なぜ「番外編」で営業の話になったのか
この回はインタビュー素材が一時的に不足したため、聞き手の森田さんが、番組の営業アドバイザーであるよしださんに話を伺う形で進みます。
今日はですね、申し訳ないんですが、いろいろ吉田さんに私が話を伺うっていう会にしてよろしいでしょうか。
大丈夫です。もちろんです、僕は。
話の入り口として、まずよしださんが受賞した賞について触れられます。
自治体副業アワード2026にて業務改善DX部門賞を受賞されたということを、まずおめでとうございます。
「たくさん来ました」を数字に変える仕事
受賞の対象は、福岡県立花町のブランディング事業を数字で評価できるようにした取り組みでした。
よしださんは、これまで肌感覚で語られていた成果を、定量的に示す仕組み作りを支援したと話します。
ブランディング事業の成功って何ですか、というところからちょっと整理をしていって。この成功を説明するためにはどういった数字が必要なのか、いわゆるKPIみたいな形で分解して、それぞれの数字を取っていく形をやっていった感じですかね。
「感覚的に捉えている」とは具体的にどういう状態なのか。よしださんは、よくある言い回しを例に挙げます。
たくさん人来てくださってるんですよ、皆さんすごく満足して帰っていただいてます、いろんな地域からもたくさん来てくださってるんですよ、と。でもこれ事実だとは思うんですけど。
じゃあ何人来てるんですか、どんぐらい満足してるんですか、どこの地域からどんだけ来てるんですか、とかがわからないみたいな感じなんですよね。
自治体の場合、議会や町民への説明が必要になります。「たくさん」では第三者に説明できないという点が、数字にする理由でした。
「たくさん来た」「満足して帰った」という肌感覚での説明
来場者数や満足度、アンケートの数字で成果を示せる状態
たとえば「10年前は何もないと答える人が80パーセントだったが、今は10パーセントになった」と言えれば、それがブランディングの成果になると説明されました。
営業の「乗り気じゃなかった」を掘り下げる
この考え方は自治体だけでなく、アンクラスの営業活動にもつながっています。よしださんは週に一度、スタッフ一人ひとりの営業をヒアリングしてアドバイスしていると森田さんは話します。
営業は数値化が難しく、「あの人はあんまり乗り気じゃなかった」といった肌感覚で語られがちです。よしださんは、そこを鵜呑みにしないと言います。
なんかちょっとあんまり乗り気じゃないんですよ、となった時に、どこが乗り気じゃないの、なんで乗り気じゃないって思ったの、というところが疑問点になるわけじゃないですか。
たとえばスポンサーの話をした途端に相手がよそを向いた、事前に用件を伝えずいきなり営業を始めた、といった具体的な理由が見つかることがあります。
「検討します」という返事についても、よしださんは踏み込みます。
何を検討されるんですか、というところを明確にするっていうことなんですよね。
何検討するかわからないです、だと、それは検討じゃなくて断り文句でしょ、となるんですよね。
連絡は待たない。営業は自分から動く仕事
営業をやったことがないという森田さんにとって、最も刺さったのが「連絡待ち」への指摘でした。
営業が待ってしまうと絶対にお客さんは動いてくれないので。全部それはやっぱり自分から自分から。
レジ打ちのように客が並んでくれる仕事とは性質が違う、というたとえで説明されます。
レジに来てくださいとか影響かける人がまずいないですよね。でも営業はそれをしないと絶対に自分のところに来てくれないんで、性質が違う仕事なんです。
怖くて後押しできない。クロージングの壁
契約に至る最後の一押し、クロージングについても具体的な体験が語られます。よしださんは、営業未経験の部下の商談に同行していた頃の話をします。
これはもう確実にこのお客さんは契約してくださるっていうのがわかる。でも向こうからお願いしますっていうのを待ってるんですよね、営業が。でも絶対言ってくれないんで。
待ちすぎると、その場で決まる話が「検討します」「後日返事します」となって流れてしまうといいます。
森田さんも、断られるのが怖くてクロージングができないと打ち明けます。よしださんは、それは決断をお客さんに委ねている状態だと指摘します。
営業は最後の後押しをしてあげるのが営業だと。
お金を出す側のお客さんに、わざわざ自分から契約を切り出させるのは不自然だという点で、二人の見方は一致します。
成功事例より「NG理由」を集めるべき理由
よしださんが強調するのは、成功事例よりも失敗理由を集めることの重要性です。
成功事例は再現性が低いといいます。「ノリのいい社長だったから決まった」という要因では、次に同じことをするのが難しくなるからです。
成功要因として持って帰ってこられたら、そりゃそうだよなって終わってしまうんで。ノリいいおじさんを見つける旅に出るみたいな感じになって。
一方、NG理由は次の対策につながります。「金額が高い」「今年度の予算が終わった」「女子サッカーだけでは協賛できない」といった理由が集まると、打ち手が見えてきます。
理由が個別事情に偏り、再現性を高めにくい
金額・時期・条件などの対策につながり、成功確率を上げられる
たとえば予算編成の時期に声をかける、金額を抑えたプランや地域の子どもと掛け合わせたプランを用意するなど、具体的な改善に落とし込めると説明されました。
日本語が話せればできる。ヒアリング中心の営業
営業に向いていなさそうな人でも成長できるのか、という森田さんの問いに、よしださんは明快に答えます。
日本語が喋れればいけると思います。テクニックをちゃんと使いながらやっていくことで、成果を上げていくことはできる。再現性があるので。
その中心にあるのがヒアリングです。商談で話す割合は、相手が多くなるようにするのが基本だといいます。
話す時間は相手が多め、なるべく向こうに喋ってもらうのがまずは基本です。
たとえばスポンサーの話なら「どうして今回ご興味を持っていただいたんですか」から入り、地域貢献への思いや事業の背景を聞いていきます。相手を知ることで、こちらの提案は一つに絞れると説明されます。
反対に、資料を1ページ目から順に読み上げるだけの営業は避けるべきだと話します。
しっかりと相手の話を聞いた上であれば、こっちの提案って一個だけでいいですし、一声ポトッと落とすだけでもいいかもしれない。
自分でなければ他を紹介する。相手の幸せを考える営業
キャラクターや第一印象も大事だとよしださんは言います。相手に合わせて自分に「一枚被せる」ように演じ、清潔感や声のトーン、挨拶の第一声を意識するといった具体的な工夫が挙げられました。
さらに印象的だったのが、自分に合わない案件は他を紹介するという姿勢です。
これはうちではちょっと無理だなみたいな時は、僕たちじゃなくて、福岡にバスケットチームあるんで紹介しますね、とした方が絶対にいい。
森田さんは、自身のMC・司会の仕事に置き換えて共感します。結婚式の司会でも、規模や雰囲気を聞いてから、合わなければ他の人を紹介することがあると話しました。
無理に自分の領域へ引き込むと、仮に契約できても満足度が下がってしまう。だからこそ相手がどうなったら一番幸せかを考えるのが営業だと語られます。
その上で森田さんは、相手の要望に自分の提案を重ねて価値を示せれば、お互いが幸せになれると付け加えました。
営業はRPG。ヒアリングが第一という結論
よしださんは、営業を楽しんできた理由をゲームにたとえます。
どうやったらあのお客さんはいいって言ってくださるんだろうか、みたいなことを考えるわけですよね。もう考えるのめちゃくちゃ楽しくて。
取り付く島のない相手でも、最初のとっかかりをどう作るか企画し、部下に渡して「難攻不落を落としていく」ことをしていたと振り返ります。
森田さんは、インタビューの仕事にも通じると受け止めます。「たくさん」「いろんな」を深掘りして具体的に聞くことが、良いインタビューにつながると気づいたと話しました。
最後に二人は、営業の核心はヒアリングにあるという点で一致します。
僕、喋るのそんな得意じゃないので、余計に相手に喋ってもらった方がいいじゃない。
まとめ
番外編として始まった回でしたが、営業未経験の人でも実践できる考え方が具体的に語られました。数字での可視化、NG理由の収集、そして相手を主役にするヒアリングが、一貫した軸になっています。
- 「たくさん」「いろんな」を数字にして、第三者に説明できる形にする
- 営業は待つ仕事ではなく、連絡もクロージングも自分から動く
- 成功事例より、対策につながるNG理由を集めた方が再現性が高い
- 商談は相手に多く話してもらい、ヒアリングを中心に据える
- 自分に合わない案件は他を紹介し、相手が幸せになる形を優先する







