今月のテーマ「対話を通じてキャリアを描くコツ」
今月のテーマは、対話を通じてキャリアを描くコツです。金岡さんは自己理解を深めてキャリアを描く視点から紹介していくと話します。
金岡さんはコーチングを学んで資格を取得してから、およそ5年が経つと言います。
支援した人数は200人以上、時間換算するとざっくり1000時間ほど。その経験の中で、人と人が対話することの重要性を体感してきたと振り返ります。
直近では、その体感をもとにキャリアリデザインダイアローグ ── 金岡さんが立ち上げた対話型のキャリア支援サービス。ダイアローグは「対話」を意味するという対話型のキャリア支援サービスを立ち上げています。
今月は、その約5年間の経験の中から印象に残っているクライアントとの対話について話していきます。ただし守秘義務に配慮し、複数事例を抽象化・複合化して、個人を特定できない形で語ると前置きします。
「考えすぎて動けない人」に多い資質とは
今回のテーマは、考えすぎて動けない人が過去の原体験を認識するという話です。
金岡さんは、考えすぎて動けない人は特定の人というよりも、結構一般的なタイプだと言います。頭で考えすぎると、体の行動が止まってしまうのはよくある話です。
この回で複合的に使うクライアント像について、金岡さんはストレングスファインダー ── 才能を34の資質に分類して診断するツール。上位に出た資質を強みとして活かす考え方をとるの資質から整理を試みます。
複数人をイメージしながら資質を並べてみると、内省・慎重さ・分析思考といった頭で考える資質や、実行力の中でもブレーキをかける慎重さが上位の人に、考えすぎて動けない傾向があるのではないかと話します。
ただし、これはあくまで仮説だと金岡さんは補足します。資質は他の資質との組み合わせで行動に表れるため、これらの資質を持つ人が必ずしも動けないわけではありません。
同じ場所をぐるぐる回る「思考の沼」
具体的な悩みとして、金岡さんはビフォーの状態を挙げます。
一人でノートに向かって、転職すべきか、今の会社に残るべきか、と同じ場所をぐるぐる回ってしまう。コーチとして支援していても思考が巡り、セッションが1時間を超えても沼から出られないような感じもあったと振り返ります。
考えや言葉がまとまらず、本当にやりたいことは何なのかという悩みだけが、頭の中を駆け巡ってしまう状態です。
だからこそ周りからの肯定感だけで突き進んでしまったり、逆にその肯定感が損なわれると迷いが強くなってしまう人もいたと言います。
「思わずやってしまうお節介」から見えるWILL
金岡さんは、この番組で最初から使っているWILL・CAN・MUST/NEED ── キャリアを整理する枠組み。WILLは価値観や目的、CANは強みや得意なこと、MUST/NEEDは組織や社会から求められることの概念を使い、WILLを発見する対話を進めます。
その際によく使うのが、思わずやってしまうお節介なことは何ですか、という問いです。
ある人は、ゼミで発言できていない人にそっと声をかけて意見を吸い上げていました。芸術系のある人は、我慢してくすぶっている後輩に機会を与えて表現を促していたと言います。
発言したいけどうまくできない、表現したいけど表現できない、周りを気にして動けていない。そういう人を見ると、過去の自分を見ているようで息苦しくなる。
だから自分らしく伸び伸びやってほしい。そんな価値観を持っていることが、対話を通してわかったと金岡さんは話します。
短所に見える資質を、長所に置き換える
考えすぎてしまう人が持つ内省・慎重さ・分析思考は、短所として捉えることもできます。
リスクを恐れて避ける、避ける道を考えるといった形で、行動が遅れる短所になっている可能性があると金岡さんは言います。
一方で、長所に置き換えることもできます。他人に対してもリスクや可能性をしっかり考えられるからこそ、先回りして相手に教え、相手が安心して進めるように準備できる。
分析して内省して準備をするという、そんな長所にもなると金岡さんは語ります。同じ資質でも、捉え方次第で短所にも長所にもなるという置き換えです。
リスクを恐れて避け、行動が遅れる
相手のリスクや可能性を先回りして考え、安心して進める準備ができる
一人で悩む人が、仮説のキャッチボールで本音に近づく
一人で考えていると言葉がまとまらない、言いたいことが巡ってしまう人についても、金岡さんは対話の効果を語ります。
コーチである金岡さんが意図を汲み、複層的に考えてうまく進まないところを言語化して表現してあげる。すると一人では諦めたり悩みすぎたりしていた思考が、前に進みやすくなります。
金岡さんは、こうかも、こうかもと仮説をどんどん出すタイプだと言います。たくさんの仮説の中から、これかもしれないと選ぶほうが、本音にたどり着きやすかったという声もあったそうです。
なぜ誰かと話すと「沼」から出られるのか
同じ考えでぐるぐると思考の沼にはまってしまうクライアントも、セッションを経ると変化が現れます。モヤモヤがゼロになるわけでも、考えすぎる傾向が変わるわけでもありません。
それでも、誰かに言葉出しを付き合ってもらうと沼から出られる、と感じたという変化がメモに残っていると金岡さんは言います。
その理由を、金岡さんは対話の性質から説明します。対話は水面に出ていないと続かないため、話すことで強制的に水面に出され、考えが進むところがあったのではないかと振り返ります。
コーチングを終えた後の感想も紹介されます。深く考える人なので自分を理解することは想像以上に大変だったが、やりきったことで今後の方針や、なぜそうなのかを言語化・可視化できたのが大きかった、という声です。
自分だけで答えを出して行動するとうまくいかずモヤモヤしていたが、対話で自分の視野の狭さに気づいた、という声もありました。視野が狭いまま行動していたから、うまくいかなかったのだと気づけたと言います。
さらに金岡さんが大きな気づきだと語るのが、考えがまとまってから話し出さなくてもいい、という声です。
安心安全な一対一の場だからこそ、完璧にまとめきってから話すのではなく、断片的にポロポロと言葉を出していく。キャッチボールする中で、言葉がまとまっていく経験だったと言います。
過去の苦しかった経験に、本当のWILLが眠っている
金岡さんは、考えすぎて動けない人でも、その時に感じていることや考えていることから少しずつ言葉を出していくと、芋づる式に言葉が出てくると話します。
それを一人でまとめようとせず、一緒にキャッチボールしながら仮説を立てていく。そうすることで、動ける仮説を作ることができるのではないかと締めくくります。
最後に、金岡さんはリスナーへ一つの問いかけを届けます。
あなたが過去に自分を出せずに苦しかった経験や、見過ごせなくて思わず手を出してしまった誰かの状況は何ですか
金岡さんは、その一番嫌だった体験の裏側に、人生で提供したい本当のWILLが眠っているかもしれないと語ります。過去の苦しかった経験や、思わず助けてしまった誰かの状況から、WILLを探ってみてほしいという問いかけでした。
まとめ
考えすぎて動けない状態は、資質の短所として現れることもありますが、対話を通して長所に置き換えたり、過去の原体験からWILLを見つけたりする手がかりにもなります。金岡さんは、一人で完璧にまとめようとせず、仮説をキャッチボールしながら動ける形を作っていくことを勧めています。
- 内省・慎重さ・分析思考が上位の人は、考えすぎて動けない傾向が出やすいという仮説がある
- 同じ資質でも、捉え方次第で「行動が遅れる短所」にも「相手を安心させる長所」にもなる
- 一人では巡ってしまう思考も、対話で強制的に水面に出されることで前に進みやすくなる
- 考えがまとまってから話す必要はなく、断片を出しながらキャッチボールする中で言葉はまとまっていく
- 過去に自分を出せず苦しかった経験や、思わず手を出した誰かの状況に、本当のWILLが眠っているかもしれない




