そもそも「問題社員」とはどんな人を指すのか
この回で吉田さんが取り上げるのは、問題社員との面談技術というテーマです。まず、問題社員とはどういう人を想定しているのかから話が始まります。
吉田さんが例に挙げるのは、パワハラやセクハラをしている人、横領などの不祥事を起こした人などです。
加えて、能力不足やコミュニケーション能力の不足で、どうしても会社に馴染めず活躍できない人も想定に含まれています。
こうした相手とシビアな面談をしなければならないため、会社経営者や人事労務担当者にとっては、とても大変な仕事だと吉田さんは話します。
なぜなら、そうした面談では相手にとって不都合な事実を指摘しなければならず、指摘する側もさまざまな点に気をつける必要があるからです。この回では、その注意点が順番に語られていきます。
最優先は「物理的暴力を起こさせない」こと
吉田さんが最初に挙げる注意点は、意外と語られていないと前置きしたうえでの、逆上して物理的暴力に訴えかけてくる可能性を排除するという点です。
たとえばパワハラやセクハラをしている人に不都合な事実を指摘すると、逆上して殴りかかられる可能性があると吉田さんは指摘します。
逆上して殴りかかられたりする可能性があるわけですよ。
そうなればこちらが怪我をしますし、吉田さんは、トラブルが後日の殺人事件に発展したケースもあると触れています。ただしこの点は話が脱線したものとして語られています。
だからこそ、物理的トラブルにならないことが最優先事項として出てくると吉田さんは強調します。
同意を得た「録音」が場を冷静にする
物理的トラブルを防ぐために、まず出てくるのが録音です。吉田さんは、この面談を録音してもよいかと同意を得たうえで録音することを勧めています。
吉田さんは、秘密録音が日本の法律で違法だとは考えていないと述べつつも、お互いのことを考えるとフェアではないとしています。
ちゃんと同意を得て、お互い冷静に話し合いたいので、録音させていただいてもよろしいでしょうか、みたいな形で録音すると。
同意を得て録音すると、相手が怒って殴りかかる可能性が減るだけでなく、会社側が頭に血が上って言ってはいけない一言を言ってしまうことも減るため、双方にとってよいと吉田さんは話します。
会議室の机・座席・広さで暴力を防ぐ
吉田さんは、会議室に監視カメラがあれば、冒頭で軽く触れるトークテクニックも紹介します。
こちらの会議室は監視カメラも付いてるんで、安心してお話ししてくださいみたいなことを言うわけです。
吉田さんによれば、これは表面的には安心してもらうための言葉ですが、実際は監視カメラがあるから暴れないでほしい、という意図があるとのことです。
次に吉田さんが勧めるのは、机が大きい会議室です。机が小さかったり机がなかったりすると、相手との物理的な距離が近くなり、殴りかかりやすくなるからだと説明します。
ただし机が大きすぎて距離が遠いと、今度は話がまとまらなかったり、同じ目線で話せなかったりするとも述べ、簡単に動かせない机があるとよいとしています。
座席についても、出入口が一つしかない会議室では、問題社員に奥の上座に座ってもらい、出入口に近い側に人事担当者や社長が座るべきだと吉田さんは話します。これは逃げ道を確保するためです。
時間制限付きの会議室が「面談の打ち切り」を助ける
会議室そのものの設定として、吉田さんはできれば時間制限付きの会議室を借りることを勧めます。当社が入っているWeWorkでは、1時間や1時間半といった枠で借りられると例を挙げています。
時間制限を勧める理由は、話が終わらず長時間の面談になった場合のリスクにあります。会社側が長時間の面談にしてしまうと、その面談そのものがパワハラではないかという論点になりかねないと吉田さんは指摘します。
一方で、労働者側が長時間の面談を希望した場合も、いつまで付き合うのかという問題が生じます。途中で打ち切ると、話を聞けという反応になるかもしれません。
そこで会議室の時間制限があれば、ここの会議室は何時までしか取っていないのでと伝えて、面談を無理なく打ち切り、次の機会に回すことができると吉田さんは話します。
さらに吉田さんは、会議室の近くに人通りが多い場所があるとよいとも述べています。アクシデントがあったとき、大声を出せば誰かが来てくれる状態が望ましいという理由です。
吉田さんは、席の配置や机、会議室の場所を考え出すだけでも、これだけの論点があると振り返ります。こうして準備を整え、物理的暴力が起こらないようにしてほしいと呼びかけます。
一対一を避け「第三者」を同席させる理由
吉田さんは、人間は一対一で話すと感情的になりやすいと指摘します。
その例として、テレビで見るような親子関係や男女関係のもつれを挙げ、教育に詳しいカウンセラーのような第三者が一人入るだけで、お互い冷静に話せることがあると説明します。
これと同じように、社長と問題社員が一対一で話すと、感情的な対立になりやすいと吉田さんは話します。
たとえば労働者側は、採用のときは頑張ってほしいと言われたのに、と感じるかもしれません。社長側も、期待していたのに、と言ってしまうかもしれません。
(社長も)お前には期待したのにとかって言っちゃうかもしれない。そういうふうに感情的になるかもしれないですけど、第三者がいると、これ冷静に話し合えます。
同席者は「書記」という口実で入ってもらう
第三者を誰にするかについて、吉田さんは組織によると前置きしたうえで、会社の幹部や、組織が大きければ人事労務系の部門の人に同席してもらう例を挙げます。
ただし同席するには口実が必要です。いきなり面談に来る理由を問われるからです。
吉田さんが挙げる一番の口実は、議事録を作るための書記です。これは口実と言いつつ、面談の内容は実際に記録に残さなければならないという事実に基づいています。
一番の口実っていうのは書記です。議事録を作ってもらうために同席してもらってますっていうことになります。
吉田さんは、AIで議事録を作れると言われると厳しいとしつつ、AIではハルシネーションが起こるという理由も添えて、書記の人に入ってもらう形を勧めています。
同席者の性別と人数の配慮
吉田さんは、書記として同席する人の選び方が重要だと話します。判断の基準の一つが、問題社員の性別です。
問題社員が男性の場合は、力ずくの対応が怖いため、できれば会社側は男性2人で臨みたいと吉田さんは述べます。万が一暴れても、2人なら抑え込めるだろうという理由です。
問題社員がめちゃめちゃ強くて、二人がかりでちゃんと聴取してたのに、二人ともボコボコにされて帰ってきたら笑い者ですけど。
吉田さんは、実際にそうなる可能性は少ないとしつつも、さまざまな安全策は講じたほうがよいと補足します。
性別差については、屈強な男性の問題社員への対応は、女性にとって心理的な負荷が大きいと考える人もいると吉田さんは指摘します。
そのため女性に同席してもらう場合は、十分に根回しをしたうえで、本当にこの件は大丈夫ですかと確認してから同席してもらうべきだとしています。
吉田さんは、こうした配慮をすれば感情的な対立になりにくく、安全に面談が進むとまとめています。
論点が多く「後編」へ 実際の話し方は次回
吉田さんは、この問題社員との面談技術は当初1話完結の予定だったと明かします。
しかし台本を作るうちに論点が多いことに気づき、前編ではほとんど会議室の設定の話に終始したと振り返ります。
後編で実際にどのように話していくのかっていう話をしていきたいなと思います。
後編では、整えた場でどのように話を進めていくのかが語られる予定です。
まとめ
前編で吉田さんが伝えたのは、問題社員とのシビアな面談は、話の中身に入る前の場づくりで安全性が大きく変わるという点でした。録音、机や座席、時間制限、同席者の配慮といった準備を整えることが、物理的トラブルと感情的対立の両方を防ぎます。
- 問題社員との面談では、まず逆上による物理的暴力を防ぐことが最優先になる
- 同意を得た録音は、相手だけでなく会社側の言動も冷静にする効果がある
- 大きい机・逃げ道を確保する座席・時間制限付きの会議室が、トラブルと長時間化を防ぐ
- 一対一を避け、書記という口実で第三者を同席させると感情的対立になりにくい
- 同席者は問題社員の性別に応じて人数や性別を配慮し、女性には事前の確認をする






