そもそも「縄を運ぶ」とはどういうことか
この回のテーマは、縄を受け手にかけていくとき、縄が進んでいく方向を意識して引く、という一点です。
教室では、縄を受け手の体にかけていくことを「運ぶ」と呼んでいると話されています。
その運ぶ動作のときに、縄が進んでいく方向をちゃんと意識して、そちらに向かって引いていく必要があるといいます。
なぜ「自分の方向」に引いてしまうと問題が起きるのか
よく見かけるのが、無意識に自分の方向へ縄を引いてしまう人だといいます。
縄をかけていきながら、実は自分の側に少しテンションをかけてしまっているケースです。
そうすると、縄が緩んでしまったり、要らない摩擦、無駄な摩擦がかかってしまうと指摘されています。
ケースはさまざまですが、受け手の体に過剰な負荷がかかったり、本来かけたい位置にテンションがかからないといったことが起こると話されています。
進行方向に進んでいれば何の障害もなかったはずが、違う方向にテンションをかけてしまうために、本来かからなくていい箇所に摩擦が生じます。
結果として、うまく力が伝わらなかったり、縄が受け手にうまくかからなかったりする。こうしたことが、細かいレベルでは実は結構頻繁に起こっていると指摘されています。
自分の側へテンションをかける
進行方向とは違う向きに力が入る
本来不要な箇所に摩擦がかかる
縄が緩んだり、無駄な摩擦が生じる
力が正しく伝わらない
かけたい位置にテンションがかからず、受け手に過剰な負荷がかかる
平面で考えると取り逃がす「前後の動き」
注意したいのは、縄の進行方向を平面的にイメージしてしまうことです。
平面的な捉え方だと、前後の動きを取り逃がしてしまうといいます。
平面で見ると進行方向へ引いているつもりでも、実は手前に引いているケースが実は結構多いと話されています。
進行方向にまっすぐ引くのが難しい場合の対処も示されています。手前に引くくらいなら、奥に引くほうがいいという考え方です。
受け手の体があって、自分がいて、その間を縄が通っているようなケースを想定します。
そうした場面では、自分の方に引いてしまうくらいなら、受け手の体に縄を押し付けるくらいの意識のほうがいいといいます。
最初の段階では、縄を受け手に押し付けながらかけていくくらいでもいいかもしれない、と補足されています。
理想は「押し付け」でも「手前引き」でもない
ただし、押し付けはあくまで手前引きを避けるための便宜だと整理されています。
正確には、受け手に押し付けるのでも、自分の手前に引くのでもなく、縄が進む方向にちゃんと引いていけるのが基本だといいます。
そのほうが無駄な摩擦を回避でき、かけるべきテンションがかけたいポイントにかかるようになる、と説明されています。
上手い人はもれなくこれができているといいます。ただし理屈での理解というより、体感的なものだと話されています。
上達すると、指先の感覚で「変なところに摩擦がかかっているな」と感じ取れるようになるといいます。
一方で、最初はそこまで指先の感度がなく、感覚で状態をキャッチするのはかなり難しい、とも述べられています。
「まっすぐ右に引く」──方向を意識する練習
感覚がまだ育っていない段階では、意識の持ち方でカバーします。
たとえば縄が右方向に進んでいるなら、右奥でも右手前でもなく、まっすぐ右に引く、という意識です。
縄の進行方向を意識できるようになると、縄の扱い方が明らかに上手くなってくるものだといいます。
ただし、方向は3Dで捉える必要があり、話し手自身も空間認識能力が高いほうではないと明かしています。
同じように空間を3Dで認識するのが難しい人もいると思うが、ここはある程度、練習で理解できるようになると話されています。
トルソーや受け手の反応から方向のズレを知る
方向のズレは、道具や受け手の反応からも確認できるといいます。
トルソーを使って練習している場合、トルソーは踏ん張ってくれないため、少しでも手前に引くと明らかに手前に倒れてくるそうです。
受け手と一緒に練習するときも、引っ張られたらその方向に体を傾けてもらうようお願いしてみる方法が紹介されています。
すると「思ったより体が揺れるな」と気づくことがあり、その揺れの原因は、縄を引くときに適切な方向へ引けていないことだったりするといいます。
手順通りの先にある「次の段階」の意識
緊縛では、こういう手順でかけていけばこういう形になる、という覚え方から入るため、最初は覚えることが多いといいます。
しかし、その手順通りに「ちゃんとかけているか」は、次の段階の意識の話になっていくと述べられています。
特に初心者の場合は、受け手が踏ん張って縄に振り回されないでいてくれるおかげで、なんとか形になっているケースが大半だといいます。
次の段階では、受け手にどういう負荷や摩擦がかかっているのかを理解しながらかけていく必要がある、と話されています。
そのための意識の置き所の一つが、縄がちゃんと進行方向に引きながら運べているかどうか、というわけです。
捌きが上手くなるということは、受け手にかかるテンションコントロールやクオリティ自体が変わってくることを意味します。
この点を一つ意識して取り組んでみてほしい、とまとめられています。
まとめ
縄を受け手にかけていく「運ぶ」動作では、縄が進む方向を意識して引くことが基本です。無意識の手前引きは緩みや無駄な摩擦を生み、受け手に過剰な負荷をかけてしまいます。
- 縄を運ぶときは、自分の方向ではなく縄の進行方向に引くのが基本
- 手前に引くくらいなら、受け手に押し付けるほうがまだよい。ただし理想は押し付けでも手前引きでもなく進行方向
- 方向は平面ではなく3Dで捉える。まっすぐ引く意識を持つと縄の扱いが上手くなる
- トルソーの傾きや受け手の体の揺れは、引く方向がズレているサインになる
- 手順を覚えた次の段階として、受け手にかかる負荷と摩擦を意識すると縄の捌きが一段上がる




