番組初クリア作品、ついに登場
Your GOTYゲームラジオは、投稿サイトYour GOTYに寄せられたレビューから毎回1つをピックアップして語る番組です。今回取り上げるのは、ライチさんが投稿した『都市伝説解体センター』のレビューです。
この作品は、シロさんにとって番組が始まって以来「初めてクリアしたゲーム」でもあります。
僕あれですよ、Your GOTYゲームラジオが始まって初めてのクリアしたゲームです、これ。
発売直後から相当話題になっていた作品で、シロさんは発売直後にパッケージ版を購入したそうです。パブリッシャーが集英社ゲームズであることも決め手のひとつだったと話します。
(集英社ゲームズには)アンセムナンバーナインでいつもお世話になってたので。東京行くたびにおいしいもの食べさせてくれて。
クリア後に読む公式説明文の不思議な感覚
番組では毎回、ゲームの公式説明文を読み上げます。今回シロさんは、すでにクリアした作品の説明文を改めて聞くという、いつもと違う感覚を味わったと語ります。
怪異や呪物などの調査解体を行う「都市伝説解体センター」を舞台に、主人公・福来アザミがセンター長のメグリやアヤムとともに依頼を解決していく——というのが公式のあらすじです。推理ミステリー風のシナリオとサイケデリックなピクセルアートで紡ぐ、連続ドラマ形式のアドベンチャーゲームとされています。
クリアしたゲームの公式説明文を改めて見ると不思議な気持ちになりますね。
シロさんは、この感覚を「食べたことがあるものの説明文を聞く感じ」と表現します。知らないゲームの説明を聞くのとは、頭に浮かぶものが違うといいます。
食べたことないものの説明文をふんふんって聞くのと、食べたことがあるものの説明文を聞くのって、やっぱ感覚が違いますね。
たとえばカレーも、スパイスや小麦粉のとろみといった説明だけでは、食べたことがない人にはピンとこないもの。すでに味を知っているからこそ、説明文の一つひとつに実感がわくという話です。
開発元とプラットフォーム、そして隠された文字化けの謎
開発元は墓場文庫、パブリッシャーは集英社ゲームズです。墓場文庫は『和階堂真の事件簿』シリーズを手がけており、番組でも1年ほど前に紹介されています。ごぉんさんは、簡略化されたドット絵など基本的なビジュアルの雰囲気が似ていると話します。
プラットフォームはSteam、Nintendo Switch、PlayStationで展開されており、最近ではiOSとAndroidでも配信が始まりました。シロさんは、この雰囲気のゲームをスマホで遊ぶことを想像して身震いします。
あんなゲーム、暗い部屋の中でスマホでやったら気が狂ってしまうんじゃないかっていうような意味で、ぴったりですね。
布団の中でゲームをした思い出話にも脱線しつつ、ごぉんさんはSteamの説明ページで見つけたある仕掛けを紹介します。クリエイターコメント欄の一番下に、文字化けしたテキストが置いてあったというのです。
墓場文庫さん、コピペ失敗したのかなとか、失礼なことを考えてるとかあるんですけれども。
試しにそのテキストをコピーしてChatGPTに変換を頼んだところ、隠された文章が出てきたそうです。ごぉんさんは、こうした謎を何気ないところに仕込む姿勢を高く評価しています。
昔のイースターエッグを発見したみたいな気分になってすごい楽しかったです。
「人は想像する生き物」から始まるレビュー
ここからライチさんのレビューに入ります。冒頭は「人は想像する生き物、そして想像できないものを受け入れたがらない生き物である」という一文から始まる、エモーショナルな書き出しです。
ごぉんさんは、想像できないものを受け入れたがらないというのはその通りだと共感します。昔は悪魔のような悪いものに形を与えて恐れたり、神様の存在を信じて祈って納得したりしてきた、という話につながります。
そこからシロさんが、稲光にまつわる話を持ち出します。稲の光と書くように、昔は稲光が稲が実をつけるために必要なものだと信じられていたというのです。
あれがピカって光ると、稲が受粉するって思われてたんですよ。
ごぉんさんはこの話に驚きつつ、いろいろなものに名前や役割を勝手に与えて信じ込むという人の性質が、昔から続いてきたことを実感したと話します。
推理パートが物語の「誘導灯」になる
2つ目のパートでは、ゲームシステムが語られます。レビューでは、細かく挟まれる推理パートが「プレイヤーが物語の内容をきちんと理解しながら読み進めていける誘導灯の役割を果たしている」と表現されています。
ごぉんさんによると、推理パートは文章の3か所の空白に、下にある単語から当てはまるものをはめて推理の文章を組み立てる形式です。1つの章のあいだに3回ほど出てきたといいます。
この推理パートはノーリスクで、失敗してもやり直せる仕組みになっています。ごぉんさんは、誘導される感じで物語がよく頭に入ってくる構成になっていて、とてもありがたいと話します。
これこれこれってはめてみて、正解ってなったら、そういう推理が進んでいくのねっていうのが、誘導される感じでよく物語が頭に入ってくる構成になってた。
シロさんは、不正解の選択肢にも意味があると指摘します。正解でない人名を選ぶと、その人物が何をしていたかを思い出そうとして、それまでのストーリーを反芻できるというのです。
Aの人名が入ってくると、じゃあAは何をしてた人だったんだっけ?とか、そこまでのストーリーが反芻できるみたいな、そういういいとこもありましたよね。
穴埋めが誘導灯になり、物語の内容を理解しながら読み進められる
選んだ人物のこれまでの行動を思い返し、ストーリーを反芻できる
一章時点で見えてきた個性的な三人
ここからは第一章を終えた時点でのキャラクターの話です。ごぉんさんはネタバレに配慮しながら、メインキャラ三人を紹介します。
一人目は主人公の福来アザミ。捜査の実務担当としていろいろと走り回る役どころで、SNSでも人気があるキャラクターだといいます。過去が見えるのか幽霊が見えるのか、その能力の正体はまだはっきりしないままプレイしているそうです。
二人目はセンター長の廻屋メグルさん。動画で「解体」のポーズを決める車椅子の人物で、絶妙なタイミングで電話をかけてくることから、千里眼のような能力がありそうだと話します。
三人目はジャスミン。一章の範囲では移動時の車の運転手を務めていますが、終盤にあちこちで電話をしていて「裏がありそう」と感じつつ、いいキャラだと好感を持っているそうです。
一方でシロさんは、すでにクリア済みのため、うっかりネタバレしないよう慎重に言葉を選びます。
今はあんまり下手に喋るとゴンさんがそれを食らうということになるんで、と思いながら聞いてます。
ドット絵とサイケデリックな色調の魅力
ビジュアルの話に移ります。操作パートは粗めのドット絵で、ドットの一つひとつが大きく描かれています。一方でキャラクターのカットインは非常に滑らかに動き、細かく綺麗なドット絵になっているとごぉんさんは話します。
色調も統一されていて、公式説明文では「サイケデリック」と表現されています。シロさんは、藍色とビビッドな黄色という組み合わせを挙げます。
なんかすごい動いてるんで、アニメーション見てるような気分になってしまいますね。
この色合いはSNS上でもすぐに識別できるほど印象的で、スクロール中に一瞬映っても『都市伝説解体センター』のスクショだとわかるといいます。ごぉんさんは、まだ一章の途中なので見かけたらすぐ避けていたと話します。
シロさんはこのテイストから、昔コンビニに置いてあった心霊写真の文庫本を思い出したそうです。白黒の再生紙に印刷された、少し厚めの本のイメージだといいます。
いまだに僕、心霊写真でいうと白黒のイメージがあるんですよ。
そこから、今の時代は変なものを見るとAIかと疑ってしまう、という話にも広がりました。
削除された一文と、レビューが描く境界
最後のパートを読む前に、シロさんはレビュー文の途中に「レビュー文の一部が削除されています」という表記があることに触れます。ライチさんが思うところがあってこう表現したのだろうと受け止め、その部分を避けて終盤を読み進めます。
終盤は「それからというもの、私は数日間、都市伝説解体センターの実況動画を漁っていた」という一文から始まります。話したいのに口にできず、もう無邪気にゲームをプレイしていた頃には戻れない——という、境界を超えてしまった感覚が綴られています。
シロさんは、クリアしていてよかったと語ります。二人ともクリアしていなかったら、どんな感情を込めて読めばいいかわからなかっただろう、と。
僕はね、めっちゃわかると思いながら読んでました。
一方、まだ第一話のごぉんさんは「それからというものの『それ』がどれかわからない」と、続きが気になって仕方ない様子です。シロさんは、このゲームは一気にプレイした方がいいと勧めます。
このゲームは一気にやった方がいいですよ。
『ひぐらしのなく頃に』に重なる、作品を包む熱気
シロさんは、レビュー文の「それ自体が都市伝説なのだ」という表現から、『ひぐらしのなく頃に』を連想したと語ります。どちらもプレイしていないと断りつつ、作品そのものだけでなく、それを取り巻く空気とともに語られる感覚が似ているというのです。
そのゲームをやっている人たちが作り上げる波みたいなのがあって、それがそのゲームの一部になってるっていう雰囲気があった気がするんですよね。
シロさんは、みんなが自分の家で遊ぶのではなく、プレイヤーたちが集まる「広場」の中で遊んでいるような感覚だったと表現します。作者がその広場にいろいろなものを供給し、熱気を帯びていくムーブメントがあったといいます。
そして『都市伝説解体センター』にも、それに近いものを感じたと語ります。ゲーム内に出てくるものが現実側にもあり、発売後のSNSの熱気と渾然一体になっていた、というのです。
ゲームの中にもSNSが出てくるから、なんか混ざってきそうな感じしますね。
最後にシロさんは、続きが気になるごぉんさんに向けて、ネタバレを避けるためにも早くクリアするよう勧めます。ごぉんさんも今回は一気にプレイしてみると答えました。
エンディングトーク:オープンゲームフェスと自作ゲームの出展
エンディングトークはシロさんの担当で、話題は「オープンゲームフェス」です。ゲーム開発者やゲーム業界を目指す学生の成長を促し、開発モチベーションの向上を目的としたイベントだといいます。
開催は7月11日の土曜日、京都コンピューター学院京都駅前校です。朝10時から夕方5時頃まで、セッションがずらりと並ぶタイムテーブルになっています。
若い人向けということもあり、Unityの入門や3Dオブジェクト作りといったワークショップやセミナーが多く用意されています。ごぉんさんは、90分でUnreal Engineを使って簡単なゲームを作る体験枠に「混ざりたい」と関心を示します。
なぜこの話をするのかというと、シロさんが制作している紙装甲主人公と不死身のカエル『カミエル』も、CRIウェアのブースで出展されるからです。CRIウェアの厚意で置かせてもらえることになったといいます。
僕も行くんで来てくださいじゃなくて、僕は行かないし、興味がある方はぜひ行ってほしいんですけれども、僕が出せて嬉しかったっていうだけの話です。
会場では、ホールでセッションが行われ、いくつかの教室でワークショップやゲーム展示が行われる形です。『ダンジョン崩し』『コーヒートーク東京』『シュレディンガーズコール』といった名だたるゲームも展示予定だといいます。
ごぉんさんは、一つの校舎の中でこれだけのゲームが並んで遊べる機会はそうそうないと感心し、開発モチベーションを高めるイベントとしての良さを語りました。
まとめ
今回は、番組で初めてクリアまで到達した『都市伝説解体センター』を、クリア済みのシロさんと第一章プレイ中のごぉんさんが語りました。ゲームシステムやビジュアルの魅力に加え、レビュー文がにじませる余韻が印象的な回でした。
- 推理パートが物語理解の「誘導灯」となり、失敗しても集中を切らさず読み進められる作りになっている
- 粗めのドット絵と滑らかなカットイン、藍色とビビッドな黄色のサイケデリックな色調が作品の個性を際立たせている
- ライチさんのレビューは「都市伝説解体センターはそれ自体が都市伝説なのだ」と、作品を取り巻く熱気ごと語る内容だった
- 作品を包むムーブメントは『ひぐらしのなく頃に』に重なるとシロさんは指摘した
- エンディングでは7月11日開催のオープンゲームフェスと、シロさんの自作ゲーム『カミエル』の出展が紹介された




