そもそも「縄に神経を通わせる」とは何か
縄に神経が通っているように見える人と、そうでない人がいます。たかせさんは、その違いを縄のコントロールの深さから説明します。
もちろん物理的に縄へ神経が通うことはありません。それでも、はたから見て「この人は縄にちゃんと神経が通っている」と感じさせる捌きは存在します。
では、そこまで見えるようにするにはどうすればよいのか。まず注目されるのは、初心者が陥りがちな意識の向け方です。
初心者はなぜ手元にばかり意識が行くのか
初心者はどうしても、縄を持っているその手に意識が向いてしまうといいます。まず大事なのは、その意識の順番を変えることです。
重要なのは、縄を持つ手そのものではありません。その手による操作の結果、どこに影響が及ぶのかを気にする必要があるとたかせさんは話します。
たとえとして挙げられるのが、テレビゲームのコントローラーです。操作は手元でしていますが、動いているのは画面上のキャラクターです。
キャラクターを動かすとき、人の意識はキャラクター側に置かれています。「このキャラクターをこう動かしたいから、手元を操作する」という順番になっているわけです。
掛り点に影響を与えるための縄操作
緊縛でも同じことが言えます。持ち手で操作した結果、縄の先につながる受け手さんに影響が及びますが、意識の順番はその逆になるべきだと説明されます。
たかせさんの流派では、受け手さんと縄が接触するポイントを掛り点と呼んでいます。掛り点 ── 縄が受け手の身体に掛かって接触している点。縛楽式での呼び方として紹介されている。
持ち手があり、受け手さんに掛かっている側の縄があり、その先に掛り点がある。この掛り点にどう影響を与えるかのために、縄の操作は発生します。
この意識が持てるかどうかで、力の伝わり方が全然変わってくるといいます。持っている縄をどうしようかと考えるのではなく、掛り点をどうコントロールするかに合わせて捌いていくのが第一段階です。
掛り点
受け手にどう影響を与えたいかを起点にする
掛り側の縄
その意図を伝える受け手側の縄
持ち手・操作
目的を実現するために手元を動かす
邪魔者にしがちな縄尻をどう扱うか
もう一つ大事なのが、受け手さんとつながっていない側、つまり縄尻の話です。縛楽式ではこの側を送り側と呼んでいます。
うまくできていない人ほど、余っている縄を邪魔なものとして扱いがちだとたかせさんは指摘します。
本当に絡んでくるし、引っかかるし、鬱陶しいなみたいな感じになるんですけど。
しかし緊縛では、この縄尻側もちゃんと意識下に置き、コントロールする必要があります。持ち手より縄尻側の縄も、ただ余っているのではなく、そこにある理由があるという意識で扱います。
縄を掛けていったら縄尻がくっついてくる、という受け身の状態になっている人が多いのではないかと話されます。そうではなく、縄尻や送り側の縄も制御下に置くことが求められます。
縄が指の延長として動き始めるとき
掛り点の意識と、送り側・縄尻の意識。この両方をコントロールできるようになって初めて、「この人の縄には神経が通っている」と見えるようになります。
最初はどうしても手元の操作に意識を持っていかれます。縄の扱いに慣れ、手順が頭に入り、必要な情報とそうでない情報を選別できるようになるまでは、それも避けられません。
ただ本質的には、手元は結果的にそうなっているだけのものにすぎません。起点にあるのは、掛り点にどう機能してほしいかという意識です。
そのため、手元から両サイドへ意識を広げる必要があります。緊縛をするときは、掛り点と縄尻の両方に意識を送り、そこも含めて制御します。
これは中級以上の少しレベルの高い話かもしれません。それでも、そういう世界があると知ってもらえたらいい、とたかせさんは締めくくります。
まとめ
縄に神経を通わせるとは、手元ではなく縄の両端まで意識を届かせ、制御することだと解説されました。掛り点への影響を起点にし、縄尻もコントロールできて初めて、縄は指の延長として動き始めます。
- 縄に神経が通って見えるかは、縄をどこまでコントロールできているかで決まる
- 初心者は手元に意識が向くが、まず掛り点にどう影響を与えるかを起点にする
- 受け手側の掛り点だけでなく、余りがちな縄尻・送り側も制御下に置く
- 掛り点と縄尻の両方に意識を送れて初めて、縄が指の延長として動き出す




