晴れた野外フェスでもらったプラスの力
廣橋さんはこの回の冒頭で、週末に参加した野外フェスの話を共有しました。K-POPのアーティストが好きな廣橋さんは、普段は室内のホール公演が中心で、野外フェスに行くことはあまりなかったといいます。
好きなアーティストが何組か出演すると知って足を運んだところ、関東で雨が続いていたなか、ちょうど晴れたタイミングに当たりました。涼しく風も吹いていて、とても良い天気のフェスだったそうです。
なんか野外で自分の好きな音楽聴くってなんかいいんだなみたいな。
廣橋さんは、野外で好きな音楽を聴く体験から元気をもらい、まさに「プラスの力」を受け取った出来事だったと振り返っています。
あずささん再登場と、この回のテーマ「EQ開発」
ゲストのPotage代表・河原あずささんは、2か月ほどぶりの再登場です。前回の出演時はまだ暑かったという話から、今年は涼しくなるのが早く、暑い日が遠い昔のように感じるという雑談が交わされました。
本題として廣橋さんが挙げたのは「EQ開発」です。カエルバトークではこれまでEQや感情、変化についてさまざまに話してきましたが、廣橋さんが一番知ってほしいのは、EQを開発することで人は変われるということだといいます。
そもそもEQ開発って何?っていうところから、ちょっと今日はお話ししていきたいなって思っているんですが。
あずささんも、EQ(感情知能)という言葉を知っていたとしても、それを「開発する」と聞いてピンとくる人は少ないだろうと応じました。
まあそもそもね、その開発っていうのがね、どういうことやねんみたいなね。
EQはなぜ「開発」できるのか?
EQを開発するとどうなるのかという廣橋さんの問いに、あずささんの答えは「変わるんですよ」というシンプルなものでした。
あずささんによれば、EQは感情と向き合う力であり、刻々と変化していくものです。知能指数はそれほど変わらないかもしれない一方で、EQは意識づけや周りへの向き合い方、立場といった状況によって大きく変わるといいます。
Potageが扱うEQPI ── Potageが扱っているEQ検査の名称。感情知能を複数の因子に分けて測定し、受検者の傾向を把握するために使われますという検査でも、何回か受ける人がいて、その中で一番変わるのがEQの部分だそうです。
あずささんの見立てでは、それほど大きくは変わらないかもしれないもの
意識づけ、周りへの向き合い方、立場などの状況によって大きく変化するもの
感情日記で「エラー」の理由を見つける
EQ開発の具体的な中身について、あずささんは、EQの12因子のうち変えたい因子にターゲットを定め、ちょっとしたトレーニングを行うものだと説明しました。トレーニングといっても、腕立てや腹筋のようなものではありません。
EQ開発の中心は、自分の感情の動き方を日々記録し、その傾向をつかむことです。イライラしやすい、落ち込みやすいといった「感情のエラー」があるなら、それがどんな理由で起きているのかを発見していきます。
「あ、こういう理由で自分はそこのエラーが起きているんだ」みたいなことが発見できて。発見できるとその後対策ができるようになるんですよね。
あずささんが挙げた例は、イライラすると物に当たってしまう人です。物に当たる代わりに、たとえば1曲歌を歌ってみるといった代替行動を用意することで、イライラを周りにぶつける行動が減っていくといいます。歌は、あくまで例として話されたものです。
記録する
感情日記で、自分の感情の動きを日々書き留める
見立てる
感情の傾向や、エラーが起きる理由を発見する
理想を描く
本来起こしたくないエラーを見極め、どうありたいかを考える
行動をずらす
代替行動を用意し、それまでとは違う行動を取ってみる
あずささんは、本来やりたくない行動を取ってしまうのは感情が起こすエラーだからこそ、感情の傾向を理解して行動のパターンを少しずつ変えていく学習のプロセスがEQ開発だとまとめています。
自然に直すのではなく、意識的に取り組む
廣橋さんは、物に当たる癖のようなものを、子どもの頃から自分で何とか直そうとし、イライラしたら歌うといった代替行動を自然に見つけていく人もいるだろうと話しました。
そのうえで廣橋さんは、EQ開発の特徴を、そうした変化をEQの観点を取り入れてトレーニング的に、意識的に行う点に置いています。そのプロセスにEQアナリストが伴走するのが、廣橋さんの考えるEQ開発です。
こう自然にではなくて、こうトレーニング的にこう意識的にやっていくみたいな。で、そのプロセスに私たちEQのアナリストが伴走しますよみたいな。
廣橋さんたちは、3か月間のプログラム「カエルバEQ」をちょうど一区切りさせたところでした。詳しくは次回以降で掘り下げるとしつつ、この回ではまずプログラムの概要をあずささんが説明します。
1対1から集合式へ。「カエルバEQ」の試み
あずささんによれば、カエルバEQでは感情日記をつけながらEQアナリストと一緒に感情の傾向を学び、「3か月後にこうなりたい」「こういうことをやめたい」といったゴールを設定します。そのゴールに近づくために、感情のどこと向き合い、捉え方をどう変えるかを探求するプログラムです。
これまでのEQ開発は、クライアントが感情日記をつけ、担当アナリストが1対1でZoomなどで対話する形が基本でした。カエルバEQで初めて試みたのが、7人ほどの受講生で取り組む集合式です。
クライアントと担当アナリストが1対1で、感情日記を見ながらZoomなどで対話する
7人ほどの受講生が集まり、1対1の対話に加えて、グループでの共有や発表を通して互いの変化を見る
カエルバEQでは、受講生同士がグループを組んで感情の動きを共有し合い、互いの変化を発表しました。周りの人の変化と自分の変化を相対的に見ることで、自分の変化への自覚を深めていったといいます。
廣橋さんの補足では、受講生は2週間に1回ほど集まってワークショップやグループでの振り返りを行いました。他の受講生がどんなゴールを掲げ、どう変わり、どこで苦労しているかまで共有しながら進めるのが、カエルバEQの特徴だったようです。
EQ開発は感情をコントロールする訓練なのか?
廣橋さんは、EQ開発は受けてみて終わってから「自分はこう変われたんだ」と実感できるものだからこそ、受ける前には何が良いのか想像しづらいのではないかと話しました。EQ開発を、感情のコントロールを上手にすることだと思う人もいるかもしれないといいます。
カエルバEQの受講生のゴールは、「自分の軸を見つけたい」「人に優しく振る舞えるようになりたい」などさまざまでした。それでもあずささんは、共通する変化として「無理をしなくなる」ことを挙げています。
結構ね、なんかやっていくうちに、こう自分が無理をしなくなるみたいな、そういう変化があった気がするんですよ。
あずささんによると、こうしたプログラムに参加する人は、自分には軸がないから新しく外付けしなければならないと考えがちです。サボっていた自分を戒めて我慢する、もっとポジティブにならなければ、いい人に見られなければ、ネガティブなところを見せてはいけない、といったバイアスをもともと抱えているといいます。
「軸はもうあったのかもしれない」という気づき
プログラムを進めるうちに、受講生には「あれ?」という小さな気づきが生まれていったと、あずささんは語ります。
いや、自分の軸ってもしかしたらもうあったのかもしれないとか、別にもしかしたらいい人になる必要なんてないのかもしれないとか。
あずささんによれば、こうした気づきの結果、受講生は我慢や無理、「もっともっとこうしなきゃ」という思いから解放されていきました。自分がすでに積み重ねてきたことの中に、大切なものがあったと気づく人もいたそうです。
自分には軸がないから外付けしなければ、いい人でいなければ、ネガティブを見せてはいけない、と無理をしている
軸はすでにあったのかもしれない、いい人になる必要はないのかもしれないと気づき、「自分は自分でいい」と感じられる
廣橋さんも、1か月の時点で「ゴールはこれじゃないかも」と気づいた人や、すでに達成したので次のゴールを設定したいという人がいたと振り返りました。ゴールだと思っていた場所に、自分はもういたと気づけた人もいたといいます。
廣橋さんは、EQ開発は素晴らしい人や感情コントロールのうまい人になることではないと強調します。今の自分の感情の状態に気づき、直したいところを見つけることから始まり、そこへ至る方法を探すプロセスだと改めて感じたそうです。
廣橋さん自身も、EQの仕事をしながらいつの間にかEQ開発に取り組み、生きるのが楽になったと感じている一人だと話しています。
社長が期待した「走り方のフォーム」とは
カエルバEQは、ある企業がマネージャー研修と次期リーダー候補向けの研修として採用したものでした。あずささんによれば、その会社では「カンフル剤を入れる系」の研修、つまりマネージャーとして責任を果たすためにどうするかといった研修はすでに多く行われていたといいます。
その会社がカエルバEQに期待したのは、自分を理解することと、長期戦であるマネジメントに長く向き合えるスタイルを確立することでした。その会社の社長は、EQ開発への期待を「走り方のフォーム」にたとえたそうです。
走り方のフォームみたいなものを体得して、そうすると何か走るのが楽になるみたいな、そして楽しくなるみたいな、そういう変化が訪れるものなんじゃないかな。
あずささんは、社長の「走り方のフォーム」というたとえをとても良いものだと受け止めました。手を斜めに振れば速く走れるのではないか、隣の人には絶対抜かれたくない、といった思い込みのせいで、自然なフォームで走れていないことが人生にはあるといいます。
あずささんによれば、その人にとって自然な走り方を客観的に観察し、一緒に発見していくと、一生残る走り方が身につきます。それが仕事でのパフォーマンスのムラの減少や、感情でぶれにくい意思決定につながるという考えです。
その会社には溜め込みすぎるタイプの人が多く、本音が言えずに心理的安全性 ── チームの中で、意見や懸念、失敗を率直に口にしても非難されないと感じられる状態のこと。チームの学習や成果に関わる要素とされていますが上がらない傾向がありました。そうした点が少しずつ変わることも期待されていたといいます。
自然なフォームは周りにも伝わる
廣橋さんは、自然なフォームで走れるようになると、本人が楽になるだけでなく、周りから見ても「いい走りになった」と映るのではないかと話しました。速く走れるようになったり、地に足をつけて走れるようになったりと、周囲からも「変わったね」と感じられる変化です。
こう自然なフォームを身につけて、こう、いい感じに自然なフォームで自然に走れるようになるってなると、当然自分も楽になるんでしょうけど。
廣橋さんは、カエルバEQが今だけでなく、今後も続いていく変化を見つけるための土台、第一歩として機能していたらいいと感想を述べています。
次回は、カエルバEQを担当したPotageの担当者をゲストに迎え、プログラムで実際に何をしたのか、受講生にどんな変化があったのかをさらに掘り下げる予定だと告げられ、この回は締めくくられました。
まとめ
この回では、EQ開発が感情を抑えて「いい人」になる訓練ではなく、感情の動きを記録して傾向を知り、無理なく走り続けられる自分なりのフォームを見つけるプロセスであることが語られました。
- EQは知能指数と違い、意識づけや立場などの状況によって大きく変わり、開発できるものとして語られている
- EQ開発では感情日記で感情の傾向やエラーの理由を見つけ、代替行動で行動パターンを少しずつ変えていく
- 集合式のカエルバEQでは、受講生同士の共有を通して互いの変化を相対的に見られた
- 受講生に共通した変化は無理をしなくなることで、「軸はもうあった」と気づく人もいた
- 企業の社長は、EQ開発への期待を自然な「走り方のフォーム」を体得することにたとえた



