なぜイケハヤさんは「AIが面白くない」にぶち切れたのか
この回のきっかけは、AIの性能が大きく上がっているのに「AIが楽しくない」「どう使っていいかわからない」と言う人が出てきたことです。しゅうへいさんは冒頭で、この状況にイケハヤさんが怒っていると紹介します。
イケハヤさんが名前を挙げたのは、一緒に本を作った編集者の竹村さんです。竹村さんが「AIが面白くない」という趣旨の発信をしていたことに、イケハヤさんは「何を言ってんだ」と感じたといいます。好きな相手だからこそ、あえて名前を出したそうです。
イケハヤさんは、同じく一緒に仕事をしたことがある編集者の箕輪さんについても、AIにあまりワクワクしないタイプだと話します。ビジネス書ブームを共に駆け抜けた人たちがAIに興奮していないことが、イケハヤさんには「おもろない」と映っていました。
本当にこんな面白いものが出てきて、なんでこれ(AI)を面白くないとか言えるのか。じゃあお前は一体何が面白いんだ?みたいな。
イケハヤさんは、SEOに詳しいナカジさんも同じことを言っていたと紹介し、強く共感していました。
「AIが楽しくない日」は誰にでもあるのか
しゅうへいさんは、AIを面白く感じるかどうかは自分でも日によって変わると打ち明けます。動画を50分ぶん頼むような日はワクワクしながら寝るものの、疲れた日は何も作る気が起きないそうです。
しゅうへいさんがAIを動かさないまま利用枠が余り、1週間が過ぎてしまうこともあるといいます。そのときに感じるのは、罪悪感というより自分への不甲斐なさだそうです。
(AIという)こんないいものがあって、いくらでも生み出せるのに、自分側のリソースパワーが足りてないという、その自分に対する不甲斐なさ。
しゅうへいさんは、イケハヤさんを10年近く見てきて、常に創造性があふれてアクセルを踏み切れる人だと理解しています。一方で、自分を含めた多くの人には「どう使っていいかわからない」日もあり、自分はその両方を半分ずつ持つハイブリッドだと話しました。
幸あれこさんは、イケハヤさんほど「めっちゃ面白い」とは思えていない側だと答えます。ただ、毎日使っていてAIなしでは生きていけないので、「全く面白くない」とも言えないといいます。
パソコンが苦手でもAIでここまでできる
しゅうへいさんは、AIで何ができるかを知らないから依頼もできず、できると言われても信じられない人がいるのではないかと考えます。そこで例に挙げたのが、パソコンが大の苦手な幸あれこさんの変化です。
幸あれこさんは、最初はMacBookの開き方や電源の入れ方もわからなかったそうです。それが今では、デジカメで撮った映像と別撮りの音声をAIに合成してもらい、コンプレッサーで音を聞きやすくして出力し、その手順をスキルとして保存しています。
撮影
デジカメで映像を撮り、音声はパソコンで別に録る
合成
音声と映像をAIにミキシングしてもらう
整音
コンプレッサーをかけて聞きやすくする
保存
出力までの手順をスキルとして残す
幸あれこさんは仕事でもAIを使っています。コーチングのクライアントに送る、迷ったときに戻るための手順書は、以前はすべて手作りでした。
クライアントごとの手順書をすべて手作りしていた
その人の傾向や特徴を読み込ませると、PDFまで仕上げてくれる
幸あれこさんは、この変化に日々ありがたさを感じていると話し、しゅうへいさんは「十分使ってる」と応じました。
イケハヤさんは何を作っているのか
イケハヤさんのAIの使い方は、本人いわく「カオス」です。作りたいものが浮かんだらすぐ作るというスタイルで、収録当日の朝も作業を続けていました。
イケハヤさんが今作っているのは、ゲームの効果音を集める仕組みです。効果音サイトはMCPに対応しておらず、いちいち探して聴く必要があります。効果音の生成ツールも失敗が多いため、AIが探して集めてくれる仕組みを自作しているそうです。
ほかにも5つほどを同時並行で作っており、たとえば「ロンド」というマーケティングツールがあります。複数のメディアに分散した施策を1つのダッシュボードで管理し、効果計測と改善までできるものです。一昨日はゲームのニュースメディアも作ったといいます。
幸あれこさんに何が一番楽しいのかと聞かれ、イケハヤさんは、これまで諦めていたものがすぐ作れるようになったことだと答えます。
これあったらいいなっていうのが思いついてすぐ投げたら、いやできますみたいな感じで。じゃあお願いつって。で、その飯食ったらね、できてみたいな。
エンジニアに頼む必要や時間の壁がなくなり、7月からそんな状態になっているそうです。イケハヤさんの頭の中には、運転しているだけでもやりたいことが浮かぶといいます。
できることが増えすぎると人は動けなくなる?
しゅうへいさんは、竹村さんたちもかつてはSNSで本を売ることやYouTubeでの発信に熱狂していたはずだと指摘します。それなのに、できることがもっと増えたAIには面白さを感じないのはなぜなのかを考えます。
しゅうへいさんの仮説は、言い訳がなくなると創造性だけが丸裸になるというものです。以前は「お金がないからできない」と言えたのが、AIでは自分の発想力だけで勝負することになります。
そこで何か作れてなかったら、自分は創造性のない人間なんだっていうレッテルを自ら貼ってしまうような、だからAIはある種触らない。
しゅうへいさんは、この心理はミドルクライシスとも結びついていると考えます。何かを成し遂げてきた人ほど、頂上に登ったと思ったらさらに高い山が見えて、登るのがしんどくなるのかもしれないと話しました。
これに対してイケハヤさんは、それではもったいない、明日死んだらどうするのかと返します。やりたいことがわからないまま死んだら後悔するはずで、そこは死生観の違いではないかという見方です。
作っても届けられない人が作らなくなる
しゅうへいさんは別の理由として、初期設定の難しさや、文脈を伝える手間を挙げます。何度か触ってみて「うーん」となり、離れる人もいるのではないかといいます。
さらにしゅうへいさんが注目したのは、作ったものを届ける手段です。イケハヤさんには作ったものを流せば人に届く「水路」があります。一方で多くの人は、作ってから届け方に悩むことになります。
作ったものがそのまま人に届き、いくらでも作って広げられる
作っても届かず、作ること自体が無駄になるので作らなくなる
イケハヤさんは、自分でも最近は届けるほうが大変になってきたと認めたうえで、この構造は格差を広げると話します。幸あれこさんも、この格差は広がっていくしかないのかと受け止めました。
ゲームを作らなくても日々の仕事は楽になる
しゅうへいさんは、アプリやゲームを作らなくても、普段の仕事を楽にするためにAIを使えることがあまり知られていないのではないかと話します。例に挙げたのは、Zoomでの個別面談のあとの作業です。
Zoomの要約をPDFにし、プロンプトでまとめ直して保存し、LINEで送る作業を1日10件ほど手作業で繰り返していた
Claude Codeに15分ごとに確認するよう頼むと、面談後に自動でPDFと送付文ができ、コピペとアップロードだけで済む
しゅうへいさんは、こうした二度手間はほかにもたくさんあるはずだと考えます。イケハヤさんも、Spotifyへの音声アップロードはすでに自動化したそうです。
なぜドラえもんがいるのに頼まないのか
イケハヤさんにとってAIは、何でもできるようにしてくれる「イネイブラー」であり、魔法の杖です。それを使おうとしない人がいることが、シンプルにわからないといいます。
しゅうへいさんがこれを「ドラえもんがいるのに何もお願いしない」と言い換えたことで、話はのび太へと移ります。幸あれこさんは、現状維持バイアスが影響しているのではないかと口にしました。
のび太ってすごいんだね。
(のび太なら)絶対お願いするじゃないですか。
しゅうへいさんは、AIに頼むことへのプライドがあるのかもしれないと考えます。AIは自分より賢いので、「AIは嘘をつく」「まだ使えない」と否定する人もいるという見方です。
幸あれこさんは、そもそも人に仕事をお願いすること自体のハードルが高いのではないかと指摘します。「俺がやった方がうまい」と思う人も、同じ理由でAIを使わないのかもしれません。
そこで3人がたどり着いたのが、すぐに誰かを頼れるのび太の姿勢です。幸あれこさんは、AI時代はのび太になることが大事なのではないかとまとめました。
ね。(のび太は)自分でどうにかしようなんか思ってないっていう感じなのかな。
イケハヤさんは、ドラえもんの歌の「あんなこといいな、できたらいいな」の世界だと話します。散歩しながらやりたいことが無限に浮かび、ネックになるのはAIの利用枠と自分のリソースだけだそうです。
無一文から1年で2500万円、優秀さの定義が変わる
しゅうへいさんは、優秀な人の定義がガラッと変わっているのではないかと問いかけます。イケハヤさんが例に挙げたのは、自宅に居候していた磯野リツトさんです。
磯野さんは去年は無一文で、居候を始めた頃は仕事ができないと言っていいほどだったそうです。それが今年は年商2500万円ほどになったといいます。
無一文で、仕事の能力がほとんどない状態
AIに素直にお願いしながら仕事を進め、年商2500万円ほどに
(磯野さんは)多分お願いしてるだけなんだよね、彼はね。でもお願い力が高いし、素直だからなんかガンガン伸びていってるっていう。
イケハヤさんは、その様子を見て「優秀さってなんだろう」と感じたと話します。幸あれこさんは、素直さもひとつの能力だと受け止めました。
AIの言うことなら聞けるのはなぜか
しゅうへいさん自身も、AIで大きく変わった一人です。ただし最初はイケハヤさんと同時期にバイブコーディングを始めたものの、ChatGPTを使い続けていたため一気に差がついたといいます。
しゅうへいさんは、会社の資金繰りに追われてストレスが限界だった時期に、自分の悩みや妻への言動をすべてAIに読み込ませていました。ADHDの特性についてもレポートを作らせ、AIから拒絶への過敏さを指摘されたそうです。
面白いのはテスラの話です。財務担当者に購入を止められたしゅうへいさんがAIに相談すると、AIも彼らの言い分には一理あると答えました。
いや今買ったらそれ(テスラ)は周平のテスラは喜びのテスラじゃなくて、言い訳のテスラになる。
ちゃんと売上とか現預金が何千万超えて、これもう復活の狼煙のテスラにした方がいいよ。
このやりとりは、しゅうへいさんがAIの返答を再現したものです。幸あれこさんは、周りが何度言っても聞かなかったのに、AIの言うことは聞くと笑います。
しゅうへいさんの説明では、人に言われると反発心が出てしまうものの、自分の情報をたくさん持っているAIに言われると素直に納得できるそうです。映画『インターステラー』で、ロボットに正直度を設定するやりとりが今まさに起きていると感じ、ワクワクしたといいます。
道具としてのAI、ハーネスとしてのAI
イケハヤさんは、AIの使い方が人によって大きく違うことに気づいたと話します。自分は何でもやってくれる機械として使っていますが、しゅうへいさんはナビゲーターとして使っています。
イネイブラーとして、作りたいものを何でも作ってくれる機械として使う
苦手を理解させ、暴走を止めてくれる伴走役として使う
幸あれこさんは、AIはADHD気質の人に向いていると話します。しゅうへいさんは、AIを管理するための「ハーネス」という考え方を逆手に取り、自分にとってはClaudeがハーネスになっていると表現しました。
何かをしながら別のことをするのが好きな特性も、複数のAIを同時に動かす使い方に合っているそうです。イケハヤさんも、草刈りをしながら指示を出すのが好きだと話しました。
AI時代のボトルネックは「やりたいこと」
イケハヤさんは、結論は特に出なかったとしつつも、やりたいことを実現してくれる機械があるのに「やりたいことが見つからない」と言うのは眠たいと話します。次回はやりたいことを見つけるきっかけを与えたいと提案しました。
しゅうへいさんは、AI時代のボトルネックはやりたいことだと応じます。月数万円で誰でも同じ機械を手に入れられるほど平等な世界はないとも話しました。
最後に幸あれこさんが「のび太をヒントに」とまとめ、リスナーにAIの使い方をコメントやハッシュタグ「#本つま」で教えてほしいと呼びかけて番組を締めました。
まとめ
この回では、「AIが面白くない」と感じる理由として、言い訳がなくなる怖さ、届けるルートの有無、頼むことへのプライドなどが挙がりました。3人は最後に、素直にお願いできるのび太の姿勢と、やりたいことを持つことが鍵だと考えました。
- AIでできることが増えすぎると、創造性だけが試されて動けなくなる人もいる
- 作ったものを届ける手段があるかどうかで、AIによる格差が広がる
- ゲームを作らなくても、面談後の作業のような日々の二度手間はAIで減らせる
- 素直に頼む「のび太力」が、AI時代の新しい優秀さになりつつある
- AI時代のボトルネックは、技術よりも「やりたいこと」があるかどうか






