ふるさと納税で古墳型の墓が返礼品に
たまたま目に入ったのは、大阪府の『大東市』のニュースでした。
ふるさと納税の返礼品として、お墓が出ているんです。永代供養墓が返礼品になるケース自体は他の自治体でもあるので、これが初めてという訳ではありません。
ただ今回のものは、ちょっと変わっていました。前方後円墳型のお墓、古墳墓の使用権が返礼品になったんです。
寄付額は一番大きいもので750万円。大東市でも最高額の寄付額だそうです。この額で4名分納骨できます。
管理料は不要。しかも粉骨して小さめの壺のようなものに入れて埋葬し、将来も合祀しないというお墓だそうです。
正直、これで持続可能なのかなと思うんですけど、まあ、そこはよくわからないというのが本音です。
なぜ前方後円墳なのか
そもそも古墳墓というのは、法律上の新しいお墓の種別ということではないんです。
墓地埋葬法上は、あくまで墓地の中に作られたお墓ですね。ただその形が前方後円墳で、いろんな方がたくさん入る大きな集合墓になっているということです。
これをプロデュースしているのが『株式会社前方後円墳』という会社で、代表は竹田恒泰さんという方です。
この会社は墓地そのものを経営するというより、霊園などに対して古墳墓の企画、設計、施工、販売、それから祭祀のあり方までを、ひとつのパッケージとして提供しているようです。
お彼岸には神道系の神主さんが御霊祭りをするみたいで、竹田さんは皇族の末裔だったかと思うのですが、そういう背景もあって、もっと前の時代の日本を発想してやっているんじゃないかなと思うんです。
今回のお墓がある『大阪メモリアルパーク』は、建築家の安藤忠雄氏がランドスケープデザインを手がけたそうです。小高い山の上にあって、大阪の街が一望できるような場所だそうですね。
「古墳同窓会」という生前のコミュニティ
もう少し調べてみると、『古墳同窓会』というものが企画されていました。生前契約している人たち、つまり同じお墓に入る人たちのコミュニティを運営するそうです。
実はこういう手法は、新しくないんです。先駆けてやったのは、新潟の『安穏廟』を企画した小川さんという方でした。
僕と同じ日蓮宗の方で、もう亡くなられましたが、20年、30年ぐらい前に安穏廟を企画されました。安穏は「安らかに穏やか」と書いてアンノンと読む、仏教の読み方ですね。
年に一回お祭りをして合同供養祭をしたり、お墓を買った人たちのコミュニティ、遺族のコミュニティを運営して、すごく先進的だと話題になった方です。ひとつ作ったものがどんどん増えていったと記憶しています。
宗教にはコミュニティが必ずついてくるものだと思うんです。信仰や儀式はやっぱり集団でやるものですから。
うちの辺りにはブラジル人の移民の方が多いんですけど、やっぱり教会をみんなで作って、週末に集まっていらっしゃいます。
だからお墓を通じて宗教コミュニティができるのは、いいことなんじゃないかなと思うんです。
全く知らない人同士で入るよりも、前方後円墳という変わったものに魅力を感じている人同士が集まって入る方が、気が合う可能性も高いですよね。
売った瞬間から責任が始まる
さて、このお墓は最終的に合祀しない、と決まっています。
でも、合祀するお墓が多いのには理由があるんです。うちの永代供養もそうなっていますが、スペースはこれ以上増やせません。
どこかで申し込みが締め切りになると、あとは維持するだけになります。草を刈ったり、設備を補修したり。墓地は10年、20年と経つと歪んだりして、補修が必要になるんですよね。
永代使用と言うけれど、100年後どうするのかな、というのが気になります。
墓地の永続性は、国でも昔から認識されています。厚生労働省が示している指針を見ると、永代供養料などを最初に一括で受け取る場合、将来の管理に備えて十分な管理基金を造成する必要があるという考え方が示されています。
最初にもらったお金を全部いまの事業費に使ってしまってはいけない。一部を基金として残して、そこから将来の維持管理費を捻出していかなければいけないんです。
墓地経営は、普通の商売とは違うんですよね。飲食店ならお店を閉めれば終わりですが、お墓は事業者が亡くなったから明日からなくします、という訳にはいきません。
売った瞬間から、何十年もの責任が始まるものなんです。
だからお寺こそ経営の視点を持たないといけない
日本では、原則として株式会社が墓地を自由に経営できる訳ではありません。
墓地には必ず事業主体が必要で、これには制限があります。自治体、宗教法人、または公益社団法人・公益財団法人といった一定の公益法人だけです。
だから『株式会社前方後円墳』はあくまでプロデュース会社で、仮に倒産してもお墓がどうなるということはないんです。
今回の大阪メモリアルパークも、事業主体は宗教法人です。販売や営業は別会社が担っていて、役割分担がされているんですね。
宗教法人や自治体はなかなか簡単になくならない。だからこそ、永続的な経営体が事業主体でなければならないと、法人が制限されているわけです。
とはいえ、宗教法人や霊園の経営が厳しくなれば荒れてしまうリスクは当然あります。追加の管理費も取りませんという中でやっていて、大丈夫なのかなとはいつも思っています。
永代供養を売るということは、その管理主体が長きにわたって存続していくことが前提です。永代供養をする以上、事業主体であるお寺、宗教法人を、長く次の世代につなぎ続ける責任があるんですよね。
だからやはり、お寺こそ経営の視点を持ってやらないといけない。こういうニュースを見て、改めてそう思いました。
まとめ
ふるさと納税でお墓が買えるという、ちょっと目を引くトピックから話を広げてみました。合祀しない、管理料もいらないという設計は現代的なニーズに応えるものですが、その裏側には長い長い責任があります。まだ答えが出ている訳ではないのですが、僕自身、お寺を次の世代につなぐということを、これからも考え続けたいと思っています。
- 大東市がふるさと納税の返礼品に前方後円墳型のお墓を出し、750万円で4名分・合祀なしという設計になっている
- 生前契約者が集う「古墳同窓会」のような宗教コミュニティは、新潟の安穏廟が先駆けた先例がある
- 永代供養を約束する以上、事業主体は将来の維持管理費を基金として残し、長く存続し続ける責任を負う
- 墓地の事業主体は自治体・宗教法人・公益法人に限られており、だからこそお寺は経営の視点を持つ必要がある





