「平屋は贅沢」の正体は基礎にあった
はい、皆さんこんにちは。天野保建築の天野洋平と。
住宅ライターの高橋かずえです。
今日は、前週の続きということで。
平屋についてとことんお話ししちゃいましょう。前回は、平屋にはある程度の土地が必要なので郊外に建ってるお家が多いというお話や、耐震面でのメリット、核家族という背景があるんじゃないかというお話も聞いてみました。確かに今平屋多いなって思います。今回は現実的な話ということで、デメリットというところから今日は聞いていきたいなと思います。天野さん、いい家って何ですか。
まず建築費の方から聞いていこうかなと思います。
一番のデメリットですね。よく勘違いされてる方と、昔から建築でよく言われるのは、「平屋は贅沢だ」っていう格言があるほど。もう贅沢イコールお金なので、やっぱりどうしてもお金がかかります。どこがお金かかるかっていうと、まず基礎ですね。
住宅でいう一番ウエイトの重いところの基礎が、まずお金がかかります。簡単な話でいうと、20坪の平屋を建てるっていうことは、二階建てに換算すると40坪クラスの家を作ることができるんですよね、20坪の基礎で。総二階で40坪になるので。
床面積を同じくしようとすると、基礎は倍かかる。
倍かかっちゃうんですよね。じゃ「30坪の平屋が欲しいんです」って言うと、30坪の基礎を平屋だと作る必要性があるので、30坪だと60坪のお家を総二階にすると作ることができるんですよ。もし地盤が悪いところだと、地盤改良工事に対しても倍かかってくるので、その辺も注意が必要です。
見えないところにお金かけたくない。
屋根は倍、構造材は1.5〜1.75倍
基礎や地盤改良の話に続いて、天野さんは屋根や構造材のコストにも触れます。「平屋は大工が楽」という思い込みも覆されます。
前回の放送でも言った通り、土地もやはり大きく必要になってくるので、建築費用としては上がり傾向になってしまうっていうところですね。それと同時に、建築費用だと屋根。屋根は確実に面積が増えるので倍になります。
まだあるんですか?
構造。大抵言われるところは1.5倍から1.75か、そのぐらいは増えるのかなっていう。
めっちゃ増えるじゃないですか。
増えないような気がするんですけど、意外と、屋根が増えるので、もちろん基礎も増えるので、大工さんが建てても「平屋は楽だな」とか思われがちなんですけども、意外と使ってる構造体は増える傾向にあるので。
そっかぁ、それ普通の人知らないですね。
お客様によく言われるんですけど、「足場とか減るじゃないですか」って、足場はあんま基本変わらないので、二階建てだろうと金額はほとんど変わらないですね。階段もそんな大した金額じゃないので、それで平屋の増えた分の金額が吸収できるっていうところではないですね。
いや、私、地盤改良工事盲点でしたね。確かに必要ですよね。
なおさら郊外に土地を買って、総予算で見るとか。安い土地に。
厳しいなっていう方はやっぱりちょっと土地をまず安くして、トータルでっていうことが必要かなとは思いますね。
はい、ちょっと希望が見えてきました。
二階建てだから安全、でもない防犯の話
続いて話題は防犯へ。天野さんは、平屋だから危ないという単純な話ではないと語ります。
防犯的なところとか、災害時についてのお話も聞きたいなと。防犯面ではいかがなんですか?平屋の場合。
防犯面はまあ二階建てだから安全っていうこともないので、泥棒さん入ろうと思えばどこでも入りやすいところが多いじゃんって言われると、それであるならばセコムさんとかそういったことを考えれば、防犯面は別にデメリットではないのかなって。昔に比べたらそういったものがあるので。
うん、まあ鍵をかけてくださいっていうところ。
ですね。昔はかずえさんもあるあるだと思いますけど、おーいって言って玄関ガラガラって普通に。
そうそうそう。来ましたよ、親戚のおじさんとかね。
鍵かけてると「何鍵かけてんだよ」って怒られますよね。都内の僕のお友達で山梨に嫁いできた女の子が、僕の友人の家で留守番してるところに行ったら鍵かけてて、「何鍵かけてんだよ」つって。「こんな片田舎で鍵かけてたら怒られるぞ」ってみんなに言われるって。まあ今の時代ですから、鍵はかけてくださいっていうのはありますけど。
この2、30年で変わったなっていうふうに思いました。平屋の防犯っていうところでも鍵をかけてくださいっていう。
あんまりだからデメリットにはならないかなと。
光が届かない部屋をどう避けるか
天野さんが平屋で本当に難しいと語るのは、防犯よりも間取りです。光の届かない部屋が生まれやすいと言います。
強いて言うと、間取りの計画を立てる時は、注意をしていただきたい点が何点か。平屋はやっぱり計画によっては光が届かない、お部屋やそういったものが出てくる可能性があります。対策としてはトップライト、天窓ですね、をつけたりとか、そういったもので光を届かせたりとかっていう計画が必要であったりするんですよね。
あとはあれですよね、光がいらない、例えばクローゼットとかを、お家の中央に置くとか、そういう工夫ですかね。
そういういろいろ工夫は必要になってくるので、廊下が多くなったりとか。計画に応じてですけど、意外と難しいんですよ。うまくしないと平凡なプランになっちゃうので。コストが限られてると、うまく計画を立てないと本当に平凡にもなってしまうし。
え、その平凡っていうのはどういうことを言ってます。
のびやかな平屋をイメージしてるのに、特徴もない普通の二階建てがただ平屋になったぐらいの勢いのプランになりがちになっちゃうので。
前回言いかけて言わなかった、設計塾でも講師の方から平屋は難しいって言ってたので。意外と簡単そうで平屋は難しいんだよって。僕も何度か平屋計画やってますけど、意外と平屋って難しいなって、光の当たり方とか、見える方向とか、土地の配置仕方次第ですけど。
前回の湯村の家は南北に縦長だったので、東西に部屋を配置して、東側に全部部屋を持ってきましたけど。洗面とかは西側の方に配置しましたけど、そういったところでいろいろ工夫が。長方形とかの中にすべて押し込んでいかなくてはいけないので、間取り的なセンスの難しさは平屋の方が僕もちょっとやっぱり難しいかなと。
思春期の子どもと、家族の距離のとり方
間取りの難しさは、家族の距離感にもつながります。前回メリットとして語られた「気配が感じられる」ことが、デメリットにもなり得ると言います。
なんかトイレの位置とか、リビングの近くだとやっぱ気になったりするじゃないですか。子供がいる場合、個室につながるのにリビングから個室っていうのは、プライバシーの面で難しいのかなと思ってて。廊下を挟むとか、お風呂を挟むとか、何かを挟んで個室に行ってほしいのに、リビングから個室っていうのもハードル高いし、確かにプラン難しそうって思いました。
前回ではメリットとして家族の気配が感じられるっていう話でしたけど、今度はデメリットとしては距離が近すぎるので。大人になるにつれて、もうお父さんお母さんはお前の気配は感じるだけでいいから、なるべくプライベート優先みたいな。思春期の男の子、女の子にしても、やっぱりプライベートな空間が必要だと思うんですよね。
男の子であれば、まあちょっとエッチなものとか見たりとか、女の子であればお友達と電話したりとか、今だとLINE電話になるんですかね。すると「あいつらうるさいなぁ」って言われるので、そういった配慮は一定数必要になってくるのかなって。そこはやっぱり家族の価値観の共有は必要なのかなとは思いますね。
うちはオンラインが仕事だから、ポッドキャストの収録したりするのも、静かじゃないと生活音が入るから、在宅ワークとかも考えると、やっぱプラン難しいですね。お互いにね、家族がこの喋り声聞くのも嫌だと思うし。
浸水には二階建て、地震には平屋
災害の話に移ります。天野さんはまず、平屋でも二階建てでもハザードマップを見ることが出発点だと語ります。
あとはその災害時?なんか二階に逃げろって言うじゃないですか。
これは平屋も二階建ても一緒なんですけど、災害のことも考慮して土地選びをっていう方は、まずハザードマップを見てください。土地選びのところでも言いましたけど、何かしらデメリットとメリットあるので。災害もいつ来るかわからないし、地震もいつどこでどの程度のものが来るか全くわかりません。うちのところで言えば、富士山がいつ噴火するかもわからない。
富士吉田のことで言うと、意外と雨で床下浸水とか床上まで浸水したっていう話はほとんどないはずなんですよね。坂の街ですからね。
あと水はけがいいんですかね、溶岩の。
水はけっていうのもあるし、溢れるまでにどんどん下に流れていってるっていう印象しかないですね。
私の記憶があるところだと、それこそ向日原が、山崩れがあって。
我々が小学生ぐらいの時に。近くでも西湖の方で湖が増水して、湖畔にあった家がとか、そういう山とか、あんまりないんですよね。でも甲府の方に行くと、ハザードマップを見ると、川の氾濫危険地域とかっていうのが出てきたりするので。
いろいろ土地選びの尻がないんですけれども、まずそこを見て気にしていただける方がいいのかなとは思うので、平屋であろうと二階建てであろうと見ていただく。
ハザードマップって、その川の氾濫とか湖の氾濫とか。
土砂災害とかですね。過去山崩れがあったところは必ず出ているので。
地盤とかはどうですか?例えば地震のその。
地盤的なものは最近は地盤調査っていうものをやるので、データが蓄積されていて、地盤調査会社さんに「この辺どうですか?」って聞くと、「あんまり地盤改良することもほとんどないから大丈夫だよ」っていうところと、あと一番はですね、地名を見ていただくと。
沼とか。
深川とかなんとか、そういう地名とか。昔からそういう地域なので、地盤改良が必要であったりとか、そういったものがあってくるので。まずそういったものを見ていただくっていうのは必要なんですね。
それを見た上で言うと、千葉のような豪雨が急に襲ってきて、結構な勢いでしたよね。あれを見てる感じだと、平屋だとどうしようもなくなっちゃうのかなっていうリスクは出てきちゃうのかなって。
その時二階建ての方が二階に生活スペースを移すことも可能になってくるので、二階建ての方がそういった災害にはちょっと強いんだろうなっていうのはありますけどね。ただ二階建てだって一階が浸水してしまえば結局は、その場はOKですけど、その後の復旧とかはかなり必要になってくるので。
まあ何を優先するかですね。
床上浸水とか床下しても、被害状況は平屋の方が多分、被害が大きくなりやすいっていうのは当然ありますね。
浸水でいくとですよね。ただ地震を考えたら平屋の方がいいかもっていう。
地震を考えたら平屋の方が良かったりとか、そういったのはありますね。災害を前にすると、もう何しても強いものはなかなかないので。
浸水を考えるんだったら、ハザードマップを見ましょう。
まずハザードマップから土地選びを考えていただいた方が、河川の近くとか、大きい河川でも氾濫したことがあるようなところは、まず避けていただいた方がいいだろうなっていうのはありますね。
確かにエビデンスに基づいてた方が安心ですよね。
雨音と防音、鍵を握るのは断熱の構成
最後のデメリットは音の話です。雨音は平屋の方が気になりますが、天野さんは屋根材よりも断熱の構成が重要だと語ります。
あとはその防音対策とかは気になるもんなんですか?音の関係ってどうなんですか?
どういった音にもよりますね。雨とかの音だったら平屋の方がやっぱり大きいですね。全部屋根なんで。僕、うち二階リビングで一階で寝てますけど、ちょっとの雨だと絶対起きないです。ものすごい雨でもわからないです、本当に。
お隣の卜部さんちは、他の家より聞こえないんですけど、やっぱり音はわかるって言ってましたね。雨音は。ものすごい雨だとわかりますって。外の音、雨とかは平屋の方がちょっと分かりやすいかなっていうのはありますけど。
あと、間抜け的なものは、かえって二階建ての方が、二階に居室があるとしたら、その音とかは二階建ての方が分かりやすいので。
足音とかですよね。椅子ゴロゴロの音とかですよね。
ありますので、リビング直結型の部屋とかだと、先ほど言ったプライベート的な音は抜きやすくなるので。間取り的にそういった工夫は必要なのかなっていう。
なんかちょっと話戻るんですけど、その雨音って多分屋根材にもよりますよね。
屋根の材質、まあ断熱の構成。一番重要なのは断熱の構成かなって。断熱イコールもう防音でもあるので。そこが反響しないグラスウールとか、ロックウール、セルロースファイバーとか、その音を吸収しやすい素材にしていただけると、音は比較的少ないっていう特徴はありますね。
大工の寄り道、吉田高校前「やぶ」
恒例の「大工の寄り道」では、天野さんの母校近くにある食事処「やぶ」が紹介されます。
今日も話題がコンパクトにまとまったので、大工の寄り道、なんかいいところがあったら教えてください。
じゃあやぶで。最近困ったらすぐやぶですから。
なんで?やぶのどんなとこが好きなんですか?
我々の母校、吉田高校の目の前の吉行通りかな、のところにお食事処やぶってあるんですけれども。ここのカツ丼。煮カツ丼ですけど、美味しいんですよ。あと、モツ煮。
モツ煮美味しそう。
モツ煮美味しいんですよ。あと僕が好きなのはカレー丼。
カレーが丼なんですか?
そば屋さんのカレー丼なんですよ。出汁が効いて、子供が食べたら少し辛いようなこと言ってましたけど、そんな辛くないかな。天丼とかもありますけど、メニューはすごいたくさんあるんで。高校生の時によく行ったんですけど、お金もない高校生だったんで、カツ丼とカレー丼をいつもチョイスしてましたけど。
なんかこう、これが有名なんじゃなかったでしたっけ?あの大きいエビフライ。
エビフライっていうとあそこ、浜っ子。それ以外に定食もありまして。お蕎麦とか、ラーメンとか、うどんとか付いて、ボリューミーで美味しいんですよ。何でもあるっちゃあるんですけど、中でもおすすめはカレー丼とカツ丼。
あとモツ煮ね。モツ煮美味しそう。
モツ煮はほんと美味しいですね。いいつまみになりますから。
うちの子が好き嫌いがあって、こういう何でもある店じゃないと食べれないものとかがあるから、そういう時に便利ですね。ただ決して女子会の店ではないなっていう感じはあります。
女子会の店ではちょっとないかな。
女子会ではないけど、家族で食べ盛りのお子さんと一緒に行くのはすごいいいかなと思います。
決して無難にどれも美味しいとかじゃなくて、本当に美味しいです。ただ、結構混んでるお店なので。
そうそう、あのね、入れないんですよ、いつも。車もいっぱいですし。
駐車場がちょっと大きいんですけど、県外の方も多く来られて埋まってるところもあるので、そういった意味で行きづらいっていうか。空いてればすぐ行っちゃいますね。
お腹が空いてきた。じゃあ今度はここへ行ってみようと思います。
デメリットを知ったうえで、それでも平屋はいい
最後に高橋さんが今回の内容をまとめ、天野さんがデメリットを並べたうえでの本音を語ります。
じゃあ天野さん、今日は平屋についての現実をお聞かせいただいてありがとうございました。まとめると、相場よりも単価が高いよっていうお話とか、プラン難しいから腕のいいところにお願いするんだよっていう話も。
やっぱり出来上がるとやっぱり平屋、毎回見てるけどやっぱりいいものなので。そういったデメリットを今日は紹介しちゃったのはあれですけど、メリットも考えるとやっぱりいいかなっていうのはありますね。
じゃああの、今日も最後まで聞いてくださってありがとうございます。このポッドキャストはSpotify、Apple Podcast、YouTubeで配信しておりますので、ぜひ皆さんコメントをお寄せください。天野さんのモデルハウスも随時見学受け付けておりますので、ぜひホームページからお問い合わせいただければと思います。
お待ちしております。特に今夏なので。暑い時期にぜひ来て、「あの野郎、快適だって言ってたけど、どんなもんなんだ」って体感してもらえるといいかと思いますので、ぜひお問い合わせください。
じゃあ今日は天野さん、たっぷりとお話ありがとうございました。また次回も皆さんよろしくお願いします。
まとめ
平屋のデメリットを、お金・防犯・間取り・災害・音という切り口で具体的に掘り下げた回でした。同じ床面積なら基礎は倍、屋根も倍、構造材は1.5〜1.75倍になり、「平屋は贅沢」という格言の中身が見えてきます。防犯より難しいのは間取りで、光が届かない部屋を避ける工夫や家族の距離感の設計が問われます。浸水には二階建て、地震には平屋という違いがあるからこそ、まずハザードマップから土地選びを考えることが大切だと語られました。それでも天野さんは、出来上がった平屋はやっぱりいいものだと締めくくっています。
- 同じ床面積なら基礎は倍、屋根も倍、構造材は1.5〜1.75倍かかる
- 階段や足場のコスト減では、平屋で増えた分は吸収できない
- 防犯より難しいのは間取り。光の届かない部屋をどう避けるかが鍵になる
- 浸水には二階建て、地震には平屋。まずハザードマップと地名を確認する
- 雨音の気になりやすさは屋根材より断熱の構成で決まる



