2度目のリニューアルで番組はどう変わる?
番組『のくちんのふたちん』の冒頭で、蒼石盆太郎さんは「重大発表」として、番組が2度目のリニューアルを迎えることを告げます。
蒼石さんによると、この番組は2025年3月7日に始まり、約1年半のあいだに2回リニューアルしたことになります。蒼石さんはこれを「バージョン3が始まる」と表現しています。
最初のコンセプトは、リスナーやスタッフが録ったボイスメモを蒼石さんが聞き、コメントするというものでした。蒼石さん自身はこれを「古の企画」と振り返っています。
そこから1年ほどで、コンビニでバイトする僧侶がコンビニについて一人で語る形式に変わりました。コンビニをテーマにした形式だけで、シーズン3まで続いてきたといいます。
新しい番組の方向性について、蒼石さんは「ノーコンセプト」と説明し、霜降り明星のオールナイトニッポン ── お笑いコンビ霜降り明星がパーソナリティを務めるニッポン放送の深夜ラジオ。番組名に出演者の名前を冠し、決まったテーマを持たずに自由に話す形式が特徴ですや細野晴臣のデイジーホリデーのような番組になると例えています。
細野晴臣のデイジーホリデーみたいな。いや、そんなことしていいの?って。
俺全然まだ売れてないというか、そう、ノーコンセプトで番組やってもいい人間になったんだな俺ってっていう。
なぜ「コンビニだけ」では足りなくなったのか
蒼石さんによると、今回のリニューアルは、スタッフと話し合って決めたものです。リニューアルのきっかけは、コンビニで起きた出来事を話すという枠だけでは収まらなくなってきたことでした。
蒼石さんは現在、幻冬舎プラスでエッセイを連載しています。さらに、まだ公表できないもう1つの媒体でも連載が始まる予定だといいます。文章の仕事や雑誌への寄稿が少しずつ増え、「盆太郎にできること」が増えてきたタイミングだったと話しています。
なんかちょっとずつ盆太郎できること増えてきたぞみたいなタイミングなんですよね。っていう時に、もうコンビニだけじゃちょっと物足りねぇなってなってきて。
新しい番組では、毎回の放送ごとに企画を立てたり、そこだけ聞いても楽しめるミニコーナーを入れたりしたいと考えています。蒼石さんは、これまでにも『閃光のハサウェイ』などガンダムシリーズを扱った回があり、コンビニと関係のない回は何度か放送してきたと振り返っています。
間口を広げたい理由として、蒼石さんはコンビニ語りの回が内輪向けになっていたことを挙げます。1年近くコンビニの話をしていると、常連客の名前が当たり前のように出てくるため、初めて聞く人は振り落とされてしまうというのです。
もう1年ぐらいコンビニについて喋ってると、やっぱりもう常連の名前とか当たり前に出てくるんですよ。しまきがとかツエバーがみたいな。
もう1つの理由は、ゲストを呼びやすくすることです。コンビニがテーマだと、ゲストには「コンビニバイトしたことありますか」「好きなコンビニありますか」くらいしか聞けませんでした。回ごとに話すテーマを決める形にすれば、ゲストを呼びやすくなると蒼石さんは考えています。
コンビニの経験談だけを話す。常連の名前が飛び交い、初めての人が置いていかれやすい。ゲストも呼びづらい
ノーコンセプトだが聞きやすい。回ごとの企画やミニコーナーを入れ、ゲストも呼びやすくする
番組の中身は蒼石盆太郎のポテンシャル次第
番組タイトルの「のくちんのふたちん」について、蒼石さんは、小学生のころから言い続けている呪文のような言葉で、自分にしか意味のない「諦めている言葉」だと説明します。
コンビニという看板がなくなると、蒼石さんの新しい番組は「蒼石盆太郎とは誰か」というところからしか入ってもらえません。蒼石さんは、番組の出来が自分のポテンシャル次第になると話しています。
今まで持て余してたんですよ、この番組が。
俺もっと喋れることあるのに、コンビニという枷があったから喋れないことがいっぱいあったんです。
そこでこの回は、リニューアル前に蒼石さんのポテンシャルを洗い出しておく回になりました。蒼石さんは、語れること・得意なことを先に棚卸しして、次の番組の企画に盛り込みたいと語っています。
僧侶、読書家、ハロプロ研究会出身という土台
蒼石さんが最初に挙げたポテンシャルは、僧侶であることです。蒼石さんは、以前のペンネームであり僧侶名でもある稲田ズイキ名義で、仏教を面白くわかりやすく学べる入門書を出しています。
もう初めて仏教って何それ?って人に対して、いやいやいや、こういうものなんですよ、
知らないうちにあなたも仏教影響受けてるかもしれないですよみたいなね。こういう切り口も差し出しできますから。
2つ目のポテンシャルは読書です。蒼石さんの手元の本棚には、100冊は確実に超える本が並んでいるといいます。仏教書のほか、哲学、文化人類学、小説、サブカル系の本まで読んでいます。もともと編集の仕事をしていたため、雑誌もよく読んでいるそうです。
3つ目のポテンシャルは、ハロプロを中心としたアイドルと「推し論」です。蒼石さんは、自身が編集長を務めていた「フリースタイルな僧侶たち」の特集で、2020年ごろにはすでに推しを扱っていたと話しています。
「ビッグラブ」という特集では、ハロプロ好きのデカ美ちゃんに「推す」という行為について語ってもらいました。その話を僧侶の立場から受け、推しと信仰の違いや、遠くから推しを眺める状態とお墓で拝む状態の近さを考察したといいます。
蒼石さんのハロプロ歴は、小6でモーニング娘。を好きになったところから始まり、大学ではハロプロ研究会に所属していたそうです。最近は友人に、すべての楽曲やグループの特性を5つの要素で語れる「ハロプロ5大要素説」を披露したとも話しています。
ハロプロ5大要素説みたいなのを提唱して震え上がらせましたよ。そいつを。
ロボットアニメ、昭和歌謡、阪神、映画というサブカルの幅
アニメについて、蒼石さんは同志社大学時代にロボットアニメ研究会を主宰していました。研究会では80〜90年代の作品を中心に、ガンダム、エヴァンゲリオン、マクロス、勇者シリーズのガオガイガーなどを見ていたといいます。
蒼石さんが一番好きなロボットアニメは、トップをねらえ! ── ガイナックス制作のOVA作品。1988年に発表され、のちに『新世紀エヴァンゲリオン』を手がける庵野秀明さんが監督を務めましたです。ロボットアニメ以外のアニメも見ていて、ジブリにも詳しいと話しています。
音楽については、今は学びながら聴いているそうです。大学時代には昭和歌謡を網羅的に聴いていたため、イントロクイズが得意だといいます。最近、行きつけの立ち飲み屋で客と10人ほどでイントロクイズをしたときも、蒼石さんが圧勝したそうです。
俺大学時代、自分のレコーダー使って、あの、全音楽番組ずっと見てたんですよ。
蒼石さんは大学時代、Mステから深夜の番組、1曲だけ披露する5分枠の番組まで、すべての音楽番組を見ていたそうです。流行を音楽から読み解くのが楽しかったと語っています。以前には、星野源さんの楽曲を仏教的に読み解く連載も持っていました。
野球については、蒼石さんは阪神タイガースの試合を毎日見ています。妻と暮らす兵庫県のマンションではサンテレビが映るため、本を読んだり仕事をしたりしながら中継を流しているそうです。今年も甲子園に2回ほど足を運んだといいます。
ゲームについては、蒼石さんは妻と2人プレイのゲーム『Orbitals』を遊んでいます。80年代のロボットアニメ風の絵柄が気に入っているようです。
映画については、蒼石さんは大学時代に本気で脚本家を目指していたことを明かします。当時アニメ脚本のコンクールを開いていた京都アニメーションに、ロボットアニメのシナリオを送り続けていたそうです。
京アニはでも萌え系アニメしかその時作ってないから全く採用されず、俺の脚本家人生が終わったんですけど。
蒼石さんは、脚本家を目指していた時期に映画をよく見ていたと振り返ります。YouTubeでは主に芸人のチャンネルを見ているそうです。
法律から俳句まで、実績が伴わない分野も「いける」
蒼石さんは大学院で著作権法を研究していたため、著作権、特許、商法、不正競争防止法に詳しいといいます。国家資格も持っていて、蒼石さんは知財について任せてほしいと話しています。
宝塚については、蒼石さんは大学時代に宝塚の同好会に入っていたそうです。最近は見られていないものの、宝塚の文化は好きだといいます。最果タヒさんの宝塚コラムを読み、共感していると話しています。
食については、スタッフから「食はどうですか」と振られ、蒼石さんはチャーハン作りが得意だと答えます。最近チャーハンを妻にふるまったところ、絶賛されたそうです。今は家事の多くを担っていて、家事と仏教、家事と祈りで講演ができるかもしれないとも語っています。
歴史については、世界史はセンター試験の点数が点数だったそうです。日本史は、YouTubeで日本史のチャンネルをよく見ているため語れるといいます。
書道と俳句では、蒼石さんの「いける」と実績との落差が笑いを誘います。書道は教室に通っていて8級から昇格しないものの、書道の本は読んでいるそうです。俳句はNHK俳句に投稿し続けているものの、1度も採用されていないといいます。
| 分野 | 根拠 | 実績 |
|---|---|---|
| 法律 | 大学院で著作権法を研究 | 知的財産の国家資格2級 |
| 書道 | 教室に通い、書道の本を読んでいる | 8級から昇格しない |
| 俳句 | NHK俳句に投稿し続けている | 1度も採用されていない |
さっきから実績が伴ってないんですけど、いけるいけるいけるんですよね。
犬、猫、ゾウ、イカ。動物と土地もいける
動物については、蒼石さんは犬好き、猫好きとして、動物全般を語れるといいます。スタッフが毎回「おお」と反応することに対して、蒼石さんは「合ってるんですか?リアクション」とつっこんでいます。
猿については、蒼石さんの母がぬいぐるみを抱える子猿「パンチくん」の動画を夢中で見ているそうです。母の話を通じて、猿の生態に関する知見がたまってきたといいます。
ゾウについては、蒼石さんは、ゾウには仲間を悼む気持ちがあるらしいと紹介します。そのうえで、ゾウと葬式というテーマでなら語れそうだと話しています。
イカのことが嫌いなんで、イカのこと詳しいですよ。
イカについては、蒼石さんは、なぜイカが怖いのかを考えながら生態を調べたことがあるそうです。ウニについても、回転寿司で食べると少しまずいといった話ならできるといいます。
土地については、京都府出身の蒼石さんは、美味しい店から歴史まで京都なら余裕で語れると話しています。ただし京都市内の出身ではなく、「平安京の外」だと笑っています。東京も、目黒区に住んでいた経験から語れるそうです。
パワプロの打順からビーダマン改造、室温まで
蒼石さんは「自慢話」として、近年の野球で強打者を2番に置く打順のセオリーを取り上げます。蒼石さんは、この打順を子どものころから実践していたと話しています。
俺もう小学校4年生の頃からパワプロで近鉄バファローズ2番ローズ、3番中村紀、4番磯部やってましたから。
ビーダマンについては、蒼石さんは、コロコロに載った改造例を、掲載の1週間前に兄とすでに作っていたと明かします。その改造は、バトルフェニックスにアイアンサイクロプスのパーツを付けて強い締め打ちをできるようにするものでした。
ポケモンについては、蒼石さんはルビーまで遊び、映画『結晶塔の帝王 エンテイ』も見たそうです。
建築については、蒼石さんは「建築は仏教」だと言い切ります。人間の生態系を建物という点で考え、縁起 ── 仏教の基本的な考え方で、あらゆる物事は単独では存在せず、さまざまな原因や条件が関わり合って成り立っているとする教えですをデザインするものだという見方を示しています。
コンビニの話や「こう生きよう」といった自己啓発的な話も、もちろんできるといいます。30個に届くまでの残り2つで、蒼石さんはしばらく悩みます。そのうえで、アレグラやバンドエイドを例にした薬の話と、雨の日はドライにするといった適切な室温の話を挙げました。
30のポテンシャルで何をする?
スタッフによると、ポテンシャルはちょうど30個挙がりました。蒼石さんは、これだけの持ち札をコンビニという縛りで眠らせていたと振り返ります。
新番組でやりたい企画として、蒼石さんは「好きなハロプロの楽曲ランキング10」や「僧侶が語るおすすめアニメ」を挙げています。
なんで俺はずっと毎週コンビニであった出来事をメモから読み上げるっていう。何してたん?なあ。
怠慢でしたね、これは本当に。
蒼石さんは、次回の公開は新しい番組になると予告し、「楽しい企画でお会いしましょう」と呼びかけて回を締めくくりました。
まとめ
『のくちんのふたちん』は、ボイスメモへのコメント、コンビニバイトの一人語りを経て、テーマに縛られない蒼石盆太郎さんの番組へと3度目の形に移ります。その準備として挙げられた30のポテンシャルは、仏教や法律のように実績のある分野から、書道や俳句のように実績が伴わない分野まで幅広く、新番組の企画の種になりそうです。
- 番組は2025年3月7日に始まり、約1年半で2度目のリニューアルを迎える
- リニューアルの狙いは、常連客の名前が飛び交う内輪感をなくし、間口を広げてゲストも呼びやすくすること
- 蒼石さんは僧侶、読書、ハロプロ、ロボットアニメ、昭和歌謡、知財法など30の語れる分野を挙げた
- 新番組では、ハロプロ楽曲ランキングや僧侶が語るおすすめアニメなどの企画を構想している




