懸垂10回から始まる開幕
公開収録「FASHION VICTIM FESTIVAL」は、開幕の宣言とともに、会場後方から出演者が登場する演出で始まりました。登場した出演者は、集まった参加者に何度も「ありがとう」と繰り返します。
最初の企画は、いきなりの「懸垂10回チャレンジ」でした。会場の参加者がカウントで後押しし、挑戦者は10回を達成します。
皆さん、力を貸してください。皆さん、頑張って。5、6、7、8、9、10。
懸垂を終えた直後には「ほぼ放送事故だった」と笑いつつ、いつもよりバーの上まで体が上がったと手応えを語っています。バーの向こう側が見えるような景色だったとし、それを会場の皆さんのおかげだと締めくくりました。
セックスピストルズの「30人のライブ」になぞらえた理由
懸垂のあと、出演者は開演前に話していた「いい話」を改めて会場に共有します。この日は3連休の初日で、運動会や秋の行楽、別のイベントなど、多くの予定と重なる日でした。それでも、30人ほどの参加者が中目黒の会場に集まりました。
出演者が持ち出したのは、セックスピストルズ ── 1970年代のロンドンで結成されたパンクバンド。短い活動期間ながら、その後の音楽やファッションに大きな影響を与えたとされますが初めてマンチェスターでライブをしたときの話です。このときの客はわずか30人でした。ところがその中には、のちに名を残すアーティストが何人もいたといいます。
ジョイディビジョン。あとモリッシー。そういう後のなんかいろんなアーティストとかバンドでデザインの流行とか、いろんなところで有名になる人たちがめっちゃいたんですよ。だから奇跡のファーストギグって言われて。
出演者は、この日の公開収録をそのライブに重ねました。人数は控えめでも、会場にいる30人はこれからの時代を作る30人だと語っています。
続いて、番組おなじみのタイトルコールを会場全員で練習しました。「Today、GACKTの、ファッション、ビクティム」に続けて、会場が「フェスティバル」と叫ぶ段取りです。1回目はリズムが合わず、カメラのフレームから出てしまう人もいました。それでも数回のやり直しを経て、無事に開幕しています。
最大の競合はSupreme。残り14セットのタンクトップ
公開収録の当日は、Supremeのボアジャケットなどの発売日と重なっていました。出演者は、この発売日こそが最大の競合だったと振り返ります。準備の合間に4人体制でオンライン購入に挑みましたが、結果は全滅だったそうです。
そうです。しっかり負けました。
話題は、物販の「自分自信タンクトップ」に移ります。開演前の会場では、タンクトップの周りに人が群がっていたといいます。黒やグレーが入った色付きのパックは5つしかありません。白のセットも売れ行きがよく、残りはわずかだと会場で発表されました。
出演者自身も、タンクトップを1枚ずつしか持っていません。TODAYさんはこの日もタンクトップを服の下に着ていて、もう1人の出演者は刺繍がよれたB品の黒を1枚持っているだけだと話しています。
貴重な色付きのパックをどう配るかについては、懸垂ができた人に優先権を与える案が出ました。ただ、3回ならビギナーズラックでもできてしまいます。そこで、第2部に懸垂タイムを設けることになりました。
会場にはフリマのテーブルとハンガーラックも用意されていました。ゲストは前夜の深夜まで出品するTシャツを探していたそうです。出演者は、自分たちより熱心にフリマについて投稿していたと笑っています。
フリマの予約希望も会場で募りました。参加者からは、TODAYさんのデニムパンツ、シャルルのシャツ、2,000円コーナーに並ぶ「ファイトクラブ」のTシャツ、StussyとROBBAのパーカーなどが挙がります。
このパーカーを手放す理由は、ポリコットン素材で静電気がひどいからだそうです。出品者は、デザインはとてもいいと推しています。
サードシーズンはなぜVCM出展を見送るのか
第1部の後半では、番組のこれからが話題になりました。「我々もついに引退ですか?」という冗談もありましたが、すぐに否定されます。そのうえで、今後どうしていくかを、コアなファンの意見を聞きながら考えたいと語られました。
当初、サードシーズンには「VCM ── 東京などで開かれるヴィンテージ古着の大型イベント「VINTAGE COLLECTORS MARKET」の略称。多くのヴィンテージショップが出店しますに出展する」という構想がありました。そのために、パタゴニアやカーハートのヴィンテージもかなり集めていたそうです。
それでも見送る理由として、3つが挙げられました。
- ヴィンテージブームが、番組の第1期のころほど過熱していない
- 時代柄、ミリタリーアイテムを並べると不吉な感じがして、今は気分ではない
- 冬のVCMは11月で、準備の時間が足りない
ミリタリー古着については、自分たちがミリタリー専門店の怪しいおじさんのようになってしまう、という自虐も飛び出しました。結論として、出展はいずれ来年だろうとしています。サードシーズンは、リスナーが喜び、リスナーに還元できる形で改めて考える方針です。
中目黒の路地で生まれた「TODAY何着る?」
会場が中目黒の路地だったのには理由があります。この場所は、明石ガクトさんとTODAYさんが出会った場所でした。当時、建物の2階から上には明石ガクトさんの会社ワンメディアが入っていました。一方のTODAYさんは、1階のカフェでよく作業をしていたといいます。
当時の2人は、すれ違うたびに「明石さん、どうもこんにちは」と挨拶する程度の、よそよそしい関係でした。明石ガクトさんは、毎週のように声をかけられるので、何か話さなければと思ったそうです。そこで目に留まったのが、TODAYさんの履いていたパラブーツでした。
TODAY何着る?はそこが起源ですよ。
TODAYさんの説明では、お互い何か話さないといけないと思いながら服の話をしていたことが、番組のコーナー「TODAY何着る?」の原型になっています。明石ガクトさんはこれを、イギリス人が天気の話でお茶を濁すようなものだとたとえました。
明石ガクトさんには、仕事でお金が発生する場以外では、動画や広告の話をしたくないというこだわりがあります。気持ちよく話せる話題は、趣味である服の話でした。
2人の距離が縮まった決め手は、ほぼ同じ時期に2人ともストーンアイランド ── イタリアのウェアブランド。左腕のコンパスロゴの腕章が象徴で、腕章を黒一色にした「シャドー」や「ゴーストピース」などのラインがありますにハマっていたことでした。エレベーターで一緒になったとき、明石ガクトさんが「それシャドーだよね」と声をかけたそうです。
ただし、このときTODAYさんが着ていたのはゴーストピースでした。TODAYさんは、2人が同じ車のクライアントを担当していたタイミングに、あえてそのシャツを着ていったと明かします。会場では「少女漫画の世界」「BLが始まっちゃう」と笑いが起きました。
すれ違い
同じビルで、よそよそしい挨拶を交わす関係
パラブーツ
話題に困り、足元の靴から服の話を始める
ストーンアイランド
同じブランドにハマっていたことで、気が合うと感じる
番組のコーナーへ
会うたびの服の話が「TODAY何着る?」の原型になる
2人が伝えたかったのは、共通の趣味があれば友達になれるということです。会場の参加者同士も、仕事は知らなくても服の話なら盛り上がれる、と呼びかけています。東北から5人で来た参加者の輪は「ビクティムブルーム」と名付けられました。
ベスト1枚で「クロムハーツの妖怪」になったTODAYさん
公開収録の拡大版として、まずは出演者自身の「今日何着てる」から始まりました。TODAYさんは当初、ベストを着ていませんでした。後輩に取りに行かせたベストを足したことで、全身がクロムハーツづくしになってしまったそうです。
細部までクロムハーツを仕込んでクロムハーツの妖怪になっちゃってるよという話でございます。
足元はウエスコのジョブマスターです。アッパーは黒く艶のあるレザーで、ボトムにはバッファローを使っています。オーダーしたのになかなか取りに行かなかったため、店員から「ブーツにカビ生えてないか心配になっちゃいましたよ」と言われたブーツだといいます。
ブーツには、クロムハーツのシューレース用パーツが付いていました。TODAYさんはかつて、会社のボーナスをこのパーツにつぎ込んだそうです。1個8万円ほどで、左右別売りのものを4つ買ったといいます。明石ガクトさんは、ブーツへのカスタムとしてなら「ギリ許せる」と評しました。
ジーンズは、普通のリーバイスのオレンジタブにクロムハーツのパッチを付けた1本です。このジーンズに合わせるには、ウエスコを100番ソールにする必要がありました。その100番ソールが嫌で、ブーツを取りに行かなくなったという経緯も明かされています。
上にはティモシー・シャラメの着用で相場が上がったというクロムハーツのヘリンボーンのベストを重ねています。インナーは「何者でもないTシャツ」で、その下に自分自信タンクを忍ばせていました。
番組初期から登場したアイテムで固めた明石ガクトさん
明石ガクトさんは記念回に合わせて、番組の初期からよく話していたアイテムを持ってきました。足元はコモリ別注のグイディのバックジップブーツです。前日には、グイディのサンダル「BRK10」の試着のために、サッカー好きのリスナーと青山近辺で会ったそうです。そのリスナーにも、こんなに履き込まれたグイディは初めて見たと言われたといいます。
このグイディはリバースレザーで、本来は毛羽立っている表面が、履き込みすぎて艶が出ています。まだ一度も洗濯していませんが、伸びてきたのでそろそろタンブラーで洗うつもりだそうです。会場にも同じバックジップを履いた参加者が2人いて、「東北地方に2人のグイディ」と盛り上がりました。
なんかね、足に吸い付くようなフィット感。
パンツはカーハートのダブルニーで、色はハミルトンブラウンです。普通に履けば10年はかかる色落ちを、デッドストックを加工に出して再現しています。デフォルトの色はパキッとしすぎているため、このくらい落ちたほうがいいという考えです。
デッドストックのハミルトンブラウンは、色がパキッとしすぎている
加工によって、普通に履けば10年かかる色落ちの風合いになる
締めくくりに紹介されたのは、TODAYさんが明石ガクトさんのために買ったSupremeとアプレッセのパーカーです。TODAYさんは、このパーカーを明石ガクトさんより先に着て、ファッションスナップドットコムに「僕のパーカーです」と載せていました。その姿は、デジタルタトゥーのように残っているといいます。
衝撃だったのは、その2週間ほど後に、アプレッセのレギュラーラインから似たパーカーがより安く出たことだったそうです。
ケリーバッグに自分自信タンク。ビクティマーたちの「何着る?」
ここからは、参加者の装いを出演者がマイクを持って聞いて回りました。東北から来た参加者は、明石ガクトさんに憧れてグイディのブーツを買ったそうです。コモリのサマーコーデュロイパンツとレーヨンシャツを合わせ、「バキバキのコモラー」と紹介されました。インナーは、2008年の伊勢丹別注のブルース・ウェーバーのフォトTでした。
ペディさんは、今季のビブムのヘリンボーンのトップスに、スタッズを多く打ったGoodKarmaのベルトを合わせていました。パンツは3〜4年前のアプレッセ、靴はTimberlandとワコマリアのコラボです。
ペディさんのバッグはエルメスのマキシケリーで、ケリーの一番大きいサイズでした。その中に自分自信タンクが収まっていたことに、出演者は驚いています。床置きでガシガシ使う姿を、本来の使い方だと称えました。
「明るい金髪」さんは、ノンネイティブとコンバースのジップスニーカーに、ルーク・メイヤーのOAMCを合わせていました。羽織りは、90年代に活躍したデザイナー、シリンギルドのものだそうです。
この服装を見た明石ガクトさんは、服によって引き寄せる相手やコミュニティが変わるという話を始めます。明るい金髪さんの妻は、ゴルチエやギャルソン、サカイが好きだそうです。そうした女性はこういう服の男性が好きで、TODAYさんや自分のような「土臭い」男は好まれないのではないか、と笑いを交えて語りました。
明るい金髪さんは、カルティエの釘モチーフのリングを、妻の希望で結婚指輪にしています。続いて登場したHSKさんは、結婚指輪をクロムハーツにした人です。妻には反対されましたが、好きなデザイナー本人に会ってもらったことが説得の決め手になりました。出演者はこれを「インフルエンサーマーケティング」と評しています。
グイディかウエスコか。すこやかさんの質問で始まった徹底論争
会場からの質問タイムでは、すこやかさんが手を挙げました。質問の中身は、初めてのブーツを買うならグイディとウエスコのどちらがいいか、というものです。
あの、お二人すごいウェスコ履かれてますけど、あの、ちょっと僕もブーツ欲しいなと思ってて。で、出てくるブーツだとグイディかウェスコじゃないですか。
明石ガクトさんは両方を持っていますが、ここではグイディ派として話すと宣言しました。ウエスコ派のTODAYさんとそれぞれプレゼンし、反論し合う「徹底論争」の形で進みます。
グイディ派の明石ガクトさんの主張は、グイディは何にでも合うということでした。カーハートに合わせればラギッドなワークブーツに、コモリに合わせればモードに、デニムのサルエルに合わせればデザイナーズの雰囲気になる、と会場の参加者の足元を例に挙げます。
出張とかそういう時に俺ウェスコを履いていくことはないです。グイディは履いていきます。海外でも履いていく。
ウエスコ派のTODAYさんが挙げた魅力は、パーツを選んで仕上げるカスタムの妙と、無骨なものづくりでした。もとはレッドウィングを履いていましたが、クロムハーツの担当者に「僕はウエスコだよ」と見せられたことで買ったといいます。アメリカンなスタイルには合う一方で、ほかのスタイルには合わない、という点もTODAYさんは認めています。
どんなスタイルにも合い、ソックスのように足に馴染む。ただし高価で、今後安くなるとも思えない
カスタムで自分だけの1足にでき、作りがよく比較的リーズナブル。ただし1日履くと足が痛くなり、脱ぐのにも時間がかかる
ところがTODAYさんは、すこやかさんへのおすすめとして、ジャコメッティのブーツを挙げました。明石ガクトさんは「今までの時間なんだったんだ」と突っ込みつつ、今のスタイルならジャコメッティもいいと認めます。そのうえで、人は年齢とともに変わると返しました。
一旦やっぱファッションヴィクティムとしてはウェスコかグイディしか出てこないんだから。
最終的に2人が声をそろえて出した結論は、グイディでした。TODAYさんは、すこやかさんのことを本気で考えたらグイディだと思った、と話しています。すこやかさんも「ちょっと無理してグイディ」を買うつもりだと答え、論争は決着しました。
穴が開かないダーンタフと、ブーツの縁に素肌を当てない理由
最後の質問は、Kenさんからの「おすすめの靴下」でした。明石ガクトさんは、基本的にウールソックスかクロムハーツのソックスしか履かないといいます。
明石ガクトさんのおすすめはダーンタフ ── アメリカ・バーモント州のウールソックスメーカー。登山やアウトドア用途で耐久性の高さが知られていますです。登山をする人たちの間でも一番穴が開かないと言われていて、毛玉すらできないため、いつまでもフレッシュに履けるといいます。秋の中途半端な時期は、短めのダーンタフにCEPの着圧ソックスを重ねているそうです。
TODAYさんは、2年前ぐらいまでジョーダンのロゴ入りソックスを履いていたと明かします。その後、先輩が携わるビブソックスに切り替えました。ファミマとコラボした長谷川昭雄さんのAHのルーズソックスも試しましたが、足へのフィット感ではビブソックスが好きだそうです。
ここで明石ガクトさんが問題にしたのは、TODAYさんのソックスの長さでした。ブーツの縁が素肌に直接当たる履き方は、ブーツのためにも本当にやめてほしいといいます。
とにかく長さの合ったソックスを履くってことが大事じゃないですかね。
第1部の最後には、出演者が懸垂からの疲れとコーラの飲みすぎを笑いました。第2部の冒頭では、色付きタンクトップをかけた懸垂3回チャレンジを行うと予告されています。TODAYさんが10回のお手本を見せることも予告され、15分の休憩に入りました。
まとめ
初の公開収録となった第1部は、懸垂とタイトルコールという番組らしい開幕から始まりました。そこから2人の出会いの地で語られたのは、服の話が人をつなぐという番組の原点です。参加者の装いを聞き、ブーツ論争に本気で答える時間を通して、服を入口にしたコミュニティが会場に広がっていく様子がうかがえる回でした。
- セックスピストルズの「30人のファーストギグ」になぞらえ、会場の30人をこれからの時代を作る30人と呼んだ
- 「TODAY何着る?」は、中目黒のビルで2人が交わしたパラブーツやストーンアイランドの話が原型になっている
- サードシーズンのVCM出展は、ブームの落ち着きや準備期間の不足から、いずれ来年と見送られた
- グイディとウエスコの徹底論争は、すこやかさんの将来まで考えた末に、グイディという結論になった
- ソックスは、ダーンタフなど耐久性の高いものを選び、ブーツの縁に素肌を当てない長さで履くのが大事だと語られた





