なぜリリース前に記録を残すのか
新作を作っていると言うと、「この前も新作を作ってなかった?」と思われるかもしれません。
前に作っていたのは『PasteSync』という、クリップボードのアプリです。いいものはできたと思っていて、宣伝はしていないんですが、何人かが継続的に使ってくれています。
ただ、これが一筋縄ではいかなくて。一番大きい反省点は、開発に時間をかけすぎたことなんです。9ヶ月ぐらいかけました。
以前、成功談には脚色が入るという話をしたことがあります。うまくいった後に「あの時こう考えてやったんですよ」と語ると、どうしても嘘が混じってしまう。
だからこそ、この生の温度感や戦略は、先に撮っておかないと素直に発信できないんですよね。
うまくいっても、いかなくても。失敗した後の振り返りには脚色は入りにくいけれど、成功したときのために、いま記録を残しています。
AI時代のMVPは「少ない機能」で
今の時代、リリースする最低限のプロダクト、つまりMVP ── Minimum Viable Product。市場に出せる最小限のプロダクトのことの状態がどういうものか、というのは変わってきていると思います。
AIが出てくる前は、作り込む前にとりあえずパッと出して、ニーズがあれば作り込む、というのが定石でした。リーンスタートアップでも提唱されている考え方です。
でもAIが出てきて、そこは少し変わったと思うんです。あまりにAIでパパッと作りましたというものだと、興味を持ってもらえない世の中になっている。
実際はみんなAIで作っているんだと思いますが、「AIっぽくなさ」がすごく重要になってきた。ユーザーの目が肥えてきているので、リリース段階でも結構なクオリティが求められます。
ただ、それでも搭載する機能は少ない方がいいなと、『PasteSync』の反省から思うんです。
今の僕の考えは、とにかく自分にとって必要な機能だけを磨き込んでリリースすること。自分には必要ないけど他の人は欲しがるだろうな、という機能は、リリース時点では入れない方がいいんじゃないかと思っています。
自分が使う機能なら、どう改善すべきかが高い解像度でわかります。でも他の人が欲しがるだろう機能は、どこまでいっても推測なんです。それを入れると削るのも大変だし、コアの機能がぼやける。
規模感にもよりますが、開発は3ヶ月ぐらいが許容範囲かなと思っています。
GoAlongで作ろうとしているもの
じゃあ何を作っているのか。モバイルアプリ向けインフルエンサーマーケプラットフォーム、『GoAlong』です。一緒に行こうぜ、みたいな感じですかね。
アプリ開発者とインフルエンサーの間をつなぐ、成果報酬の仕組みを簡単に構築できるサービスです。月額費用も初期費用も0円で、紹介経由で課金が発生したときだけ、インフルエンサーへの報酬とプラットフォームの利用料が発生します。
なぜこれを作ろうと思ったか。僕は『BookNotion』で、YouTubeの案件で紹介してもらうことをやってきて、良さと大変さが見えてきたんです。
YouTubeの案件は一発で数十万円とか、高いと100万円ぐらい。そうなると、費用対効果がプラスになりそうな人を厳選しないといけません。コメント数やファンの熱量を見て、声をかける前にかなり調べる必要がある。
『BookNotion』でいうと、ビジネスマンや読書家が見てそうなチャンネルで、しかも費用対効果をクリアする人となると、せいぜい5人ぐらいしかいない。連絡して返信が返ってくるのが5割ぐらいなので、この人たちに頼んだらもうおしまい、という状況になるんです。
マイクロインフルエンサーはもっといるんですが、一発1万円でリターンが2万円ぐらいだと、やりとりするコストの方が高くなってしまう。数十万の案件でも1万円の案件でも、やりとりの手間は変わらないんですよね。
これが固定費なしの完全成果報酬になると、投資対効果を考えずに数を打てるんです。効果が出たら嬉しいし、出なくてもリスクがない。
固定報酬はインフルエンサーにとってリスクがないですが、成果報酬は平等でフェアだと思うんです。効果が出れば固定金額より多くもらえるかもしれないし、出なければもらえないかもしれない。
なぜ今までなかったのか、という壁
じゃあ今までこういうものがなかったのかというと、理由があるんです。モバイルアプリの場合、計測が難しいんですね。
ウェブサイトなら紹介リンクを踏ませて紐付ければ、誰の紹介で課金したかがわかります。でもアプリは一度アプリストアに行ってインストールするので、そこでURLが断絶してしまう。
その計測を解決する方法を見つけたんです。海外では実例があるやり方で、プライバシー保護の問題もクリアしています。
Appleはプライバシー保護を重視していて、IPアドレスや端末情報を組み合わせて個人を特定する行為を禁じています。昔からあるそういう紐付けの方法は、どんどんグレーからブラックになってきている。GoAlongはそれ以外の方法で紐付けます。
もうひとつは報酬の支払いです。請求書をもらって振り込むのは、数が増えると面倒だし、金額が小さいマイクロインフルエンサーでも手間は同じなんですよね。
僕自身、海外のアフィリエイトツールを使っていて、毎月自分でPayPalで振り込まなきゃいけなくて結構面倒なんです。GoAlongでは『Stripe Connect』を使うことで、これを完全に自動化できそうだなと。
難点は、今は日本国内だけということ。クロスボーダー取引に引っかかるので、日本のアプリを日本のインフルエンサーに紹介してもらう縛りがつきます。まずはiOSアプリで、『RevenueCat』を使っているアプリに対応した形でリリースしようと思っています。
笑いたいやつは笑え
これ、いける気がするんですよね。LPを作るときに迷いがないんです。
一番上のヒーローページのコピーもサクッと決まったし、こういうメリットを素直に言えばいいよな、というのが迷いなく作れた。『PasteSync』は未だにトップページに迷いまくっているので、それと比べるとシャープに伝えられているなと思います。
とはいえ、全然無風かもしれないですけどね。全然無風だったらどうしましょうか。
先月、井上雄彦さんの漫画『リアル』を読んでいて、すごく好きなセリフがあったんです。
事故で車椅子になった女の子が、それでも漫画家を目指すことにする。そのときに「笑いたいやつは笑え」と思ってやってるんだ、と言うんですね。
これ、すごくかっこいいなと思ったんです。笑われるかもしれない。でも笑われてもいいからやるんだ、って。
本当なら、バズらせた後に「こう考えてやったらバズりました」と言いたい。そっちの方がクールですからね。でも後出しのポジショントークは面白くないだろうということで、このタイミングで思いを語っています。なるべく笑われないように頑張りたいですね。
これを聞いてくれている人はアプリ開発をしている人が多いと思うので、LPを公開したら事前登録をぜひお願いします。事前登録しても使う義務はないですし、無料ですから。
読んでくれてありがとうございました。
まとめ
リリース前の生の気持ちは、成功後には脚色が入って語れなくなる。だから今、GoAlongに賭ける温度感をそのまま記録しました。
- 成功談には脚色が入るので、うまくいく前の生の思考を記録に残しておきたかった
- AI時代のMVPは、クオリティは求められる一方で、機能は自分に必要なものだけに絞った方がいい
- GoAlongは、完全成果報酬でモバイルアプリの紹介ができる、計測と支払いの壁を越えたプラットフォーム
- 笑われるかもしれないけれど、笑いたいやつは笑え、の気持ちでやっていく







