アフィリエイトを勧める話ではない?タイトルの真意
まなぶさんは、今回のテーマ「デザイナーに必要なのはアフィリエイトかもしれない」について、タイトルはやや煽り気味だと断っています。今からアフィリエイトを始めましょうという話ではない、というのが結論です。
まなぶさんはフリーランスとしての最初の数年を、アフィリエイターとして過ごしてきました。当時やっていたことや考えていたことが、現在のデザインやディレクションの仕事にとても役立っていると感じているそうです。
実際にお会いする方には、ちょいちょいこの話をしたことがあります。アフィリエイトマジいいですよ、みたいな感じで。
アフィリエイトで商品を売るには、誰が、どこから来て、何を知りたくて、どんな感情で動くのかを考える必要がありました。その視点が今の仕事に生きている、というのがこの回の中心です。
そもそもアフィリエイトとは?仕組みと難しさ
アフィリエイトとは、商品を紹介し、自分の持つリンクから購入や問い合わせがあると、決められた報酬が支払われる仕組みです。広告主から見れば、記事を書いてもらう広告施策の一つにあたります。
まなぶさんは報酬の例として、脱毛エステの問い合わせ1件で1万円〜1万5千円ほどになるものや、Amazonの商品購入で数パーセントが入るものを挙げています。1万円の商品なら800円や1000円ほどという世界です。
自分で商品を作らなくても、パソコンやスマホがあれば誰でも始められます。ただし、リンクを置けば勝手に売れるほど甘くはありません。
誰に紹介するのか、どうやって来てもらうのか、どんな順番で伝えるのかが非常に重要になります。まなぶさんが取り組んでいたのは2018〜2019年ごろで、個人ブログやサービス特化のサイトに記事を書き、検索から来た人に買ってもらう形でした。
記事を書く
個人ブログやサービス特化サイトに記事を置く
検索で来てもらう
自分の商品ではないので、集客から考える必要がある
リンクから購入
購入や問い合わせがあると報酬が支払われる
知らない商材を扱うと見えてくる、自分の感覚とのズレ
アフィリエイトの商材は、自分が興味のあるジャンルでも構いません。ただ、商材がなかったり、ライバルが強すぎたりすることもあり、まなぶさんは売れるものなら扱うという発想で、門外漢のジャンルも扱っていました。
知らない商材を調べていくと、自分の感覚だけでは判断できない悩みや需要が見えてきたそうです。商材が違えば売り方も変わるため、商品を理解したうえで、誰にどう何を伝えるかを考える経験が面白かったといいます。
自分には必要ないと思う商品でも、誰かにとっては切実な需要があるかもしれません。まなぶさんは、自分の興味や思い込みと、実際の市場のニーズを分けて考える練習になったと振り返っています。
「動画編集」の検索ワードで変わる、読者の知りたいこと
まなぶさんは例として動画編集スクールを挙げ、同じ「動画編集」でも検索ワードによって求めている情報が違うと説明します。
| 検索ワード | 想定される人 | 求めている情報 |
|---|---|---|
| 動画編集とは | そもそも動画編集が何か知りたい人 | 基本的な説明 |
| 動画編集始め方 | 興味があり、始めようとしている人 | 始めるための情報 |
| 動画編集スクールおすすめ | 複数のスクールを知り、比較したい人 | スクールの比較 |
| (スクール名)料金 | 購入を検討している人 | 料金などの具体情報 |
比較検討中の人に「動画編集とは」という説明をしても、ほとんど響きません。すでにそれを知っている人なので、A社とB社の内容を比べる記事のほうが、確実に求められると考えられます。
アフィリエイトをしていた頃は、検索キーワードからどんな人が来るのかを考え、その人が本当に求める情報を準備して書いていました。そのおかげで、ズレに意識を向けられるようになったそうです。
クライアントの「興味」をどう聞き返すか
まなぶさんは、アフィリエイトの経験がデザインの仕事に直結していると考えています。たとえばバナーの依頼で、クライアントから「ターゲットは動画編集に興味のある人」と聞いた場面を例に挙げます。
興味ってめちゃくちゃ幅広い言葉なんですよね、実は。
クライアントが興味という言葉で伝えているだけの場合もあれば、そこまで深く検証できていない場合もあります。そこで、どのくらいの興味なのか、全くの初心者なのか検討中の人なのかを聞き返せるようになります。
バナーの先にLPがあるのか、LPがあるならどんな構成なのか、といった疑問も浮かぶようになります。まなぶさんは、制作物そのものより、こうした疑問が浮かびやすくなること自体が重要だと考えています。
そのクリエイティブは販売の流れのどこにある?
クリエイティブが販売までのどの段階にあるかを意識できるようになる、という点も挙げられました。セミナーのスライドを頼まれた場合、集客後の入り口のセミナーなのか、セールス用のセミナーなのかで、内容も役割もまったく変わります。
スクールの特徴や対象者、得られるベネフィットを理解していなければ、スライドで使うコピーも選びにくくなります。
バナーを頼まれたからバナーだけを見るのではなく、前後関係や役割、動線を意識しておくと、提案ができ、考える材料も増え、クライアントへの質問内容も変わってくるそうです。
当時使っていたGoogleサーチコンソールやアナリティクスでは、どんな検索で入ってきたか、サイト内をどう移動したかがわかりました。土曜日にアクセスが多い、40代が多い、海外からのアクセスが多いといった数字を見て、なぜなのかと考える発想も生まれたといいます。
こうした経験は、制作の際に何を確認すべきかを考える力にもつながっているとのことです。
購入から遠い読者に、次の記事をどう用意する?
アフィリエイトでは、「動画編集とは」で来た人がすぐにスクールへ入ることはまずありません。購入までの距離がある人が来るわけです。
それでも成約を諦めず、この記事で来た人が次に何を気にするかを考えます。たとえば「始め方」で来た人には学び方の記事を用意し、次に独学とスクールの違い、さらにスクールの比較、というように順を追って段階を進める置き方をします。
始め方の記事
入口のキーワードで来た人が読む
学び方の記事
こういう学び方があると紹介する
独学とスクールの違い
自分で勉強する場合との違いを示す
スクールの比較
購入に近い段階の人が読む
関連リンクを手当たり次第に置けばいいわけではなく、キーワードごとに、どの段階でどの記事を置くかを設定します。記事を読んで満足して帰る人もいますが、購入に近い記事へ進む人も出てくるそうです。
まなぶさんは、この記事の内容や動線の考え方は、今思えばUIUX ── ユーザーインターフェース(画面の見た目や操作)とユーザー体験(使う人の体験全体)を合わせた呼び方。使いやすさを設計する考え方ですに近いと話します。ユーザーフローに通じる、今この人に何が必要で次にどこへ行けるといいか、という発想です。
LPでも、来てもらった後にどんな順番で疑問を解消するか、比較材料は揃っているか、申し込み前に不安が残っていないかを考えられます。売り手の都合だけでなく、ユーザーが判断しやすいかという視点で設計できる点が、アフィリエイトとデザインの共通点だとされています。
今からアフィリエイトは難しい?代わりにできる練習
ここまでが関係性の話で、実際に今からアフィリエイトを始めるのは現実的ではない、とまなぶさんは言います。個人でブログを立ち上げても検索で上位に出ず、SNSで発信や検証をするのも時間がかかるためです。
そこで一つ目の方法として、ある商品を自分が売る側ならどう考えるかを想像してみることを挙げています。動画編集スクールなどを選び、誰向けのサービスか、どんな悩みが起点か、ライバルとの違いは何か、どう届けどう比較してもらうかを考えます。
サービス提供者ではないので正解はわかりませんが、知らない商材で仮説を立て、自分なりの販売動線を組んでみることはいい練習になると話しています。
広告を踏んで、販売動線を観察してみる
二つ目は、実際に売られているサービスの広告を踏んで、どういう動線になっているかを確認する方法です。広告の先で無料セミナーを案内していたり、LPが挟まっていたりすることがあります。
広告のコピーが変わっていることもあります。興味を持ち始めた人向けか、比較検討している人向けかなど、自分なりに理由を考えてみることが大事だそうです。売り上げや本当の狙いはわからないため、仮説をどんどん立てていくことが大切だとされています。
既存クライアントや自分自身を「商品」として考える
三つ目は、すでにお世話になったクライアントがいる場合に、自分ならどう売るかを考えてみる方法です。案件が進んでいなくてもかまいません。
サービスへの理解が足りなければ、どんなサービスなのか、どんな人が買っているのか、SNSや広告、LPをどうつないで申し込みにしているのかを調べます。自分が納品したものがどこで使われ、どんな流れにあるのかを確認する方法もあります。
そのうえで仮説を立てれば、次に受けるときの提案や、もっとこうすればよかったという発想につながります。
四つ目は、デザイナー自身が自分を商品とみなす考え方です。どんな課題を解決できるか、そういう人はどこにいるか、XやThreads ── Metaが提供するテキスト中心のSNS。Instagramと連携して使えます、紹介、ポータルのどれで知ってもらうかを考えます。
何を見れば相談してもらえるのかは、実績なのか、お客様の声なのか、考え方やコンセプトなのかも検討点になります。最後に、どうやって問い合わせや相談につなげるかまで考えます。
一番参考になるのは他のデザイナーです。SNSのプロフィールや普段の発信、YouTubeやインスタなどの展開、プロフ欄の文言がどう相談につながっているかを、可能な範囲で調べてみるとよいとされています。
すぐに受注に結びつくとは限りませんが、自分で動いてみる経験は、クライアントの事業を考える際の引き出しになると、まなぶさんは話しています。
まとめ
まなぶさんは、アフィリエイトで培った「誰がどんな状態で来て、何を求めているか」を考える視点が、デザインの仕事に生きていると語りました。アフィリエイトを今から始めるのではなく、どう届けるかを考えるきっかけにしてほしいという回です。
- 検索キーワードによって、読者の知りたいことや購入までの距離は大きく違う
- クライアントの「興味」という言葉を聞き返すことで、ターゲットの解像度が上がる
- 制作物がどの販売段階にあるかを意識すると、提案や質問の質が変わる
- 商品の売り方を想像する、広告の動線を観察する、クライアントや自分を商品として考えることで練習できる






