るコンテンツに触れてきました。中村さんの世代でいえば40年以上、それが当たり前でした。だからこそ「全部AIが作りました」に本能的な嫌悪感を抱くのは自然だ、と話します。
中村さんは、この構図が過去にもあったのではと調べてみます。ただしAIで調べたためファクトチェックはしていない、と断ったうえでの共有です。
例えば産業革命で機械ができ、洋服作りが半自動化されたとき、機械を壊す動きがあったといいます。それは仕事を奪われる人の反乱だったとしつつ、そこにも嫌悪感があったのではという記述が見られたそうです。
洗濯機のような家電にも、当初は抵抗感があったという記述があったといいます。中村さんはこうした抵抗を、人間として感覚的にわかると受け止めます。
中村さん自身はこの種の嫌悪感をあまり持たない方だとしつつ、持つ人の気持ちもわかると話します。100%AIが作ったものへの抵抗感は、人間がしばらく持ち続けそうだ、というのが美容師との会話から得た見立てです。
映画やアニメにも広がる「全自動」の未来
中村さんは、この抵抗感は文章に限らないと指摘します。動画でも同じことが言えそうだ、というわけです。
例えば映画を全部AIが作ったとしても、面白半分で見に行く人はいるし、それなりのストーリーは作れるだろうといいます。ただ長編映画はさすがに難しいかもしれない、とも付け加えます。
一方でショートドラマ程度であれば、すでにありそうだと中村さんは見ています。人間が登場しないアニメーションも、多分あるだろうという見立てです。
AI時代にライターが意識すべきは企画と一次情報
ここから中村さんは、聴き手に多いライターへ向けて、コンテンツを作る人間が何を意識すべきかを考えます。
結論は月並みだと前置きしつつ、企画と、いかに一次情報を引き出すかだと中村さんは話します。AI台頭後にライター業界でよく言われる「上流の企画を考える」「一次情報を取る」という話です。
松浦さんのnoteがなんで面白いかっていうと、一次情報が面白いからなんですよね
松浦さんの場合は独り語りでバーッと喋れてしまい、膨大なアウトプットもあるため、ライターやインタビュアーが入る必要はないといいます。しかし、それは特別なケースです。
一方で一般の経営者はどうか、と中村さんは対比します。自分の面白い話を発信できている経営者はほとんどいない、というのが中村さんの見方です。
インタビューで一次情報をどんどんどんどん集めていくというのは、やっぱりライターの腕の見せどころ
中村さんは実際に経営者へインタビューしてnoteを書いており、その質はインタビュアーの力量で大きく左右されると実感していると話します。
仕入れるインプット
企画と一次情報の質がアウトプットを決める
AIによる執筆
文章化はある程度AIができてしまう
書く価値の相対化
書く工程の価値は下がり、上流の価値が増す
仕入れるインプットの質が大事だという点は、AI台頭前から変わりません。ただAIが文章をある程度書けてしまう時代には、それがより重要になります。逆に言えば、書く側の価値は少し下がっているという見方です。
企画力を学ぶ場としてのコミュニティ紹介
企画を作る力は自分も学びたい、と中村さんは締めくくりに触れます。運営するコミュニティ「Webライターラボ」での取り組みの紹介です。
大手ビジネスメディアの編集者や副編集長を招き、企画の作り方を講義してもらったうえで、メンバーが出した企画を添削してもらうイベントを用意しているといいます。企画が良ければ、そのメディアに掲載される可能性もあるとのことです。
新規募集は少し先になるものの、ラボのLINEに登録しておくと、こうした講義にも参加できると案内しています。
まとめ
中村さんは、松浦勝人さんの全AI生成noteへの嫌悪感を入り口に、AI時代のコンテンツ制作で人間が残せる価値を考えました。行き着いたのは、企画と一次情報という上流の力の重要性でした。
- 松浦さんのnoteは「99%自動化」でバズったが、嫌悪感を示す人も多かった
- 境界線は「100%AI」か「少しでも人の手が入るか」にあり、後者なら抵抗感は薄れる
- 全自動への嫌悪感は、産業革命や家電のときと同じ人間の反応かもしれない
- AIが文章を書ける時代は、書く価値が相対化し、企画と一次情報の価値が増す
- 一般の経営者から一次情報を引き出すインタビュー力が、ライターの腕の見せどころになる






