間取りセカンドオピニオンと無資格者の議論
話のきっかけは、Threadsで見かけた「間取りのセカンドオピニオン」というやりとりでした。
自分の家の間取りをハウスメーカーや工務店に作ってもらい、その画像を投稿して意見を募る人がいるといいます。
それに対して、報酬を得て間取りをチェックするサービスをしている人もいます。建築家がやっている場合もあるそうです。
ただ、そのなかで議論になっていたのが、一級建築士や二級建築士といった資格を持たない人が、そうしたセカンドオピニオンのサービスをしているケースでした。
報酬を得て設計業を行うなら本来は事務所登録が必要で、そこに違反するのではないか、と指摘する声もあったとマスコットさんは話します。
ただ、どちらが正しいかという議論そのものに強い意見があるわけではないといいます。そこから別のことを考えたそうです。
資格があれば安心、とは言えない理由
マスコットさんが引っかかったのは、資格や事務所登録があれば大丈夫なのか、という点でした。
建築家の人だってピンからキリまでいろんな建築家がいるので、建築家なら大丈夫って言えば別にそうでもない。そういう目線でも考えることはできるんじゃないかな。
資格があるかどうかは、安心の材料にはなっても、それだけで質を保証するものではない、という見方です。
断熱等級6でも暑い家ができる仕組み
次に話題に上がったのが、断熱等級です。
断熱等級5や6にしたと言っていても、住んでみると暑く感じて不安になる、という声がThreadsにあったといいます。
マスコットさんは、その理由を施工精度に求めます。数値の設定だけでは、実際の性能が出るとは限らないという話です。
たとえば屋根に厚い断熱材を入れても、施工に隙間があれば断熱性能は落ちてしまいます。
200ミリの屋根に断熱を入れてくださいと言って入れたとしても、施工精度が良くなくて隙間がいっぱいあれば、それは断熱が悪くなっちゃう。
さらに、工事中に断熱材を入れた箇所の写真を撮ることはあっても、全箇所を撮るわけではない、と指摘します。
全箇所写真を撮るわけじゃないから、本当に全箇所ちゃんと隙間なく入ってるかなんてわかんない。
だからこそ、等級の数値だけで安心できるわけではない、というのがマスコットさんの考えです。
同じ耐震等級3でも中身が違う
耐震等級についても、同じような誤解があると話します。
耐震等級には1・2・3があり、「3にしないと危ない」と言う人もいるそうです。
ただ、同じ耐震等級3でも、計算方法が違うことは一般にはあまり知られていない、とマスコットさんは言います。
チェックする項目がそこまで多くない簡略的な方法でも、耐震等級3は取得できる
細かい部分まで計算した方法でも、耐震等級3を取得できる
マスコットさんは構造の専門家ではないと断りつつ、簡略な計算方法でも、細かい計算方法でも、どちらでも耐震等級3は取れると説明します。
耐震等級3だから安心ですねとか、2だと危ないですよとかって素人の人が言ってるのは、それこそ危ないんですよね。
記号に安心して思考停止することの怖さ
資格も、断熱等級も、耐震等級も、そしてフォロワー数も、マスコットさんはすべて「記号」だと整理します。
記号を結構な人が信じちゃってるっていうのが、結構問題なんじゃないかなと思ってる。
記号は安心しやすい。だから「それなら大丈夫」と思いやすい、といいます。
問題は、そこで考えるのをやめてしまうことです。
そもそもセカンドオピニオンが求められるのは、図面を書いた本人が信頼されていないからではないか、とマスコットさんは考えます。
図面を書いた人が必ずいるわけじゃないですか。その人が信頼できないから、だからそういうSNSとか、本当に建築家かどうかもよくわからない人に聞くことになっちゃってる。
もし建築家を信頼できていれば、等級の数値をわざわざ疑う必要もない、という指摘です。
家は大きな買い物なので、心配になるのは当然です。だからこそ数値や記号に安心を求めてしまう、とも話します。
けれど本当に大切なのは、建築家や営業、職人、現場監督といった人を信頼できるかどうかだ、というのがこの回の軸です。
第三者チェックとしての工事監理の価値
そのうえでマスコットさんは、チェック体制の重要性を強調します。
建築家の仕事には、大きく分けて設計と現場の管理があると説明します。
現場のチェックが重要なのは、図面どおりに工事が行われているかを第三者の目線で確認できるからです。
設計と施工が同じ会社だと、必ずしもそうとは言えないものの、チェックがなあなあになりやすい面もある、と話します。
人間ってミスするじゃないですか。誰しもがミスするから、そこで発見できないことって結構ある。だからこそ第三者の目線が重要。
ミスをやり直すのは、時間も手間もかかります。手間や時間はお金にもつながります。
それでも、故意ではないミスを公平にチェックできることに、第三者の目線の価値がある、とマスコットさんは言います。
図面を作る
設計者が図面を書く
工事する
図面どおりに施工する。ただし人はミスをする
第三者がチェックする
設計者や監理者が図面どおりか公平に確認する
早く直せる
ミスを早く発見でき、手間とお金の増加を抑えられる
だからこそ、家づくりに建築家が管理として入ることには、大きなメリットがあるという話でした。
まとめ
資格や断熱等級、耐震等級、フォロワー数は、どれも安心しやすい「記号」です。ただし記号に安心して考えるのをやめるのではなく、その人を信頼できるか、そして施工やチェック体制が伴っているかを見ることが大切だ、という回でした。
- 資格や等級は判断材料になるが、それだけで質を保証するものではない
- 断熱等級を設定しても、施工精度が伴わなければ性能は出ない
- 同じ耐震等級3でも、壁量計算と許容応力度計算では中身が異なる
- 記号は安心しやすいが、そこで思考停止することが一番危ない
- 図面どおりか確認する第三者のチェック体制に、大きな価値がある
