なぜメンズエステに行くことになったのか
この回でしもちゃんが話すのは、メンズエステに行った体験です。ただし話の入り口として、まず結論めいた一言が置かれます。
現実は何も変わらないという話ですよ、これ。
冗談めかしつつ、しもちゃんは施術のあとに「悲しい思い」になったと言います。正確には、悲しいというより現実の解像度が上がった感覚だったと振り返ります。
冷まると、そう、「あ、これが現実なんだ」っていう、現実への解像度が上がった気分になってます。
行くことになった経緯は、計画的なものではありませんでした。その日しもちゃんは、前職の同期と久しぶりに会っていました。相手は関西が地元で、いなけんにとっては後輩にあたる人物です。
二人は食事のあとシーシャを吸いに行き、仕事の話などをしていました。もともとしもちゃんは肩こりのマッサージ先を探していて、そこから流れが変わります。
気づいたら「行くか」ってなってて。
メンズエステもマッサージの一種だという感覚で、二人はそのまま行くことを決めます。時間帯は夕方4時から5時ごろ。男二人でダベっていたノリからの、思いつきに近い選択でした。
ホテルの一室で待つ、緊張の10分間
この店舗は、店に出向くのではなくホテルを取る形式でした。まとめページから近くの店に電話し、ショートメッセージで指示が届く仕組みです。
メッセージには、指定のホテルに行き、部屋に着いたら番号を教え、指定の番号に電話するよう書かれていました。しもちゃんはフロントでチェックインを済ませ、部屋に入り、電話をかけて待ちます。
事前に待ち時間があると言われていたため、しもちゃんはソワソワしながら過ごします。緊張はかなりのものでした。
もうベッドにこう仰向けになって、僕自分の心臓に手当てしてましたもん。
ラブホテルなので映画を流せる環境があり、しもちゃんは緊張を紛らわすために映画を流しながら待ちました。10分ほどして、ノックの音が響きます。
そこに女の子いて、当たり前ですけどね。「あ、始まるんや」と思って。
同じ生活圏で育った、年下の女性との会話
ここからが、しもちゃんの言う「現実の解像度が上がった」体験の中心です。施術中、しもちゃんは女性と自然に会話を交わしていきます。
相手はかなり年下の女性で、出身地が大きく見るとしもちゃんと同じエリアでした。高校の名前にも「聞いたことがある」と反応が返ってくるほど、生活圏が近い人でした。
会話の中で、しもちゃんが「なんでこの仕事してるの?」と尋ねると、女性はお金を貯めるためで、今は学校に通っていると話します。音楽の話題にもなり、場は和やかに進みました。
四つん這いになってエルレガーデンの歌歌ってたぐらい、なんかそんな感じの雰囲気やったんですよ。
しかし会話が進むうちに、しもちゃんが気になる部分が見えてきます。女性には手首の傷があり、お金を貯める目的も二つありました。一つは学費、もう一つは整形です。
顔全部変えたくてって言ってて。
「私はバカだから」——自分の可能性を潰す言葉
しもちゃんがとくに引っかかったのは、女性が自分の可能性に対してひどくネガティブだったことです。
「私シャフだから」とか「ADHDで」とか。「いや私ほんまにバカやからさ」とか。
しもちゃんは、女性が自分自身に対して可能性を潰し、固定化してしまっている感じが半端でなかったと振り返ります。同じ県内で、しかも一回りほど年下の女性が、メンズエステの6回目の出勤で、顔を全部変えるために働いている。その事実にしもちゃんは圧倒されました。
怖い思いしながら働いてるっていうことを、こうなんかインプットされたら、なんやろな、何とも言えない気持ちになって。
いなけんは、施術そのものより、女性との一対一の会話から自分に引き寄せて考えてしまったのではないかと問います。しもちゃんは「だいぶ食らった」と答えます。
もし自分が親だったら、顔を全部変えたいという言葉に対して、肯定も否定もできないだろうとしもちゃんは言います。そう言うようになった過去を想像すると、壮絶なものだったのではないかと感じたからです。
身体を「手段」として見ることの危うさ
しもちゃんが強く感じたのは、女性が自分の身体を「手段」として捉えているように見えたことです。メンズエステには、服を脱いで身体を密着させるオプションもあります。
自分のことめっちゃ可愛いとか、「うわ、私はこんな大事な人間やから」とか思ってたらあんまできないじゃないですか。
さらにしもちゃんは、女性が誰が待っているかわからないホテルに赴き、90分ほど一緒に過ごすことには相当な覚悟がいるはずだと指摘します。その様子から、腹が据わっているとも、自分を道具のように見ているとも取れる、一種の危うさを感じたと言います。
いなけんは、その状態を「借り物の自分を操作している」ようなものかと言い換えます。しもちゃんはその表現に近い感覚だと応じました。
整形したい女性と、それを見るしもちゃんの視点
いなけんは、しもちゃんが整形について否定も肯定もしない立場だったことを踏まえつつ、その女性についてどう見えたかを尋ねます。全部を変えたいということは、自分に納得がいっていないということだからです。
しもちゃんの見立ては「やらなくてもいいのに」というものでした。客観的に見れば整形の必要を感じない相手なのに、本人はまるで納得していない。いなけんはこのギャップを、平均点以上を取れているのに本人は赤点だと感じている状態にたとえます。
その女性は、暗いどころかむしろ明るく振る舞う人でした。ただしそこには、反動のようなものも透けて見えたと言います。
「いやー、マジやばかったんだよね」みたいなテンションだったんですよ。
明るさが大きいぶん、沈むときは深くまで沈みそうな人だと、しもちゃんは感じました。いなけんは、山が大きいからこそ谷とのギャップも大きくなるのだろうと受けます。しもちゃんは、女性が自分の感情をコントロールしているのだろうと見ていました。
同期は感動、しもちゃんは「満足しなかった」
話はサービスそのものの評価に移ります。しもちゃんは他店の経験がないため比較はできないものの、施術自体は普通に良かったと言います。
一緒に来た同期は隣の隣の部屋にいて、終わったあとの感想戦では「もうあれはやばいね」と感動していました。しもちゃんは、自分についた女性が経験の浅い子だったことから、まだ上があるのだろうと感じます。
一方でしもちゃん個人としては、このサービスに満足しきれなかったとも語ります。相手を知っていく過程が好きだからです。
なんかやっぱり出して、「はい、終わりです」みたいな感じよりかは、人と人として、相手のことを知ってる過程が僕好きなんで。
気持ち良さと相手を知れることの二軸で見ると、メンズエステは両方とも高い部類に入る。それでも、普通にデートをしてから同じことをするほうが自分は好きだと、しもちゃんは改めて思ったと言います。それは両方を自分でコントロールできるからかもしれない、といなけんは補いました。
やりたいことを我慢する時間のほうがもったいない
ここでいなけんが、自分の身に起きた出来事を話し始めます。地元の小中で接点があったらしい女性から、インスタのフォローが来たというのです。
名前だけでは思い出せませんでしたが、投稿の写真を見て誰かがわかりました。ほとんど関わりのなかった相手ですが、フォローを返すと、向こうの投稿が見えるようになります。その内容から、いなけんは相手が風俗の仕事をしているのではないかと推測しました。
記憶の中のその子は、教室では目立たない、どちらかといえば根暗な女の子でした。それが今はすっかり明るくなっていて、いなけんは「この間に何があったのか」がずっと気になっていると言います。ただ、話す関係でもないため聞けずにいました。
これに対してしもちゃんは、最近の自分の気づきを語ります。一度「やりたい」と思ったことは、やるまで消えずに何度も現れる、というものです。
一回はこれやりたいって思ったことって、僕やるまで書き消えないと思うんですよ。だから何回も出会うじゃないですか、その自分に。
だからこそ、我慢している時間のほうがもったいないとしもちゃんは考えます。思いついた瞬間にやってしまえば、うまくいくか無理かがわかり、次に進める。結果的にそのほうが早いという理屈です。
この考えから、しもちゃんは最近一人でタイ旅行に行ったとも明かします。悩んでいる間にもコストは目減りしている——いなけんはそう言い換え、ためらっていた連絡を送ってみる方向に傾きます。
やりたいと思う
一度思いついたことは、やるまで消えず何度も頭に浮かぶ
我慢する
悩んでいる間にも時間やお金のコストが目減りしていく
すぐ行動する
最初に思った時にやれば、いけるか無理かがわかる
次に進む
結果を確かめてから前に進むほうが、結局は早い
「親しい友達」機能から見える、考える側と考えない側
話は、インスタの「親しい友達」機能に及びます。いなけんは、親しくないと思っている相手のストーリーに緑の輪(親しい友達の印)が付くと、少しザワザワすると言います。
しもちゃんは、そこまで考えるのは「考える側の人間」の発想で、相手はおそらく何も考えていないと返します。地元の友達を一人チェックに入れただけの、oneofthemに過ぎないだろうという見立てです。
そんなん考えてるのはマジで、ほんまに考える側の人間の考え方というか、多分マジで何も考えてないと思う。
しもちゃんといなけんは、自分たちはむしろ誰に何の情報を出すか、その波及効果まで考えてしまうタイプだと認め合います。いなけんは、その計算があまりにコストなので、そもそも親しい友達機能を使ったことがないと言います。
適当で大丈夫っすよ。人生なんか。
なお、この流れでいなけんはリスナーとインスタで繋がりたいと言い出し、番組のインスタやYouTubeを伸ばしたい思いも口にします。しもちゃんは、自分は恋愛の身バレを避けたいためアカウントは出さないと断りました。
禁止された一線を狙う——忘れていたコントロール感
しもちゃんが話す「もう一つの気づき」が、コントロールするという意識の大切さです。きっかけは、メンズエステで禁止された行為に踏み込みたくなる衝動でした。
メンエスといえども禁止されてる行為に踏み込みたくなるのが男の性じゃないですか。
しもちゃんが狙っていたのは、オプションとして用意されたものではなく、仕事のラインを超えた先にある関係でした。仲良くなって「この人ならいいかな」と思ってもらえるか、という勝負を裏でしていたと言います。
最後はこの一線超えたらキスするとか、そこまでゴールさせたいなって思ってたんですよ。結局できなかったんですけど。
いなけんは、それを店のオプションですらない「スペシャルクエスト」を狙っていたようなものだと表現します。しもちゃんは、その狙いは達成できなかったものの、自分が持っていきたい方向に物事をコントロールする感覚が久々だったと気づきます。
自分が持っていきたい方向にコントロールするっていうことの重要性、なんかこの感覚めっちゃ久々やなと思ったんですよ。
さらにしもちゃんは、この感覚が仕事にも欠けていたと振り返ります。マクロで見た設計図を持ったうえで、ミクロでは場当たり的に進めていく——そのバランスがちょうどいいのではないかと考えました。
マクロで見た時にコントロールされた設計図があって、ミクロでそれを場当たり的に進めていくぐらいがやっぱちょうどいいんじゃないかなと思って。
欠けていた本能——恋愛は人生のガソリン
しもちゃんは、去年10月に別れて以来、女性との関係が全くなかったことを打ち明けます。そのあいだ、脳内で何かのホルモンが欠如していたのではないかと感じていました。
空白期間を経て女性を前にし、コントロールしたいという自分が立ち上がったとき、忘れていた本能が戻ってきた。いなけんのその整理に、しもちゃんは強く同意します。11月ごろから人生に迷い、外的なものに頼った時期もあった末にたどり着いた結論でした。
いなけんは、それを人生をドライブさせるためのガソリンだと言い換えます。しもちゃんも、それが一番大事な気づきだったと応じました。
いなけんは、番組初期に一緒にカフェで収録していた頃のしもちゃんを思い出します。渋谷で目の前を通った女性に声をかけようとするような、至ろうとする本能が毛穴から出ているような人だったと言います。
その本能が、いつの間にか消えていた。しもちゃんは、当たり前になっていたから気づかなかっただけかもしれないと振り返ります。いなけんは、風邪を引いて初めて健康のありがたさに気づくように、欠けて初めて普通の状態に気づくのだと重ねました。
始まりの場所にあった——本能をむき出しにすること
しもちゃんは、スピリチュアルにのめり込んでいた時期の自分や、タイ旅行で出会った日本人まで含めて、今回自分を客観視できたと言います。
タイでは、半グレのように見える、育ってきた環境が違いすぎる人にも出会いました。一緒にいたら何をされるかわからないと感じる相手です。そうした経験を経て、メンズエステで最後まで施術を受け、しもちゃんは「悟った」と言います。
多分悟ったんやと思います、僕は。「あ、僕に必要なのはこれやったんや」って。
必要なものは、すぐそこにあった。しもちゃんはそれを、漫画『ワンピース』にたとえます。始まりの場所にあった、という比喩です。
いなけんは、本能に近いところが刺激されると現実を直視しやすくなるのではないかと感じたと言います。しもちゃんも、みんな言葉にまみれすぎだと応じます。
もっとだから本能むき出しにして、うわーみたいな感じでいきなりいいんすよ。
男女の本能は、種類が違うだけかもしれない
話は、男女の本能の違いへと広がります。いなけんは、男は性欲的なもので人生をドライブさせられる強いエンジンを持っているが、女性の性欲は男ほど強いエンジンにはならない気がすると言います。
これに対してしもちゃんは、女性は本能の種類が違うだけではないかと返します。種の繁栄という観点で、女性には別の本能があるのではないかという見立てです。
その出産なんてそうじゃないですか。もう種の保存じゃないですか、あれって。
しもちゃんは、安全に出産できること自体が生物的に多くの条件が揃った結果であり、当たり前ではないと言います。ここから話は、昔の家族の形態が一つの最適解だったのではないかという方向へ進みます。
しもちゃんは、昔のほうが金銭的にも精神的にも余裕があり、当時の家族形態が偶然ではなく一つの最適解だった可能性を指摘します。あの形が正解だったとは言わないと断りつつ、種の本能に近いという指標で見れば、昔のほうが近かったという見方もできるのではないかと語ります。
いなけんは、原始時代に遡るほど人間本来の姿に近く、今の核家族化は資本主義の歯車によって規定された構造だと補います。かつては祖父母と同居し、共同体の中で子育てをしていた——それが100年ほど遡ればあった話だろう、というわけです。
もっとも、この流れでしもちゃんが口にした「女性は二歩後ろを歩いてくれたらいい」という言葉は本人も冗談だと認めており、いなけんも「めちゃくちゃ昭和の思考」と笑って受け流しました。
今日の本質——現実は言葉にしないほうがいい
最後に、二人はこの回の「本質」をまとめようとします。当初いなけんは冗談で「メンズエステに行きましょう」と言いますが、女性リスナーが多いという冒頭の話と噛み合わず、二人で笑い合います。
しもちゃんが着地させたのは、体験を通してこそ得られるものがある、という視点でした。
いなけんは、それを「心と体で感じろ」と言い換えます。言葉で解釈しすぎるより、本能に近いところで現実を受け取ることの意味を確かめ合って、この回は締めくくられました。
まとめ
メンズエステでの体験そのものより、そこで出会った一人の女性との会話が、しもちゃんに多くの問いを残した回でした。身体を手段にすること、自己決定、そして自分が忘れていた本能まで、話は静かに広がっていきます。
- 同じ生活圏で育った年下の女性が、自分を「バカだから」と固定化し、身体を手段として捉えているように見えたことに、しもちゃんは強く食らった
- やりたいと一度思ったことは消えずに何度も現れる。我慢する時間のほうがもったいなく、思った瞬間に行動するほうが結局は早いという気づき
- マクロで設計図を持ちつつミクロでは場当たり的に進める、というコントロール感覚が、しもちゃんには久しく欠けていた
- 去年の別れ以来なかった女性との関係が、自分の人生をドライブさせるガソリンだったと気づいたことが、この回の一番大きな発見
- 現実は言葉にまみれさせるより、心と体で感じたほうがいい——体験を通してこそ解像度が上がる、という着地




