エコハウス大賞と雑誌掲載、そして吉田の火祭り
本題の前に、天野さんに届いた2つの嬉しい知らせと、地元のお祭りの話題から始まります。
皆さんこんにちは。天野保建築の天野洋平です。
はい、住宅ライターの高橋かずえです。
8月の頭にですね、私のところにいい朗報がやってきまして。応募していた第10回の日本エコハウス大賞の、まあ最終候補のノミネートはされなかったんですけれども、奨励賞ということで、賞をいただくことができました。
おめでとうございます。すごいです。本当に。嬉しいですね。
湯村の家を応募しまして。いろいろ評価も高くいただいたようで。過去応募しているもの、第3回、第6回、第9回、10回、全部一応何かしらいただくことができてまして。ちょっとした自慢といいますか。
いや、それはもうかなりの自慢だと思いますよ。だいたい応募することが第一関門で素晴らしいと思うんですよ。資料作りだって集中してやらないとできないことなので、それを毎年毎年やってるのはすごいと思います。
私も第1回目から事務局としてお手伝いしてるんですけど、本当に100件以上もの住宅が全国から集うんですよ。その中で賞に入るって、よほど尖ったものがあったり、技術的にもデザインとかも見てますし。あとは作り手の人間性ってお家に出てくるから、そういうところがじわじわ伝わってきたんじゃないかなと思って、すごい嬉しいです。
それともう一つ、御殿場の家、設計は水野純也さんっていう建築家の方で、今はもう飛ぶ鳥落とす勢いの方ですけれども。高気密高断熱もしっかりされていて、そういう難しい作品に触らせてもらって。その御殿場の家が住宅建築っていう雑誌に取り上げていただきまして、表紙も飾って。いつかそういう雑誌に自分が関わる何かが出るといいなと思ってたんですけれども、その夢も叶って、嬉しいことが8月に2つも届きまして。
あともう一個あるんじゃないですか。8月26日火祭り。
8月の26、27日に、地元の富士吉田で、日本三奇祭の一つと呼ばれている吉田の火祭りっていうお祭りが開催されますので。全国から大体5万人か7万人ぐらい来るのかな。
富士山型のお神輿と明神型のお神輿2基出て、街を練り歩きます。その後、大松といって、高さ3メーター近くある大松が平均80基ぐらい、市内の中心地に並べて、一般の方々が練り歩くっていう変わったお祭りです。富士山の山じまいの、「もう冬になるから下りてきてね」っていう合図のお祭りですけれども。
はい、ぜひ皆さん富士吉田に遊びに来てください。
気密ってそもそも何?断熱とセットである理由
ここから本題です。過去回で断熱の話が人気だったことを受け、対になる「気密」がテーマに選ばれました。
そしたら今日は本題に入っていきたいと思います。今日は気密について、天野さんにお話を聞こうと思います。天野さん、いい家って何ですか。
過去27回、28回ポッドキャストしてるんですけど、断熱とか性能についての回って割と皆さん聞いてくださっていて、勉強熱心な方が多いのではないかと。断熱と対になるものとして気密についてもじっくり聞きたいなと思ってこのテーマを持ってきました。気密ってそもそも何ですか?
住宅を作る上で、断熱材を適切に隙間なく施工して、絵で描くと一筆書きに、床下、壁、天井、屋根って、それを一筆書きで描く状態を断熱でしっかり覆ってあげて、隙間なく綺麗に施工してあげる。で、それだけで終わりじゃないんですね。気密がしっかり取れないと。
気密っていうところでいうと、隙間風ですね。隙間風がない家を作ることをしないと、断熱材が効果は発揮するんですけれども、100パーセント力を発揮できないっていうことが一点と。
もう一点、計画換気をやる時に、隙間風がいっぱいあちこちから吹いてくるので、余計な湿度を吐き出してるんじゃないの?って言われるんですけども。気密が取れてる家だと、換気扇のところにティッシュ一枚ふわっとやってあげると、ティッシュが張り付くんですよね。
日本は四季があって、気密を取ってしまうと家が長寿命化しないと言われるんですけれども。法隆寺があるじゃないかって言われますが、法隆寺には断熱材も何も入ってない状態なので。常に通風されてるんですね。壁の中を常に風が動く状態なので、木がすごい健全なので長持ちするんですけれども。
当然それだと暑かったり寒かったりにダイレクトに影響するので、その時代と今の時代を比べるのもナンセンスなので。やっぱりしっかりと断熱と気密っていうもの、特に猛暑日が続きますから、しっかりやっていきたいなっていうところがありますね。
いや、思い出しました。気密と換気はセットで考えた方がいいんですよね。気密が取れているっていうことが、つまり隙間が少ないお家。
隙間があると、埃を運んできたりとか。山梨だと畑の隣の家とか、床がざらつくとか。うちもグラウンドの隣の実家だったので、床がざらつく経験とかあるんですけど。気密が取れてないとそういうものまでも運んできちゃう。
運んできちゃいます。例えば真夏にしっかりエアコンで冷房したいんだけれども、外から隙間風があるから生暖かい風が入ってくるわけですよね。冬も隙間風があるから冷気が入ってきて家が暖まらない。気密と断熱がしっかり取れている家だと、冷暖房の計画も立てやすくなってくるので。それだけで省エネ効果が高い家造りになってくるので。
自宅でできる気密チェック:換気扇にティッシュ1枚
天野さんが、いま家に住んでいる人でもすぐ試せる、気密の簡易チェック方法を紹介します。
張り付かない家は良くないってわけじゃないんですけども、あんまり気密がしっかり取れていないっていうある程度の指標になるので。ご自宅の、特にトイレとかにパイプファンってあると思うんですけれども、そこにティッシュをかざしてみて、一枚パラパラって落ちるようですと、あまり気密がうまく取れていないという指標にはなると思います。
あと、トイレのパイプファンの汚れとかも良くないんですよね。エアコンと一緒で能力を落としてしまうので、1ヶ月に1回ぐらい、クイックルワイパーとかで軽く埃を取っていただけるといいかなと。気密がないと、計画換気のところですとシックハウスですね、そういったところがよろしくない状態なんですね。
猛暑で急増中「夏の逆転結露」──壁の中で木が腐るリスク
近年の猛暑で住宅業界でも問題になっている「夏の逆転結露」について、天野さんが解説します。
どっちも大切です。気密だけ良くしても、家は暖かくもよく冷房が効いたりっていうわけではないです。気密だけ良くすれば最低限の断熱で済むって思うかもしれないんですけれども、そういうわけじゃないんですよね。今日のテーマの中でも少し話すとしたら、夏の逆転結露、壁内結露っていうのが最近すごい問題になってます。
40度も超す猛暑日に、エアコンをフル回転で動かしているので。外は40度を超すわけなので、冬と夏が逆転してるんですよね、環境が。家の中が冬の状態で、外が室内の状況、40度。すごい温度差があるんですけど。
断熱気密がある程度取れてる家でも、壁の中で温度差が生じることによって、壁の中に残ってる水分が結露するんだよね。で、木を腐らせたりとか。繊維系の断熱材ですと、断熱材が濡れると効果を薄れさせてしまうので、よろしくないっていうことで大問題になってます。
一番の改善は、気密を良くするっていうこともなんですけども、やっぱり適切な断熱。断熱もできれば等級六以上ぐらいはやっていただいた方が。できれば付加断熱っていうことをやっていただいた方が、家をそういったリスクから守ることができる。
最近ですと、気密シートに可変型っていうタイプのものがあるんですね。夏になって壁の中に湿度がこもり始めると、目が開いて、室内に湿度を戻してくれるっていう便利なシートがあって。知ってる工務店さんですと大体採用しているので、壁の中の結露を抑えることができるんで。
目標は各地域の等級六以上。まあ贅沢を言うなら、外に付加断熱いただけると、そのリスクは非常に弱くなるかなと。
人もペットも湿気の元?気密施工の基本
結露の原因となる湿気は、暮らしの中で常に生まれています。高橋さんが具体的な数字を挙げながら、気密施工の基本を確認します。
さっき湿度が壁の中の結露の原因になるってお話があったじゃないですか。なんか私が話を聞いた中で驚いたのが、人もペットも湿気の元になるっていうところ。生きてるだけで、約30ミリリットル、人が生きているだけで約30ミリリットルの湿気を出してる。
洗面とか入浴とかで、1日当たり1リットルぐらいの湿気を出してるんですよ。室内干しで1日当たり2.5リットル、お料理で1.5リットル。結構出してるんですよね。
結構出してますね。日本的な特有でいうと、ご飯を炊くだけでも蒸気ガンガン出してますから。ただ、ご飯、日本人の命ですからね。
そのどうしても出ちゃう湿気を壁の中に入れないために、断熱材の室内側に、サランラップみたいなものを貼って、湿気を壁の中に通さないようにしましょうっていうのが気密施工になってますよね。
まあ気密の取り方いろいろあるので、今日は一般的なやり方で言うと、室内側にビニール袋のようなものを貼って、テープとか乾燥木材、木材とか石膏ボードでしっかり押さえて、気密を取っていく。
C値とは?0.5以下=家中の隙間がハガキ半分
気密の指標となる「C値」について、天野さんが自社の実績を交えて説明します。
大体の指標として、うちがお客さんとお約束してるのはC値は0.5。なんで0.5ですかっていうと、パッシブハウスっていうものの基準が0.5以下なので、それに則って、うちも0.5。まあ0.5以下っていうところを目標としてやってますけど。
実情として、うちは大体平均で0.3以下ぐらいに毎回なる。うちの場合は住宅の形が違えば出る数値も違うので、毎回気密測定はやっています。
質問いいですか?その0.1とか0.5とか0.7とか、家の中全部の隙間がどれだけのサイズっていうことですか?
0.3とか0.5で、家中の隙間を全部集めて、はがきぐらいって言われてます。結構あるじゃないかって言われるんですけど、大体0.5とか0.3ぐらいがそのぐらいですよって言われてます。
換気の方式によってちょっと違うんですけれども、一種熱交換換気っていうものだと、数値が小さければ小さいほど換気がうまく機能するよって言われているので。一般的に言うと、C値1をきるレベルを目指してもらうといいんじゃないかって。うちは0.5ぐらいはやっていきたいよねってことで、0.5目指してますけれども。
気密測定って何をしてるの?減圧法のしくみ
窓に取り付ける「バズーカのような機械」で、実際に何を測っているのか。高橋さんの質問から、気密測定の中身を掘り下げます。
気密測定ってどうやってやるんですか?窓のところにでっかいスピーカーみたいなやつを当ててる写真は見たことあるんですけど、実際に何をやってるのか教えてください。
うちは中間、手直しができる段階で一回と、最終で一回測ってます。基本的に言うと、竣工し終わってから最終を測るんですけれども。窓のところにスピーカーみたいなバズーカみたいなものを設置して、家の中の空気を全部外に吐き出すんですね。
あ、あれで吐き出してるんですか?
はい、吐き出してます。あれは減圧法かな、っていう方法と、逆に家の中に外側から加圧するっていう2種類の方式があります。日本の場合は大体減圧方式っていうのがメインでやっていて、窓一か所を気密化して、それを設置して、計5回測定をして、その平均。
西方先生のお話で言うと、最低でも0.7は目指したいなって。
結構あるじゃないかって言われるんです。一種熱交換換気だと数値が小さいほど換気がうまく機能するので、C値1をきるレベルを目指してもらうといいんじゃないかって。工務店さん、設計者さんによっては1以下を目標としてやってる方も多いので、なるべく1より下の、小さければ小さいほどいいのかなと。
職人の現場:隙間ができやすい場所と塞ぎ方
気密工事の現場で、職人がどこに神経を使い、どう隙間を塞いでいくのか。高橋さんが取材で感じた印象から話が広がります。
工務店の皆さん、この隙間を防ぐための努力が半端ないですよね。
そうですね。僕も当初は、初めてやる時はやっぱりわからないので、ものすごくいっぱいテープをペタペタ貼ったりとかやってましたけど。
私が知ってる気密工事の種類といえば、まず窓回りをアルミ気密テープでビーッと、気密シートの間を全部テープで塞ぐ、すごい手が痛くなりそうな工事が一つ。あと、コードを通す穴とか、下のフォームでブワーって隙間がなくなるように工事をしたり。ビスで留めてるところも上からピタッとテープを貼ったりとかで、ちょっとの隙間も許さないぞっていう気合いを現場から感じていました。
一般的にどこがっていうと、まず壁だとポイントとしてはコンセントボックスのところ。あと換気扇とか、外側に繋がる穴ですね。トイレのパイプファンとか、電気の幹線っていって電柱から来るところ。あとインターホンの穴とか。大体電気屋さんの穴が多いかな。
建て方、家を骨組から組み立てるときに羽子板っていう金属製のもので金結するんですけれども、そこからも漏れをするので、そこをウレタンフォームでぶしゃーして、膨らませてモコモコにして。漏れる空気は皆さん血眼になって探して。潜水艦じゃないんですけれども、潜水艦来るぐらいの勢いで。
一番難しいのは天井。屋根断熱をすすめる理由
高橋さんが「気密工事は大変では」と聞くと、天野さんは「そうでもない」と答えます。その理由と、天井断熱と屋根断熱の違いに話が進みます。
気密の工事が、私はもう職人さんの手が痛くなりそうで大変な工事っていう印象だったんですけど。この前天野さんにちらっと聞いたら、「いや、そうでもない」っておっしゃってて。え、どういうことっていうのが今日一番聞きたかったことなんですけど。
気密工事は職人の立場から言うと、大変は大変なんですけれども。やりすぎればやりすぎるほど結果が伴わないと困るっていうのが一つと。限りあるお金と時間の中でやれば出なくちゃ困るでしょっていうのもあるんですけれども。いろいろ踏まえてやってきた中で、そのやり方をうまくすると、非常に簡単に、簡単にでもはないんですけども、取りやすくはなります。
壁っていうのは比較的取りやすいんですよ。そんなに難しくない。目につきやすい。で、一番どこが取れないんですかっていうと、天井。
やっぱり。
天井が複雑化しているので。うちは天井断熱ではあんまりやらないんですね。屋根断熱、屋根のところで断熱気密を取るということをやっているので。天井断熱ってやってるところだと、やっぱり大変ですよね。
その大変っていうのは、丁寧に工事をしても隙間が出ちゃうってことですか?なんか単純に天井の工事自体がずっと手上げとかなきゃいけないじゃないですか。
上げとかなくちゃいけないし、首もずっと上向いてるので。結構大変っていうところと。日本の木造住宅の構造の作り方で、和小屋っていう組み方を大概の工務店さんされてるんですけど、それが結構大変なんですよね。
僕のように屋根断熱でうまく気密取ってる方もいるんですけれども、どっちも一長一短はあるんですけども、僕の経験上、比較的屋根断熱にしていただいて、あと耐震等級3を取るような構造計算をしていただくと、その機能と性能がうまく両立することができるんですよね。
単純な話だと登り梁っていう、湯村の家でもありましたよね、斜めに伸びていく梁を多用していただいて、屋根面でこの水平構面を支えるものをがっちり強くするっていうのがポイントで。そこでうちはいつも気密を取ってしまっちゃってるんですよ。
私の素人なりの天井断熱のイメージって、天井の上にグラスウールをポーンって敷いておく、結構な厚みを乗せておいて天井断熱っていうイメージ。
そこがあの、特に平家の家でも2階の住宅でもそうですけども、シートを全部連続切れることなく、隣の部屋も全部切れることなくやらなくちゃいけないので。各部屋の間仕切りの壁のところからコンセントとかスイッチがあれば、天井から線が降りてくると思うんですけれども、それも全部塞がなくちゃいけないので。天井断熱って意外といろんな工種の方も絡むので、取るのが非常に大変だよっていうイメージがあるんですよね。
天井断熱か屋根断熱かって話になったら、屋根断熱の方が効率もいいですよね。
効率もいいですし、他の業者さんも楽になるかなっていうところもあるので、おすすめは僕はやっぱり天井が一番難しいと思うので、できれば屋根断熱を選んでいただいて、屋根断熱の中でもしっかり、特に登り梁をうまく使っていただいて。
工務店選びの質問「毎回気密測定していますか?」&まとめ
最後に、工務店選びで使える質問と、いい家にとって気密とは何かを天野さんが語ります。
工務店さん、設計者さん選びでいうと、そもそも毎回気密測定してるのかどうかっていう、そこもポイントではありますね。
いい家にとって気密とはどういう存在ですか?天野さん。
いい家にとって気密とは、なくてはならないものですね。特に断熱と気密っていうのはもうセットなので、セットとしてしっかり考えていただきたいということと。最近は猛暑がすごい猛威を振るっているので、温暖地の方でも断熱を等級の六以上、できれば高断熱をされた方が、逆転結露とか、そういったものを予防する上でも考えた人はいいのかなって。
温暖地だからいいよっていう考えもあるんですけれども、温暖地だとそういったリスクがあったりするので、なるべく外の影響を受けないような断熱構成にしてもらえると。プラス気密をしっかりやっていただけると、そういったものが全く心配なくなりますので。
すごい今日勉強になりました。ありがとうございます。天野さんとこのテクニック、性能の話、楽しいですね。じゃあ今日も天野さんいい家ってなんですか?のポッドキャスト、最後まで聞いてくださってありがとうございます。
今みたいな性能の話などなど深掘りできますので、気になることがありましたらぜひコメント欄にメッセージをお寄せください。それでは天野さん、今日もありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
気密は断熱とセットで初めて意味を持ち、片方だけでは家の性能は十分に発揮されないと語られました。近年の猛暑では「夏の逆転結露」で壁の中の木が腐るリスクもあり、等級6以上の断熱と気密の両立が重要だとされています。気密の指標であるC値は小さいほど隙間が少なく、天野保建築では平均0.3以下を毎回の気密測定で確認していると話されました。工務店選びでは「毎回気密測定していますか」と尋ねることが一つのポイントになりそうです。
- 気密は断熱とセットで考えるもので、片方だけでは効果が十分に出ない
- 換気扇にティッシュ1枚をかざすと、自宅の気密の簡易チェックができる
- 猛暑による「夏の逆転結露」は壁内の木を腐らせるリスクがあり、断熱の厚みと可変型気密シートが対策になる
- C値は小さいほど隙間が少なく、0.5以下で家中の隙間がはがき程度と言われる
- 工務店選びでは「毎回気密測定していますか」と質問するのが有効


