日焼け止めに縁のなかった3人
今回取り上げるのは、マイアミ発のサンスクリーンブランド「Vacation」です。小澤さんは、香り、コピー、パッケージ、架空の企業文化まで作り込み、日焼け止めという義務の商品を「夏休みの気分そのもの」に変えて売っている会社だと紹介します。
収録は8月の半ば。3人は「今年は思ったほど暑くない」「去年のほうが暑かった」と夏の話から始めます。お盆には名和さんが手足口病にかかり、氏家さんは転職して1週間で休みを取り、宮城の実家で甥っ子や姪っ子と遊んできたそうです。
デザインやクリエイティブの業界では、お盆に会社が休みになる経験はあまりないという話も出ます。名和さんは犬好きの娘さんのために、箱根か伊豆あたりの犬と触れ合える場所への旅行を来月に計画しています。
話題が日焼けに移ると、3人とも日焼け止めをほとんど使っていないことがわかります。小澤さんは元々色黒で、夏の間にグラデーションのように黒くなっていくタイプ。名和さんは娘さんの送り迎えで毎朝1時間ほど日に当たるものの、日焼け止めは苦手だといいます。
妻にはね、(日焼け止めを)「塗れ塗れ」言われて。たまに塗ってんだけど。まあ、嫌いだね。
山や川で過ごすことの多い氏家さんも「マジで何もしてない」そうです。一方で、3人の妻はいずれもしっかり塗っているという話になり、日焼け止めは3人にとって縁の薄い商品だったことが確認されます。
日焼け止めは、なぜ「義務」で売られてきたのか
小澤さんによれば、CMなどで見る日焼け止めは「塗らないと肌の健康に悪い」という義務的な訴求が中心で、市場も機能を軸にできあがってきました。
Vacationが面白いのは、その流れを逆に戻した点です。日焼け止めは本来、休暇や外で楽しい時間を過ごすこととセットの商品だったはずで、Vacationはそれをもう一度「楽しい体験」とともに売ろうとしているといいます。
肌の健康のために塗るべきもの、という義務的な訴求。機能を軸に市場ができている
プールサイドや休暇の楽しさとセットにした訴求。夏休みの感覚を商品の世界観に入れ込む
Vacationは2021年春、マーティ・ベルさん、ラッチ・ホールさん、ダコタ・グリーンさんの3人を中心に始まりました。小澤さんは、この3人については「最後に話したい秘密がある」と予告します。
ブランドが描くのは、プールサイドで音楽が流れ、ココナッツやバナナの甘い匂いがする、80年代のリゾートホテルにいるような感覚です。彼らは自らを日焼け止め会社ではなく「レジャー・エンハンシング・サンスクリーン・カンパニー」と称しています。
長いよ。なるほど。
日本語にすれば「休暇や娯楽を拡張する日焼け止めの会社」。名和さんは「なんやねんそれ」と笑いつつも、言いたいことはわかると受け止めます。
機能ではなく視点を変えて訴求する手法自体は、日本の広告でも見られるものです。創業者のうち2人は広告やブランディングの会社出身で、3人と近い業界の人たちでした。ただしVacationの場合、そのやり方とブランドの始まり方が極端だと小澤さんは話します。
ブランドの核に置かれた「架空の会社」
体験とセットでブランドを定義すること自体はよくある話です。小澤さんが注目するのは、Vacationが「どこまで本気でやるか」、つまりやりきり度合いでした。
そのやりきりの根本にあるのが、架空の会社をブランドの核に置くという設計です。Vacationが立ち上げ時に投資家向けに作った資料は、架空の会社の事業計画書のような体裁だったといいます。
実在の会社が、さらに架空の会社として振る舞う。小澤さんはこれをメタフィクション ── 作品が自らの虚構性を自覚的に扱う手法。ここでは、実在のブランドが「架空の企業」という設定をまとって世界観を表現することを指しています的な表現だと説明し、ウェブサイトを見れば作り込まれた80年代テイストが一目でわかると話します。
デザイナーとしては憧れる手法なのに、成功事例がなかなか思い浮かばない。小澤さんがそう問いかけると、名和さんも「知ってる範囲ではない」と同意します。
近い例として、架空のジャケットをTシャツにするタコマフジレコーズの名前が挙がります。名和さんも、フリマで出会った、レコードジャケットにたまたま写っていた店の看板から勝手に世界を考えてTシャツにしている人の話をします。ただ、こうした試みはどれもニッチな範囲にとどまりがちだというのが小澤さんの見立てです。
マーティ・ベルさんによると、Vacationの世界は概念的にはドラマ『ジ・オフィス』とジミー・バフェット ── アメリカのシンガーソングライター。南国やビーチでのんびり過ごす気分を歌った楽曲で知られ、リゾート的なライフスタイルの象徴的な存在です的な世界観を組み合わせたもの。氏家さんはちょうどNetflixで『ジ・オフィス』を見ているところでした。
働いているのか遊んでいるのかわからない架空企業であるっていう、その世界観が面白いと。
顧客が「社員」になる仕組みと、提案が通らない現実
Vacationは架空企業の設定を、ブランドの一施策にとどめていません。会員登録は「Vacation Inc.への入社」として扱われ、登録すると社員番号や社員証のようなものがもらえます。
バーチャルの名刺や「スタッフオンリー」のグッズなど、社員だから買える、社員だからアクセスできるという形で、メンバーシップの特典を「社員」という設定で束ねています。小澤さんは、CRM ── 顧客関係管理。顧客との関係を継続的に管理・強化し、長く使ってもらうための考え方や仕組みのことですをそのままコンテンツに変えた事例だと評されていると紹介します。
ただ、こうした取り組みを自分たちの仕事で実現できるかというと、3人の反応は現実的です。
まあ、まず提案通らない。
名和さんは、こうした施策は意外とお金がかかり、しかも世界観を理解したデザイナーが複数人いなければ成り立たないと指摘します。氏家さんも、ROIがまったく読めないと続けます。
キャンペーンとして打つなら通しやすくても、ブランドの核にまで持っていくのはハードルが高い。名和さんは、そこで必要なのはデザイナー側の勇気というより決裁者の勇気だと話します。
デザイン会社の役員として経営側にもいる小澤さんは、身銭を切っているからこそできる判断があると実感しています。その一方で、デザイナーとして経営側に提案するときの説明責任も、よりシビアに考えるようになったといいます。
名和さんは、事業会社でもBtoCならまだ可能性はあるが、BtoBでは投資対象になりにくいと話します。小澤さんは、比較検討を勝ち抜く必要がある点で実はBtoBこそブランディングが必要だという話もあるとしつつ、ここまで自由な施策は難しいかもしれないと受け止めます。
ホイップクリームの日焼け止めと、復活した「オレンジジュレ」
Vacationは最初に世界観があり、それを商品に変えていきました。販売はD2C ── Direct to Consumerの略。メーカーが小売店を通さず、自社ECなどで消費者に直接販売するビジネスモデルですから始まり、徐々に販路を広げていく流れをとっています。
ユーザーが自ら広めるUGC ── User Generated Contentの略。SNS投稿やレビューなど、企業ではなくユーザー自身が作って発信するコンテンツのことですの設計として象徴的なのが「Classic Whip」です。ホイップクリーム缶のような容器から星形の泡が出てくる日焼け止めで、小澤さんは「使っているところを見せたくなる」タイプの商品だと評します。
もう1つ象徴的なのが「オレンジジュレ」です。アメリカで80年代、90年代にも人気があった日焼け止めで、2019年に販売終了すると署名運動や中古市場まで生まれたといいます。
Vacationはこのオレンジジュレの商標を取得し、再解釈して自社の商品として売り出しました。元の権利をめぐって若干揉めた面もあったようだと小澤さんは補足します。
復活の進め方は、単なる製品のコピーではありませんでした。
香りは少し違うだけで「自分が知っているオレンジジュレではない」と感じられてしまいます。だからこそ、成分表ではなく顧客の中に残った記憶の再現にこだわったと小澤さんは説明します。
80年代を知らない世代が、80年代の世界をつくった理由
名和さんは、創業者たちは80年代に20歳前後だった世代なのかと疑問を投げかけます。若者がY2Kに惹かれるのと同じように、知らない時代を再現しようとしているのかという問いです。
その場で調べた小澤さんが見つけたのは、創業メンバーは30代のミレニアル世代だという情報でした。つまり彼らにとって80年代は、体験した時代ではなく憧れの世界だったことになります。
ブランドの成り立ちも独特です。広告・ブランディング出身の2人は、もともと日焼け止めブランドを作ろうとしていたわけではなく、80年代の世界観が好きだという共通点でつながったといいます。
80年代が好き
80年代の世界観が好きという嗜好でメンバーがつながる
世界をつくる
商品はないまま、好きな世界を設定として作り込んでいく
ある日の気づき
メキシコでのリモートワーク中に「日焼け止めは本当は楽しいのに、なぜ義務や恐怖で売るのか」と考える
ブランド化
その世界観で日焼け止めブランドを作ることに決める
小澤さんは、好きな世界観のイラストを描いていたら、それが商品とマッチして物になるような、クリエイター的な発想だと話します。
名和さんは、スケボーやサーフィンが熱かった80〜90年代の空気が好きで、VANSやLIGHTNING BOLTのようなブランドを今も買ってしまうといいます。だから、その世界観が好きでやろうとする気持ちはよくわかると共感します。
とりあえず商品とかないけど、一旦その世界観だけ作ろうぜみたいなとこからスタートしてるってことでしょ。なんかもうそこがちょっとやばいよね。
名和さんは、最初はそれほどビジネスを考えていなかったのではないかと推測し、好きな世界を誰かと共有したいという点で「ジンを作るのと一緒だ」とたとえます。
知らない時代は、なぜ懐かしく感じるのか
小澤さんは、インターネットの登場で時代感が希薄になったと話し、本物のY2K世代である自分たちから見て、NewJeansのY2Kは当時の感じに見えるかと問いかけます。
まあっぽさはあるけど進化はしてるよね、やっぱ。
名和さんは、NewJeansのY2Kは別物で、洗練されていると感じています。Vacationの80年代らしさも同じで、本物の再現ではなく、本当を知らないからこそ理想化され、今っぽいエッセンスも混ざっていると2人は話します。
小澤さんは、ファミコンのような個人の実体験としての懐かしさとは別に、集合的な無意識としての「懐かしいっぽさ」があると指摘します。リミナルスペース ── 人がいない廊下や施設など、どこか見覚えがあって不安や懐かしさを覚える「境界的な空間」を指すネット発の美学。不気味さと郷愁が同居するのが特徴ですや、来月公開の映画『バックルームズ』の感覚にも近いといいます。
名和さんは、田舎がない人でも田舎の風景を懐かしく感じるのと同じだと応じます。現実の80年代に、星形に出るホイップクリームの日焼け止めはなかったはずだ、とも話します。
Vacationのサイトも、80年代っぽさを感じさせながら、ウェブデザインとしては非常にモダンです。初期Macの広告を思わせるコンデンス体のセリフ書体も、最近よく見かけるものの、純粋にノスタルジックかといえばそうではないと2人は話します。
小澤さんは、ノスタルジーや世界観は抽出され、理想化されて濃くなっていないと本当には届かないのではないかと考えます。
牛乳石鹸と古着屋の匂いは、どこで美化されたのか
Vacationは日焼け止めのほかにフレグランスも展開しています。定番のココナッツ系ではなく、濡れた水着やミニバーのジンのように、特定のシチュエーションを思わせる名前が付いているそうです。
名和さんは「ネーミングがうまい」と評し、香りは記憶であり、否定も肯定もできないものだと話します。そこから、3人それぞれの香りの選び方に話が広がります。
香水を使う名和さんは、子どもの頃に好きだったカウブランドの牛乳石鹸に限りなく近い香りを探し続けています。
今、実際に(牛乳石鹸の)石鹸を嗅いでも、別にいいとは思わない。これじゃないなって感じになっちゃうのよ。
名和さんによれば、子どもの頃にいろいろなものと一緒に嗅いだ匂いが、頭の中で「石鹸」としてカテゴライズされているだけだといいます。小澤さんも、久しぶりにサイゼリヤで好きだったはずのメニューを食べて「これじゃないんよな」と感じた経験を重ねます。
氏家さんは、ファッションに興味を持ち始めた頃、古着屋やショップに入った瞬間にした「かっこいい匂い」を今も探しているといいます。名和さんはそれを「外国の洗剤みたいな匂い」と言い表します。
氏家さんは、脳内で美化されるものには一定の方向性があり、それが80年代のプールサイドのバイブスに集まっていることをVacationが証明しているとまとめます。小澤さんは、人が本当にファンになるかどうかの閾値は、その濃縮具合で決まるのかもしれないと考えます。
「世界観」ではなく「世界」をつくるということ
小澤さんは、実は「世界観」という言葉があまり好きではないと明かします。Vacationがやっているのは、むしろ小説家のように世界そのものを作ることに近いという考えです。
世界観って言ってると、閾値を超えないんじゃないかっていう感じがしてて。
世界そのものを創造する意気込みがあってこそ、薄まって伝わっても世界観として届くほど濃くなる、というのが小澤さんの見立てです。
その象徴が、ペプシとコラボしたチェリーコーラ味のリップバームです。Vacationはこれを新商品としてではなく、「1991年に秘密裏に共同開発していた商品を発掘して販売する」という架空の過去とともに発表しました。
小澤さんはここから映画の話に脱線します。「リアリティがない」という批判は成り立たない批判で、スター・ウォーズのような荒唐無稽な作品でも、その世界の秩序やルールが想像できるほどリアルに感じられると話します。
現実に起こりうるかどうか。小澤さんはこれを本質的な基準ではないと考える
フィクションでも、画面の外の秩序や登場人物が生きている感じが想像できるか
逆に小澤さんが好きではないのは、登場人物がその瞬間に言うべきことを言わされているだけに見える作品です。氏家さんが「その世界の中での理由や地続き感がないということか」と確かめると、小澤さんは「まさに」と答えます。Vacationは、その世界の広がりをやりきっていると小澤さんは評価します。
評価額2億1000万ドル、それでもシェアは約1.2%
では、世界を作って商品に変えるやり方はどれほど成功しているのか。Vacationは自社ECのD2Cブランドとして始まり、今ではTarget、Ulta、Costcoなどへの卸にも流通が広がっています。
小澤さんによると、2026年3月にはVMGパートナーズが出資し、評価額は2億1000万ドルと報じられました。一方で、米国のサンスクリーン市場でのシェアは約1.2%にとどまります。
つまりVacationは市場を支配するブランドではなく、ニッチな市場で熱狂的な支持を得たカルトブランド的な存在です。世界観から生まれた文化的な存在感を、実際の価値や資本に変換したブランドだと小澤さんは位置づけます。
資本が入ったブランドは、世界観をどこまで守れるのか
資本が入って拡大を求められる段階になると、世界観を守ることが目的化し、売上やファンベースが伸びないなら、どこまで守るべきかが問われます。小澤さんは、これが株主側から指摘される課題になっていくと話します。
ここ耐えれたらって感じだよね。耐えれたらっていうのは、そのバランスをちゃんと取れたらっていう意味ね。
小澤さんは、序盤の「決裁者の勇気」の話につなげます。お金を出す人は、最初は創業者や経営側でも、規模が大きくなるほど株主になり、より多くの期待に応え続ける必要が出てきます。
氏家さんは、過去のエピソードで紹介したA24と比べます。A24はセンスや審美眼を固定したうえで、システム的に映画を作る構造があるため広がりやすい。一方、世界観を固定したVacationは、商品ラインナップを増やす先のハードルが高そうだといいます。
作品や商品そのものが新しい世界観を生み、それぞれが自走して広がっていく
日焼け止めそのものに世界を生む力はなく、ブランディングで開拓できる市場に限界があるかもしれない
小澤さんは、ブランディングで拡張できる市場の限界という論点は、デザイナーから見ると少し耳が痛い話題だと認めます。
議論の中では、ブランドのあり方を守り続けたいなら投資を受けるべきではないという判断になるはずで、投資を受けた以上は経済的な成功との両立を選んだことになる、という指摘も出ます。その判断をした時点で、この問題はついて回る世界に入ったというわけです。
ホテルにフェス、オフラインに広がる妄想
名和さんは、ブランドの軸を日焼け止めではなく80年代の世界そのものに戻し、その中で商品と関係する世界を広げていくべきだと提案します。そうしないと、しんどくなる気がするといいます。
小澤さんは、一度映えて買われる商品から、毎日使い続ける習慣へ移れるかという課題も挙げます。そうなると機能の話になり、情緒価値から始まったブランドが次に機能価値へ向かうのか、情緒価値でさらに広げるのかが注目点だと話します。
そこから3人の妄想が広がります。Vacationにホテルを作ってほしいという案が出て、プールもフレグランスもすべて再現すればいい、プール付きのフェスを主催するのもいい、と盛り上がります。
小澤さんは、オフラインの空間はいまある商品を売るチャネルにもなり、新しいビジネスの核にもなりうると話します。名和さんは、日本でやるなら畳や塩素、オロナインの匂いがするフレグランスだと続けます。
小澤さんは、ファンだという『ちいかわ』の例も挙げます。作中にヴェポラッブのような作者ナガノさんの個人的なものが登場し、それがまさに「あの頃の香り」の感覚に近いといいます。
企業からの登場依頼は多いはずなのに、案件的なことをせず作者が好きなものだけが出てくるからこそ、信頼されるブランドになっている。小澤さんは、そのトレードオフは難しいと話します。
FDAの警告書という壁
小澤さんは、ネガティブな面にも触れます。去年、アメリカ食品医薬品局(FDA)がVacationに警告書を出しており、対象にはClassic Whipや「Glow」が含まれていました。
問題は、ホイップやムース状の形状が、該当する制度上のルートで認められていなかったことです。食品のようなホイップクリーム缶で口に入れてはいけないものを売ることが、規制とぶつかったと小澤さんは説明します。
最終的な解決は、小澤さんの観測範囲ではまだ見つかっていないそうです。致命的な問題ではなさそうだとしつつ、変わったことをしようとすれば何かしらの問題に直面するのだと受け止めています。
Vacationが生まれる前にあった「Poolside FM」
最後に小澤さんは、Vacationがなぜ成功できたのかの種明かしをします。鍵は「Poolside FM」というインターネットラジオでした。
Poolside FMは、初期のMac OSを模したサイトで、プールサイドの休暇を思い出させる音楽をキュレーションするラジオ局です。バズを生み、熱狂的なファンコミュニティを持っていて、これを手がけるマーティ・ベルさんがVacationの立ち上げに関わっていました。
Poolside FMとVacationはほぼ同じ世界観です。そのため、ブランドの立ち上げ時点ですでにファンがいる状態ができていました。小澤さんは、先に顧客がいるかを確かめられていたことが、この作り方を可能にした大きな要素だと話します。
次回は、現在は「Poolsuite FM」に名前を変えたこのラジオを、「続・メタフィクションブランド」として紹介する予定だと告げて、回は締めくくられます。
まとめ
Vacationは、日焼け止めを義務ではなく夏休みの気分として売るために、80年代のリゾートという世界と架空の会社を本気で作り込んだブランドです。その手法は大きな評価額を生んだ一方で、シェアや拡張性、規制という課題も抱えており、3人はその強さと限界の両方を語りました。
- Vacationは自らを「レジャー・エンハンシング・サンスクリーン・カンパニー」と称し、会員登録を「入社」とするなど架空企業の設定をブランドの核に置いている
- オレンジジュレの復活では、11人のアドバイザリーボードと4000人以上のファン調査で「香りの記憶」の再現にこだわった
- 知らない時代への憧れや美化された記憶は、濃く抽出されてこそ人に届くと3人は考えている
- 評価額は2億1000万ドルと報じられたが、米国シェアは約1.2%。資本が入った後に世界観をどこまで守るかが次の課題になる
- 成功の背景には、同じ世界観ですでにファンを持っていたPoolside FMの存在があった







