精読とは何か。SVOCと5つの型で英文を分析する
この回で小林さやかさんが取り上げたいと語ったのが「精読」です。大学受験にも大人の英語学習にも効くとして、私は精読やったから慶應受かったと思ってると話します。
精読はリーディングだけの技術ではないと小林さんは言います。スピーキング、リスニング、ライティングまで、あらゆる英語力の土台になる力が精読でつくという考えです。
いや皆さん精読やった方がよくて、これ大学受験にも効くし、私は精読やったから慶應受かったと思ってるし。
小林さんは精読の本当のやり方を知っている人は意外と少ないと感じています。自身は坪田先生から「精読だけはちゃんとやりなさい」と言われ、そのやり方を今も続けているそうです。
では精読とは何か。小林さんは、中学で習うSVOCを土台に説明します。Sは主語、Vは動詞、Oは目的語、Cは補語です。
小林さんが強調するのは、英語と日本語の語順の違いです。日本語は動詞が最後に来ますが、英語は必ず主語の次に動詞が来ると説明します。
日本語ってさ、一番最初に主語が来て、する目的語、動詞。動詞が最後に来るじゃんか、日本語って。でも英語は必ず主語の次に動詞が来るんだよね。
さらに、日本語は主語や目的語を省いても文脈で伝わる「空気を読む言語」だと小林さんは言います。一方の英語は、誰の話をしているかが必ず言語に出ると対比します。
そのうえで小林さんが挙げるのが5つの型、いわゆる五文型です。SV、SVO、SVC、SVOO、SVOCのどれかで、英語は必ず作られていると話します。
5つの型
英文はSV/SVO/SVC/SVOO/SVOCのどれかで作られる
修飾語が付く
後ろに飾りが加わり、複雑な文に見える
削ぎ落とす
飾りを外すと必ず5つの型のどれかに戻る
精読で分析
どれがどの役割かをSVOCと五文型で紐解く
どんなに複雑に見える文章でも必ずこのどれかな。
複雑に見える文でも、後ろに付いた修飾語という飾りを削ぎ落とせば5つのどれかになる、と小林さんは言います。どれがどの役割になっているのかをSVOCと五文型で分析していくのが精読だとまとめます。
単語を拾って「わかった気」になる落とし穴
精読をやると深い理解に落とし込めると小林さんは話します。特に日常会話では難しい単語をあまり使わないため、日本人は単語の知識が先に入り、話の内容のイメージがついてしまうと指摘します。
なんとなくこういう話してんやろうなっていうのがわかっちゃうから、わかった気になるっていう現象が起こんのね。
聞き手の大森あやさんは、精読をしっかりやらなかった自身の経験を重ねます。留学から帰国後、話せないのに単語だけは耳で拾えるようになってしまったと振り返ります。
なんか熊、ベアって言ってる蜂蜜、ハニーが出てきた。じゃあプーさんの話だろみたいな。推測しちゃって。
拾った単語から頭の中で別のストーリーを組み立ててしまい、結果として問題が解けない。大森さんはそんな失敗が多かったと語り、小林さんも「そういうことです」と応じます。
慶應文学部の過去問が教える精読の重み
リーディングでは、この「わかった気」でつまずくと小林さんは言います。例に挙げたのが慶應の文学部の過去問です。
慶應文学部は長い文章を読ませ、長い箇所に下線が引かれる形式だと小林さんは説明します。問題数がとても少ないため、1問落とすと大きく響くと話します。
だから個落とすと終わるわけ。
最も配点が高いのが、その長い下線部を訳す問題だそうです。しかも直訳ではだめで、文章をちゃんと読めて理解しているかを試験官は見たいのだと小林さんは語ります。
さらに小林さんが挙げる特徴が、慶應文学部は紙の英和辞書と和英辞書を持ち込めるという点です。つまり問われているのは暗記力ではないと話します。
それよりも文章をちゃんと読めているか、理解をしていて、それをしかも表現できるかっていうのを問われていて、それの特訓をずっとしてたのね。
itが何を指すのか、thatが何を指すのか、形式主語かどうか。そうした点を徹底的にやり込んだ結果、小林さんは慶應文学部の過去問で7割ほど取れるようになったと振り返ります。
精読をやらずに速読に走る人は多いものの、それでは難関大学は難しいと小林さんは言います。大森さんも、早稲田や慶應から一気に解けなくなったと同意します。
早稲田慶応は暗記ではいけないね。やっぱもうちょっとちゃんと理解をしておかないと解けないようにちゃんとなってる。
精読はスピーキングとシャドーイングをどう変えるか
精読はスピーキングにも効くと小林さんは話します。精読をしていないと、話が単語の羅列のようになったり、細かいミスに気づけないと言います。
小林さんが例に挙げたのが動詞のdiscussです。かつては「discuss about it」と言っていたものの、discussは他動詞で後ろに前置詞はいらないと説明します。
discussの後ろに前置詞が来るってことが違うっていうことが精読やってるとわかるから、discussitって直せるようになる。
伝わればよいと考えるタイプだと前置きしつつ、小林さんは精読の癖が脳に付いていると自分のミスに気づけると話します。大森さんも、間違いに気づけることは一歩上のレベルへ進むために大切だと応じます。
話題はシャドーイングに移ります。小林さんの受講生の中には、他のサービスでシャドーイングをやり込んでも話せるようにならなかった人がいたそうです。
理解しない状態でシャドーイングやってもあんまり意味ないのよ。本当に。
小林さんはお経を例に出します。音は入ってきて真似はできても、意味がわからなければ応用できないのと同じだと説明します。
目指すべきは、理解に落とし込んだ状態で脳の知識と声をつなぎ合わせること。小林さんはこれを「自動化」と呼び、理解をしながら染み込ませながら進めるのが本来のシャドーイングだと話します。
IをそのIを置かなきゃいけないよねとか、その辺がすごいサラサラって抜けてっちゃうのはめっちゃ感じますね。
「Sayaka likes ikemen」で覚える文の5要素
ここからはプチトレーニングです。小林さんは、英文を構成する要素は5つあると切り出し、例文「さやか likes イケメン」を使って説明します。
まず主語は「さやか」。誰が・何がを説明するものです。動詞は「likes」で、何する・どんな状態かを説明するパートだと小林さんは示します。
目的語は「イケメン」。動詞が向かう先、何を・何にを説明するものです。さやかはイケメンが好きなので、好きの向かう先であるイケメンが目的語になります。
主語と補語が。補語が来ると必ず何かとイコールになると覚えておいてください。
補語は名詞を説明するものだと小林さんは言います。「さやか likes イケメン」に補語はありません。さやかはイケメンではなく、好きなだけだからです。
一方「さやか is イケメン」ならbe動詞で主語と補語がイコールになり、イケメンは目的語ではなく補語になると小林さんは説明します。
最後が修飾語です。「さやか likes イケメン like 竹野内豊」の「like 竹野内豊」は、なくても文が成り立つおまけだと小林さんは言います。
like豊竹之内は豊竹之内のようなイケメンっていうおまけをくっつけたってことですよね。
誰が・何がを説明する。例のさやか
何する・どんな状態かを説明する。例のlikes
何を・何にを説明する。動詞が向かう先。例のイケメン
名詞を説明する。主語や目的語とイコールになる
なくても文が成り立つ飾り。例のlike竹野内豊
竹野内豊で理解する五文型のすべて
続いて五文型を、すべて主語を竹野内豊にそろえた例文で説明していきます。
1つ目のSVは「豊 runs」。竹野内豊が走る、それだけです。この動詞は後ろに目的語を取らない自動詞だと小林さんは説明します。
2つ目のSVCは「豊 is hungry」。豊はお腹が減っている状態なので、豊とhungryがイコールになります。be動詞の後ろは補語になり、補語が主語を説明する形だと小林さんは言います。
3つ目のSVOは「豊 loves ハンバーグ」。豊はハンバーグではなく、好きの向かう先がハンバーグなので、これは目的語です。
4つ目のSVOOは「豊 gave me money」。豊が私にお金をくれたという文で、meとmoneyという目的語が2つあります。イコールの関係はどこにもありません。
豊は私にお金をくれたんだから、Oが目的語が2つある状態の文章がSVOOね。
5つ目のSVOCは「豊 named me さやか」。豊は私をさやかと名付けた、という文で、meとさやかがイコールになります。ここでは補語が目的語を説明していると小林さんは言います。
つまり補語は名詞を説明するもので、主語とイコールになることも、目的語とイコールになることもある。目的語イコール補語のときがSVOCだとまとめます。
| 型 | 例文 | ポイント |
|---|---|---|
| SV | 豊 runs | 主語と動詞だけ。runsは自動詞 |
| SVC | 豊 is hungry | 補語hungryが主語とイコール |
| SVO | 豊 loves ハンバーグ | 目的語ハンバーグが動詞の向かう先 |
| SVOO | 豊 gave me money | 目的語が2つ。イコールの関係なし |
| SVOC | 豊 named me さやか | 補語さやかが目的語meとイコール |
大森あやさんは「世界一わかりやすい精読の説明なんじゃないですか」と反応し、小林さんは「例文がいいんだと思うよ」と応じます。
動詞から始まる文にも隠れた主語がある
最後に小林さんは、超難関大学では動詞から始まる文が出てくると触れます。ただし、それは何かが修飾されている、あるいは主語が省略されているだけだと説明します。
英会話ではそうした形は使わないと前置きしつつ、小林さんは受験時代に「ここにはIが入っている」と補いながら精読していたと振り返ります。
英語の型を知ってるからこそ、動詞から始まってる。なんかおかしいぞっていうのに気づけて、きっと主語が隠れてるんだっていうのがわかるってことですね。
英語の型を知っているからこそ、例外に見える文でも隠れた要素に気づける。小林さんは「絶対何か隠れてるから」と念を押します。
次回は短い文章を使って、一緒に精読をやってみる回にすると予告されました。前編はここまでです。
まとめ
小林さやかさんは、慶應合格やTOEFL満点の土台に精読があったと語り、英語は5つの型のどれかで必ず作られていると解説しました。単語を拾って「わかった気」になる読み方を卒業し、語順と構造を理解することがスピーキングやシャドーイングの効果まで左右する、というのが前編の核でした。
- 精読とは、英文をSVOCと五文型で分析し、どれがどの役割かを紐解く学習法
- 英語はSV/SVO/SVC/SVOO/SVOCの5つの型のどれかで必ず作られている
- 単語だけを拾うと「わかった気」になり、リーディングでもスピーキングでもつまずく
- 理解せずに音だけ真似るシャドーイングは、お経と同じで応用が効かない
- 「さやか likes イケメン」「竹野内豊」の例文で、文の5要素と五文型が一気に整理できる




