「長野の母」さんから届いた窓の質問
番組に、長野県のリスナー「長野の母」さんから、窓の種類や付ける場所を知りたいという質問が届きました。天野さんと高橋さんは、この質問をきっかけに窓の話を2回に分けて掘り下げます。
はい、皆さんこんにちは。天野保建築の天野洋平と。
住宅ライターの高橋かずえです。天野さん、嬉しいことがありましたね。
ようやく念願の質問が来ました。
来ました。早速読み上げちゃってもいいですか?
じゃあ、長野の母さんからメッセージが届きました。
はじめまして。ラジオネーム長野の母と申します。家づくりについて勉強のためポッドキャストを探していたところ、こちらの番組に出会いました。本当は本や雑誌を読んで情報を入れたいところなのですが、日頃家事育児をしているとなかなかその時間が取れないため、イヤホン片耳に勉強できてとてもありがたいです。
天野さんは柔らかい口調でありながらも専門的なお話をされていて大変勉強になりますし、高橋さんは素人には分かりづらい部分を解説してくださったり、突っ込んで質問してくださるので、初心者でも分かりやすく聞くことができて毎回楽しみにしています。今回は最新回に追いつきましたのでコメントさせていただくことにしました。
家づくりについて調べていると、素敵だなと思うお家は光の取り入れ方が上手だなと感じます。また、外観からパッと目の引くものには窓がポイントになっていることもあり、窓の役目の重要さを感じます。ただ、正直、素人にはどんなところにどんな窓をつけるとお家の雰囲気が良くなるのかよくわかりません。窓にはどんな種類があるのか、またつける場所のポイントなどを教えていただきたいです。
天野さん、嬉しいですね。今日は窓についてとことん話しちゃいましょう。
天野さん、いい家ってなんですか。
この番組は山梨で家を作り続ける大工、天野保建築の天野洋平が、図面や性能だけでは語りきれない家づくりの暮らしの本音を語るポッドキャストです。
いい家とは何か、暮らしとは何か、そして大工という仕事は今の時代にどんな意味を持つのか。現場で培った経験、施主との対話、そして日々の暮らしの中で感じていることを肩肘張らずに言葉にしていきます。
長野の母さん、すごく目のつけどころがいいですよね。
いいですね。重要なところですね、やっぱ。窓って、住宅の特徴、印象にもなりますし、重要な性能の部分にもなるんで。
本当に一番気をつけた方がいいっていうところだと僕は思うので。はい、いい質問だと思います。
今回とことん話そうと思いまして、多分1本では収まらないので、2話分の構成を考えてきました。
前半は性能の話をしまして、後半に光の話とかデザインの話とか、意匠と呼ばれているところですね。そういったお話をしていきたいと思います。
前編は、窓と熱の関係、温熱の関係とよく住宅業界では言われるんですけれども、それをずばり天野さんに解説していただきたいと思います。窓と熱ってどういう関係があるんですか?
窓から逃げる熱は「6〜7割」?
天野さんはまず、断熱性能の計算が義務化された背景を説明し、高橋さんに「窓からどれくらい熱が逃げるか」を問いかけます。
窓と熱っていうのは、断熱性能っていうものが義務化されてた中で、建築物理の計算に基づいて、各家の断熱性能を計算して、
この家がどのぐらいの性能を持っているか、UA値っていうものを提示することが義務になっているわけなんですけれども。で、その中で窓ってどの程度熱が逃げるかって知っていますか?高橋さん。
言っても、例えば10壁があったとしたら、窓の2ぐらいだから2割ぐらいですか。
いや、もっとなんですね。一昔前の、アルミのシングルガラスの時代だと、家全体で足す10で。
ちょっと待ってください。ちょっと待ってくださいね。アルミのシングルガラスって何ですか?
アパートにしろ団地にしろ、一般住宅にしろ、親御さんが作っていたその時の建物だと、枠がですね、アルミでできてるんですよね。
窓枠がアルミ。あれですね、灰色のやつですよね。灰色の。
そうですね。シルバー色のものが、昔だと大体どの家もついてましたね。で、それにガラス1枚っていうのですね。
それが当時もう40年、50年、当たり前だったわけですね。
窓の話をちょっと深掘りすると、先進諸国で唯一、僕が当時そういった勉強をし始めた、今もう15年、20年ぐらい前ですけど、その時にはまだ(アルミのシングルガラスが)あったっていう事実があるんですね。
ヨーロッパとか環境先進国、スウェーデンとかドイツとか、面白い逸話がありまして。
僕の大師匠、秋田の西方先生のFacebookのプロフィール写真に、窓ガラスに結露して、へのへのもへじの西方先生の絵を描いてあるのがあるんですけれども。
それなんでかっていうと、ヨーロッパの方々、窓結露しないんですよ。日本だと当たり前に結露するんですけど、この現象は何ですか?って聞かれるんですよ。
(ヨーロッパの人は)結露を知らないってことですか?
我々からすると結露って当たり前のように知ってることが、諸外国の、住宅を特に作ってるような方々からすると、「なんであれ、窓がこうなってるんですか?」みたいな。
(日本は)やっぱり少し遅れていたっていう実情があるっていうことと、北は北海道から南は沖縄で、幅広い地域があるっていうところもあって、そうなっちゃったのかなっていうのは多少あるんですね。
そのアルミのシングルガラス(の窓から)、僕が勉強した当時は大体、6割か7割ぐらい熱が逃げていく。
今ね、調べたんですけど、夏は73パーセント、冬は約58パーセント、窓などの開口部から(熱が)出入りするそうです。結構な量ですよね。
ほぼほぼ、夏であれば外の影響を受けやすいっていうことですよね。冬であればもう50パーセントですからね。冬の方がもっと強烈じゃないのかなとは思っちゃいますかね。
南はLow-Eの「取得型」、他の方位は「遮蔽型」
窓の断熱化の工夫として、天野さんはペアガラスに加えて、太陽の熱の入り方を調整するLow-Eガラスを方位で使い分ける考え方を紹介します。
やっぱり断熱性能の義務化もありまして、窓を断熱性能いいものにしていく、ペアガラスとかですね。
あとペアガラスにする以外にも、Low-Eっていう、日射取得率とかですね。太陽の光をうまく取り入れてくれると、窓って、うまくすると暖房機の代わりにもなったり。
そのパーセンテージを、Low-E膜っていうものでうまくコントロールしてやる。で、断熱タイプと取得タイプっていうものがあるので、それをうまく活用して、
簡単に言うと、南面は太陽が南から来るので、そこから太陽をうまく取り入れましょう。その他の方位は別に太陽の光入ってこないので、遮蔽タイプっていうものを使っていきましょうよっていうのが大体のセオリーです。
厳密に言うともう少し違うんですけど、簡単に話すとそんなところですね。
「窓をなくせばいいんじゃない?」
高橋さんは、それほど熱が逃げるなら窓をなくせばいいのでは、と率直に問いかけます。天野さんは、業界でも実際に窓が減っている傾向を挙げて答えます。
じゃあ私思ったんですけど、窓ない家がもしかしたらいいんじゃね?って思ったんですよ。そんなに大変だったら、窓なくせばいいんじゃないですか。
これ今、業界の方でも、断熱性能が義務化っていうことと、エンドユーザーの皆さんですね、長野の母さん含めて、いろいろ勉強してきて、断熱性能いいものに当然住みたいって思う中で、
数字を良くするっていう手法の一つとして、窓が今極端に小さくなってるし、1軒単位の窓の本数が極端に少なくなってるなっていう印象を受けますね。
多分高橋さんとかもそうですけど、実家に行くと、自分のお部屋が角部屋であれば、外の各面に(窓が)2つ付いてましたよね。普通に当たり前のように。
ついてます、ついてます。そう、でっかい窓と寒い出窓があります。
僕も実家はそうですけど、2階の部屋であれば腰窓って一般的に言われるものが、2か所ぐらい多分ついていたんですね。で、真ん中の部屋は壁が1つしかないから、その壁に1個みたいな。
トイレに1個、2階に洗面所が付いていれば、そこにも明かり取り兼ねて1個、物置とか納戸があれば納戸にも1個みたいな格好で。昔の家は本当に窓が多い。
そうですね。だって今思い出したら、弟の部屋なんて3方向についてますからね。壁が4方向あるのに、窓が3方向ですよ。
当時の家だと、そこから余計に熱も逃げていくので。で、断熱を良くしたいっていう思いとともに、本当はもっといろんな勉強もした方がいいんですけれども、
その方法の一つとしてUA値って呼ばれるものを良くしようと思うと、高橋さんが言った通り、(窓を)なくしちゃえばいいんですよ。できるだけ小さくしてあげると、数値上は良くなります。
サーモスボトルの家は暖かいのか
天野さんは、窓を減らせば数値は良くなる一方で、断熱性能は「保温力」にすぎず、それだけでは家は暖かくならないと続けます。
ただ、気をつけてほしいのは、数字上は良くなるんですけれども、断熱性能イコール保温力。家を保温する力は高まるんですけれども、それだけだと家が暖かくはなんないんですよね。
ああ、なるほど。
何かの熱源(が必要です)。窓がなければないほど保温力は良くなるので、家は保温力はすごい保ってるんですよ。
簡単に言うと、サーモスのボトルがあるとしたら、サーモスに冷たい水入れとけば、ずっと冷たいまんまですよね。
で、窓も何もないので、家がもし冷えてれば、ずっと冷えたままなんですよ。
だから、夏はいいんですよ。夏はいいんだけれども、冬は逆に言うと、熱イコール光だと思ってくれればいいんですけど。
太陽からの自然の光が入ってくると、それだけで家って暖かく(なる)。それだけ太陽のエネルギーってすごい絶大なんですよね。
だから、よく勘違いされてる人がいるんですけど、窓をなくせば家も暖かくなるっていうのは大間違いで。
窓がなければ家が涼しくなるっていうものでもないんですよね。前も話した、人1人で200ワットぐらいの熱をどんどん出してるので、家はちょっと暖かくなる方向には。
まあ、人の体温がね。
多少ですよね。だから、いろんなメーカーさん、工務店さん、設計者さんに依頼をして、断熱等級6になりましたよ、7になりましたよっていうことに、ただ単純に喜ぶんじゃなくて、
それ以外の要素も踏まえて6、7になるんだったらいいんですけど、そうでないと結局数字上良くなっただけで、暖かくなるっつったけど、日が当たらないから全く寒い家だわとか。そういう兼ね合いですよね。
南のリビングに窓がない「G3の家」
天野さんは、富士吉田でモデルハウスを建てた頃に見かけた、断熱の高グレードをうたう他社の家の実例を語ります。
僕が富士吉田でモデルハウスを作った時に、広告で、当時「G3の家ができました」っていう、HEAT20っていう団体があるんですけれども、それのG3に県内初で、みたいな広告を打ってる工務店さんがいらっしゃって。
その工務店さんの家が、自分のモデルハウスの近く、富士吉田にもあったので、ちらっと通りからも見えたんですよね。
見えたら、言った通り、一番南の面のリビングのところの窓がないんですよ。
南に?窓がないですか。
窓があっても、ほんとのハイサイドライトっていう高いところにつける窓が1個、横長のほそーいのが1個ついていて。
えー。もったいない。
他の窓もやっぱり小さかったんですよね。それは数字上は良くなるよねっていうことで。
そうか、見る人が見ればわかっちゃうんですね。
わかっちゃう。僕とかはやっぱりやってるので。数字上は良くなってるけれども、結局窓が小さくて、工務店さんとか設計者さんが、どういう説明をしたのかわからないですけれども、
何も景色見えないので。それってどうなの?って。
他人に見られたくないからいいわっていう人もいるかとは思うので、全部が全部否定するものじゃないんですけれども、
ちょっと激しい言い方すると、牢屋に入ってるような感覚ですよね。窓も何もないんで、自然光もあんまり取り入れらんないので、
この片田舎で、その暮らしって、カーテンを閉めてるとか、そういったこと以外で、あんまり開放的じゃないのは、やっぱり違うものかなっていうのはありますね。
近所の人から心配されそうですね。あの家は窓がないって。
窓はないぞと。いいわねって思うんで、多分住んでみると、やっぱりちょっと窮屈感が出てくるのかなっていうのはありますね。
「窓は外とつながるための装置」
高橋さんは、建築家・伊礼智さんの本で印象に残ったフレーズを紹介し、窓が暮らしにもたらす楽しみを語ります。
確かに。私、前読んだ本で、建築家の伊礼智さんの本の中で、すごい印象的なフレーズがあって。
高橋さんが覚えているのは、伊礼さんの本にある「窓は外とつながるための装置である」「設計とは外をどう取り込むかということです。外とのつながりで心地よさはガラッと変わってきます」というフレーズです。
(そのフレーズを)結構よく覚えてて。確かにそうだなと思って。
暮らしの中ですごい癒しを感じる時って、やっぱり窓から外の景色が見れて、季節の移り変わりを感じたりとか、
うちの場合は猫が、よく窓から外を見張ってるんですけど、今日もやってるなっていうのを見るのが可愛かったりするので、やっぱり窓がないと、暮らしの楽しみの1つが少なくなっちゃいますね。
僕も伊礼さんの手掛ける住宅を見させてもらったりとか、あと都心部でよく設計をされている、建築家のアイプラスアイの飯塚豊さんのお宅とか、都心部や狭小地で作られてますけど、
光と景色、そういったものをうまく取り入れて、都心部に建ってるとは思えないほど開放的で。窓って非常にやっぱり重要だなっていうのを思いますね。
性能を重視するんだったら(窓を)なくせばいいじゃん、なんてさっき天野さんには言いましたけれども、単純に量で勝負するんではなくて、
どこにつけるかとか、どういった種類の窓をつけるのかとか、質を高めていきましょうっていうところがポイントになってきそうですね。
性能の良い家は「大きい窓の数」で見抜ける
天野さんは、性能へのこだわりをうたう会社を見るときは、モデルハウスや施工事例の窓の大きさに注目するとわかりやすいと話します。
もしあれであれば、モデルハウスを持っていらっしゃる工務店さんとか、メーカーさんとか、設計事務所さんですね。設計事務所さんはモデルハウス持ってる方少ないかな。
過去の事例とか見ていただいて、性能に特にこだわってますよっていうところは、大きい窓がどんだけあるのか見ていただけると、逆に分かりやすいです。
え、どういうことですか。
うちのモデルハウスは、UA値っていうところで0.20って、自分で言うのもあれですけども、結構すごいところなんですよね。
等級だと7になるのかな?になるんですけれども、高橋さん見に来ていただいてる通り、大きい窓ばっかです。
当然いいガラスとかそういったものを使うと、断熱性能を担保しつつ、大きく開けたものにすることができるので、
そこのモデルハウスとか施工事例とか見ていただいて、その建物がどれだけの数値が出てるっていうところと、それに対して窓の比率がどんだけ大きいかなっていうのを見ていただけると、
建ってる場所や条件にもよるので、大きければいいっていうもんでもないんですけど、これだけ大きく取れるっていうのは、温熱の設計としてうまくできてるなっていう判断材料にはなるかなとは思うので。
ここで高橋さんが、話に出てきたUA値の意味を整理します。
ちょっとここで1つ用語の解説をしておくと、さっきから出てるUA値っていうのが何かっていうと、日本語で言うと熱、何でしたっけ?
平均熱貫流かな。外皮平均熱貫流率。
あ、そうだそうだ。UA値はアルファベットのUとAの値でUA値って言うんですけど、外皮平均熱貫流率。
外皮っていうのが、これが堅苦しい言葉なんですけど、外の皮って書くんですけど、壁、窓、天井、床、お家の外側の、皮になってる部分ですね。
その全体から熱の逃げにくさを表す値になってまして、低いほど熱が逃げないよっていう。
熱がまあ逃げづらいっていうことですね。
UA値が低いのに窓が大きければ、施工もきちんとできてるし、窓の性能も高いよっていうことを言えますよね。
そうですね、さっき言った通り、窓がなければないほどUA値って(数値上は)良くなりやすいんですよ。
それが、大きい窓がたくさんついてて、そのUA値が低いっていうことは、窓の物自体がいいものを使っていると思っていただいて結構ですね。
いいものであればお値段も高くはなっちゃうんですけれども、その代わり、いつも僕言ってますけれども、私のモデルハウスで、冬であれば大体1万円ぐらいの光熱費しかかからないので。
真冬に1万円っていうと、結構なお得感わかると思うんですけれども。
UA値は数値上良くなるが、日射が入らず冬に寒くなりやすい。景色も見えず窮屈に感じられる
性能の高いガラスやサッシで断熱を担保しつつ、日射と景色を取り込める。価格は上がるが光熱費を抑えられる
長野県なら「トリプル一択」の理由
話題はサッシの素材とガラスの種類に移ります。天野さんは、長野県で家を建てるならトリプルガラス一択だと断言します。
さっき言ったアルミとか(のサッシの話ですね)。
そうですね。サッシの種類を、今まとめてお話ししていただこうかな。
ガラスの枠ですね。アルミと、今アルミ樹脂複合、樹脂と、木であります。はい、木があります。
一般的なのは、アルミ樹脂複合と樹脂っていうところが一般的かなとは思います。で、ペアガラスかトリプルガラスかっていうところは、ペアがまだ一般的かなって思いますね。
で、僕が長野県で家を作るんであれば、絶対全部トリプルガラスです。
え、それはなんでですか?
長野県は多分、地域的に3地域とか4地域ぐらいなので、3地域、4地域であれば、もちろん家の光熱費のことも含めてやると、もうペアっていうよりはトリプルの一択だろうなって思うんですよね。
「南側はペアでいい」の落とし穴
天野さんは、新住協の鎌田先生の本にある「南側はペアガラスでいい」という記述を例に、数字の収支と体感の違いを語ります。
ちょっと話が少し逸れるんですけれども、断熱とかそういったところで、新住協っていう、新木造住宅技術研究協議会かな。
初めて聞いたかも。
まあ略して新住協。
新住協はよく聞きます。
(新住協の)鎌田理事、今もう退任されてますけども、鎌田先生っていらっしゃって、本音のエコハウスかな、っていう本があるんですけれども、
暖かい家を作るっていうことの理事をされてる先生が出した本で、そこの中の文で「南側はペアガラスでいいよ」みたいな、書いてあるところがあるんですね。
うちのお客さんが「鎌田先生は南側ペアでいいって言ってるけど、なんで天野さんトリプルにするんですか?」って話を聞くんですけれども、
温熱の計算をすると、入ってくる熱の収支とか、そういったバランスでいうと、冬に南側から特にたくさんの日が入ってくれば、ペアの方がいいよっていうところの文があるんですよ。
皆さんそこの文だけ見て、じゃあそれ以外のところはトリプルガラスにして、南はペアでもいいかなっていうんですけども、
地域によっては冬に、そこ(ペアガラスの窓)からものすごい冷たい冷気が降りてくるので、体感上は良くならないんですよね。
お財布のお話だとちょうどいい収支バランスになるんだけれども、人間やっぱり住んで暮らしてるので、
せっかく暖かい家できたのに、天野さん、お財布は良くなったけれども、ちょっと体感上寒いんですけどっていうことになりかねないので。
よーくその文を見ていると、関西とかそっちの地域はそれでいいんじゃないかっていう話をされてるんですけど。
暖かいところはね。
そうです。浜松とか沖縄方面ですね、の住宅の方たちはそれでもひょっとしたらうまくいくのかなっていうところはあるんですけれども、
やっぱり関東圏、山梨とか富士吉田とかは、問答無用で僕はトリプルにしないと、本当の意味でいい住宅っていうのはできないかなっていうところですね。
アルミの熱伝導率は木・樹脂の1500倍
ガラスに続いて、高橋さんは窓枠の素材について尋ねます。天野さんは、アルミの長所を認めつつ、熱の伝えやすさという大きな弱点を挙げます。
じゃあガラスはもうトリプルがいいかなと、今ので納得したんですけど、窓枠の部分は、もうアルミはちょっとないですよね。
アルミは一言だけ言うと、世界にはアルミでもいいサッシがあるんですよ。
ちょっと技術的なところがまたちょっと違うんですが、アルミのいいところって、やっぱり軽いんですよね。
ただ、アルミの弱点は、木に比べて、熱伝導率っていう熱を伝える力が、いくつかな。すごい桁違いで悪いんですよね。
ちょっと調べてみますね。
これ僕もすっと答えられないと怒られちゃうんですけど。先生方に怒られちゃう。「何よ、天野」みたいに言われちゃうんですけど。1500倍かな。
1500倍ですよね。木や樹脂に比べて1500倍、熱を伝えやすい。
そんなに?
もうなんか想像つかないですよね、1500倍って。本当によく伝える、よくわかりますよね。寒いところだと手がくっついちゃう時があるので。
くっつきそうで怖くて触れない。
それだけ熱を伝えやすいので。ただ、軽量で成形がしやすいっていう特徴もあって。
アルミって、結構素材的には僕は樹脂よりは好きなんですよ。
ふーん、そうなんですね。
素材的なものです。樹脂って、なんかプラスチック感があって。なんかリアリティがないっていうか。それは個人的なあれはありますけれども。
それに比べて、アルミはガラスを囲う枠のフレームを薄くも作れるので、ガラスの比率が大きければ大きいほど、中から見てもすっきりして見えるので。
アルミがそういったところでいいなっていう人たちがいたりもするんですけれども、ただ実際なところで1500倍の熱を逃がしちゃうので、樹脂っていうところがあるんですけども。
アルミ樹脂複合サッシの見えない弱点
天野さんは、アルミと樹脂を組み合わせた「アルミ樹脂複合サッシ」について、現場で見た結露の経験から慎重な立場を語ります。
ただ、もう1つある。アルミ樹脂複合。
アルミ樹脂複合。どういうこと?
アルミと樹脂をハイブリッドで、外側はアルミ、中は樹脂になってますよっていう、両方のいいとこ取りした商品。で、数値上もこれだけ良くなってますよっていう商品があるんですけれども、
これも僕、現場で施工もしていて、冬場とか、某商品とかを、うちでは使わないんですけど、見た時に。
家の中が全部樹脂でできてればいいんですけれども、そうじゃないんですよ。
家の中の見えるところは樹脂になってるけども、家の中の見えないところはアルミが見えたりするんですよ。
家の中の見えないところって、どういうとこですか。
窓枠に、その枠がくっついてると思うんですよね。で、その裏側です。室内の内部側なんだけど、そこはアルミになってたりするんですよ。
で、何が問題かっていうと、そこが結局、冷たい熱を伝えてくるんで。そこも樹脂になっていてくれれば、僕も何にも文句はないんですけども。
そこがアルミになっているがために、実際現場で一度結露しているところを見たことがあって。
地域によって、そのアルミの部分がどれだけ結露して、悪さするのかが想像できないので。
使ってみないとね、わからないことはあります。
使ってみないっていうことと、見えないところで隠れてしまうので。
一番問題、隠れちゃうから、その結露したもの等をどういうふうに処理すればいいのか。
多分工務店さんや設計者さんやメーカーさんは、発泡ウレタンっていうものを吹けばいいんじゃないかって思うんですけども、
発泡ウレタンも万能ではないので、その見えないところまでうまく発泡して回ってるのかなっていうのはわからないんですよね。
やっぱり温暖地、5地域、6地域とかじゃないと、怖くて使えないなみたいな。
っていうところがあって、僕はアルミ樹脂複合も避けた方がいいと思ってます。
木製サッシは高い?
天野さんがすすめるのは樹脂か木の窓枠です。高橋さんは、素敵な木製サッシの価格や弱点について尋ねます。
なるほど。じゃあ、天野さんが窓枠で選ぶとしたら、もう樹脂。
樹脂か木です。
樹脂か木ですね。で、木の窓枠ってめっちゃ素敵なんですけど、高くない?ってすごい思うんですよ。
まず価格は、樹脂と木を比べたら、多分木の方がまだ高いかなと。
あ、でも。ちょっと高いかなぐらいな感じですか?
価格はどのくらいだろう。1点何倍ぐらい?1.5倍ぐらいあるかな?っていう。
そしたら、ポイントのかけるところだけ木製にしてとか、全然ありですね。
全然僕はありだと思うんですけどね。うちは木を使わせてもらってますけど、唯一木の弱点でいうと、外側だと腐るんじゃないかとか。
そういったリスクは多少なりやっぱりあるので、うちはリスクがないようにっていうことと、ここではいろいろ話しちゃうと長くなっちゃうので省きますけれども、
そういった点が、木の唯一皆さんが懸念するっていうところですかね。ただ、中とか外もそうですけど、木はやっぱり結構素敵なアイテムなので、
そこまで身構えなくても僕は大丈夫かなとは思ってますけど。それは施工の条件とか、いろいろ話が長くなるので、今回は割愛します。
| 素材 | 特徴 | 天野さんの見方 |
|---|---|---|
| アルミ | 軽く成形しやすく枠を薄くできるが、熱を木や樹脂の約1500倍伝えやすい | 熱を逃がしてしまう |
| アルミ樹脂複合 | 外側アルミ・室内側樹脂だが、見えない裏側にアルミが残ることがある | 結露リスクがあり避けた方がいい |
| 樹脂 | 熱を伝えにくい。プラスチック感がある | 選ぶなら樹脂か木 |
| 木 | 熱を伝えにくく素敵。価格は樹脂の約1.5倍、外側は腐朽リスク | うちは木を使っている |
前編のまとめと、モデルハウスの告知
最後に高橋さんが前編の内容をまとめ、後編では光やデザインの話をすると予告します。天野さんからはYouTubeのルームツアーの告知もありました。
今日は結構性能の話を詳しくお聞きできたかなと思います。前半のまとめとしては、お家の中で熱の出入りをするのは、窓が一番大きい場所なんだよっていうところ。
だけれども、窓を小さくするんじゃなくて、熱を受け取ることもするから、計算して質の良い窓を入れていきましょうというところですね。
あとは窓にもいろいろ種類があって、熱を通しやすい窓もあれば、熱が通りにくい窓もあるから、吟味して選びましょうっていうところをお話しさせていただいたかなと思います。
窓の話、前半はここまでにして、後半はデザインとか光の取り入れ方とか、意匠の話をしていきたいと思います。
今日も「天野さん、いい家ってなんですか?」のポッドキャストを最後まで聞いていただいてありがとうございます。このポッドキャストはSpotify、Apple Podcast、YouTubeで配信しております。
質問どんどんお寄せください。1つ1つ丁寧に回答していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
窓を体感したい方は、ぜひ天野さんのモデルルーム予約してください。素敵な木製サッシを体感できると思います。
はい。あ、1つ最後に告知していいですか?
お願いします。
YouTubeのルームツアーで、家づくり百科っていうアカウントがあるんですけれども、そちらで弊社が施工した、私のモデルハウスも含めて、最新のもので、夕村の家が先日公開されましたので、
ぜひ、いいねとチャンネル登録、Spotifyの方もそうですけどね。いいねとチャンネル登録よろしくお願いいたします。
はい、告知もありがとうございました。では、後半も楽しみにしていてください。
はい、ありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
前編では、住まいの熱の出入りが最も大きいのは窓であることを出発点に、窓との付き合い方が語られました。天野さんは、窓を減らせばUA値は良くなっても、日射を取り込めず暖かい家にはならないと話します。高橋さんの言葉どおり、窓は量ではなく質で考えるのがポイントです。ガラスは寒冷地ならトリプル、サッシは樹脂か木が天野さんの選択でした。
- 窓からは夏73%・冬約58%の熱が出入りし、窓は熱の出入りが最も大きい場所
- 窓をなくすと保温力は上がるが、日射という熱源が入らず冬は暖かくならない
- UA値が低いのに大きい窓が多い家は、窓の質と温熱設計が優れている目安になる
- 長野など3・4地域ならトリプルガラス一択。南側だけペアにすると冷気で体感が下がることも
- アルミは熱を約1500倍伝えやすく、アルミ樹脂複合は見えない部分の結露が心配。選ぶなら樹脂か木




